カイゼンタルファ

Illustration:Qさん

装備:
 宇宙、月面
 レーザートゥランケル改「ケルベロス」(オプション)
 シールディングクラッシャー
 エネルギーガン
 地上
 ヘビーマシンカノン(オプション)
 シールディングクラッシャー
 高速射型ショットガン
開発着手時期:大戦中期(X3完成一ヵ月後)
所属:クロスハート、統一国家連合議会軍

統一国家連合議会軍部が各有力企業の技術者チームを選抜し、開発させた新型機。

当時の集大成とも言える機体であり、X3ツィーデフの安定した高出力と、アルフォンシリーズの汎用性をプラスしたような機体。イプシロノンに変わる次期主力上位機種として注目されていた。しかし、実戦テストのために試験機三機を現地へ護送している途中レジスタンスの襲撃に遭い、3機中2機が奪取され、残りの1機も起動前にトレーラーごと爆破された。(実際に爆破されたのはダミーだが、正式な書類上は全機損失とされている)また、設計図面やカタログなど、本機に関るほぼ全てのデータも奪取と同時期に消失しており、かなり中枢に近い部分に内通者がいたのではないかと議会側を混乱させている。

デルチュオンに始まった可変TU開発計画の産物でもあり、接収されたX3を軸に設計が進められたため、Xシリーズの実質的後継機ともいえる。(設計、開発が短期間のうちに進められたのも、こういったベースが存在したからだろう)また、フレーム構造などはほぼX3をそのまま採用しており、E・Hフラクターの積み込みなどによって変更を余儀なくされた箇所以外は、X3にかなり近いフレームを持つ。ただし、機密の関係からコクピット周りの構造はベーチュオンやツィーデフに近い。当然変形機構を有するが、飛行形態での戦闘は設計段階で度外視されているため、戦闘力はおまけ程度のものである。

メインの武器類は飛行形態時の携帯を考慮して、両腕の機首兼盾に内蔵する形となっている(宇宙←→地上では銃器部分のみ換装)。ケルベロスと呼ばれる武器は、オータムの標準装備であったレーザートゥランケルをベースに新規開発されたカイゼンタルファの宇宙専用の艦隊殲滅用のオプション装備で、専用の動力2基を搭載するなどして破壊力の向上を狙ったものであり、3つの砲口からその名がつけられたという。
動力はハイトニックフラクターで得られたエネルギーを、エジンエンジンを応用したシステムによって安定させるという、E・H・フラクターと呼ばれるものを使用しており、莫大且つ安定した出力を誇るが、その大半は推進系にもっていかれている。

<機体別設定>
一号機:赤系の色で塗装された機体で、三機のうち最も最初に造られた機体である。初めて造られた機体ということもあって最も実験的な色が強く、とりわけ単座式であることからパイロットに負荷がかかりすぎるという最大の問題を抱えている。レジスタンスに渡ってからは臨時用の予備機となっているようである。

二号機:寒色系の色で塗装された機体で、二番目に作られた機体。一号機で得られたデータを元に建造されており、各部の微調整と複座敷への変更が行われている。
基本的な性能は一号機と大差は無いが、複座敷に変更されているためパイロット一人当たりの負荷が少なくより実戦向けとなっている。

三号機:強奪事件後ヴァサーゴ大佐用に改装された三番目の機体。OSを最新式に変更したことにより一人で戦闘行為をすることが可能となったため単座式に戻っている。装甲を換装した際にブラックペッパーと呼ばれる塗料で塗装されたため、優れたステルス性を有する。大佐用に調整されているため、彼以外のパイロットが操縦することは事実上不可能である。

<新設定>

アイゼンミューオンの失敗を踏まえて設立された合弁会社(A.G.インダストリー、ヴィンデ、トパスなど、当時議会軍にて一定数以上の発注を受けていた企業が参加)によって開発された可変機構を内蔵したTU。
ハイトニックフラクターの不安定さをエジンエンジンと併用することによって補っており、莫大な出力と安定したエネルギー供給の両立をある程度果たしている(このようにエジンエンジンとハイトニックフラクターを併用した状態を俗にE.H.フラクターなどと称する)。E.H.フラクターの搭載と可変機構の内蔵、多局面に対応する汎用性など複数の課題に答えるために機体はある程度大型化している。

専用装備として両手持ちの大型のナッター系武器(名称未定)とケルベロスと呼ばれる宇宙用のエネルギー系射撃兵器、二本の刀剣状をした小型のナッターを装備し、上記の二つはそれぞれ地上活動時、宇宙活動時の機首となる。

新たな主力上位機種として期待がかかっていたが、実地試験の際に三機中二機が強奪されている。(関連データも完全抹消されたとの噂もあるが、軍部が事実をもみ消しているため詳細不明)軍部はこの失態を隠すために機体そのものを存在しないものとし、手元に残された三号機もシルエット程度にしか元々の形状が判然としないレベルにまで改装している。


アーリン・オオミ

年齢:22歳

クロスハート(レジスタンスのこと)の主導者であり、最高司令官的な存在。
また、カイゼンタルファのサブパイロット(主にメインパイロットに対する情報処理と戦場全体への指揮)でもある。

奇しくもウォルと同じ統一国家連合議会軍からの脱走者であり、元艦隊指揮補佐官である。最終階級は中佐(そのずば抜けた指揮能力により、年齢に見合わぬ異例の出世をしている)。

TUの操縦技術に関しては三流以下であるが、反面艦隊指揮能力とそれを応用したTUの集団運用法に長けており、また、それ以上に絶大なカリスマ性を持つ。

基本的には穏やかな性格で、無用な戦いは避けたいと考えているが、現実をしっかりと理解するだけの考えは持ち合わせており、状況によっては非情な決断を下すことも。ちなみに、カシュア・イーストとは旧知の仲であり、親友。

なお、クロスハートの目的は(真実の程は不明だが)歪化した統一国家議会への反発、打倒および地球府の自治権回復にある、と一部では目されている。

Illustration:Qさん


<Tricolore Universe「抗うもの達」=地上編=>

カイゼンタルファ強奪事件(ヴァサーゴとの戦闘)

ヴァサーゴとの接触

ダガードとの戦闘

議会軍との遭遇戦

ライオットとの接触

同士奪還作戦決行(ヴァサーゴ待ち受け)

ギューラ、サングリエとの戦闘

第621独立部隊との戦闘

ヴァサーゴとの再戦

プシールとの戦い(アイゼンミューオン乱入)

ギューラ、ダガードとの戦闘

ダガードによる復讐戦(またもアイゼンミューオンが乱入する、ダガード戦死)

ケダブールとの遭遇戦

ヴァサーゴとプシールによる拠点襲撃(第一拠点崩壊 プシール戦死)

サングリエ、Mr.Qによる殲滅戦(再度アイゼンミューオン乱入 サングリエ戦死)

主力部隊の打ち上げ作戦(ヴァサーゴとの戦闘、アイゼンミューオンが乱入、正体が明らかに……?)


<アクロスアハート>
議会軍の新兵器カイゼンタルファを手に入れたレジスタンス「クロスハート」と、彼らの前に立ちふさがる議会軍「オレンジヘッド」七幹部との戦いの物語。舞台は地球から月面へと移ってゆき、その過程ではヴァル・ヴァサーゴや第621独立部隊といった他の物語の主役たちとクロスハートのクロスオーバーも描かれる。主人公ウォル・レオールはオレンジヘッドとの戦いの中で、「テロリズムに訴えてでも成さねばならぬ事とは何なのか」「果たしてそれは許されるのか」といった問いに答えを導き出してゆく。すなわちこの物語の主題は「正義の定義と意義」である。

第一話 †
* カイゼンタルファの実地試験が行われる。
* テストパイロットの一人ウォル・レオールの手引きにより、クロスハートは首尾良くカイゼンを強奪する。
* ウォルの内心吐露。反逆の理由とクロスハートの目的を簡単に説明。
* 追撃にオレンジヘッド一般機(バリクンビラ?)が多数現れる。
* エウロ・パベコがツィガン(白黒カラーリング)で迎撃に出る。
* 擱座するツィガン。ウォルはカイゼン一号機(朱色・単座)を起動し、ヘビーマシンカノンで敵を一掃する。
* 一方七幹部は遠隔会議を開き、クロスハート殲滅の姿勢を新たにする。部屋は暗く、メンバーの姿はおぼろげ。

第二話 †
* クロスハートの拠点へ到着した強奪班だったが、火砲を使ったウォルへの視線は厳しい。
* サン・メングァンがウォルを糾弾し、命を救われたエウロはウォルを擁護する。
* ウォルはひとまず指導者アーリン・オオミとの面会に向かうも、留守。
* 代わりにキャリンコ・ウィッカーマンが偉そうにしている。
* サンの過去を知るウォル。火砲を嫌うに値する、共感できる理由を描く。
* オレンジヘッド一般機(ショウトゥラ?)接近の報。
* 出撃。ウォルは火器管制機能のないカイゼン二号機(青色・複座)を起動する。
* (オレンジに近い朱色からオレンジの補色である青色への乗り換えで、ウォルの心構えの変化を表現)
* (以降、一号機は二号機修理時のパーツ取り用機体となる)
* サンはウォルを見直し、随行兵としてバイクからカイゼンを支援する。
* 複座型の二号機を一人で操縦しているため、苦境に陥るウォル。
* 間一髪、別行動していたカシュア・イーストのミルリン二世(仮)が到着し、助かる。
* 互いを労うはずが、口喧嘩を始めるウォルとサン。やれやれちゃんちゃんオチ。

第三話 †
* 七幹部会議の様子。プシール・メーラーに討伐の命が下る。
* サウエル・エミッシュによるカイゼンのOS変更作業が開始される(本話に出ない言い訳)。
* カシュアを交えた会話の体裁をとり、七幹部について説明。
* 関連して、クロスハート結成以前、痛み分けに終わったミルリン対ハーイーラの回想。
* 出かけていたアーリンを出迎えに向かうクロスハート一行。ミルリン二世(仮)が随行する。
* アーリン、ハインツ・ウィッカーマンを伴っている。
* いかにも怪しいスポンサーであるハインツ、ただしキャリンコの前ではよき父親。
* バリハーイーラ率いるオレンジヘッドの襲撃。ミルリン二世(仮)苦戦する。
* そこへ謎のアイゼンミューオンが駆けつけ、オレンジヘッドを退かせる。
* アイゼンミューオン、ハインツを一瞥して立ち去る。

第四話 †
* 七幹部会議。プシールに業を煮やし、他の幹部らも行動を始める。
* 不始末に焦るプシール、ヴァル・ヴァサーゴに協力を願い出る。
* 承諾するヴァル。彼の駆るカイゼンタルファ三号機の姿。
* 一方クロスハート拠点、カイゼンのOS改良が完了する。
* 指揮能力を向上させた複座には、アーリンの搭乗が決まる。
* カシュア、バリハーイーラを倒す方法に気付く。
* 敵襲の報。カイゼン二号機とミルリン二世(仮)出撃。
* カイゼン二号機vs.カイゼン三号機、ミルリンvs.バリハーイーラ&一般機。
* カイゼン二号機劣勢。またもアイゼンミューオン乱入、カイゼン三号機と剣戟。
* カイゼン二号機とミルリン二世(仮)、力を合わせバリハーイーラ撃破。
* カイゼン三号機撤退、アイゼンミューオンも姿を消す。

第五話 †
* アエロー級と同等の民間機ハルピュイア、クロスハートの慰問に訪れる。
* ハルピュイアがもたらした情報から議会軍の捕虜となっている同志の所在が判明、奪還作戦が立案される。
* 奪還作戦に強く賛成するエウロ。かつて自分も捕虜であったがゆえ。
* エウロの過去回想。メズカラキムの大水門でのツィグハグとの戦闘、敗北。ギボン客演。
* エウロ、捕虜時代に七幹部ギューラ・アウドムやギルベルト・シュミッセンと面識あり。
* 奪還作戦開始。カイゼン二号機とミルリン二世(仮)出撃。エウロ随行。
* 待ち受けるバリジラとビカーラ。同志の所在はサングリエ・ボアケットの流した偽情報であった。
* サングリエの搦め手に疑問を覚えるギューラ。
* エウロ、ギューラと再会。問答、互いに相通ずる何かを感じる。
* 戦闘、ビカーラ撃破。
* 拠点へ逃げ込むクロスハートを上空から見つめる鳥の姿。否、それは鳥ではなくカルラ。
* 鳥の巣へ戻ったカルラ、カルラの群れの中で親鳥がごとく鎮座するシンドゥラに報告する。

第六話 †
* タカキバラ・エリスとサン・メングァンのキャッキャウフフ。
* ウォル、アーリン、エウロ、カシュアの四角関係。
* ウォルの過去話。新兵の頃、議会軍を脱走する直前のアーリンと交流があった。
* その他、しばしの安らぎを描写。
* 森林地帯にあるクロスハートの拠点をいぶりだすため、ナパームを使うダガード・ベインズマン部隊。
* 退避しようとしたハルピュイア、撃墜される?
* 地上部隊を率いるギューラ、ダガードのやり口に議会軍除隊を決意する。
* ギューラ、エウロにバリジラを託し、一人森の奥へと去る。
* 戦闘、スパイダーネット砲でカルラをからめとるバリジラ。
* シンドゥラ撃破。
* 指揮官を失ったオレンジヘッドは撤退するも、失われた自然と安らぎは戻らない。

第七話 †
* バリジラ、格闘戦仕様に改修され白黒に塗り替えられる。
* 月面へ向かわなくてはならない理由の発生(拠点を失ったことによる?)。拠点を出発。
* 条約軍との遭遇戦。
* かつての仲間であり、また議会軍を敵に回すもの同士であるのに、戦わねばならないエウロの苦悩。埋めがたい文化の溝。
* カイゼン二号機、ミルリン二世(仮)、バリジラの揃い踏み活躍。
* 敵はギューラやクロスハートと出会わなかったら有り得たかもしれない、エウロの可能性であった。
* 主義主張が異なれば戦うしかないという苦い事実を再確認する一行。

第八話 †
* 何らかの手段(シャトル? ロケット? マスドライバー? 軌道エレベータ?)で宇宙へ向かおうとするクロスハート一行。
* 妨害に現れるカイゼン三号機と、その指揮下に入ったオレンジヘッド一般機たち。
* 殺到するバリクンビラ、ショウトゥラ、カルラ。
* 道を切り開こうとするカイゼン二号機、ミルリン二世(仮)、バリジラ。
* 塗色を変更したアイゼンミューオンとバタウカノーネ乱入。一騎当千でクロスハートの血路を拓く。
* 明らかになるアイゼンミューオンパイロットの正体。「ハインツを信用するな」と警告を残す。
* 宇宙への手段に到達するクロスハート一行。地球府管轄下でオレンジヘッドも手を出せず、撤退。
* 残されたアイゼンタウルとカイゼン三号機の決着。
* 「重要なのは誰がヴァサーゴ大佐かではなく、ヴァサーゴ大佐が何を為したかだ」と主張するヴァル。
* (最終目的のためにあえて反逆者となるクロスハートの姿勢と重なる。つまりヴァルは主人公たちの負の側面を再確認させるためのキャラである)

第九話 †
* 七幹部会議。四つの空席。
* 冷静沈着なミスターQ、犠牲を悼むトモエ・アーク、冷笑的なロール・リコーン。
* 一方クロスハート、月面目的地への旅路。
* ロール率いるアンテーラ部隊の襲撃。
* ワールドハウス外のため、バリジラとミルリン二世(仮)は戦えない。
* カイゼン宇宙仕様、初披露。敵機のトリッキーな機動に翻弄される。
* オータム・バスコの狙撃に助けられる。アンテーラ撃破。
* (月面戦争で裏切ったプレオスに敗北の原因を作られるという皮肉)
* プレオス残党にはハインツが事前に話をつけていた。
* ハインツに募る不信感。だが事情に通じているらしいアーリンは黙して語らない。

第十話 †
* 引き続き、月面を行く一行。
* (数話かけての行程であることから目的地は月の裏側、ワームホールと関係アリか)
* 信託軍との遭遇戦。
* ケルベロス装備のカイゼン宇宙仕様の活躍。
* ハインツが<真静>の人間であることが明らかになる。

第十一話 †
* 目的のワールドハウスに到着するクロスハート一行。
* 管制ミスにより、入口で第621独立部隊の戦艦とニアミス。
* ラプターが自分たちの戦艦を強引に押しのけ、事なきを得る。
* 街中で「目指す何か」の所在の聞き込みを行う一行。
* 街中で、互いを敵と知らぬままトモエと問答。
* 目的地への道行きに単機立ちふさがるアーニラ、剣技でカイゼンを圧倒する。
* バリジラとミルリン二世(仮)、アーニラを強引に押しのけ、カイゼンを先へ向かわせる。
* エウロ&カシュア対トモエ、女の戦い。
* 目的地の直前で待ち構える巨大な影。
* 盛り上げつつ「つづく」。

第十二話 †
* 目的地の直前で待ち構えるミスターQのマンジーラ。
* 問答。ミスターQの行動理念、過去。緑色アーニラ客演?
* カイゼンとマンジーラの決戦開始。
* 女の戦い、相討ちに終わる。
* 正義の定義と意義に解答を出すウォル。マンジーラを撃破する。
* 「目指す何か」に到達。明かされるアーリンの最終目的は、議会軍を敵に回すに値するものだった。
* ハインツの目論見とは異なる、そしてアイゼンミューオンのパイロットが期待した通りの決断を、ウォルは下す。
* 消沈するハインツ。しかし素直に喜ぶキャリンコの様子を見て、これもいいかと苦笑する。
* <真静>に事の次第を報告するため、一行から離れるハインツ。
* ハインツ、生き延びていたミスターQに刺殺される。ミスターQ、ロールとハインツのツテから亡命を決意。
* 微妙に後味悪くなりつつ完。あと後日談とか。

<イメージ図>

Illustration:山明

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