世界でも八丈島にだけ生息する珍しい種類です。
特に興味深いことは、内歯の位置が異なる2つの型が見られることです。
同じ島の中に亜種がいるとは考えにくいですが、この2つの型は全く異
なる遺伝子を持っていて、狭い地域の中でそれぞれが独立に子孫を残し
ています。こうした例は他に知られていません。
大きさは最大で60mmほどで30mmを越える程度の大きさのものが
多い。
1.特徴
(1)頭部の発達が悪い。
(2)前脚が比較的太い。
(3)尾端の先端がややとがった形をしている。
(4)雄には内歯が大腮の基部にあるものと、中央にあるものの2型が見られる。
(5)光沢が強い。
2.生態
(1)5月上旬から8月にかけて活動し、八丈島のクワガタムシでは活動期間が長い。
(2)オオバヤシャブシの樹液に集まり樹皮のはがれた部分やうろに潜んでいる。
(3)飛ぶことがほとんどなく主に歩行で移動する。
(4)幼虫はオオバヤシャブシなどの朽ち木を食べて育つ。
(5)八丈島でも平地の限られた地域にのみ生息する。
3.変異
ヒラタクワガタの仲間は、大腮の短いタイプと長いタイプが同じ種類の中で
も見られます。
ツシマヒラタクワガタではよくその特徴の現れた大腮の長いものと本州に近い形
をしたものとが見られます。
しかし、ハチジョウヒラタクワガタのように同じ地域に内歯の位置が違うもの
が見られる例は日本では九州の一部地域以外はありません。海外ではセレベス島や
ルソン島、中国貴州省などにこうした例が見られます。
ハチジョウヒラタは内歯が基部に近い位置にあるものをAタイプ(型)、先端に近いもの
Bタイプ(型)、中間的なものをABタイプ(型)と呼んでいますが、正式な分類ではありません。
画像の個体は、BタイプまたはABタイプで内歯が明らかに大腮の基部から離れていますが、BとAB
の明確な違いははっきりしません。