購入当初は快適に使えるパソコンも、だんだん動作が遅くなり不調となってくることがあります。アプリケーション ソフトやデータが追加されたり、設定を変えたりすることによるものです。その中で不調の原因を探るのは困難な上、原因が分かっても解決できるとは限りません。こうした場合に最も効果的な解決方法は、買った時の状態、すなわち工場出荷時の状態に戻すことです。これを 「リカバリー」 と言います。
工場出荷状態に戻すのは、原因究明はとりあえず横におき、手っ取り早く解決する手段としては悪くないものです。
工場出荷状態に戻すとは、パソコンの中身を買った時の状態に戻すことです。考えなければならないのは、最初から入っているソフト以外は全てインストールし直し、インターネット接続や各種サービスの設定もやり直し、データを復元することです。
その場合、必ず使うソフトをまずはインストールし、たまにしか使わないものは後回しにすると、手間が省けるだけでなく、パソコンを不安定にする要素を減らすこともできます。
周辺機器のドライバーのインストールも必要です。メーカーの Web サイトから最新のものをダウンロードします。無線 LAN の接続やパスワード、メールアカウントも再設定しなければなりません。事前に必ず確認し、メモをとっておく必要があります。
出荷状態に戻すと、自分で作成したデータも消えます。きちんとバックアップし、元に戻す方法も抑えておくことです。工場出荷状態に戻し、必要なアプリケーションのインストールや設定をした状態で、システムのバックアップから戻す方法が、手間が省けて良いでしょう。システムのバックアップについては 「システムのバックアップ」 を参照します。
工場出荷状態に戻す方法はパソコン メーカーによって異なりますが、大きく二つの方法があります。
一つは、本体付属か、またはパソコンを最初に起動した時に作成を促されるリカバリー CD や DVD を使う方法。リカバリー CD や DVD をパソコンに挿入して電源を入れると、リカバリー CD (DVD) から起動し、出荷状態に戻ります。
もう一つは、工場出荷状態に戻すためのデータがハードディスク (HDD) にあらかじめ記録されている場合です。特定のキーを押しながらパソコンを起動すると、工場出荷状態に戻すプログラムが作動します。
戻す際には BIOS (基本入力システム) の設定を変更しなければならないこともあります。
筆者が使用している Lenovo パソコンの場合は、二つの方法いずれも使えるようになっています。Lenovo パソコンの場合を参照します。
リカバリーすると工場出荷状態に戻ってしまいますので、パソコンを使うためのアプリケーションソフトを入れなおすとか、インターネットの接続を再度設定するなどの操作が必要となります。そのための準備をリカバリー実施の前からおこなっておく必要があります。
データのバックアップ
設定情報を確認 (資料の存在およびメモ)
インターネット接続や無線 LAN の設定をする
ウィルス対策ソフトをインストールし、設定する
Windows Update をする
必要なアプリケーション ソフトをインストールする
メールを設定する
自動的にインストールされないドライバーをインストールする
データを戻す
筆者が使用している Lenovo パソコンの場合を紹介します。
Microsoft Windows 7 OS を搭載している Lenovo パソコンの多くは、C ドライブに加えて Q ドライブが存在します。Q ドライブには、約 10 GB の リカバリーに必要な重要なデータが格納されています。これを使って、パソコンを初めて起動した時と同じ状態に、OS およびソフトを復元できるようになっています。
Q ドライブを削除してハードディスクドライブの容量として使用することが可能です
ハードディスクドライブの容量確保のため、特定の条件下では Q ドライブを削除してその容量分をハードディスク (C ドライブなど)のスペースに組み入れ、拡張することができます。Q ドライブのスペースを再割り当てるを参照します。
Rescue and Recovery
Created Product Recovery Media
リカバリー メディアの作成方法には二通りあります。
リカバリー・メディア とは
マシンを向上出荷時の状態に戻すためのメディアのことです。初期イメージ(OS、ドライバー、プリロードソフトウェアなど全て含む)が記録されているメディアです。
リカバリー・メディアは1度しか作成できません
メディアの必要枚数
起動メディアとリカバリー メディアが作成されます。マシンによって異なりますが、筆者のパソコンの場合は、4枚の DVD メディアが必要になりました。CD の場合は8枚以上が必要になると思います。
作成されたリカバリー・メディアは作成された順番がわかるように通し番号を記載するなどし、大切に保管しておくことです。
方法1:
方法2:
筆者は方法2にて作成しました。
リカバリー・メディアを作成後、[ドライブ・スペースのリカバリー] を選択することで Q ドライブで使用されていたドライブ・スペースを C ドライブに再割り当てすることができます。この変更を元に戻すことはできません。
このプロセス完了後は、Q ドライブからのリカバリー機能は利用できなくなります。
作成したリカバリー・メディアを使用して工場出荷時状態に復元する方法です。
① BIOS Setup Utility で、自動起動デバイスの順番が、 リカバリー・メディアの DVD から起動されるように設定されていることを確認します。
② リカバリー・メディアを DVD ドライブに装着します。
③ ThinkPad を再起動します。しばらくすると、Rescue and Recovery ワークスペースが開きます。
④ [完全復元] をクリックして、画面の指示に従います。