2002年7月


「猫の恩返し」

森下宏幸監督、柊あおい原作、声優 池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、岡江久美子、丹波哲郎。

主人公ハルは17歳の高校二年生。親友ヒロミとの下校途中、車に轢かれそうになったのを助けた猫は、猫の国の王子ルーンだった。猫王の恩返しの数々に困ったハルは、不思議な声に導かれブタネコのハム、そして猫の男爵バロンに出会う…。

まあ、「千と千尋の神隠し」と違って、お気楽に作ってみましたって映画。肩ひじをはらないで見れば面白いし、細かい技術の進歩なんかも楽しめる。ストーリ的にも思ったよりは綿密にできている。大作の後に軽い映画で後継者の仕事を作るのも上手い戦略だと思う。
しかし、猫のバロンが妙にカッコよすぎるのがなんかヘン。

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「ギブリーズ episode 2」

百瀬義行監督、声優 西村雅彦、鈴木京香、古田新太、斎藤暁、篠原ともえ、今田耕司、小林薫。
架空のアニメーション製作会社ギブリーズの野中くん(西村雅彦)、ゆかりさん(鈴木京香)、奥ちゃん(古田新太)たちが登場人物。序章のお昼、カレーなる勝負、ダンス、美女と野中(やじゅう)、初恋、エピローグ。

全体で25分、「猫の恩返し」75分の時間合わせって意味もあるだろうけど、実験的な雰囲気の作品。雑そうな絵なんだけどどうも3Dモデリングしている絵や、質感描写、色の出し方など、マニアックな見方で見ると面白い。まあ、これも「猫の恩返し」と一緒で気軽に楽しめばいい映画だと思う。

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「スチュワートリトル2」- Stuart Little 2 -

ロブ・ミンコフ監督、声マイケル・J・フォックス、ジーナ・デイビス、ジョナサン・リップニッキー。
前作でリトル家の一員となった小さなネズミのスチュアート、長男のジョージ(ジョナサン・リップニッキー)と一緒に学校にも通い、サッカーチームの一員にもなる。ある学校の帰り、ハヤブサに襲われ傷を負った小鳥のマーガロを助けるが…。

前作ではよく判らなかったが基本的には1960年代の米国ドラマ、古き良き時代の家庭のドラマを作りたいという事か。そこには凶悪事件も麻薬もギャングもいない、ほのぼのとした雰囲気。確かにストーリもちゃんとしているし、それなりには面白いのだけど、なんか一味足りない感じはする。子供には面白いのだろうか?

「スチュワートリトル2」 Official Website


「メン・イン・ブラック2」- Men in Black II -

バリー・ソネンフェルド監督、トミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス、リップ・トーン、ララ・フリン・ボイル、ロサリオ・ドーソン、ジョニー・ノックスビ

5年前の前作で地球の危機を救ったJ(ウィル・スミス)はいまやエリートの捜査官に、K(トミー・リー・ジョーンズ)は記憶が消され引退しマサチューセッツ州トロールの郵便局長。凶悪なエイリアンのサーリーナ(ララ・フリン・ボイル)が地球に隠された物体"ライト・オブ・ゼルタ"を探して暴れる…。

ノリがいいストーリにノリがいい役者と音楽と映像をミックスしただけで、まあお気楽に楽しめる映画にはなるんだろうけど、実際全然面白くなかった。前作もたいして面白くなかったけど、それを輪にかけてつまらなかった。唯一笑えたのは、エージェントMかな。

「メン・イン・ブラック2」Official Website


「ハイ・クライムズ」- High Crimes -

カール・フランクリン監督、アシュレー・ジャド、モーガン・フリーマン、ジム・カヴィーゼル、アマンダ・ピート、トム・バウアー。

刑事弁護士のクレア(アシュレー・ジャド)の夫、トムが突然FBIに逮捕される。トムの本名はロナルド・チャップマン、海兵隊の特殊工作員で1989年エル・サルバドルで一般市民9人を殺害、12年間逃亡していたという。クレアは軍事法廷専門のリー・グライムス(モーガン・フリーマン)と共にトムの無実をはらそうとする…。

真実を追うというサスペンス性も低いし、法廷モノでも軍事法廷という特殊な舞台という面白さも欠けていた。ラストは意外と平凡だし。「コレクター」でのコンビ、アシュレー・ジャド、モーガン・フリーマンは悪くないが、ジム・カヴィーゼルはイマイチ印象が薄い感じ。

「ハイ・クライムズ」 Official Website


「ニューヨークの恋人 」- Kate&Reopold -

ジェームズ・マンゴールド監督、メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、ブレッキン・メイヤー、ナターシャ・リオン、ブラッドリー・ウィットフォード、フィリップ・ボスコ。

2002年ニューヨーク、広告会社で働くケイト(メグ・ライアン)、1876年ニューヨークの貴族レオポルド公爵(ヒュー・ジャックマン)。この二人が、ケイトの元恋人スチュアート(リーヴ・シュレイバー)が発見した時間旅行法により出会う…。

メグ・ライアン=ラブ・ストーリという図式から出来た安直な企画か。「ユー・ガット・メール」の頃のメグ・ライアンはよかったが、そろそろクロースアップにされると厳しい。かわいい演技もちょっとキツイ。一方、ヒュー・ジャックマンは貴族っぽさが嫌みもなく上品でそれなりによかった。ストーリ自体は予告編から予想される範囲で、意外性がないイマイチな出来。SFマニアから見ると時間旅行の扱いが余りに安直。

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「ザ・プロフェッショナル」- Heist -

デヴィッド・マメット監督脚本、ジーン・ハックマン、ダニー・デヴィート、デルロイ・リンドー、サム・ロックウェル、レベッカ・ピジョン、リッキー・ジェイ

表家業でヨットを作るジョー・ムーア(ジーン・ハックマン)はプロの強盗。仲間はボビー(デルロイ・リンドー)、ピンキー(リッキー・ジェイ)、そして恋人のフラン(レベッカ・ピジョン)。宝石襲撃事件でのミスで引退を決意するが、故買屋バーグマン(ダニー・デヴィート)はそれを許さず、金塊強盗事件に引きずり込む…。

デヴィッド・マメットは人間関係の愛憎を複雑に組み合わせ、ラストへ向けての疑心暗鬼、どんでん返しが好きな監督。「スパニッシュ・プリズナー」は成功していたが、この映画ではしつこいだけですっきりした展開は無い。計画も邦題のプロフェッショナルという割にはややズサン。

「ザ・プロフェッショナル」Official Website


「ブレイド2」- Blade II -

ギレルモ・デル・トロ監督、ウェズリー・スナイプス、クリス・クリストフォアーソン、レアノア・バーレラ、ロン・パールマン、マット・シュルツ、トニー・クーラン、ドニー・イェン、ダズ・クロフォード、マリット・ヴェラ・キール、

ヴァンパイアに囚われていた、死んだはずのウィスラー(クリス・クリストフォアーソン)を助け出したブレイド(ウェズリー・スナイプス)はリーパー菌に冒された死神族(リーパーズ)を倒すために、ファンパイア族君主ダマスキノ(トーマス・クレッチュマン)と手を結ぶ事になる…。

「ブレイド」の続編。アクションのスピードや派手さは増したが、ややスピードに頼り過ぎて動きの美しさは減ってしまった感じ。ストーリ展開ももっと単純でも良かったかと思う。ヴァンパイア精鋭部隊Blood Packなど、登場人物も多く複雑化しているのかもしれない。
それでもウェズリー・スナイプスは見せ場のシーンではなかなか見せてくるし、タメる演技は他のハリウッド映画には無い新鮮さ。
アクション監督のドニー・イェンが出演しているが、やはり役者としてはイマイチかも。

「ブレイド2」 Official Website


「マジェスティック」- The Majestic -

フランク・ダラボン監督、ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン、ボブ・バラバン、ブレント・ブリスコー、アマンダ・デトマー。

1951年、ハリウッドのレッドパージにより仕事を失った脚本家ピート(ジム・キャリー)は事故により記憶をなくし、西海岸の小さな街ローソンに流れ着く。街の人々はピートの事を、第二次世界大戦で消息を断った英雄のルークだと思い込む。父ハリー・トリンブル(マーティン・ランドー)らと共に閉鎖された映画館マジェスティックを再開する事になる…。

「ショーシャンクの空に」、「グリーンマイル」と観客の期待は"感動"に集中しているが、そこに監督の気負いがありすぎ。中盤までの素直な展開に対して、後半はやや重く、マッカーシズムの批判や米国建国の精神賛歌はちょっと直接的過ぎ。
感動のさせ方は上手いけど、思想的な押し付けを最後には感じる。映画館の再開という部分ではどうしても「ニュー・シネマ・パラダイス」と比べてしまうのもちょっと難点。
レッドパージと言えば、デ・ニーロ主演の「真実の瞬間」があるが、やはり最後がすっきり行ってないのを思い出させた。

「マジェスティック」Official Website


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