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福知山線・廃線跡ハイキング
 かってJR福知山線の生瀬駅から道場駅までは武庫川の渓流に沿って走る絶景の秘境路線であった。1986年(昭和61年)8月以降、新たに長大なトンネルをくりぬいて開通した時間節約型暗闇路線が、この旧線を廃線にしてしまった。以降この廃線跡は渓谷美を満喫できる関西でも有数のハイキングコースとなった。
 廃線跡ハイキングは生瀬駅からスタートするのが一般的なようだが、このコースは車の行き交う国道を歩かなければならない。西宮名塩駅から東に歩いて、生瀬駅のほぼ中間にある木之元の集落から廃線跡に合流することにした。
 8時50分に廃線跡ウォークをスタートして、武田尾駅に到着したのは11時過ぎだった。約13km、歩数にして約1万7千歩のほどよい快適なウォーキングである。どこまでも平坦な道のりといやでも目に映る渓谷の美しさが快適なハイキングコースとして人気を呼んでいるゆえんなのだろう。廃線跡をスタートしてから2時間余りの道のりだったが、途中の桜の園に寄らずに廃線跡だけを歩いたとすれば1時間半程度のコースと思われる。  
L吊り橋の先に色づき始めた紅葉に包まれた温泉街が見える。渓谷に身を乗り出すようなその佇まいは、秘境温泉のイメージをかもしている。吊り橋を折り返し武田尾駅に着いた。 @名塩駅東の塩瀬中学校前の旧街道を東に進む。江戸時代に丹波と結ぶ大坂街道の名塩道と呼ばれていた道だ。まもなく木之元の集落に入る。茅葺屋根や宿場風民家が昔の面影を留める。
K武田尾温泉の看板アーチのかかった橋を渡り温泉街に向う。正面には福知山線の赤い鉄橋が武庫川を跨いでいる。その先には温泉のシンボルである真っ赤な吊り橋が姿を見せている。 A道が右にカーブし集落の東端とおぼしき地点にきた。正面に藁葺屋根の民家があり小路を挟んで美容院がある。
 美容院前の小路の急坂を降りると廃線跡に辿り着く。
J短いトンネルを二つ抜けると武庫川の先に武田尾の集落が見える。道路と川を跨いだ木橋を渡る。旧武田尾駅があった辺りだ。新駅方向に民家や土産物店の並ぶ小道を抜けた。 B武庫川の渓流に沿って北に廃線跡が続いている。しばらく歩くと岩の上に渓谷を望む見張り台がある。
 この辺りから埋め込まれたような枕木が目につくようになる。
Iつづら折れの山道を登りきると東屋があった。その先の下り坂を進むと笹部氏の研究室だった小屋がある。その前の坂を降り「もみじの道」を進むとようやく廃線跡に合流した。 Cトンネルが見えてきた。風雪に煤けた煉瓦造りの入口が歴史を感じさせる。暗闇のトンネル内は懐中電灯なしには進めない。六つあるトンネルの二番目の長さで300m以上あるトンネルだ。
H「桜の園・亦楽(えきらく)山荘」の入口が見えた。山荘は「桜博士」と呼ばれた笹部新太郎氏が桜の研究に使用した演習林だ。水上勉の小説『櫻守』の舞台である。山荘めぐりコースを回った。 Dトンネルを出てしばらく行くと「人面岩」の看板がある。渓谷の岩石が人の顔や動物の姿に見えてくるという。足元は踏み固まった土道、コンクリート擁壁道、枕木と様相を変えて現れる。
G渓谷と桜並木の美しい景色が続く。桜の季節の絶景を想像する。
 ハイカー向けの道しるべを初めて目にした。「桜の園300m」「武田尾駅1600m」とある。
F鉄橋横の保線用通路を伝って武庫川を渡る。このコースでは最もドラマチックな場面だ。鉄橋のすぐ向うの四番目のトンネルの先からは武庫川の渓谷は左手に眺めることになる。 E二番目の全長413mの最長トンネルを抜けた。続いて右にカーブした三番目のトンネルに入り暗闇が続く。
 突然視界が展けて鮮やかな迫力のある赤い橋脚が目に飛び込んだ。