
■ シリーズ「ねころんで」についてお話をお聞かせください
比叡山の麓に日吉神社ってありますよね。ここに行った時、一緒に行った人に
「欣司さん、これ描いてよ!」と言われて、指さされた先を見上げると杉の枝が
バァーと拡がっていたわけ・・・
■ これは良い、描こう・・・と?
いやいや、そうじゃなくて・・・その時は確かに「いいなぁ」とは思ったけど
描く気はなかったんですよ。
でも、それは頭の中には印象として残っていたわけ。
■ ふむふむ、それから?
その後、しばらくして糺ノ森に行ったんですよ。
散歩していたんだけど、ちょっと休もうと思って近くのベンチに寝転んで、ふと
見上げたら正にこの絵(ねころんで「初 夏」)があったんですよ。
「あぁ、これ言うてたなぁ・・・これ描こう!」と思ったわけ。
■ 「見上げて」じゃなくて「ねころんで」というのは何か意味があるんですか?
いやいや、そうじゃない(笑)・・・見上げるのは「モノのついで」ですね。
寝転んで見るのは地面の高さから、地球を背負って見ることなんですね。
「モノのついで」でふと見上げるのと、地球と接して地面の高さから見るのでは
心がまえも違うしネ。
■ 「地球を背負って」っておもしろいですね
そうやって地球のエネルギーをもらいながら自然と通じ合えれば、このシリーズ
はもっと描けると思うんだ。今は春、夏、秋だけだけど、できればフルシーズン
雨とか雪とかも描いてみたいね。ちょっと難しいんだけど(笑)
でも、そのうちに描けるでしょう。
■■ ようこそ中村欣司の線彩画の世界へ ■■