火曜日ならベルギーよ ★☆☆
(If It's Tuesday, This Must Be Belgium)

1969 US
監督:メル・スチュアート
出演:スザンヌ・プレシェット、イアン・マクシェーン、マーレー・ハミルトン、ペギー・キャス


小生はその昔、汽車にただじっと座って旅したり、ローカルバスに乗って旅したりするのが好きでした。しかも、日本地図を片手に車窓を通り過ぎる集落の名前を確認しながらの旅であったので、きっと隣に座った見ず知らずの人々はきっと「こいつアホではないか」と思ったに違いありません。けれども、そのおかげもあり日本全国に存在する5000以上の市町村の名前、位置、中心集落名をかつてほとんど覚えていた時期がありました。そんなことをして何の得になるかって?何の得にもなりません。さて、ここに取り上げる「火曜日ならベルギーよ」は、ななななんと!ほぼ冒頭からラストまで観光バス旅行が描かれた小生好みの作品なのです。ロンドンに住むプレイボーイ(イアン・マクシェーン)がガイドを勤めるバスに乗って、スザンヌ・プレシェット、マーレー・ハミルトン、ペギー・キャス、ミルドレッド・ナトウィック、サンディ・バロン、etc.,演ずるアメリカ人観光客達が、いかにも日本のかの有名な「はとバスツアー(残念ながら個人的には参加したことがありませんが)」のようにヨーロッパを観光して廻るという実に他愛ない作品です。一応、イアン・マクシェーンとスザンヌ・プレシェットのロマコメ的な側面もありますが、そもそも悪漢顔のイアン・マクシェーンは顔が濃すぎて全然カッコよくなく、いずれにしても最後には二人はバイバイし、次の獲物を求めて?前者が観光ガイドを清く正しく続けるシーンでジエンドになります。けれども、バス旅行が好きな小生には、そのようなロマコメ要素はこの作品に関してはどうでもよく、バスツアー旅行を忠実に再現するなどという、映画界の常識を覆すテーマが取り上げられていること自体が面白いのです。海外における日本人の団体観光客のマナーがどうのこうのとよく言われますが、「火曜日ならベルギーよ」を見ていると、バス旅行好きならずとも、「何だ、アメリカ人だって大して変わりがないじゃないか!」と妙に安堵感を覚えること請け合いです。ヨーロッパ各国の風物がまるで絵葉書のごとくカメラに収められており、観光旅行のスライドを見るような感覚で見ると結構楽しめる作品です。え!それでは映画ではない?。では、センタ・バーガー、ジョン・カサベテス、ジョーン・コリンズアニタ・エクバーク、ベン・ギャザラ、ビルナ・リージエルザ・マルティネリ、カトリーヌ・スパーク、ロバート・ボーン、ビットリオ・デ・シーカなどのゲストスターが多数カメオ出演しており、彼ら彼女らを捜すのも楽しみの1つであることも付け加えておきましょう。なかでも、とぼけたイタリアの靴屋を演じているビットリオ・デ・シーカが出色です。


2001/04/30 by 雷小僧
(2008/11/10 revised by Hiroshi Iruma)
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