コクワガタは日本に広く分布する代表的なクワガタムシです。
小型の割には長生きで、越冬して2年以上活動します。
伊豆諸島にも広く分布し、八丈島をのぞく全島にすんでいます。
八丈島には、亜種のハチジョウコクワガタが生息しています。
本州と同じ亜種に含まれますが島ごとに生態や生息数に違いがありま
す。右の写真は三宅島のコクワガタの大型です。
1.特徴
(1)本州のものに比べ大腮の短い個体の割合が高い。
(2)前胸部に丸みがある。
(3)比較的小型で45mmを越える大きさのものは珍しい。
2.生態
(1)オオバヤシャブシの樹液に集まる。
(2)燈火にもよく集まる。
(3)本州のものと同様産卵の時に独特の産卵マークをつける。
3.島ごとに違い
(1)大島
本州のものと比べ大腮の短いものが多く見られる。個体数は本州に比べて
少ない。
(2)利島
大腮が短い傾向がはっきり見られる。飛ぶことはほとんどなく主に歩行で移
動する。路上徘徊中のものをよく見かける。
オオバヤシャブシの樹液に集まるが、地面に落ちたのタブの実やヤマグワの実を
食べていることが多い。カタツムリを食べていたこともある。
(3)新島、神津島
大腮がさらに太短くなるが利島のように歩行性はない。
右の写真は神津島の雄。
(4)式根島
個体数がきわめて少なく採集例がほとんどない。
(5)三宅島
個体数は多く、普通種である。燈火やオオバヤシャブシの樹液に集まる。
(6)御蔵島
個体数がきわめて少なく採集例がほとんどない。
(左から新島のコクワガタ羽化直後(飼育)、越冬中の利島のコクワガタ、大島のコクワガタの幼虫)