− 「TC」ってなんだ!? −

TCとは、技術的情報を伝達する「技術」のことです。
主にソフトウェア技術者の方を対象に、わかりやすい技術文書を書くノウハウを取り上げます。

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 TCという略語をご存知でしょうか? 「テクニカル・コミュニケーション」の略です。技術的な情報を伝達するための技術のことです。日本でも、最近ようやく市民権を得てきた「技術」です。ドキュメントが重視されるにつれ、TCにも目が向け始められました。「テクニカル・ライター」も、職業として成立してきています。

 TCで心がける項目の、ひとつひとつは非常にシンプルで、当然と言っても良い内容です。しかし、自らも含めて多くの技術者が、その当然なことに苦労しています。TCのスキルは「慣れ」に負う部分が大きいと思います。もちろん、それを支えるためには、TCに対する高い意識が必要ですが。

 TCが専門ではない私は、まあとりあえず身近なところから。というわけで、この原稿を書きながら、TCを勉強して行こうじゃないか…と思い立ったわけです。わかりやすい技術文書を書くためのノウハウを、ひとつひとつ取り上げていくつもりです。それだけでも、きっと文書作成のスキルアップには、役に立つんではないかと・・・。

 あなたもご一緒に、勉強していきませんか?

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 文書をボリュームでレベル分けすると、[構成>文章>用字・用語]のように分類できます。この分類に沿って、以下の構成で話を進めていきましょう。

目次

1.構成

 1.1 はじめに
 1.2 構成のルール化 
 1.3 章立て
 1.4 段落

2.文章

 2.1 文体の統一     
 2.2 文の長さ
 2.3 一文一意
 2.4 箇条書き
 2.5 主語と述語
 2.6 行為の主体
 2.7 禁じ手
 2.8 5W1H

3.用字・用語

 3.1 用字・用語のルール 
 3.2 漢字とかな
 3.3 接続詞
 3.4 量、時、範囲
 3.5 カタカナ表記
 3.6 専門用語
 3.7 単位記号
 3.8 符号
 3.9 略語
 3.10 数字

 あっ、そうそう。TCは文章作成に限りません。話し方とかプレゼンテーションとか、図とか絵のようなビジュアルな技術も含みます。いわゆる、マルチメディアも無関係ではないのです。が、ここでは文書作成技術に絞っていきます。
 そうそう。それに、お勉強だけじゃ飽きますから(^^;、1回にひとつくらい、以下のようなコラムをつけていくつもりです。まあ、独り言のたぐいですね(笑)。

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ξ       ぶれいく
□b コーヒー無礼区

 日本人は、論理的な文章を書くのが、苦手なんだそうです。詩や作文といった、情緒的・芸術的な表現は、小学校から習いますね。では、技術的な文章の書き方を習った経験はありますか?

 高校でマニュアルを書きましたか?大学で「論文の書き方」という単位がありましたか?・・・思い出すのに苦労するほど、少ないのではありませんか。

 文章表現に関しては、「慣れ」の部分が大きいように思います。普段からTCを意識して「作文」することで、初めて身につく技術です。社会人になってから(頭が固くなってから(^^;)では、なかなか大変です。

 国語教育のあり方も、原因の一端でしょう。今のカリキュラム内容も、悪くはないのでしょうが、TCに関しては足りないような気がします(少なくとも、我々の時代は)。中学・・・、いや小学生の頃から、論理的に話したり書いたりする練習を、すべきなのでしょうね。

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参考文献

(1)村田硯、和田進一、監修 横山倉三:テクニカルコミュニケーション 概論・方法論 工学院大学(1994)

(2)和田格、監修 村田硯:工学院大学TC見聞録 (1995)

(3)テクニカルコミュニケーション研究会:ユーザーマニュアルのための文章・用字用語スタイルブック 日経BP社(1988)


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