フランク・ダラボン監督脚本製作、スティーブン・キング原作、トム・ハンクス、マイケル・クラーク・ダンカン。
面白かった。原作もなかなかの名作だと思うが、時間をたっぷり使って面白い小説を面白い映画にしている。映画化としては見事な仕事。
現在の部分を随分と省略している所は残念だけど、まあ、制限された時間ではしょうがないか。トム・ハンクスをはじめ、出演者すべて素晴らしい。コーフィをはじめとする魅力的なキャラクタや死刑のシーンなど、原作ほどの迫力は無いが、ほぼ満足。
基本的には原作に忠実。映画で付け加えている「トップ・ハット」を観るシーンはなかなかいい。しかし、このシーンを入れるために舞台を原作の1932年から1935年に変えたのであろうか?凄い思い入れがあるんだろう。
→ 原作「グリーン・マイル」感想
→ 「The Green Mile」 Official
Website
ダニー・ボイル監督、レオナルド・ディカプリオ、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ティルダ・スウィントン。
基本的に楽園モノ。"楽園を維持するために必要な犠牲"という基本的なテーマは面白いのだけど、それが上手く描けているとは思えない。展開もありきたりだし、楽園の崩壊の仕方の作り方が面白く無い。「蝿の王」をちょっと連想していたのだけど、極限における人間の心理の奥底を覗くような、そんなに深みがなかったか。いかにも表面的で、解決もありきたり。東洋にパラダイスを求める、西洋的な独り善がりを全体に感じる。
→ 「ザ・ビーチ」 Official Website
クリス・コロンバス監督製作、アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ原作、ロビン・ウィリアムス、エンベス・デイビッツ。
もともとはアシモフの中編である「バイセンテニアル・マン」(「聖者の行進」に収録)を、ロバート・シルヴァーバーグが長編にしたものを原作としている。中編のものを読んだのは遥かに昔だったけど、結構好きだった。どうも長編になると散漫な感じがする。
映画は、なんかどうしようもない。映像化として、いかにも人間が入っている着ぐるみってのが
ヤな感じだし、後半は恋愛ものとして展開しちゃって、どうしてこうなっちゃうのって感じ。結局、原作のロボットと人間の関係、さらに人間性とは何かみたいなテーマが映画では薄れてしまっただけ。
長編版の原作とも内容は随分と違う。
→ 「アンドリューNDR114」
Official Website
→ 原作「アンドリューNDR114」感想
デビッド・クローネンバーグ監督製作脚本、ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リー。
ゲームデザイナーのアリグラ・ゲラー(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、「イグジステンズ」という体感ゲームを開発するが、仮想現実に反感を持つテロリスト集団、リアリストに命を狙われる。そして新米ガードマンのデッド・ピケル(ジュード・ロウ)とともに逃亡するが…。
「マトリックス」などの様な、バーチャル・リアリティもの。現実と仮想空間の境界が判らなくなってくるネタはあいかわらずディックからのパクリっぽくて新鮮さは無い。どんでん返しも似たようなもの。
バイオっぽい道具、骨で出来た拳銃とか、クローネンバーグらしい、ドロドロ、グログロした道具立てが面白いけど、他に新鮮さはなかった。
→「イグジステンズ」 Official
Website
→ 「Existenz」 Official Website
市川崑監督、四騎の会(黒沢明/市川崑/木下啓介/小林正樹)脚本、役所広司、浅野ゆう子、宇崎竜童、片岡鶴太郎、菅原文太,石倉三郎、石橋蓮司。
期待はしてなかったのだけど、結構面白かった。
ある小藩に"どら平太"の異名を持つ新任の町奉行がやってくる。この藩の濠外と呼ばれる一画では、三人の親分が権力を持ち、藩の城代家老と結託しながら利権をむさぼっている。濠外の"大掃除"に着手するどら平太の活躍を描く。
黒幕は誰か的な謎解きがあり、アクションあり、人物それぞれが非常に魅力的で、面白い時代劇になっている。1969年に黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹が結成した「四騎の会」の一作目の脚本。やはり脚本がしっかりしていると違うなあという気がする。緊張と緩和のつけかたが抜群にうまい。
斬り合いをどうストーリに入れるか、その辺を期待して見ていたが…、いい意味で裏切られて面白かった。
→ 「どら平太」 Official Website
飯田譲二監督脚本、江口洋介、市川実和子、原田芳雄、江本明、松本泰子、柏原崇。
なんか、しょうもない映画だった。期待はしてなかったけど、ここまで詰まらないとは思ってなかった。TVの方はまるで観てないのだけど。
連続猟奇殺人事件、謎の犯人とありきたりの展開…この辺ではまだ正体不明の犯人への興味でストーリに引きつけられる所もあるけど、中盤からはまったく詰まらない。「二十憶の針」「ヒドゥン」「寄生獣」なんかを連想させる所もあるが、新鮮さがまるで無い。使い古された設定。
全体にグロい映像を無理に作っていて、ショック効果を狙っているけど、まったく気持ち悪いだけで、面白くもなんともない。
市川実和子は役的にもちょっと魅力あるし、原田芳雄も年とった頑張り方がなかなかよかったけど、他はまるで面白くなかった。
→ 「アナザヘヴン」 Official
Website
サム・メンデス監督、アラン・ボール脚本、ケビン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ、ウェス・ベントレー、ミーナ・スバーリ、クリス・クーパー。
第72回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞の5冠に輝いた作品。一般の観客では賛否両論あるみたいだけど、私は面白かった。
無気力な中年の父レスター(ケビン・スペイシー)、上昇志向の不動産屋の妻キャロリン(アネット・ベニング)、情緒不安定で反抗的な娘のジェーン(ソーラ・バーチ)、その友達の美少女チア・リーダーのアンジェラ(ミーナ・スバーリ)、さらに隣人のビデオおたく青年、その父、それぞれのキャラクタが魅力的だし、ステレオタイプではあるけど現代米国的なおかしみがいい。問題をかかえながら、表面的には一つの家族である所から、個人的には新たな「普通の人々」の物語に観てしまった。
→ 「アメリカン・ビューティー」
Official Website
秋元康監督脚本、森光子、田中邦衛、大滝秀治、谷敬、いかりや長介、久我美子、滝沢秀明。
美空ひばりの同名曲をモチーフにした映画。漁村に引っ越してきた小説家の百合子。最初は地元の老人たちの強い反発を受けてしまう…。
部分的にいいところはあるが、全体ではかなり詰まらない。前半はまだいいが、後半はエピソードの流れが散漫で唐突な展開。ほとんど伏線もなく、つなぎもなく、エピソードを羅列しているだけというのが気になる。特に、ラストシーンは無理矢理に泣かせるシーンであって、いかにも力づく。まあ、場内でも泣いている人が多かったけど、こんなのでは泣けないなーと白けて観ていた。
8年前の「マンハッタン・キス」よりはいいけど、秋元康は映画的な構成ってのがいまだに出来て無い。
テレンス・ヤング監督、ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ロッテ・レーニア。
TVも入れてこの映画は5回以上は観ていると思う。この映画のロケの話をトルコ旅行のイスタンブールでよく聞いたので急に確認したくなった。
見直してみても「地下宮殿」、「アヤソフィア」、「オリエント急行」などは出てくるけど、イスタンブールっぽい印象は弱いという気がした。
テレンス・ヤングらしい、テンポとアクションは小気味いいんだけど。
フルーツ・チャン監督脚本、トニー・ホー、サム・リー、ジョー・クーク。
1997年の香港返還直前、軍の解散により職を失ったガーインは、香港黒社会に身を置く弟シュンのツテでヤクザの運転手になる。身の置き場のない男は、やがて強盗の計画を持ちかけられる…。
香港返還と共に、自分のアイデンティティが崩壊する様を上手く描いている。監督の前作「メイド・イン・ホンコン」もよかったが、これはさらに洗練され面白かった。同作にも出ているサム・リーがいい味を出している。
→ 「花火降る夏」
Official Website
那須博之監督、中澤裕子、阿部なつみ、飯田香織、保田圭、矢口真里、市川沙耶香織、後藤真希。
「モーニング娘。」のプロモーションビデオにしても、もうちょっとマシに作れたんじゃないだろうか。
面白くないとは予想していたが、那須博之監督は「ビーバップ・ハイスクール」ぐらいのを撮れるのだから、もっとマシだと思っていた。しかし、このメチャクさは何だ(^^;)。ほとんど映画として成立しているように思えない。おざなりに入れた、離婚や家庭内暴力の設定、いじめなど、まったくこれ程薄っぺらに映画に入れているのは凄い。まるで、それぞれのキャラクタが立っていない。当然、ラストの駅伝シーンにも何の感慨も浮かばない。
しかし、第一走者がトラックから出た所で横っ腹を押さえているとは、一体どーいう事(^^;)??。
→ 「ピンチランナー」 Official Website
アンジェイ・バートコウィアク監督、ジェット・リー、アリーヤ、アイザック・ワシントン。
ジェット・リーというよりは、リー・リンチェ(李連杰)という方が今だしっくりくるのだけど、ハリウッドにおいては、「リーサル・ウェポン4」ですでに魅力的な悪役としてデビューしているジェット・リー。今回は主役。
香港の刑務所の中で弟の死を知ったハン(ジェット・リー)は、一人脱獄し、オークランドへ向かう。中国系ギャングと黒人ギャングが対立している中、弟の死の謎を解明していく…。
破綻している部分、説明不足も多く、ストーリは面白くないが、アクションはそこそこ面白い。 "X-Rayバイオンレス"なんて訳の判らない宣伝の仕方をしているSFXも、新鮮みがあっていいし、ワイヤー・アクションも効果的。細かいアクションのギャグの入れ方がいかにもジャッキー・チェンの真似っぽいのが残念だけど、まあ、魅力はある。
タイトルから、ジェット・リーが「ロミオとジュリエット」のロミオ、黒人のギャングの娘トリシュ( アーリヤ)がジュリエットという役柄なはずなんだが、まったく意味が無い気がする。
→ 「ロミオ・マスト・ダイ」
Official Website
アイマックス・シアターにおける3D映画。
ガラパゴス諸島のゾウガメ、イグアナ、アシカ、シュモクザメなどなどの映像。また潜水艦での海底の調査など。
確かに映像は奇麗なんだけど、40分間の3D映像はかなりつらい。おまけに深海の映像になると、どっと眠たくなる。3Dじゃなくて、普通の映像でじっくりみたかった。