TCとは、技術的情報を伝達する「技術」のことです。
主にソフトウェア技術者の方を対象に、わかりやすい技術文書を書くノウハウを取り上げます。
TCという略語をご存知でしょうか? 「テクニカル・コミュニケーション」の略です。技術的な情報を伝達するための技術のことです。日本でも、最近ようやく市民権を得てきた「技術」です。ドキュメントが重視されるにつれ、TCにも目が向け始められました。「テクニカル・ライター」も、職業として成立してきています。
TCで心がける項目の、ひとつひとつは非常にシンプルで、当然と言っても良い内容です。しかし、自らも含めて多くの技術者が、その当然なことに苦労しています。TCのスキルは「慣れ」に負う部分が大きいと思います。もちろん、それを支えるためには、TCに対する高い意識が必要ですが。
TCが専門ではない私は、まあとりあえず身近なところから。というわけで、この原稿を書きながら、TCを勉強して行こうじゃないか…と思い立ったわけです。わかりやすい技術文書を書くためのノウハウを、ひとつひとつ取り上げていくつもりです。それだけでも、きっと文書作成のスキルアップには、役に立つんではないかと・・・。
あなたもご一緒に、勉強していきませんか?
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文書をボリュームでレベル分けすると、[構成>文章>用字・用語]のように分類できます。この分類に沿って、以下の構成で話を進めていきましょう。
1.構成 | 2.文章 2.1 文体の統一 |
3.用字・用語 3.1 用字・用語のルール |
あっ、そうそう。TCは文章作成に限りません。話し方とかプレゼンテーションとか、図とか絵のようなビジュアルな技術も含みます。いわゆる、マルチメディアも無関係ではないのです。が、ここでは文書作成技術に絞っていきます。
そうそう。それに、お勉強だけじゃ飽きますから(^^;、1回にひとつくらい、以下のようなコラムをつけていくつもりです。まあ、独り言のたぐいですね(笑)。
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ξ ぶれいく □b コーヒー無礼区 日本人は、論理的な文章を書くのが、苦手なんだそうです。詩や作文といった、情緒的・芸術的な表現は、小学校から習いますね。では、技術的な文章の書き方を習った経験はありますか? 高校でマニュアルを書きましたか?大学で「論文の書き方」という単位がありましたか?・・・思い出すのに苦労するほど、少ないのではありませんか。 文章表現に関しては、「慣れ」の部分が大きいように思います。普段からTCを意識して「作文」することで、初めて身につく技術です。社会人になってから(頭が固くなってから(^^;)では、なかなか大変です。 国語教育のあり方も、原因の一端でしょう。今のカリキュラム内容も、悪くはないのでしょうが、TCに関しては足りないような気がします(少なくとも、我々の時代は)。中学・・・、いや小学生の頃から、論理的に話したり書いたりする練習を、すべきなのでしょうね。 |
参考文献
(1)村田硯、和田進一、監修 横山倉三:テクニカルコミュニケーション 概論・方法論 工学院大学(1994)
(2)和田格、監修 村田硯:工学院大学TC見聞録 (1995)
(3)テクニカルコミュニケーション研究会:ユーザーマニュアルのための文章・用字用語スタイルブック 日経BP社(1988)