前半戦

第1戦「今シーズンも開幕は幸先よく」(12/23)
第2戦「早くも一抹の不安」(12/26)
第3戦「道はさらに険しく」(12/27)
第4戦「とりあえず一歩前進」(1/9)
第5戦「突然視界が開けた」(1/10)
第6戦「全てが白紙に戻った」(1/16)
第7戦「天国と地獄の分かれ目に」(1/17)
第8戦「嵐の決戦前夜」(1/23)
第9戦「バーバラ対アル!史上最大の決戦!!」(1/24)
前半戦総括「紆余曲折と最高の結末」


第1戦「今シーズンも開幕は幸先よく」(12/23)

今シーズンのVリーグの開幕は、アジア大会があるために例年よりも遅い12月23日である。今年は季節の進み方がやたらと早かったり遅かったり、しかも突然戻ったりするので、季節感が非常に狂う年だったけれども、この日が開幕というのもまたファンとして感覚が狂う。

エアリービーズの開幕戦の相手は、昨シーズンの開幕戦と同じ小田急である。小田急は昨シーズンも最下位に終わってしまったけれども、そこからさらに主力が多数離脱し、苦戦は必至のチームである。試合結果は1,9,6で一方的にデンソーの勝ち。試合時間1時間1分は、この週の15試合の中では最短である。いかに楽に勝たなくてはならない相手とはいえ、今シーズンもスタートは幸先よい。
この日の試合結果はいずれも順当なものだった。一方的な試合が多かったのはやや残念だった。

デンソー3 (15-1, 15-9, 15-6) 0小田急

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第2戦「早くも一抹の不安」(12/26)

この日の相手は、2シーズン前には地域リーグにまで転落しながら、そこで優勝し実業団リーグに復帰、さらに実業団リーグでも優勝し一気に初のV昇格を決めた日立佐和である。試合自体は勝ったものの、その内容を見れば、第2セット接戦で落とし、第3セットも相手にセットポイントを握られてから逆転するという、非常にきわどいものである。

この日は衛星放送で別の2試合を見た。四強のうち3つまでがほぼ確定したという印象を受けた。残っているのはわずかに一つ。その最後の枠をかけて、3チーム(または4チーム)によるマッチレースをデンソーは勝ち抜かなくてはならない。早くも不安が走る。

さて、衛星放送で見たといっても、私の家には衛星放送は入らない。秋葉原の総合電器店で見ているわけである。だから隣のテレビでは違う番組をやっている。このときは、同じ時間帯にハイビジョンで長野五輪全集をやっており、エアリアルの演技と同時進行で見てきた。昨シーズンの開幕戦は、リレハンメル五輪総集編と同時進行で、オクサナとかナンシーとかカーチャとかの演技を見て懐かしさにひたっていたものである。

デンソー3 (15-7, 13-15, 16-14, 15-6) 1日立佐和

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第3戦「道はさらに険しく」(12/27)

今シーズンも優勝の本命であるダイエーとの試合である。結果は1-3で完敗。デンソーは、この試合で、基本的には昨シーズンと変わっていないことを露呈してしまった。この試合については、詳しくはVリーグ第1週観戦記を参照してほしい。

さて、この日、このシーズンでは初めての番狂わせが起こった。東洋紡が、これまでVリーグでは1勝10敗と全く歯が立っていなかったNECに、2セットダウンから大逆転勝利。12月25日に駒沢のヨーカドー戦を見に行ったときには、とてもNECに勝てるようなチームとは思えなかったのだが。しかし、昨シーズン東洋紡はヨーカドーには極度に相性が悪く、3試合で1セットも取れなかった。ヨーカドーも東洋紡も、昨シーズンと今シーズンで根本的な違いはない。そのことからすれば、ヨーカドーとフルセットの激闘を演じたということが、昨シーズンより強くなっていることの表れかもしれない。

このシーズンが終わったときにこの試合の位置づけがどうなっているかはわからないけれども、少なくとも現時点での見通しとしては、この番狂わせは明らかにデンソーにとっては不都合である。ヨーカドーにとってもこれは困ったことである。

今シーズンは上位チームの力が接近している反面、上位と下位の力の差は昨シーズンよりも開いており、四強争いは極めて高いレベルの争いになるとみている。現時点での私の計算としては、四強に入るためのめどは6敗までと考えている。だいたい、リーグ戦を勝ち抜くための目安として、総当たり1回戦につき(必要な順位 - 1)敗以内、ということがある。もしリーグ戦の結果が完全な序列関係になった場合、トップのチームが無敗、2位のチームが1敗、3位が2敗、・・・となるからである。これまでのVリーグ(8チーム3回戦総当たり)でも、ほとんどの場合、四強のラインは9敗±1敗におさまっている。最大の例外が昨シーズンの女子で、四強の最後のチームがなんと12敗という、まさに泥沼の争いとなった。
したがって、四強に入るためには下位チームへの取りこぼしは絶対に許されない。下位の3チームないし4チームに敗れたら、その時点でそのチームは四強争いから脱落と考えている。現時点で、四強が堅いと思われるのは3チーム。残る3チーム(ないし4チーム)が四強の最後の座をかけて争うことになる。エアリーは、当然四強の最後を争うグループにはいる。

この週に私は一応Vリーグ全10チームを生で見た。エアリービーズのこの先の戦い方という観点からすると、昨シーズンよりも組みやすい相手が多くなったという印象を受けた。NECもチューリナのかわりにゴディナが入ったことで、エアリーにとっては昨シーズンよりもやりやすくなったと思う。日立も強いことは強いけれども、攻略の糸口は比較的はっきりしている。サーブで崩し、ソコロワしかないという形に持っていくことができれば、一方的に負けることはないだろう。ユニチカも、昨シーズンよりアタック力は上がった反面、粘りあるいは守りの堅さという点では下がっていると感じられた。東芝も昨シーズンのようないやらしさはない。世界最強のエースを擁する(そして、そのエースが打つしかない)エアリーにとって、四つに組むことさえできない相手は、おそらくオレンジだけである。
しかし、四つに組むことができるかどうかと勝つことができるかどうかは全くの別問題である。NECは相変わらずサーブレシーブは堅く、サーブで崩すことが望める相手ではない。さらに、ブロックは以前より大幅に強化されている。日立もアタッカーがそろっているうえブロックも極めて強力で、ひたすらバーバラという単調な攻撃ではブロックでシャットを食らいまくることは目に見えている。どちらの相手にしても(特にNECに対しては)、勝つのは非常に難しい。

東洋紡がNECに勝った意味として、現時点で言えることは、25日のヨーカドー対東洋紡の試合を帳消しにしたということである。ヨーカドーとしては、東洋紡・デンソー戦には絶対負けられないという状況に戻ってしまった。また、この試合に東洋紡が負けたことで、エアリーとしては、ヨーカドー戦を2つおさえれば東洋紡に対しては1勝1敗でよかったはずである。ところが、東洋紡がNECに勝ったことで、東洋紡との2試合も絶対に負けられない試合になってしまった。ただでさえ昨シーズン以来東洋紡とは相性はよくないうえ、東洋紡は昨シーズンよりは強くなっている。
特に、前半の最終週は、土曜に日立、日曜に東洋紡との試合という、非常に厳しいカードである。このときの日立と東洋紡の星次第ということになるのだろうが、どちらの試合に勝ちに行くのかはっきりさせて、もう一方の試合は捨ててもよいくらいのつもりで臨む必要がある。どちらも勝たなくてはならないというような曖昧な態度では、おそらくどちらにも勝てないだろう。
この週までには、四強が確定のチームと、当落線上のチーム、脱落するチームがおそらくはっきりと分かれているだろう。その意味では、四強争いのライバルとなるであろうチームとの対戦が、前半戦の後ろのほうに多いのは、デンソーにとってはおそらく幸いである。どの試合は落としてもよい、どの試合は絶対に勝たなくてはならないのかがはっきりするからである。この先どうなるか全く分からない状況で、全部の試合に勝ちにいかなくてはならないというのは、最も絶望的な状況である。

第1週終了時点での技術集計をみると、昨シーズンと基本的には変わらないものの、大分ましになっている。アタック決定率は高く、特にバーバラと日本人選手との決定率の差が2ポイント以内と非常に小さくなっている。(昨シーズンはこの差が10ポイント以上あったのだ。)また、ブロックも「皆無同然」だった昨シーズンに比べれば大幅に増えている。しかし、その割に、オレンジ戦ではその「ましになった部分」は感じられなかったし、日立佐和戦も試合内容は非常に悪い。さらに、試合を見た印象としても数字的にも極度に悪くなった部分がある。それがサーブである。昨シーズンまでのデンソーはサーブで攻めるチームだったのに、それが一転、効果率6%台という信じがたい低い数字である。それ以外の部門については数字を見る限り悪くないのに、実際の試合内容は悪いというのは、サーブが攻撃につながっていないことが大きな原因となっていることは間違いない。(もう一つの原因は、ミスによる失点が多いことである。)これは即刻改善が必要である。

NEC2 (15-7, 15-13, 9-15, 12-15, 11-15) 3東洋紡

デンソー1 (6-15, 13-15, 15-8, 4-15) 3オレンジ

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第4戦「とりあえず一歩前進」(1/9)

ガビー体制(何だそれは)になって以来、ヨーカドーとはそれほど相性は悪くないので、負ける心配はそれほどしていなかった。しかし、いくら何でもストレートで試合時間1時間あまりで勝てるとは予想していなかった。もっと厳しい試合を強いられると思っていた。
ヨーカドーはそれほど弱いのだろうか?12月23,25日の駒沢での試合を見る限り、それほど弱いチームとは思われなかったのだが。(もちろん、国産の決定力不足は深刻だが。)数字的に見ると、アタックが最下位に近いというのは極めて深刻である。試合を見ても、ガビーに昨シーズンほどの勢いが感じられない。
さて、デンソーがこの試合にこれほど楽ちんに勝ってしまったことで、先のヨーカドー対日立戦で日立がやはりストレート、1時間10分で勝ったからといって、日立が強いとは言えなくなってしまった。

四強入りに向けて負けてはならない相手に勝ったことで、とりあえず一歩前進といえる。しかし、四強入りか否かを決める正念場の試合は、この後まだ全部残っている。楽観はできない。

デンソー3 (15-8, 15-6, 15-10) 0ヨーカドー

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第5戦「急に視界が開けた!」(1/10)

今日の相手はNECか、勝ちたいけれども、無理だろうな、などと思いつつ、私はいつもお世話になっているバレーボールページに結果を見に行った。
マジですか??
結果を最初に見たとき、このセリフしか出なかった。
NECには第1回Vリーグで勝ったことがある。しかし当時のNECは現在と違い日本代表選手はほとんどいなかったし、実際第1回のNECは11勝10敗で5位に終わっている。現在のようなスター集団のNECに対しては、1試合も勝ったことはなかった。特に、昨シーズンは、3試合して1セットしかとれなかった相手なのだ。その相手にストレート勝ちしたといっても、にわかに信じられるはずもない。

さて、この試合、決してバーバラ一人でNECを叩きつぶしたというわけではない。それどころか、純然に数字だけの話をすれば、この試合のバーバラは前半戦でも最悪の部類に入る。決定率は50%を割っており、しかもわずか80打数で9本ものミスがある。この試合で差がついたのはむしろ日本人選手の決定率である。この試合、大懸の決定率が極端に低かった。また、サーブレシーブが崩されていた(成功率64%)ため、センター線を使える回数も少なかった。そのため、若手の高橋とゴディナの両レフトエースの打数が極端に増えた。一方、デンソーの日本人選手はそろって大当たり、特に第1セット途中に草深と交代した村上が大爆発した。さて、サーブレシーブが崩されていたのはデンソーも同じである(成功率63%)。しかし、サーブレシーブが崩れてもデンソーの場合バーバラに上げておけばよいのだし、きっちり返ったときもどのみち半分はバーバラに打たせているのだ。バーバラが前衛にいようと後衛に下がっていようと関係ない、というより、今シーズンのバーバラのバックアタックは必殺兵器に近い(決定率55%)。NECの場合、ゴディナが前衛にいるときはそれでよいけれども、後衛に下がったらそうはいかない。
さらに、この週の2試合とも、デンソーはセット当たり4本を超えるブロックを決めている。これは、バーバラのブロック得点が極めて増えている―サイドアタッカーでセット当たりブロック1.18本は驚異的に多い―ことからもうかがえる。日本人選手で止められるようになれば、バーバラが止める回数も増える。もともとバーバラは、ブロック能力も非常に高いものを持っている。相乗効果でブロックが増えるのだ。少なくともこの週は、昨シーズン以来「ここがよくなれば」と思っていたことがことごとく現実になっている。

前日まで、四強の座は―マリア・ブチルスカヤの言葉を借りれば「月にでもあるもの」―それくらいどこか遙か遠くにあるものと感じられた。そこまでの道のりは深い霧の中といった感じで全く見当もつかなかった。しかし、この試合に勝ったことで、突然視界が開けた。私にはそう感じられる。
もう1チーム、ちょっと不気味なのがユニチカである。そのユニチカとは次の試合、1月16日で対戦する。この試合に勝てば、本当に四強は手の届くあたりまで近づいてくる。

四強入りを占うもう一つの重要な試合、東洋紡対日立の試合は、これもストレートという予想外の決着。これほど強かったのか、東洋紡!それならヨーカドーに負けたのは何だったのだ?
正直なところ、この対戦も五分五分というか、むしろ日立のほうが強いのではないかと思っていたくらいである。少なくとも、日立のほうが、アタッカーのコマはそろっているし、大型の選手がそろいブロック力もあるし、サーブで相手を崩せる選手も多い。攻撃面では、日立のほうが上と踏んでいた。ただし、守備面については東洋紡のほうが安定しているとは思っていたが。

さて、昨シーズンまで東洋紡がNECにほとんど勝てなかった理由として、「アルタモノワがチューリナを怖がっていたから」という説がある。とすると、今シーズンは逆に、ゴディナやソコロワがアルタモノワを怖がっているのか?ロシアというチームは年功序列なのか?(もちろん冗談)
もう少し真面目に考えると、98年は世界選手権の後にアジア大会もあり、全日本に出ていた選手はチームとあわせる時間が非常に短かったということが要因として考えられる。NECは大懸・津雲が全日本に出ていた。NECのチームでも大懸は非常に中心的な存在であり、しかも大懸は世界選手権の前半から目一杯でやっておりその疲労がかなり残っているはずである。また、日立も多治見・江藤のセンター線を全日本に出している。そのような状況で、ゴディナあるいはソコロワというエースがいれば、相手が強いほどどうしても「安全に安全に」ということでひたすら大砲に上げることになりがちである。しかし、「この選手一人しかいない」という状況で打ち合うのなら、世界で一番強いのはバーバラである。その次がアル。しかも、NECも日立も大砲を今シーズン使い始めたばかりなのに対し、アルは東洋紡で3年、バーバラはデンソーで4年間すでにプレーしている。だからそのような打ち合いになれば、デンソーや東洋紡が勝てるのも不思議はない。
NECにしても日立にしても、そのあたりをもう少し考えないと、四強も危ういかもしれない。
さて、全日本に選手を出していてあわせる時間が短いという点では、オレンジも条件は同じはずである。しかし、オレンジは断然の強さで5連勝。この差はいったい何なのだろうか。やはりセッターの技量の差に起因するものなのだろうか。あるいはオレンジの強化法がそれだけ優れているのか。

私の目もまだまだ節穴だなぁ。第1週の予想がことごとく外されている。このあたりは、ファンとして経験を積むしかないのだろうか。

さて、第2週終了時点の技術集計を見ると、バーバラはこの週の2試合でたったの72本しかアタックを決めていない。打数は155。バーバラは好調だと聞いているけれども、果たしてこれで本当にそうなのだろうか。チームの決定率を引き下げてしまっているのに「好調だ」と言えるのか?昨シーズンの状況からすれば、これで勝っているとは信じられない。しかし、逆に言えば、エアリーはこの週2試合、とんでもなく楽に勝ってしまったのである。
さて、今一番乗っているエースは間違いなくアルタモノワである。第2週終了時点では、総得点・アタック決定本数・アタック決定率の全部でバーバラに勝っている。この5試合で、決定数は1試合平均47本、打数は1試合100本近い。のみならず、サーブレシーブ成功率もリーグ2位で、これには敵ながら天晴れというしかない。しかしこれは、別の見方をすれば、東洋紡はこの5試合かなりいっぱいいっぱいできたということではないだろうか。相変わらず日本人選手の決定力不足は数字上でも極めて深刻で、アルと日本人選手の決定率の差は約8ポイントもある(昨シーズンのデンソーよりはましだが)。現在の東洋紡は、昨シーズン3レグに猛ラッシュをかけたときのデンソーに近いと思われる。このときは、デンソーが勝った4試合でバーバラは打数520決定266と、鬼神のごとく打ちまくった。しかし、今回のリーグがいかに短期決戦でこの先6週間休みの週なしとはいえ、これがこの先ずっと続くかといえば、続かないと思う。まず、東洋紡の翌週の対戦はオレンジと小田急で、オレンジに勝つのは極めて難しいし、逆に小田急には楽に勝ててしまうだろう。アルの獅子奮迅の活躍で勝ち続けてきた流れは、ここで一度途切れる可能性が大きい。その流れを、果たしてすぐにもう一度作ることができるだろうか。

しかしながら、吹き飛んだ話をしているものである。1試合20点、1セット6点で足りない、1試合40本アタックを決めて全然追いつかない。

さて、この日の結果で、四強当確はオレンジ以外撤回せざるを得なくなった。しかし、オレンジ以外にも2チームが、四強に向けてかなり優位に立っている。第3回Vリーグ以来、四強戦でバーバラとアルの死闘が見られるのだろうか。今からどきどき、わくわく。

東洋紡3 (17-15, 15-1, 15-11) 0日立

デンソー3 (15-10, 15-8, 16-14) 0NEC

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第6戦「全てが白紙に戻った」(1/16)

エアリーの第6戦の前日、1月15日に、ついに首位を独走していたオレンジに土が付いた。オレンジを破ったのは、当初はオレンジとの一騎打ちを展開すると思われていたNECである。
これでエアリーに首位の可能性が出てきた、などと浮かれてはいられない。私は初めからエアリーが首位に立つなどということは考えていないし、期待もしていない。あえてそれを考えるとしても、オレンジについていき最終の2月20日津でのオレンジ戦に勝ち逆転首位、というシナリオがベストである。四強確保という観点からすれば、オレンジが勝ち続けることはむしろエアリーにとって都合がよいことである。エアリーのライバルを蹴落としてくれるわけだから。
まずはこの週の2試合に連勝することである。そうでなければ、四強さえ厳しくなるのだ。見ている側としても、シーズンが終わるまで、気を引き締めていかなくてはなるまい。

と思っていた矢先のユニチカ戦だったけれども、実に失望させる試合だったとしか言いようがない。
詳しい試合経過については観戦記のほうを見ていただくとするけれども、要するに、昨シーズン以来何も良くなっていない。NECに勝ったのだから少しは良くなっているのだろうと思っていたけれども、その期待を完全に裏切る試合を見せてくれた。黒部のオレンジ戦よりもっと悪くなっている。オレンジ戦でさえ、第3セットにブロックで見せ場を作り、このセットを奪った。

私としては、バーバラが打ちまくるのを見られた(第2セットまで)はよかったけれども、デンソーにはそれ以外何一つ見るべきものはなかった。

この日の敗戦により、NECに勝ったのも帳消し、四強の可能性は全くの白紙に戻った。そればかりか、最終週に日立と東洋紡と勝つのが非常に難しい相手ばかり残っていることを考えると、四強は非常に厳しくなったとさえ言ってもよい。もちろん、翌日の東芝戦に負ければその時点で四強の望みはなくなったけれども、この試合を見ている限りその可能性は決して小さくないと思われた。
この試合、技術面あるいは戦術面の差もさることながら、ボールへの執着心の差も非常に感じられた。第1セットのセットポイントを握られた場面、あるいは第3セット以降は、ユニチカはとにかく簡単にはボールをコートに落とさなかった。絶対にボールを落とさないという気迫が、画面を通じてはっきりと伝わってきた。それに比べて、デンソーからはそのようなものが全く感じられなかった。
デンソーの選手は、この週に連勝しなければ四強が厳しくなることがわかっていなかったのだろうか。それともわかっていてあの程度の試合しかできなかったのか。

この試合の後、バーバラは温水に、「どうして自分にばかりトスを上げるのか」と怒ったということである。吉田監督も同じことで怒っている。しかし、温水のほうは「バーバラが上げてくれというから上げた」とのこと。何が本当なのかわからないけれども、これが本当だとすれば、二つの意味で非常に重大な問題である。
まず一つは、バーバラが怒った理由である。確かに、バーバラの言っていることは正しいのだ。第3セットからバーバラは明らかに落ちており、その状態でバーバラにばかり打たせて勝てるはずがない。しかし、これをバーバラが言うのは全く筋違いであり、監督かコーチが言うべきことである。バーバラはあくまでも、「自分に上がったトスは全部決める」「全部私に回して!」くらいの気持ちでいなければならない。
もう一つは、チーム内で意志の疎通がとれていないことである。セッターとエースで考えていることが全く逆、チームがばらばら。これで勝負になるはずがない。

オレンジは前日にNECにストレート負けしたのに続き、東洋紡にもまさかの敗戦。しかし、オレンジの主力ほとんどが風邪にかかっているとあっては、それも納得である。というか、今シーズンいまいちと思われたNECにストレート負けとか、まして東洋紡に負けるなど、風邪にでもかかっていなければ考えられないことである。「拾ってひたすら大砲に」という単純なバレーでは、決してまともな状態のオレンジを打ち破ることはできないだろう。これは、黒部の試合を見てほぼ確信している。

オレンジ0 (10-15, 10-15, 6-15) 3NEC (1/15)
オレンジ1 (8-15, 12-15, 15-8, 16-17) 3東洋紡 (1/16)

デンソー1 (15-17, 15-5, 7-15, 8-15) 3ユニチカ

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第7戦「天国と地獄の分かれ目に」(1/17)

この日の相手は東芝。今シーズンここまで1勝5敗と低迷している。もちろん絶対に負けてはならない相手、それもストレートで勝たなくてはならない相手である。
この試合の詳細は、ユニチカ対ヨーカドー戦とあわせて、観戦記を見ていただきたい。試合はストレートで勝つには勝ったし、バーバラの豪快なアタックは存分に味わうことができたけれども、デンソーにはこの日もバーバラ以外何一ついいところはなかった。第1セットは、「バーバラにボールを集めて突き放し、ある程度離れたら日本人選手を使いバーバラを休ませる」余裕もあったけれども、第2セット以降はサーブレシーブやアタックの凡ミスが続出、相手に余分な点をやってしまい、そのためバーバラを休ませる余裕は全くなし。この日のバーバラは、アタック決定数は64本、総得点は28点、いずれもストレートの試合としてはおそらくVリーグ史上最悪の浪費である。つまらないミスは多いし、詰めは甘いし、下位チーム相手だから勝てたようなもので、これほど下らない試合をしたら来週連敗することは間違いない、と思われた。

さて、この日の最大のトピックといえば、2勝4敗と下位に低迷していたヨーカドーが、前日にデンソーを破り意気上がっているはずのユニチカを破ったことである。
この日のヨーカドーは、まずはブロックだと思う。ユニチカの速攻にブロックが実によくついており、ブロックにかすりもせずにヨーカドーコートに落ちたボールは本当に少なかった。
もう一つヨーカドーをほめるべき点は、サーブで攻め続けたことであろう。サーブミスも少なくなかったものの、何度もユニチカのサーブレシーブを崩し、サービスエースすら少なくなかった。
この両方とも、前日のデンソーは全くできていなかったことである。

オレンジは「風邪」という思わぬ敵に足もとをすくわれ連敗してしまったけれども、もう1週間すれば今よりはよくなっているだろうし、最終週には日立佐和と東芝と楽な相手しか残っていない。他チームと違って大崩れすることは考えにくく、依然として四強が非常に堅い状況にあることに変わりはない。
NECの最終週の相手はヨーカドーと小田急である。ヨーカドーはこの週連勝し一時の低迷からは脱したとはいえ、NECに勝つのは難しいと思われる。となれば、このチームも2敗での折り返しは堅く、すなわち四強の可能性も高い。
まさかのオレンジの風邪により、暫定首位に立ってしまうことになった東洋紡だが、最終週にユニチカ・デンソーと難敵を残しており、この先全くわからない状況である。
ユニチカはデンソーを破ってせっかく四強に望みをつなぎながら、その次のヨーカドー戦でまさかの逆転負け。これで3敗、さらに最終週は日立・東洋紡といずれも難敵で、四強は極めて難しい状況になった。
日立はすでに3敗、さらにユニチカ・デンソー戦を残しており、やはり四強入りは非常に厳しいと言える。
したがって、この週までの状況を整理すると、四強を確定的なものとしているのがオレンジとNECであり、東洋紡もかなり有利な位置につけている。

星勘定としては、前半戦折り返し時点で四強のラインは2敗である。オレンジとNECは確実に2敗で折り返すだろうし、東洋紡も2敗以内の折り返しの確率がかなり高いので、3チームが2敗(以内)折り返しと考えなくてはならない。だから、前半戦3敗では四強戦線から脱落ではないものの、厳しくなる。もちろん前半戦で4敗すればその時点で四強の望みはなくなる。

ここまでの議論は「通算順位4位以内」という議論だったけれども、現時点でこれだけ混戦となると、前半戦優勝ということもあわせて考えなくてはならない。前半戦優勝を決める最大のカギとなるのは、前半最終日のデンソー対東洋紡戦である。東洋紡は最終週に連勝すれば、文句なく前半戦優勝である。しかし、最終週の片方でも負けた場合、東洋紡は勝ち試合で落としたセットが多いので、セット率でオレンジとNECが上回ることになるだろう。オレンジとNECのどちらがセット率で上に行くかは、オレンジの主力が風邪からどれだけ回復するか、あるいはNECがヨーカドーにどれだけ手こずるかというファクターがあり、全く見当がつかない。

さて、肝心のデンソーは、星勘定という意味ではまさに当落線上にあるといえる。デンソーにも(これはほぼ数字だけの議論だが)自力で前半戦優勝を決められる可能性がわずかに残っている。最終週の2試合を失セット1以内で連勝すれば、他チームの結果に関わらず、前半戦優勝、すなわち四強進出の権利を得られる。一方、最終週の2試合のうち1試合でも負ければ、四強さえも難しくなる。まさに崖っぷち、そして天国と地獄の分かれ目に来ているのである。

エアリーの星勘定とすれば、ここまで2敗は私としては計算通り、というか、「ここまで2敗で乗り切れれば」と思っていたくらいである。負ける相手としては、オレンジとNECを想定していたわけだが。そして、ここまで2敗で乗り切れれば、前半戦最終週は1勝1敗で何とかなる、と考えていた。最終週に2勝しなくてはならないというのは、どこかで計算が狂ったわけである。
その狂いは、前半戦2敗以内のチームが予想外に多く出てしまうことである。そのため、四強ラインを前半戦3敗と見ていたのだが、前半戦2敗に上がってしまった。その原因ははっきりしている。オレンジがNECと東洋紡に連敗したからに他ならない。これがなければ、2敗以内のチームがこれだけ多くなることはあり得なかった。だから、四強確保のためにはオレンジが負けたことはデンソーにとってマイナスだ、と言ったのである。

私は第1週終了後の日記に、「この週はどちらに勝ちにいくのかはっきりさせて、もう一方は捨てるくらいのつもりでないと両方とも勝てないだろう」と記した。それくらい難しい相手なのだ。エースとチーム全体の決定率の比較などから、日立は当時考えていたより勝てる可能性は高いという結論には達したけれども、それでも両方に勝つのはおそらく無理な相談である。それにもかかわらず、両方とも勝たなくてはならないというのだから、「崖っぷち」と書いたのである。
あえて片方をとる、とすれば日立である。東洋紡には先に行かせてもよい。現在のチーム状況からしても、日立のほうが勝てる可能性が高い。最低限日立に引導を渡せば、次の東洋紡戦を落としても四強に首の皮一枚つながる。逆に、日立戦に負ければその時点で四強の望みはほぼ消える、と思ってもよい。今度こそ後はない。

私設応援団としてエアリービーズの試合をずっと見て回っている人によると、この週の試合は今シーズンのエアリーとしては悪い部類に入るという。このような試合をしてNECに勝てるわけはないし、数字を見ても第2週までは日本人選手の決定率も5割近いから、それは確かなことだが。このチームは若い選手ばかりでしかもバーバラが中心のチームだから、20試合前後すれば3,4試合は限りなく零点に近い内容の試合があるだろう。そうだとすれば、内容が零点でも結果としてストレート勝ちを拾ったということは、むしろプラスに考えるべきかもしれない。
しかし、この週のような試合をしていては、四強の可能性はない。翌週の決戦に向けて、不満と不安ばかりが残った。

ユニチカ1 (15-13, 4-15, 8-15, 10-15) 3ヨーカドー

デンソー3 (15-4, 17-16, 15-10) 0東芝

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第8戦「嵐の決戦前夜」(1/23)

この日記を開始して以来、あまりにも間抜けなことばかり書いてことごとく外している私であるが、今週もまた思い切り外された。外してくれたのはヨーカドーである。
あのチームはNECに対して何か計り知れぬ縁というか、相性というものを持っているらしい。NECの連勝を一昨年13で、昨年は14で止めたのは、いずれもヨーカドーだったのだ。だからひょっとしたら今シーズンも、という淡い期待は抱いていたけれども、まさか本当にロケットをオホーツク海に撃ち落としてくれるとは思わなかった。
ユニチカが東洋紡をフルセットの末破ったというのも驚いたことは驚いたけれども、これで逆に何となく納得できた部分もある。エアリーにとって(あるいはオーキスにとっても多分)、四つに組むことさえできない相手はオレンジだけかと思っていたけれども、ユニチカもおそらくその部類に入る、ということである。オレンジと(よいときの)ユニチカは割と近いという印象もある。ただし、オレンジとユニチカでは、アタック力もブロック力もオレンジのほうが上だが。

デンソーは日立戦。この試合に負ければ本当に四強絶望といえる試合だったけれども、ストレートで勝ち、四強に望みをつないだ。
しかし、内容的にはまだまだ問題がある。チームフォルト(アタック・サーブ以外のミス)が失点5、サイドアウト5。何なのだこの多さは。第2セットは9-14で日立にセットポイントを握られながら逆転で取ったとのことだが、ミスが少なければ、先に相手にセットポイントをとられる自体そもそもなかっただろう。アタックで相手を圧倒し、ブロックでも互角、サーブでも相手を崩しているのだから、もっと楽に勝てるはずの試合である。

この日の試合結果により、エアリーは残る東洋紡戦に勝ちさえすれば他チームの結果に関わらず前期優勝というところまでやってきた。しかし、もし負ければ、四強も容易でない状況に陥ることには全く変わりがない。

NEC1 (15-5, 11-15, 6-15, 13-15) 3ヨーカドー
東洋紡2 (13-15, 15-5, 15-9, 9-15, 10-15) 3ユニチカ

デンソー3 (15-12, 16-14, 15-5) 0日立

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第9戦「バーバラ対アル!史上最大の決戦!!」(1/24)

悲願の初のステージ優勝に向けて、デンソーが最後に残した最大の難敵が東洋紡である。デンソー対東洋紡といえばすなわちバーバラ対アル。このカードは、この両チームの星がどんなに上がらなくても、現在世界最強といわれる両エースの意地がぶつかり激戦を演じてきた。デンソーが4連続ストレート負け、東洋紡もレグ1勝3敗(その1勝もフルセット)と沈んでいた昨年の第2レグでさえ、史上最大級の打ち合いとなった。ましてこれが前期優勝のかかる試合となれば、どれほどのことになるだろうか。

そして、試合はその期待を裏切らぬ恐ろしい展開となった。私は残念ながらこの試合を見ることができなかったので、このページは応援団の方々の報告の引き写しとなる。エアリーは今シーズン初めて、1,2セットを続けて落とすという苦しい展開。第3セット、バーバラにアクシデント発生。足を引きずっている。誰が見てもストレート負けと思われる展開だった。(このとき、吉田監督が選手を叱咤した言葉が、「1セットくらいとらないと、後半厳しくなるぞ!」とのこと。監督さえ完全に負けを覚悟していたのだ。)。しかし、この後バーバラが、今シーズンは封印していた(ユニチカ戦で1,2回だけ見せたが)必殺のジャンプサーブを見せる。連続サーブポイントで流れは一気にデンソーへ。第3,4セットを取り返し、試合はフルセットに突入した。
最終セットは世界最強の両エースの一歩も譲らぬ打ち合いとなった。取られれば取り返すという展開。この状況で、両エースのオープンあるいはバックアタックは必殺技である。それは、その必殺技を防がれれば、逆に相手の必殺技を食らい致命傷になるということでもある。バーバラのバックアタックを拾い、アルが決め返し、12-10と東洋紡が先に2点差をつけた。そしてこのまま14-12で東洋紡のマッチポイント。バーバラのバックアタックで14-13とするも、これでデンソーのサーブになる。当然打ってきたのはアル。しかし、デンソーがここでブロック3枚ついた。最大のピンチを逃れ同点に。最後はアルがアタックをふかしてしまい、21-19。劇的な逆転勝ちで、前期優勝を手にした。(詳しくは、みょーさんの書き込みを掲示板で見ていただきたい。もしこの書き込みがあふれて消えていたら、バックナンバーVol.4でご覧になれます。)
東洋紡は、前日のユニチカ戦もセットカウント2-1とリード、この試合では第1,2セットを連取しながら逆転負け。あるいは、12月25日の途方もなく長いヨーカドーとの試合でも、最終セット13-11とリードしながら逆転されてしまった。やはり最後の勝負所でアルが疲れてしまうのだろうか。

この日のバーバラは、打数158・決定数80・アタック得点31・総得点38、昨シーズン第3レグの東芝戦に次ぐ記録となった。一方のアルタモノワは、打数132・決定数60・アタック得点23・総得点27。昨シーズンの第2レグの試合を上回り、まさしく歴史的な打ち合いとなった。その死闘を制して、前期優勝にたどり着いた。来シーズンからは25点先取のラリーポイント制に移行するため、これを上回る打ち合いは数字的にほぼあり得なくなる。この試合がVリーグ史上最大のエースの激闘となることは決定的となった。いや、Vリーグだけでなく、他の国のリーグあるいは国際試合を見ても、これだけエースが打ち合った試合は、女子ではまずないだろう。
この世紀の決戦を見られた人が本当にうらやましいとしか言いようがない。

試合が終わった瞬間、観客席は大興奮。(デンソーの関係者は20人くらいしかいないはずなのに。)選手は涙を流していた。インタビューが終わった後、バーバラが涙を流しながらアリーナを飛び越え、観客に向かって手を差し出した。
エアリーにとって金沢は一つの伝説が誕生した地となった。

ありがとうバーバラ!
前期優勝おめでとう!エアリービーズ!!

デンソー3 (11-15, 4-15, 15-11, 15-7, 21-19) 2東洋紡
この試合の記録

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前半戦総括「紆余曲折と最高の結末」

長い苦しい前半戦だったと思う。黒部のオレンジ戦、丸亀のユニチカ戦に負けた後は、これで四強さえも厳しくなるかと思われた。また、勝ってはいても内容に不安を抱く試合も何度かあった。しかし、終わってみれば7勝2敗。考えられるほぼ最高の成績である。そして前期優勝という、願ってもない結果になった。

私は今シーズンのベストのエアリーを見たことがないので断言はできないけれども、現在のエアリービーズは、まともに打ち合ってくるチームに対しては恐ろしく強いらしいのだ。NECも日立もストレートで粉砕、最後の東洋紡戦も2セットダウンから最終セット19-19までもつれた死闘を制した。しかし、それも当然といえば当然のことである。大砲どうしの打ち合いになれば、バーバラが世界で一番強いに決まっている。バーバラはいつも、(まともに打てるのは)自分一人しかいないというチームで試合をしているからだ。ロシアの選手はそうではない。特にソコロワは、いくらオールラウンドプレーヤーといってもナショナルチームではセンターで高いトスを打ちまくることは本業ではない。
そして、ゴディナのNEC・ソコロワの日立・アルタモノワの東洋紡と次々破って前期優勝を果たしたことは、バーバラこそ世界一のエースである、という何よりの証明でもある。

逆に、速い攻撃ができて振り回してくるチームが相手だと、このチームはあっけなく崩れてしまう。オレンジ戦もユニチカ戦もそうだった。優勝を狙うためには、オレンジは絶対避けて通れない相手である。どうやってサーブで崩すか、そして速い攻撃に対してブロックはどうするのか、このあたりを根本的に考え直す必要がある。

振り返ってみれば、最大の番狂わせは、オレンジが主力の風邪により第3週に連敗したことだろう。これがなければ、エアリーに前期優勝のチャンスはなかったことは事実である。しかし、勝負事に「たられば」は禁句であるけれども、もしオレンジに風邪などなく、全勝で突っ走っていたとすれば、3敗のチームがなくなっていたことになる。エアリーの前期優勝は消えてしまうけれども、3位以下には勝ち星2つの差がついていたことになる。言いたいのは、前半戦2敗で乗り切ったということで、どのみち四強は極めて堅くなっているのだ、ということである。逆に、エアリーが最終戦の死闘に敗れ3敗になっていれば、オレンジが敗れたことがエアリーにとって極めて不利に作用しただろう。
それに、オレンジの風邪以外にも、ヨーカドーがNECを撃ち落とすなどいくつかの複合的な要因がなければ、エアリービーズの前期優勝はなかったのだ。(特に、プリオールには足を向けて寝られない(笑))

さて、オレンジが主力の風邪によりまさかの連敗、あるいはヨーカドーの突然の大爆発など、第3週以降荒れ模様の展開が続きどうなることかと思われた四強争いも、前半戦が終わってみればかなり情勢がはっきりしてきた。2敗がデンソーとオレンジ、3敗がNECと東洋紡で、決勝ラウンドがこの4チームで争われる可能性は高くなってきた。
4敗には日立、ユニチカ、ヨーカドーの3チームが並んでいるけれども、セット率の関係上、自力でNECまたは東洋紡を追い越すことが可能なのは日立だけである。しかし、日立は大砲がいるチームには全部負け、特にアルの東洋紡とバーバラのデンソーにはいずれもストレート負けである。まともに打ち合ってしまい歯が立っていないことがうかがえる。勝負という意味では、ユニチカやヨーカドーのほうが何をしでかすかわからない面白さがある。ヨーカドーはNECと東洋紡、ユニチカはデンソーと東洋紡に勝っている。しかし、この両チームには自力で逆転の可能性は残っていない。すなわち、後半戦でNECまたは東洋紡より2試合多く勝たなくてはならないということである。今シーズンは10チームに増えたため後半戦は9試合あるけれども、そのうち2,3チームに対しては四強を争うチームなら確実に勝てる(それもストレートで勝つ可能性が大きい)と思われるので、実際にはそれを除く6試合程度で2試合多く勝たなくてはならない。もともと力のあるチームをそれだけ上回らなくてはならないのだから、かなり難しいことである。

大筋で先が見えてきたとはいえ、チーム間の相性の問題もあり、まだまだ四強争いは胃の痛くなるような争いが続きそうである。その争いからいち早く抜け出すことができたのは本当によかったと思う。
しかし、現状としてはまだ四強進出が確定したというところに過ぎない。これからも気を抜かず、もっと上を目指してほしい。そしてエアリービーズのファン、バーバラのファンを増やしてほしい、と願っている。

いったいどうして、バーバラはいつもこれほどまでに熱いのか。世界選手権のベスト8進出も、まさに「薄氷を踏む」ような厳しい試合の連続だった。そして今回の東洋紡戦。2セットを先取され、さらにバーバラにアクシデントが発生するという、誰が見ても絶望的な状況からの2セット連取。最終セットに入ってからも、自チームのサーブで相手のマッチポイントという全く後のない状況からの逆転。
これだけ熱い話を考えようとしても、私には絶対考えられない。この続きを作ることができるのは、バーバラ本人だけである。
日本におけるバーバラの伝説の最後が、最高の形で終わるよう願っている。

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前半戦各チーム講評

デンソー
BSで放送された2試合、そして黒部でのオレンジ戦はひどいものだったけれども、それ以外の試合については、昨シーズン「ここがよくなれば」とくどいほど言ったことが実現されていた。日本人選手でサイドアウトがとれるようになり、ブロックも昨シーズンより大幅に増えた。その結果が前期優勝という最高の形となった。

オレンジ
大砲はいないけれども、強力なブロック、ゼッターランドの速く正確なトス回しで各チームを翻弄しているのはさすがである。守備も安定しており、大崩れはまずないチームである。シーズン中に主力の大半が風邪をひくとは、プロ集団にはあるまじき失態だったけれども、優勝本命であることに変わりはない。

NEC
優勝対抗と見ていたけれども、意外と成績が伸びず6勝3敗、しかもそのうち1勝は主力ほとんどが風邪にかかっていたときのオレンジから拾ったもの。負けた試合を見ていないので何が悪いのか見当がつかないけれども、一つ考えられるのは、大懸が本来の調子に戻っていないということ。このチームはゴディナという大砲はいるものの大懸がチームの中心、それだけ大懸にかかる負担は重い。

東洋紡
私も含めほとんどの予想では四強に入っていなかったけれども、前半戦は優勝争いの中心となった。アルタモノワが頼りの状況は相変わらずだが、このチームも昨シーズンに比べまとまりがよくなって大きく浮上した。このチームの場合、昨シーズンより守備が向上したことが大きい。前半最終週の連敗は、数字で見ると、アルタモノワの決定率が落ちてきた(週ごとに見て最低)一方で、勝負所でアルタモノワに頼りすぎた(依存度は最大)ことが原因かもしれない。

日立
私はシーズン前はこのチームが四強に入ってくるのではないかと思ったけれども、5勝4敗で5位、上位チームに一つも勝っていないので四強は苦しいと思われる。(シーズン前に一度も見たことがなかっただけに、逆に過大評価してしまった面はあるかもしれない。)3連勝した第1週はよかったけれども、第2週以降急激に日本人選手の決定率が落ち込み、早い話が「リューバ一人」状態。レフトに福田、センターには江藤・多治見の全日本センター線がそろっているのに、日本人選手の決定率は4割を下回り、これはデンソー・東洋紡よりも悪い。アタックでセンター線を使えていないことがうかがえる。

ユニチカ
木村の成長・熊前の加入で、アタック力は上昇している。また、江越のブロックも好調。その攻撃力と伝統の粘りがかみ合えば、上位チームを食う力はある。しかし、守備については不安があるというか、試合によって出来不出来の差が大きい。攻撃も含めて、好不調の波の激しいチームになってしまったという印象を受ける。

イトーヨーカドー
セッターをNEC関西から移籍の南井に固定したら勝ち始めた。後期最大の焦点となるチームの一つと思われる。しかし、このチームのファンの間には、その場しのぎで勝ちにきているという批判もある。それは、セッター佐々木構想が頓挫したことに加え、ペレスへの依存度が次第に上がっていることもそうであろう。アタック決定率は週ごとに上がっているけれども、その大半はペレスが上がった分であり、日本人選手の深刻な決定力不足が解消されたわけではない(日本人選手の決定率は3割台のまま)。
しかし、来シーズン以降を見据えた議論などできるのは、贅沢なのだ。大砲がいなくなった次のシーズンのことなど考えられない、という状況にあるチームもいくつかあるのだから。

日立佐和
シーズン前は台風の目という予測もあったけれども、ここまでは力不足を露呈してしまっている。数字的には、アタックはこの程度かと思うけれども、ブロックが少ない。やはり大砲にどかんとやられてそれで終わってしまい、このチーム本来の良さが出ていないという気がする。

東芝
決定力ないねえ、としか言いようがない。また、サーブレシーブのミスをもっと減らさないといけない。

小田急
これほど弱いチームではないと思う。サーブカットがきちんとできれば、日本人アタッカーとしてはなかなかの力が出ると思う。勝っていない、セットもとれていないということで、若いチームだけに、技術的なもの以上に精神的に落ち込んでいる部分が大きいのではないか。

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