シリアル番号 | 900 |
書名 |
独り居の日記 |
著者 |
メイ・サートン |
出版社 |
みすず書房 |
ジャンル |
日記、随筆 |
発行日 |
1991/10/31第1刷 1996/12/10第10刷 |
購入日 |
2007/09/24 |
評価 |
良 |
原題:Journal of a Solitude by May Sarton 1973
ミセス・グリーンウッド蔵書
900冊目にこれを選ぶ。メイ・サートンはベルギー人の高名な科学史の学究ジョージ・サートンと英国人の画家の母メイベルとの間にゲントで生まれた。4才の時、第一次大戦が始まり、一家はアメリカに亡命した。マサチューセッツのケンブリッジに住み、父はハーバードで教えた。
彼女は成長して小説と詩を書き、大学で教えた。そして現代のソローとよなれるようになる。しかし53才のとき同性愛者であることを告白して大学を追われた。一大決心をしてニューハンプシャー州のネルソンの片田舎の36,000坪の土地付の築後100年の古民家を買って父の残したベルギー製の家具のために一人移り住 み著作に没頭する。この日記は引越し後1年間の記録である。
著作、庭仕事、鳥、イエネコ、ノラネコ、ラクーンとの闘争、友人、家政婦、庭師らとの交友、講演旅行などの活動記録である。ラクーンとの闘争は我が家のハクビシンとの闘争を思わせる。
ダラスへの講演旅行で地元の人々のヤンキー嫌い、特にアイルランド移民の子孫であるケネディー一族に対する人種的偏見を目の当たりにしたことを記しているが日本では想像できないことだ。
この本を出版してから著者は広がりのある野生林、岩の多い海岸線、コーンウォールのように海まで続く牧場のあるメイン州の海浜の家に移るのだ。
「垣根をはい登るツルバラにクレマチス(きんぽうげ科のテッセン、フウシャ)も登場する。低い方の段庭には球根花や多年草が、家の正面には年古りた藤がはっている。だから、海へと下がってゆく広々とした野原を持ったこの敷地には秩序と格式がある。野鳥のための沼地、砂利浜、大石にいたるまで、その全域が信じられないほど多様である。美と野生をそなえて、まるでメインという土地の見本のよう」と書いている。