メモ

シリアル番号 表題 日付

537

スパイス

2001/7/30

1971 年のロンドン滞在中、しばしばインドカレー店に通ったがカレーの香が高く、店毎に微妙な違いがあることに気が付いた。これにくらべ日本のカレーは マイルドで個性がない。その理由は日本 で市販されているカレー粉は19種の香料を少量づつブレンドするのに対し、インドではせいぜい9種の香料をブレンドするので個性が出るのだと知った。日本 の家庭料理とおなじく、家庭毎に好みのブレド比があるのだという。下表のブレンド比のように10人前のメーカー推奨混合量 のターメリックを弱火で15分いためたのち、全スパイスを加えて5分撹拌し、1-6ヶ月熟成させるとマイルドな日本風カレー粉ができた。

インド東部のスープカレーに魅せられた友人、小笠原氏はカルダモンとコリアンダーを効かせるのが良いというが、私の好みは市販のS&Bカレーのカレー粉にフェンネル単品 を追加したものだ。どこでも味わうことにできないカレースープを楽しめる。逆にベトナム料理のフォーとかタイ料理のトムヤムクンもどきのスープにはコリア ンダー粉末を振り掛けるとシャンツァイの代用になる。

秋ウコン 7/7撮影

秋ウコン 8/8撮影

秋ウコンの根

自家製ターメリック

西沢氏からいただいた秋ウコンの根から作った自家製ターメリックを市販のカレー粉に加えたカレーは美味であった。自家製 ターメリックに辛味成分のレッドペパーか七味唐辛子とブラックペパーを加え、芳香成分として手持ちの単味のスパイス類のコリアンダー、メッチ、クミンなど を適当にブレンドすれば、主要5成分 (黄色欄)の最低限のカレー料理が出来上がる。秋ウコンの根を庭に埋めておいたら7月になって発芽しぐんぐん育って10月には人間の丈くらいになる。植え てかれこれ10年をすぎたところで日当たりの良いところに根分けをして現在に至る。いまだ掘り返したことはない。株を増やすには、春先、球根を掘り出して 分けて植えなおす必要があると言う。

秋ウコン 2017/10/4撮影

シルクロードを歩いた小笠原氏は中東、地中海沿岸のシリアのウガリト 遺跡、チュニジアのカルタゴ遺跡などウイキョウが群生する場所に行くと、この世離れした香りに包まれて夢見心地になったという。

菜園で採れたウイキョウの花

至仏山のミヤマウイキョウ

菜園でウイキョウを栽培したことがあるが、至 仏山登山のおり、図らずもウイキョウの親類、ミヤマウイキョウが蛇紋岩の砂礫地の自生しているのをみつけ、フェンネルの懐かしい香りを楽しんだ。

地中海の回教諸国ではレッドペパーとクミンとコリアンダーだけを使う。土屋さんがタイ旅行の折、ブルーエレファント・クッキング・スクールでタイ・カレー 料理に挑戦。その秘密のブレンド比を教えてくれたので日本カレーとの対比で下に示 した。

下表の写真は我が家の単品スパイスの在庫を撮影したものである。メッチとサボリは簡単には手に入らない。陳ピはいつも自家製だから、季節外れで在庫は切れ ていた。

カレーの仕上げの少量添加するものにガラムマサラというものがあるが、これはコリアンダー、クミン、スターアニス、ターメリック、カルダモン、(ネツメッグ)、クローブ、唐辛子などをミックスしたものだ。

正月のお屠蘇に加える屠蘇散もスパイスである。

各種カレーのスパイス比

スパイス名

日本カレー(g) タイカレー(spoon) ガラムマサラ

屠蘇散

タコ

写真

コメント

辛味成分    
       
レッドペッパー

red pepper

18

5個


  カプサイシンが辛さのもと。受容体に作用して辛みが知覚される。唐辛子は中南米原産。チリペッパー 赤唐辛子を乾燥さえたもの。  カレーの辛さの元 。チリーパウダーは唐辛子にオレガノ、クミン、ディル、ガーリック、クローブ、オールスパイス、ブラックペッパーなどのスパイスを何種類かブレンドして作 られるミックススパイス。メキシコから北アメリカにかけての料理やスペイン料理などに用いられる。特に代表的なメキシコ料理、チリー・コーン・カーンには 欠かせない。パプリカはスペインの航海者達によってヨーロッパにもたらされた一品種がハンガリーへと伝えられた後、ここで品種改良され、ハンガリーの特産 品になったもの
ジンジャー

lesser ginger

lesser galangal

6

1/2


    ショウガ焼きには生で下ろして使う
ブラックペパー

black pepper

10  
    西洋料理にはしばしば最後に振りかけに使われる。
昔から東南アジで栽培された。
着色成分    
       
ターメリック

turmeric

68

1


    カレーの黄色の元。秋に白い花が咲く「秋ウコン」を原料とするターメリック はあざやかな黄色だが、弱火でいためるうちにいやなにおいは消え、カレー特有の匂いになる。また色も褐色に変わる 。有効成分のクルクミンは抗炎症性や抗酸化作用がある。ターメリックを多量に食する国では認知症になりにくい。西沢氏から「秋ウコン」の根をいただいた。 ショウガの根のような根茎を水洗して皮を剥き、30分煮た後、スライスして2週間ほど天日で十分乾燥させ、ミキサーで粉砕し、粉にする。
芳香成分    
       
コリアンダー

coriander

57

根1本

種1/2


    バクチー、シャンツァイ、香菜と もいわれトムヤムクンなど東南アジアの料理に頻繁に使われる。 ひき肉料理、クッキーなどに使われる。根、葉、種(粒コリアンダー)いずれもつかう。自家製可能。セットにあった乾燥コリアンダー粉末はその強い香りをほ とんど失っていた。小笠原氏は粒コリアンダー挽いたときの甘い香りは、どんな高級香水も敵わない「夢の香り」という。
メッチ または フェネグリーク

fenugreek

38 カレー粉1
   


フェネグリーク or フェヌグリーク or コロハ(胡廬巴)。ハーブ(香草、薬草)。マメ科の植物で、種子を香辛料として使用する。30〜60cmの細長いさやと種子は 5mm位の大きさ、硬くて楕円形の黄褐色。古代エジプトの頃には媚薬として使用。また、出産を楽にして、母乳を増やすために使用。中国では、胡廬巴(コロ ハ)と呼ばれ、腹痛に使用された。日本では、現在、清涼飲料水などの原料として使用されている。インドではメッチとも呼ばれている。豆を曳いた黄色の粉は芳香があり、甘味がある。香りがセロリに似てい ることから、カレーの混合スパイスとして、またお菓子などの香辛料としても使用される。
クミン

cumin

37

1/2


  クミンシードのこと。セリ科の一年 草、馬芹(ばきん、まきん、うまぜり)とも呼ばれる。カレーの香りの主要成分。野菜炒めにも。地中海沿岸諸国の肉料理に レッドペパーとコリアンダーの葉と共によく使われる。
ディル

dill

18  
    地中海沿岸原産のセリ科の1年草または越年草。学名Anethum graveolens L。
その実は硬く、アネトールが含まれ、アニスと同じ味である。魚料理とよく合うので「魚のハーブ」ともいわれ る。

実が硬いのピクルス漬けに使う。

シナモン

cinnamon

12  
  熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹の樹皮から作られる香辛料。生薬として用 いられるときには桂皮(ケイヒ)と呼ばれる。リンゴジャムに合う
チンピ

mikan

10  
 

陳皮 ミカンの皮を干したもの。(自家製)
スターアニス

staranis

10  
    シキミ科のトウシキミの果実で八角と言われる。アニスとは別の植物だが同じ アネトールを含む。甘い味。焼き豚のたれに入っている。肉料理、魚料理の臭みをとり、中華風の香をつける。

シキミ科シキミ属シキミは常緑高木でアニサチンという有毒物質を含む。

フェンネル

fennel

7  
  分類上はセリ科ウイキョウ 属ウイキョウ。アニスとよばれる西洋ウイキョウは分類上はセリ科ミツバグサ属アニスという。どちらにもアネトールが含まれ、実も同じように見える。アニス はアブサンに入っている 。魚のオーブン焼きやスープ、ピクルスに使う。ヨーロッパではリコリス菓子があるが、スペイン甘草とフェンネル入りなのである。アニスはカレーにも使われ る。 ソクラテスが飲まされたドクニンジンはセリ科ドクニンジン属で外見がにているがコニインを含み、中枢神経の働きをおかす毒草である。ドクニンジンは、英語 では「ヘムロック」(「毒草」の意味)と呼ばれ、北海道で帰化植物となっている。
カルダモン

cardamon

8  
    カルダモンはショウガ科の多年草であ る。アラビア・コーヒーのブレンド剤 にも使われる。アップルパイにも使う。小笠原氏のスープカレーレシピのポイントは「カルダモン」にあり。出来れば、乾燥物でなく生がほしいのだが、日本で は入手困難という。
ナツメッグ

nutmeg

7  
    ニクズク科の1種の常緑高木。およびその種子から作られる香辛料。 ひき肉やミルクの風味を引き立てる。ハンバーグ、コロッケ、クッキー、ドーナツにつかう。
クローブ

clove

6  
    インドネシアのクローブタバコにブレンド(インドネシアの臭い) 。丁子(ちょうじ)ともいう。フェルディナンド・マゼランが世界一周したのはモルッカ諸島のクローブが目当てだった。2隻がモルッカ諸島についてクローブ を積み込む。西回りの1隻ビクトリア号だけ帰還に成功した。 しかしビタミンC欠乏症でジャムを持っていた船長と航海士以外の多数が死に、帰還できたのは18名であった。皮肉なことに積荷のクローブを食べれば死なず にすんだのだ。
オールスパイス

allspice

2  
    ピメント又はジャマイカ・ペッパーとも言われる。(ピーマンではない)ハン バーグなど肉料理の臭みぬきとクッキーに。
ガーリック

garlic

 

5個


  フランス料理、朝鮮料理、その他万能の香り成分
香草成分    
       
サボリ

savory

9  
   

入手難

ウインターとサマーの2種あり 。ウィンター種はキダチハッカ、サマー種はガーデンサボリー。ヨーロッパ原産のシソ科で肉料理に使う。葉と茎をオリーブオイルに漬け込みハーブオイルとし て使う。またワインに葉と茎を漬け込みサボりワインとしても美味。
ローレル or ローリエ

laurel

3  
  月桂樹の葉(自家製)
セージ

sage

3  
    シソ科の多年草 ソーセージ、肉料理
その他    
       
リコリス

licorice

2  
  甘草 漢方薬の一つ(自家製)。日本の甘草であるウラルカンゾウとは別種のスペイン甘草がリコリス菓子の甘味料に使われる。甘草の根に含まれる甘味成分として は、グリチルリチン、ブドウ糖、ショ糖などが含まれる。ルートビアに使われる。

料理法はカレー料 理参照。

インド土産にいただいたスパイスセットにはカルダモンとクローブの実、それにシナモンの樹皮が入っていた。

インド土産のスパイスセット

コーヒー豆にカルダモンの種子を適量加えて抽出すればアラビア・コーヒーの雰囲気を楽しむことにしている。

メキシコ料理にはタコというスパイスミックスを肉に混ぜる。これはトウモロコシ粉、トマト、タマネギ、ガーリック、パプリカ、クミン、オレガノ、ローリ エ、チリ、酸味料、微粒二酸化ケイ素、砂糖、食塩を混ぜたものである。

カレー以外に使われるスパイス

スパイス名

タイカレー(spoon)

屠蘇散

タコ

写真

コメント

ホワイトペッパー

white pepper

1

    ブラックペッパーと同じ植物の実で完熟した実を水でふやかして外皮を取 り去った白い胡椒。ブラックよりマイルド。タイ料理でつかう。日本ではラーメンに振 りかける。
ピンクペッパー

pink pepper

      こしょうの赤く完熟した実を塩漬けにしたもの、こしょうぼくという植物 の果実だというもの、西洋ナナカマドの果実であるというもの、と3種がある。写真は ペッパーツリーの実を乾燥さええたものでポァブルロゼともいう。魚、鳥料理のソースやてりーぬ、ステーキに。辛くはない
オレガノ

oregano

   

トマト料理に使う。スパゲティ、ピザ、ミートソース、シチュー、クッ キー、ペィストリー
タイム

thyme

      魚介料理や鶏肉料理の臭い消し。ムニエル、クラムチャウダー、白身魚の クリーム煮(自家製)
マジョラム

marjoram

      マトン、ラム、鶏肉の臭い消しにつかう。ソーセージ、ブーケガルニ、馬 鈴薯、豆、シチューの煮込み、ビネガー
ローズマリー

rosemary

      臭みの強い肉の矯臭に効果的。煮込み料理、ウスターソース等に用いられ る。(自家製)
バジル

basil

      シソ科 卵料理やトマト料理(自家製)
サフラン

saffron

      アヤメ科 スペイン産 パエリャ、ブイヤベース、リゾット、スープ 非 常に高価なもの
ミント

mint

      シソ科 ハッカとも呼ぶ。薬用酒、菓子(自家製)
カラシ

mustard

      洋ガラシはカラシナの種子デシロガラシ(ホワイトマスタード、またはク ロガラシ(ブラックマスタードの種子をすりつぶして粉末にしたものに水や酢を加えた もの。フランスはディジョン産がよしとされる。写真は粒マスタード。サンドウイッチ、ドレッシング、マリネ。和からしとは別の香辛料である。和からしは英 語でオリエンタルマスタードと呼ばれる。
イタリアン・パセリ

Italian parsley

      (自家製)
キャラウェイ・シード

caraway seed

     


ヒメウィキョウともいう。せり科。d-カルボンが含まれる。アニスに似 ている。ドイツのキャベツ料理ザワークラウトや、ハンガリーのビーフ シチュー、焼きリンゴ、ドイツのリキュールには欠かせないスパイス。カレーにも使われることがある
メース

mace

     

入手難

ナットメグと香味は似ている。畜肉加工品に適しており、賦香や矯臭の効 果があり
レモングラス

lemongrass

1.5

    タイ料理でつかう。写真はハーブティーに加えたもの。
ガランガル

galangal

1/2

   

入手難

ショウガ科. 原産地, 中国南部. 主産地, 中国. 別名, りょうきょう、カー. 根茎. ユーカリのような爽やかな香りとカルダモンやジンジャーに似た辛味。タイ料理でつかう
ココナッツミルク

coconut milk

1カップ

   

在庫なし

タイ料理に使う。缶詰で市販
ワサビ       日本独自のスパイス、スシ、ソバ
サンショ  

  日本独自のスパイス、実と新芽 ウナギの蒲焼とデンガク(自家製)。実山椒に醤油、砂糖、ソルビットを加えて佃煮にしたものが実山椒として市販されている
ユズ       日本独自のスパイス、写真は絞ってビン詰したユズ酢(自家製)
キキョウ       桔梗の根
ビャクジュツ       キク科オケラの根茎 白求
ボウフウ       セリ科イブキボウフウ又はオオバノイブキボウフウの根・根茎 防風
コウカ       紅花を乾燥させたもの 紅花
ニガヨモギ




ツジョンというメントール様の香りを持つ物質が含 まれる。清涼飲料水、リキュール(アブサン)、ハーブ酒(チン ザーノ、ベルモット)の香り付けに使う
タラゴン(西洋ヨモギ)
tarragon




キク科の植物でアニスに似た甘さと、セロリーに似た芳香 がある。酢漬けと乾燥したものがあり、酢漬けの酢をドレッシング、タルタルソースに使うと一段と味が引き立つ。特に魚料理のソースに合う。エスカルゴ料理 には必須。GABAN社がビン詰めで販売

スペイン土産に買ったデコレーション用オリーブオイルにはローズマリー、月桂樹、ブラックペパー、レッドペパーが入って いる。

Rev. October  4, 2017

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