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 一本の銘木が周囲の自然や民家や風物とマッチして素晴らしい風景を創り出すことがある。樹の里・山口の多くの銘木が織りなす安らぎと癒しの「銘木の風景」を紹介する。
 初夏の上山口の岡場につながる道から北東の眺めである。朝もやが漂う幻想的な景色の中に上山口墓地のクロマツと永蓮寺山の竹薮と上山口のクスがたたずんでいた。山口のランドマークの丸山とパラボラアンテナの立つ畑山が借景となって絶妙の風景をつくりだしていた。色んな偶然が重なって織りなす風景に感謝しながらシャッターを切った。
 上山口の南には水田地帯が広がっている。田植え時期には、水が引かれた水田がひときわ美しい風景を演出する。上山口には市が指定する二本の保護樹木がある。その内の一本が上山口墓地に高くそびえるクロマツだ。
 墓地の竹薮を背景に立つ一本松は、水田にその影を映して印象的な風景を見せてくれる。
 上山口のもう一本の保護樹木は、集落の南端に立つ巨大なクスである。岡場につながる道沿いから眺めるこの大木を中心とした風景は見事である。周辺の茅葺き屋根をトタンで葺いた古民家が格別の風情をつくりだす。とりわけ田植え時期には前面に広がる水田に、永蓮寺山の竹薮やクスが水面に映され絶景を演出する。
 金仙寺湖西側の金仙寺公会堂向い側に金仙寺墓地がある。ここに保護樹木に指定された大きな枝ぶりのアカマツがたっていた。2006年初夏のある日の早朝、墓地の南側から眺めた。畑山を背景にアカマツの見事な枝ぶりが集落を見守るかのように広がっていた。景色の中に溶け込んだ見事な風情の銘木だった。その年の秋には病害のためか伐採されていた。
 山口を代表する銘木は、やはりこのケヤキをおいて他にはない。南側の下山口公民館の裏から眺めると、有馬川とのコラボレーションが絶妙の構図を生み出している。
 東側の遊歩道の桜並木と正面の北六甲台にわずかに残された向山の原生林がうまくマッチした大ケヤキの雄姿が目に飛び込んでくる。
 国道176号線のバス停「名来」の傍の有馬川に愛宕橋が架かっている。橋を渡ると袂に見事な大木が根を張っている。タモ(梻)の木である。保護樹木に指定されていない大木である。
 川沿いの歩道を少し北に行った地点からの眺めが美しい。大木の緑の枝ぶりと有馬川と愛宕橋のコンビネーションに六甲の山並みが背景をなす。 
 名来の国道176号線沿いサンマルク前の有馬川にかかる名来橋を渡った先に名来墓地がある。墓地南の農道を更に東に進むとかつて平尻街道と呼ばれた旧街道に合流する。今は通行不能のこの街道は、赤坂、平尻を通過し山林の中を抜けてこの道に通じている。三田方向に続く旧街道沿いに旅人たちを癒していた筈の二本の樹が立っている。