■ スペイン時代のお話を聞かせてください
スペインに行く時に長年勤めた法律事務所を辞めたんだけど・・・
最初はすごく不安だったね。
■ 不安と言いますと?
それまで、ずっと一生懸命に仕事をしていて、辞めてみると何というか、もう カラダの動かし方が分からない(笑)
どういうのか・・・遊んでいても、絵を描いていても「これで良いんだろうか?」 と常に葛藤してましたね
■ その葛藤から抜け出したキッカケは?
スペインだね。スペインに行こうと決めて、実際に行ってみてラクになった。
スペインが不安を忘れさせてくれたんだと・・・
■ スペインで何かあったんですか?(笑)
何もないよ(笑)でもね・・・例えば、マドリードの友達・・・この人は教会の絵 とか像とかの修復師で、その世界では権威なんだけどね。 女の子に弱くて(笑)・・・
工房なんかを一生懸命に案内するわけですよ。 それで「サービス」で修復した16世紀だかの王冠を女の子に被せてあげたら・・・
■ 大サービスだ(笑)
そしたら、その子がその王冠落としちゃってネ、壊れてしまった。
ボクらは横で大騒ぎだったんだけど、彼は何もなかったような顔で言うんだ、 「また、直せばいいヨ。どうせオレが直したんだから、同じように直せるよ。」
・・・心が大きいというか(笑)
■ 日本だったら大変なコトですよね
日本だったら、まず被せない(笑)・・・「素人は触るなっ!」ってね。
日本人は「仕事のために仕事やる」でしょう?スペイン人にとって仕事は人生の 一部でしかない。「仕事のために遊べない」なんてことはないし・・・
■ ラテンですね、正に(笑)
(日本かスペインか?)どちらが善い悪いという話じゃないけど、仕事辞めた頃は 確かに日本的な考え方に縛られていて、仕事していない自分が不安で、どうして いいのか分からなかったんだろうね。 でも、スペインで修復師の友達みたいな人たちと接することで見えなかったもの が見えてきたというか、こういう考え方もあるんだと思ったらラクになった。 「仕事しなくても、絵を描いてればいいんだ」と思えるようになって、絵に集中 できるようになったと思うな。

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■■ ようこそ中村欣司の線彩画の世界へ ■■

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中村 欣司の声

第1章 ボクはアナログでいたい

第2章 気持ちを描きたい

第3章 スペインと私

第4章 大きな景色、そして自然

第5章 ねころんで