■ 中村さんは「絵描き」としては、どう在りたいと考えていますか?
デジタル全盛の世の中だけど、絵に関してはデジタルではいけないと思うんだ。
■ デジタルではダメだと?
やっぱり手で描かないと・・・
全部が全部、そういう具合に(デジタルに)いってしまうと人間不要になって
しまうからね。
コンピュータは全部覚えさせることが出来るんだから・・・例えば顔の表情 ひとつとっても何万通りでも描けるわけですよ。
そうしたら手描きはいらない・・・ってことになってしまう。
■ なるほど・・・
でもね、手描きは一回描くと二度と同じモノは描けないからね。 それこそが、二度と同じモノが描けないというのが絵だと思うんだ。 ある絵を描いた時の、その時の感動を覚えていたら同じモノが描ける ように思うんだけどそれが絶対に描けないんだ。 ・・・似た絵は描けるけどネ。(笑)
■ でも、最初に描いた絵とは違うと・・・
そうなんだ。でも、たいていニ度目に描いた時は良くないんだよね。 一度感動してしまったのを表現してしまうと、なかなか同じようには 描けないんだよね。(笑)
だから、改めて感動すると描けるんだけど、その改めて感動というのは 一度目とはまた違うから、同じ題材を描いても出来上がる絵は別モノに なるのが当然なんだ。
■ 題材を写し取るのではなく受けた作家の感動が形となったモノが絵なんですね。
そう、題材と向き合う一瞬一瞬が勝負だと思うんだ。 だから、そういう意味から考えてもあくまで自分は アナログでありたいなぁ。 確かに、コンピュータと違って手描きは同じ絵 を二度と描けない。 ・・・でも、そこがいいんだよな(笑)