2007年の航海日誌

2007年2月12日、 東の風、3/sec。昨日から全国的に高気圧に覆われ春のような気候となった。昨年の10月30日の落水事故以降、船は3ヶ月以上ほったらかしであった。久しぶりに点検に出かける。今年は船舶の定期検査の年でもある。5月10日までに受験する必要がある。

船ももやいも異常なし。乗船してまずしたことはライフジャケツを着ることだった。昨年の落水事故の教訓が生きている。

バッテリー充電のため、エンジンを1時間アイドリングさせる。エンジンスタートは手動で初めて成功。充電中は雑巾がけをする。前部ハッチを開けて風を通し、コーヒーを沸かして、カラオケの練習をする。 誰に気兼ねをすることもない。船はやはりいいものだ。気分がスカッとする。

充電中のロカ号

建国記念日のため大勢のオーナーが来ていた。 シングルハンドで出港した人がセルフファーリング・ジブが上がらなかったと帰ってきた。ハリヤードとジブを繋ぐ金具のネジがはずれてしまったためという。

2007年3月12日、 北西の風、6/sec。ROCA号を2001年に購入してから5年が経ち、2回目の船検の時期が来た。毎週木曜日がベイサイドマリーナの検査日だというがスケジュールがたてこんでいるためマリーナに検査立会いの代行を依頼するためにマリーナにでかけた。 日本小型船舶検査機構には24,300円を払い込んだ。帰りがけショップで超小型折りたたみ式自転車をみかけた。

超小型折りたたみ式自転車

船検は15日にパスしたようだ。

2007年6月3日、 南西の風、4/sec。この数ヶ月、山ばかり行っていて舟に割く時間がなかった。山を少し整理して海に割く時間を増やすことにした。といわけで久しぶりに舟を点検にでかける。モヤイが少し弛んだだけで異常なし。船検のために広げておいた備品を収納する。エンジンを約1時間アイドリングさせてバッテリーに充電しながら船底に付着した海草をブラシで除去し、雑巾がけする。

ゲスト・バースに米国旗を掲揚したモータークルーザーが停泊していた。船尾にセンチメンタル・ジャーニー、イーグルポイント、オレゴンと大書してある。その後部ロワー・デッキに80才代のご老体が素足で椅子に腰掛けて風に吹かれていたが、3時間ロカの整備をして帰る時も同じ姿勢でそこに座っていた。 ビリオネアのオーナーなのだろうか?それにしてもこの船の船型は荒れる大洋でも安全に航行することを目的にしているようで、船首のブルワークが後退しており、操舵室の窓も下向きになっていて激しい嵐での視野の確保を重要視している。日本の軽薄な格好だけつけている流線型のプレジャーボートとは歴史の重みが違うと感じされられた。操舵室屋上の天蓋の下ではクルーだろうか、若い男女が数人談笑していた。

ゲスト・バースに停泊していた米国旗を掲揚したモータークルーザー

2007年6月27日、 東の風、3/sec。6日にはシエラザード号のクルーをつとめた後、いつも強い北風が吹いていて海に出れなかった 。梅雨入りして強風はおさまった。梅雨晴れを逃さずマリーナに出かける。マリーナ内の海水の色はチョコレート色に変っている。2007年6月3日にみたセンチメンタル・ジャーニーはまだ停泊していた。メンテナンスクルーが留守番をしているだけでオーナー達は不在。久しぶりのセーリングのため、昼飯を食べながらゆっくりチェックしつつ出港手順を踏み12:30に出港した。しかしファーリング・ジブのストッパーとしている紐を外し忘れて展帆できず、紐をはずしにバウに出かけるハメになった。それからシングル・ハンドではオートヘルムを使った方がメーンセー揚げ中の方位維持が楽であることを再確認。

殆ど無風で強い日射に焼かれグロッキーになる。13:30帰港。着桟は東の風であったが弱かったため、完璧にできた。舵が利くスピードを確保して桟橋に接近し、ニュートラルにして舵の効きを確保し、最後にリバースをかけて停船する要領をつかんだ。落水しないようにロープを持って桟橋に飛び移り、風下にながされようとする船を引き寄せた。コーヒーを沸かしてノドを潤し、シャワーを浴びて帰る。

ホームポートへ

2007年8月15日、南西の風、3/sec。終戦記念日で多分今夏最高気温の日に久しぶりにマリーナに出かけた。ビジターバースにスマートは巨大セーリングボートが舫っている。アメリカズカップクラスだが、少し優雅だ。エンジンをかけて空調機を動かしている。国旗を見るとニュージーランドから来たらしい。 これは1934年にアメリカスカップに挑戦するために英国で建造された130ftのJ-ClassスループのEndeavour号である。戦後は朽ち果てていたが1989年にオランダの造船所でレストアされたものという。全長39.56m、全幅6.78m、深さ4.76m、マスト高50.36m、船体6mm厚鋼、エンジン:キャタピラー402hp。

ニュージーランドからの賓客

携帯を忘れたので港を出るつもりはない。目的は船底についた貝を掻き落とすことと、バッテリーの充電である。出かける前にハーレーのバッテリーもついでに充電した。エンジンをかけて45分間充電。

兎に角暑い。水線際の貝を掻き落とそうとデッキに腹ばいになると胸を火傷するので雑巾を敷いてその上に腹ばいになる。熱中症にならないように水を飲み、コーヒーも沸かして飲んだが、食欲が減退して、ビールを飲む気にもならない。

それでもクラブの食堂で冷たい水を何杯も飲み、なんとか冷し中華をとり、シャワーを浴びて帰る。

2007年9月15日、南西の風、3/sec。ここ数日涼しかったがまた暑さがもどった。6日に小田原に上陸した台風が過ぎて去ってから数日はスケジュールが立て込み、その後も天気が悪く、船が無事か見にゆけなかった。今日ジープを車検に出しに横浜に出た。天気も良いのでついでにと点検に立ち寄った。 ニュージーランドからの賓客はまだ居てクルーが盛んにメンテナンスをしていた。

ROCAは無事だったがフェンダーが一つパンクしていた。強い圧力で接合線に沿って割れている。店で売っているものは米国製だが寸法が少し小さい。しかたがないのでそれを買って交換した。

パンクしたフェンダー

コーヒーを沸かして一服後、もやいをしめなおした。1月前に船底の貝を掻き落としたばかりだが、また水線沿いに付着しているので掻き落とす。バッテリーの充電はまだいいだろう。10月になったらまた船底塗装をしなくては。

一仕事を終え、ピアー1で生ビールをひっかけて帰る。

2007年9月25日、南南西の風、4/sec。週末にお客様を招いたので久しぶりにシングルハンドでセーリングしようとでかけた。オーストラリアからの賓客はまだメンテナンスしている。チーク材のデッキを高圧水で洗浄しているのだが、10日も同じことを繰り返したら、コーキング材が剥離してしまわないか?などと余計なおせっかいをする。

今日はマリーナは休日のため、暗証番号で出港登録コンピュータにアクセスしなければならないのだが、久しぶりなので暗証番号が毎月変わるのに、その詳細な規則を忘れてしまって守衛のお世話になる。

さてエンジンはかかったが冷却水のパイロット水が出ない。呼び水などしてみたが、直らず。2004年に交換した冷却水ポンプのインペラーが固着したのか?明日ヤマハに修理を頼むしかない と判断。

秋の気配もあり、日射はつよいが過ごし易くなった。デッキで風にふかれて読みかけのメイ・サートンの「独り居の日記」を読みきる。

「Pier-1」はお休みのため、マリーナの灯台の下にある「2GO」でカレーの昼食をとる。(Restaurant Serial No.313

2007年9月26日、北東の風、4/sec。マリーナに船外機の冷却水系の修理を依頼した。取り外して修理するというので、ついでにエンジンとギアの潤滑油の交換、ならびに点火栓の交換を依頼した。

2007年9月29日、北東の風、9/sec。マリーナに電話して様子を聞くと、エンジンの冷却水が廻っているか監視するパイロット水の出口とエンジン・ジャケットを結ぶ細いゴムホースの中で塩が固まっていたため、パイロット水が出なかったという。パイロット水出口の細い穴に爪楊枝を差し込んだり、水道水を吹きかけたりしただけではだめなようだ。エンジンカウルを外し、中のゴムホースを外して洗浄しないと塩は取れないとのことであった。いずれにせよエンジンは冷却されていたようだ。

エンジンとギアの潤滑油の交換、ならびに点火栓の交換は10月の船底塗装の時に自分でやろう。

2007年9月30日、北北東の風、7/sec。折角、三ッ井、土屋、西沢さんらがゲストとして来てくれたが、あいにくの雨でROCAのキャビンで談笑し、 ウォーターフロントにあるイタリアンレストランBruschetta Pix. Caffeでピッツアとビールの昼食 をゆっくりとった。ついでアウトレットでウィンドウショッピング。グリーンウッド氏は来る奥東北三名山登山の準備に山道具店、モンベルで岩手山山小屋での夕食と朝食用にアルファ米のパックとお惣菜パックを購入。クラブハウスで コーヒーをすすりながら西沢氏が参加しているNPO法人熱帯農林技術開発協会(TAF NPO Japan)の夢を聞く。また来年のノース・ウエスト・アース・フォーラムをどうするか話し合った。 西沢氏はフィリピン側での直接指導を依頼されているらしいが、現業がいそがしく、いつになりか分からない引退後引き受けるつもりらしい。

ROCAのキャビンにて  西沢重篤撮影

クラブハウスにて  西沢重篤撮影

2007年12月18日、南西の風、3m/sec。昨年の船底塗装より2ヶ月以上も船底塗装の時期を過ぎているのだが、12月のほうがヤードが空いているし、雨の日も少ないので今回からは12月にしようときめた。結果、最も寒い日に船底塗装の準備にでかけた。火曜日は定休日。明日上架を申し込もう。エンジンがかからない。プラグを外してみると濡れている 。バッテリー電圧が低いのと寒いからであろう。プラグを掃除したら、点火した。1時間充電する。1時間でどの位充電したのかわからない。次回はバッテリーの電圧 をテスターで計てみよう。電圧計を買って計器版に設置することも検討しよう。

ペンキはまだ缶に半分残っているので明日は一缶買えばよいだろう。3日間天気がよさそうなので安心。

ポーク&ガーリックピラフのフリーズドライ製品をコッヘルで煮て、昼食とし、コーヒーを飲む。

ポーク&ガーリックピラフ

2007年12月19日、北北東の風、4m/sec、晴れ。9:30ヤード事務所に出向いて13:30上架、3日目の13:30下架の予約をする。ペンキ1缶とテープ、ローラ2本、アセトン 、予備の点火栓2本を購入。ペンキ1缶約1万円だ。クラブハウスで小休止しておにぎり2個食し、コーヒーを飲む。12:30にエンジンスタート。小一時間かけてゆっくりとクレーンに向かう。上架後2時間かけてフジツボを掻き落とし、高圧洗浄する。前年のテープの糊をアセトンでふき取り、目地テープの下地を作って15:30作業完了。明日はテーピング後、船底塗装の予定。

2007年12月20日、北西の風、2m/s、曇り。9:30より作業開始し、約2時間かけて手持ちスクレーパーで残る貝殻を掻き落とす。昨日の作業が少し乱暴でキールとハルの接合部のシリコン・シールを少し傷つけたようだ。アセトンで塗装面をぬぐう。目地テープをして、11:30早い昼食とする。

12:00から、傷みの激しいところを2度塗りして2時間で塗り上げる。

時間に余裕ができたのでエンジンオイルとギヤオイルを交換しようとしてマニュアルを見て慌てる。ドレン・プラグなどのガスケットは新品を使って正しいトルクで締めよとある。慌てて、ショップに走るが、注文しなければという。隣のヤマハでも同じこと。2000年式4サイクル8馬力モデル(F8CWH)のパーツリストをみて 部品番号を探し出し、オンラインで配送センターに在庫があることを確認してから注文書を書き、3日後の土曜日16:00到着という。 配送費の方が部品代金よりも高いであろう。どの店にも100円に満たない何万というパーツを置かず集中管理しているわけで、コンピュータ無しになにも出来ない仕組みになっている。日曜日は別約束があるので月曜日午前に交換し、13:00下架ということになる。3泊のクレードル代金5,000円が余計にかかる。クレーン代金は冬の半額7,500円なので下ろさないほうがよいのだ。2002年に船底塗装した時に同時に自分でオイル交換したことがあるが、ガスケットを新品にした記録はない。そのまま使ったのかもしれないが、ヤマハの事務所に何かを買いに行った記憶はある。ガスケットを買ったとしか考えられない。2003年、2004年、2005年は販売店の展示用に貸し出した交換条件に船底塗装をしてもらい、2004年はメーカー点検依頼してオイル交換、アノードとウォーターポンプを交換をした。2006年は船底塗装だけでオイル交換はさぼった。というわけで3年ぶりのオイル交換。自分でするのは5年ぶりである。このような事情ですっかり手順を忘れていたお粗末であった。プロジェクトは一に段取り、二にも段取りである。マニュアルには半年または100時間に1回とあるが、いままで3年間で100時間に満たないので交換しなかった。しかしこれからは毎年船底塗装の時に交換することにして、事前に部品取り寄せをしておこう。 業者に頼めば人件費は2万円もするので自分ですればよいのだ。

2000年式4サイクル8馬力モデル(F8CWH)のオイル交換

折角のチャンスなので 明日はバッテリーに電圧計をつけることを検討してみよう。土曜日に部品を待つ間、ハルをワックスで磨こう。最近よる歳でお肌が荒れてきている。いずれ全面塗装しなおす時が来るはずである。

2007年12月21日、北の風、3m/s、晴れ。テスターでバッテリー電圧を測定すると13.8Vもある。満充電で12.8Vであるはずだから計器誤差であろう。 デジタル式でないと精度はでそうもないが、アナログ式に比較し高価だ。いずれにせよ2時間充電で満タンであろうとわかった。電圧計をつける黒く塗ったアルミ・パネルはあるが、自分で加工しなければならないし、配線もしなければならないので 工事は後回し。

過去ずっと1回塗りだったが、隣の人の船底がきれいなので真似て2度塗りをした。もう一缶、シャークホワイトを買う。剥離したところはプライマーを塗ると良いと教わる。コーキングしたところは本来プライマーをまず塗るべきだったと悟る。

ハルをワックスで磨く。驚くほどきれいになった。目地テープをはがして塗装完了。明日はデッキをワックスで磨きながら部品到着を待つ予定。

2007年12月22日、北の風、7m/s、雨。16:00ヤマハに出向きガスケットを受け取る。3個で210円。

エンジンオイル・ドレインプラグのガスケットの部品番号は90430-10M11でアルミ製の外形18mmで70円である。

ギアオイルドレインプラグのガスケットの部品番号は90430-08020でゴム製の外形12mmで65円x2個である。

ガスケット

廃油ビンも用意して準備万端である。帰りがけにマリーナで開催中のロックミュージックを愉しむ。

バンド演奏

2007年12月24日、北の風、10m/s(最大14m/s)、晴れ。昨日、東京国際フォーラム・ホールでの国立モスクワ音楽劇場バレエ「くるみ割り人形」観劇に銀座に出たついでに銀座東急ハンズで幅10mmのマイナスドライバを購入した。この準備のおかげでギアオイルのドレンプラグはなんとかはずすことができた。しかしエンジンオイルのドレンプラグは固くてとれない。エンジンに付属している12mmのボックスドライバがバカになってしまった。ヤードの工具を借りて外したが、かなり強くしめてあった。ついで古いガスケットを外そうと小さなドライバなどでほじくったがでてこない。ヤードの助けを借りてもだめ。もしかしたら2004年、このヤードにオイル交換を依頼したとき、ガスケットを使わなかったかもしれないとエンジンのプラスチックカバーを外してみると危惧は当たった。当たり面を傷つけてしまったので紙やすりでたいらにし、オイル砥石で研ぎ上げてもらった。

2時間、悪戦苦闘してようやく、オイル交換が完了。エンジンは一発でかかる。来年はガスケットとボックスドライバを事前に用意しておこう。

12:00まではワックスでコックピット回りをクリーニング。下架のためクレーンで吊ったところで、亀タワシで、クレードルに当たっていた塗り残し部をブラッシングし、水分はアセトンで拭って、乾燥させて、船底塗料をタップリ塗って作業終了。

風が強く、自分のバースに戻れないため、安全なビジターズバースで明日まで仮泊することにした。明日は、高気圧が張り出して、風は弱くなりそう。

モヤイをしっかりしてから、デッキ回りをワックスでクリーニング。クリスマスのおめかしをする。

2007年12月25日、北の風、6m/s、曇り。今日はマリーナは定休日。12:00自分のバースに移動し、もやう。風がまだ強いので無理をせず、風下のボートに接岸し、ロープを持ってバースに移ってそろそろとボートを引き寄せる方式を採用して落水をさけた。そろそろモヤイロープの更新時期がきていると感じた。

ロカ号でのセーリングへ

Rev. November 6, 2008


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