第5回Vリーグ(1998-99)観戦記(第3週以降)

ユニチカ対デンソー(1/16丸亀第1試合; NHK-BS)
ヨーカドー対東芝(1/16丸亀第2試合; NHK-BS)
デンソー対東芝(1/17丸亀第1試合; NHK-BS)
ユニチカ対ヨーカドー(1/17丸亀第2試合; NHK-BS)
オレンジ対日立(1/30甲府第1試合; NHK-BS)
日立佐和対東芝(1/30甲府第2試合; NHK-BS)

Notice: 「連続得点」には、失点をしない間に得点を続けること(つまりサイドアウトがあってもよい)を指す場合と、サイドアウトなしに純粋に得点が続くことを指す場合がある。この観戦記では、連続得点という表現は、特に但し書きがない限り、後者のサイドアウトなしに得点が続くという意味で使うことにする。


ユニチカフェニックス対デンソーエアリービーズ(1/16丸亀第1試合; NHK-BS)

デンソーはこの前の週に2連続ストレート勝ち、しかもその相手の一方は優勝の対抗と見られていたNECである。だから、強くなったエアリービーズが見られるのかと期待していた。
デンソーのセッター温水、ユニチカのセッター磯辺は共栄学園高出身で同い年。共栄学園高三冠のときにはツーセッターを組んでいた。そのセッター対決という点でも注目される試合だった。

しかし試合は第1セット序盤から、その期待を見事に裏切る展開となる。第1セット序盤、まずセンター線でサイドアウトを取りに行ったり、あるいは日本人選手をコンビで使ったりする場面もあったけれども、全く決まらず、逆に木村などに決め返されて失点。アタックに全然力がない。かくして、サイドアウトを取りにいくときでもひたすらバーバラという展開となる。それでも、第1セットの間はバーバラは絶好調で、6割近い決定率を上げていた。それでももちろん100%ではない。バーバラを拾われたりブロックされたりすれば、ほとんど失点につながった。それでもユニチカ2点程度のリードという展開が続き、12-10ユニチカリードの場面から、この試合初めてに近いブロックで2点、さらにバーバラのバックアタックが決まりデンソーが13-12と逆転する。ユニチカは熊前のアタックで同点とするも、デンソーが先にセットポイントを握った。しかし、デンソーにはセットポイントを握ってから攻めの姿勢が全く感じられなかった。一方、ユニチカはセットポイントを握られてからもミスを全くしなかった。このセット、デンソーのセットポイントは何度となくあったけれども、ユニチカの攻撃を拾ってデンソーが攻撃できる形になった場面はほとんどなかったと思う。15-15の場面で長いラリーを熊前に決められたとき、このときはサイドアウトに過ぎなかったけれども、このセットは絶対にユニチカに取られると確信した。そして、15-15から、バーバラのアタックがアウトしてユニチカに逆にセットポイント、事実上万事休すとなった。ブロック一発で決められて、この長いセットを17-15でユニチカが取った。

第2セットも序盤は競り合いとなった。しかし、5-4ユニチカリードの場面から、ユニチカのアタックが連続してミス、さらにドリブル。この後バーバラのアタックが決まり7-5とデンソーが逆転、この後デンソーの一方的な展開となった。このセットはユニチカのアタックをよく拾い、日本人選手が決めて得点する場面も何度かあった。最後の2点は、ラリーから最後セッターの温水がアタッカーとして打ったものが決まっての得点だった。

第3セット、序盤はサイドアウトが多く長い展開となった。しかし、第3セット序盤から、バーバラが急降下してしまう。第3セット1-1の場面から6-2ユニチカリードとなる間に、14本打って決まったのがわずか3本。翌日の試合の解説で膝を痛めているらしいということが判明するけれども、これではデンソーは手の打ちようがない。それでもバーバラ、三浦、温水のアタックなどで7-6までは追い上げたものの、ここからはバーバラのブロックが面白いようにユニチカのブロックにつかまる。ユニチカの一方的な展開となった。磯辺のツーアタックが決まり、14-7とユニチカがセットポイントを握る。その直後、温水が意地になってツーアタックに出たらブロックされ、このセットは15-7でユニチカ。これを見たときは本当にあきれるしかなかった。

第4セットもバーバラのアタックがブロックされ、さらにバーバラがブロックをいやがりアタックアウト、ホールディング、レシーブミスも出て、ユニチカが5連続得点。5-3とユニチカリード。この後、6-5となった時点でBSニュースが入る。おそらくこの間にサーブレシーブの乱れがあったのだろう、わずか3分のニュースの間にユニチカが6点を入れていた。バーバラのアタックがアウトでユニチカがさらに1点追加。これで勝負あった。最後はアレンのアタックが決まり、ユニチカの15-8。

実に失望させられる試合だった。失望した、以外の何の感想も思い浮かばないほどである。
要するに、このチームは昨シーズン以来何も良くなっていない。NECに勝ったのだから少しは良くなっているのだろうと思っていたけれども、その期待を完全に裏切る試合を見せてくれた。黒部のオレンジ戦よりもっと悪くなっている。オレンジ戦でさえ、第3セットにブロックで見せ場を作り、このセットを奪った。

サイドアウトを取りに行くのもバーバラという単調な攻撃では、どんなチームでもブロックで止めてくる。いやしくもVリーグのチームであればそれくらいできる。
とはいっても全部温水が悪いわけではなく、日本人アタッカーの力不足も半分以上責任がある。センター線の速攻を使ったり日本人選手で時間差とか、少しはあったけれども、ほとんど拾われていた。第2セットを除けば、日本人選手のアタックは全く決まる気がしなかった。
バーバラも第2セットまではよかったけれども第3セット以降は最悪最低。連続ブロックを食らい、コースを狙いすぎてアウト、世界選手権のイタリア戦以来何度も見たけれどもバーバラの最も悪いところだ。バーバラはこの試合で足を痛めたということが後で判明した。おそらくそれが第3セットだったのだろうけれども、力一杯ジャンプできないのなら、力任せにたたきつけようとするのではなく、コースを変えるなり緩急をつけるなりしてかわすことが必要である。
ブロックは試合の最後までほとんど出ていなかった。特に第3セット以降はほぼ皆無だった。つまり、ユニチカのスピードとバリエーションに最後までついていくことができなかったわけである。
もう一つ、この日もサーブで攻めることが全くできていなかった。オレンジ戦の観戦記でも同じことを書いたけれども、磯辺にExcellentのサーブカットが返っている限り得点のチャンスはほとんどないのだ。どうしてサーブでもっと攻めようとしないのか。逆に、デンソーには肝心の場面でサーブレシーブの乱れが目立った。

試合の流れとしては、第1セット何度となくセットポイントを握りながら落としたのが全て(あれでバーバラをとんでもなく無駄遣いしたから)だけれども、この戦い方ではどのみちユニチカには勝てない。それどころか、東芝相手でもこれでは勝てないと思われた。

ユニチカは、試合を見るたびによくなっているような印象を受けた。今日は江越のブロックがすごかったし、熊前も最後までコンスタントに決めていた。セッター対決という点では、言うまでもなく磯辺の完勝。ここまで力の差が開いているものか、とさえ感じられた。これまで、白状するとユニチカ四強はかなり可能性が低いと思っていたが、このくらいの試合がいつもできれば四強の可能性も高くなってくる。さらに、この日のデンソーに対する戦い方は、残る難敵の東洋紡、日立にも通用するものがあろう。

スタメンおよびサーブ順
ユニチカ: 15 磯辺 → 16 苧坂 → 9 熊前 → 7 許 → 8 江越 → 10 木村
デンソー: 12 温水 → 8 小野 → 10 三浦 → 22 イエリッチ → 3 藤田 → 4 草深

1999/1/16 14:05-
Marugame Citizen Gym.

  Unitika - Denso
        3 - 1
1st    17 - 15       40 min.  5-3 10-8 12-10
2nd     5 - 15       21 min.  5-4 5-10 5-12
3rd    15 -  7       26 min.  5-2 10-6 12-6
4th    15 -  8       20 min.  5-3 10-5 12-5
Total  52 - 45  1 h. 47 min.

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イトーヨーカドープリオール対東芝シーガルズ(1/16丸亀第2試合; NHK-BS)

この試合の前まで、この両チームとも極度の決定力不足にあえぎ、1勝4敗と低迷、連敗脱出をかけた試合となった。

第1セット、互いに決定力不足に苦しむチームだけに、アタックはなかなか決まらない。両チームともブロックが出ると3〜4点を連続得点するというパターンで、8-9東芝リードまでは追いつ追われつの展開となる。ここから抜け出したのはヨーカドーのほうだった。10-9と逆転した後、ガビーのバックアタック2発、足立のアタック、南井のサービスエースなどで、最後は5連続得点。このセットは15-9でヨーカドー。

第2セットは相手のミスにも助けられ序盤東芝が5-2とリード。それからは逆にヨーカドーがブロックと相手のミスで追い上げ、6-6となる。しかし、ヨーカドーにサーブレシーブのミスからオーバーネット、森のアタックなどで東芝が9-6とリードした後、セーンムアンのアタック2発、野村のブロック、ヨーカドーのアタックあるいはコンビのミスで、東芝が6連続得点。15-6と一気にこのセットを取った。

第3セットはラリーで東芝が勝り、次第にリードを広げていく。中盤森のアタック2発、セーンムアンのアタック2発で4連続得点、10-3と東芝が大きくリード。さらに神田の2連続アタック得点などで、東芝が14-3で最初のセットポイントを迎える。その後ヨーカドーが1点を返すものの、最後は神田のブロックで、このセットは15-4と東芝が一方的に取る。

第4セットは序盤はヨーカドーがややリードしながら進行するけれども、8-5ヨーカドーリードから東芝が追い上げ、一時は9-8と逆転する。しかし、9-9の同点で小谷のブロックが出て10-9とヨーカドーが再度リードしたところから、一気に流れはヨーカドーへ。セーンムアンのアタックミス、山下と小泉のアタック、足立のサービスエースと続き、5連続得点で一気にセットポイントを迎える。東芝はセットポイントを2度しのいだけれども、サイドアウトを繰り返す間にガビーが前衛に上がってきてしまった。最後はガビーのブロックで、ヨーカドーが15-9でこのセットを取り、試合はフルセットに突入した。

最終セット、先にサーブを打ったのはヨーカドーだったけれども、そのサーブ順でヨーカドーが2点を先制。森のアタックがアウトし、6-3とヨーカドーのリードが広がる。ここでガビーが後衛に。案の定、ガビーのバックアタックをブロックされ6-5、さらにガビーのバックアタックがアウトして同点となった。しかし、8-7ヨーカドーリードでヨーカドーのサーブの場面で、足立・小泉のブロック、小泉のアタックで、ヨーカドーが3点を連取、11-7とヨーカドーリード。ところが、西村のアタックで1点返した後、神田のアタックによる2点、さらに神田にブロックも出て、東芝が一気に同点に追いつく。ヨーカドーは小泉のアタックで何とかそれを切ると、その後の長いラリーを最後小泉が決めて、再び2点のリードを奪う。振り返ってみればここがこの試合最大の山場だった。さらにガビーにブロックも出て、14-11でヨーカドーがマッチポイントを迎えた。最初のマッチポイントは神田のアタックで逃れ、さらにガビーのアタックがアウトして14-13。しかし、最後はガビーがきっちり決めて、15-13。ヨーカドーが連敗を3で止めた。
この試合全体を象徴するかのように、両チームの間を流れが何度も行き来し、面白いラリーポイントのセットだった。しかし、結局のところ東芝は一度もリードを奪うことができなかった。

これまでヨーカドーはガビーが後衛に下がったときに守りに入って連続失点するパターンが続いたけれども、この試合はガビーが後衛に下がっている間も日本人選手がよく踏んばった。第1セット、第4セットを決めた終盤の連続得点、さらに最終セット8-7から11-7まで離した連続得点は、いずれもガビーが後衛に下がっている間に生まれたものである。

スタメンおよびサーブ順
イトーヨーカドー: 1 小谷 → 3 小泉 → 11 山下 → 5 ペレス → 16 南井 → 6 足立
東芝: 99 セーンムアン → 4 野村 → 0 西村 → 7 神田 → 21 森 → 9 古井

1999/1/16 16:30-
Marugame Citizen Gym.

   Yokado - Toshiba
        3 - 2
1st    15 -  9       19 min.  4-5 10-9 12-9
2nd     6 - 15       20 min.  2-5 6-10 6-12
3rd     4 - 15       20 min.  1-5 3-10 3-12
4th    15 -  9       24 min.  5-3 10-9 12-9
5th    15 - 13       14 min.  5-3 10-7 12-11
Total  55 - 61  1 h. 37 min.

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デンソーエアリービーズ対東芝シーガルズ(1/17丸亀第1試合; NHK-BS)

この日のデンソーの相手は、ここまでわずか1勝で9位に沈んでいる東芝である。四強を目指すためには絶対に負けてはならない相手なのだが、前日の試合内容からすると、この日の試合も非常に心配された。

第1セットは、東芝の極度の決定力不足からラリーでデンソーが優位に立ち、5-3とリード。ここから東芝のサーブレシーブが安定せず、速攻に持ち込むことができず攻撃が単調になり、ことごとくブロックされるか、あるいは拾われて最後はバーバラに決められた。アタックで4点、ブロックで2点、全てがバーバラの得点の6連続得点で、11-3とデンソーが大きくリード。この後バーバラが後衛に下がった場面で、温水はバーバラをしばらく使わず、日本人選手に打たせてサイドアウトをとり続けるという余裕も見せた。次にバーバラが前衛に出たときに、再度ラッシュ。サービスエース、神田のアタックアウト、そしてバーバラのアタックで4連続得点、このセットはいとも簡単にデンソーが取った。最後は東芝のサーブレシーブのミスでデンソーにチャンスボールが返ってきて、それをバーバラが決めた。

第2セットも、序盤はバーバラのアタックで4-1とデンソーがリードするものの、野村のブロック、セーンムアンにサービスエース、さらにコンビミス、そして神田のアタックで4連続得点、逆転を許す。この後デンソーはすぐに小野の2連続サービスエースで逆転。しかし、これ以降もデンソーは流れに乗れそうな場面でサーブミス、アタックのミス、サーブレシーブのミスが続出、みすみす東芝に点をやってしまう。そのような展開が続いたけれども、12-12から、バーバラと藤田の連続ブロックでデンソーが先にセットポイント。しかし、これを神田のアタックで逃れられると、またしても草深にアタックミスが出て1点差。さらにサービスエースで同点。バーバラのバックアタックで15-14と再度リード、セットポイントを握るものの、これでも決めることができない。サーブレシーブのミスからまたも同点。16点めもバーバラのアタックでデンソーが先に入れる。しかし、それでもセットポイントを逃し続け、さらに野村のアタックがラインぎりぎりに決まりついに16-16。デンソーの選手は激しく抗議するが受け入れられず。前日の第1セットと同じような展開で、このときは間違いなくこのセットは落としたと思った。この後はバーバラと神田の打ち合いが続き、互いにセットポイントをものにできない。しかし、勝っていないチームというのはこのようなものだろうか。デンソー通算9度目のセットポイントで、セーンムアンのアタックがアウト。17-16で、このセットもかろうじてデンソーがものにした。このときは本当にほっとした。ミスが少なければ全然楽にとれたはずのセットである。

第3セットも相変わらずバーバラは快調にとばし続ける。相手のアタック力が極度に不足していることもあり、拾って最後はバーバラ、これが決まるたびに点差が開いていく。またしてもバーバラのバックアタックでマッチポイントを迎えた。しかし、このセットもマッチポイントを迎えてからの詰めが実に甘い。セーンムアンにアタックとサービスエース、森にアタック得点2点で、4点を返される。実に歯がゆい展開。それでもバーバラのアタックで4度目のマッチポイント、最後もバーバラが決めて、勝負としては問題なくデンソーが15-10で取った。

ストレートで勝ちはしたものの、デンソーにとっては実に後味が悪い試合で、勝ったという気分は全くしない試合内容となってしまった。
第3セットの終盤にはバーバラが落ちかかっていたので、もし第2セットを落としていたら、この試合はどうなったか見当がつかない。

前日の試合で151本のアタックを打ったこともあり、この日のバーバラはややジャンプが低かったけれども、それでも面白いようにアタックをたたき込んでいた。バーバラが東芝をまさに「血祭りに上げた」という感じの試合だった。この試合の決定率は実に65%(打数98決定64)、すさまじいとしかいいようがない。
バーバラの豪快なアタックは存分に味わうことができたけれども、デンソーにはこの日もバーバラ以外何一つと言っていいほどいいところはなかった。第1セットは、「バーバラにボールを集めて突き放し、ある程度離れたら日本人選手を使いバーバラを休ませる」余裕もあったけれども、第2セット以降はサーブレシーブやアタックの凡ミスが続出、相手に余分な点をやってしまい、そのためバーバラを休ませる余裕は全くなし。この日のバーバラは、アタック決定数は64本、総得点は28点、いずれもストレートの試合としてはおそらくVリーグ史上最悪の浪費である。つまらないミスは多いし、詰めは甘いし、下位チーム相手だから勝てたようなもので、上位のチーム相手にこれほど下らない試合をしたら負けるに決まっている。

東芝については、決定力ないねぇ、としか言いようがない。特に神田。もう少しばしっと打てそうな気がするのだが。このチームの中で森だけは相変わらず目立っている。アタックだけでなくサーブも強く打てる、このチームには珍しい(?)選手である。

スタメンおよびサーブ順
デンソー: 12 温水 → 8 小野 → 10 三浦 → 22 イエリッチ → 3 藤田 → 4 草深
東芝: 99 セーンムアン → 0 西村 → 4 野村 → 7 神田 → 21 森 → 8 丸山

1999/1/17 13:05-
Marugame Citizen Gym.

    Denso - Toshiba
        3 - 0
1st    15 -  4       19 min.  5-3 10-3 12-4
2nd    17 - 16       33 min.  4-5 10-7 12-11
3rd    15 - 10       31 min.  5-2 10-4 12-5
Total  47 - 30  1 h. 23 min.
より詳しい記録

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ユニチカフェニックス対イトーヨーカドープリオール(1/17丸亀第2試合; NHK-BS)

この対戦は、通常シーズンの成績ではヨーカドーが大きく上回っていた昨シーズンも、決勝ラウンドまで含めてユニチカの3勝1敗。その1敗もフルセットでの負けで、ユニチカは昨シーズン以来ヨーカドーに相性がよい。さらに、ヨーカドーは昨シーズンよりチーム力は落ちている一方、ユニチカは特にアタック力が大幅に上昇している。ユニチカが勝つ可能性は非常に大きいと思われた。

しかし試合は序盤から接戦となる。ヨーカドーのブロックは試合開始からユニチカのスピードある攻撃によくついている。3-2ユニチカリードでユニチカサーブ権の場面から、ヨーカドーに3連続ブロック。4-3とヨーカドー逆転。この後、ユニチカにブロックとノータッチエースが出て7-5ユニチカリード、あるいは江越のブロック2発と熊前のアタックで3連続得点、11-9ユニチカリードという場面もあった。しかし、これで離れるだろうと思っても、ヨーカドーはサービスエースとブロックをお返しし、あるいはブロックでワンタッチをとって逆に決め返し追いついた。しかし、13-13で何度かサイドアウトを繰り返した後、ガビーのアタックがアウトして、ユニチカがセットポイントを握る。最後は熊前が決めて、ユニチカが一発でこのセットをものにした。

これでユニチカが逃げてしまうだろうな、と思ったけれども、第2セットも序盤からヨーカドーのブロックが当たっている。サービスエースも出て3点をヨーカドーが先取。3-2となった後13回のサイドアウトを繰り返すが、ガビーのアタックが決まりヨーカドーに4点めが入ると、その後は一方的なヨーカドーペースに。2〜3点ずつ小刻みに加点し、あっという間に12-2まで差が開いた。ユニチカのサーブレシーブがいまいち安定せず、速攻に持ち込めない場面も少なくない。さらに、速攻に持ち込めたとしてもヨーカドーのブロックにつかれている。ユニチカのアタックはほとんど決まらない。逆に、これまで極度の決定力不足にあえいできたヨーカドーのアタッカーに、それもペレスだけでなくブロックがついていれば簡単に拾えるはずの日本人選手にまで、気持ちよく決められてしまう。最後は足立に2連続アタック得点、さらにヨーカドーのサーブを返せず3連続得点で終わり。このセットはあまりにも簡単にヨーカドーが15-4で取る。

第3セットは序盤は追いつ追われつの展開となる。互いに速攻を一発で決めて終わりという、Vリーグの試合としてはサクサクした展開となり、サイドアウトがかなり多くなる。しかし、8-6ヨーカドーリードの場面から、ヨーカドーのブロックが再度炸裂した。足立、小谷、山下、足立。逆にユニチカはヨーカドーの速攻をほとんど止められない。一気に差が広がり、14-8でヨーカドーがセットポイントを迎えた。ユニチカは一度はセットポイントをしのいだものの、二度目のセットポイントでサーブレシーブをミス。途中で反則をとられ、ヨーカドーが2セットを連取した。

第4セットも序盤はヨーカドーのブロックが当たり、その後ペレス・小泉の二人のアタックを中心に次第に差を広げていく。9-3ヨーカドーリードの場面からは、ユニチカにアタックミスが続出し、得点機を逃し、あるいはヨーカドーにみすみす点をやってしまった。12-4までヨーカドーのリードが広がった後、昨日見られた粘りが少しだけ出てきた。あるいは、ヨーカドーが勝ちを意識して固くなったのか。ヨーカドーのサーブレシーブのミスから3点をユニチカが得点、さらに向井のバックアタックで2得点、13-9と追い上げた。しかし、ラリーから最後はダイレクトスパイクを決められて、ヨーカドーがついにマッチポイント。この後ユニチカは1点を返したものの、最後は小谷のアタックが決まり15-10。

ヨーカドーはまさかの3連続ストレート負けで下位に沈んでしまったけれども、12月23,25日に駒沢で見たときは、それほど弱いチームとは思えなかった。四強争いには必ず絡んでくるチームだと思った。日立・デンソー相手にしても簡単に負けすぎだし、まして日立佐和にストレートで負けるとは思わなかった。あの寒く寂しいクリスマスの夜の死闘を制した―それもこの週までの時点で東洋紡にただ1チーム土を付けたのだ―強いヨーカドーが、戻ってきた。

この日のヨーカドーは、まずはブロックだと思う。ユニチカの速攻にブロックが実によくついており、ブロックにかすりもせずにヨーカドーコートに落ちたボールは本当に少なかった。オレンジとユニチカがスピード追求型のチーム、デンソー・東洋紡・日立あたりが大砲でどかんとやるチームで、NECはその両方の性質を持っていると私は見ているけれども、そのスピードバレーのチームをこれだけブロックで止めまくったのを見るのは珍しい。ユニチカは初戦のNEC戦ではブロックを大量被弾して完敗したけれども、このときはサーブレシーブが大きく乱れユニチカ本来のバレーはほとんどできていなかった。
もう一つヨーカドーをほめるべき点は、サーブで攻め続けたことであろう。サーブミスも少なくなかったものの、何度もユニチカのサーブレシーブを崩し、サービスエースすら少なくなかった。大砲がいないだけに、サーブレシーブを崩せばユニチカを封じるのはそれほど難しいことではない。
この両方とも、前日のデンソーは全くできていなかったことである。
アタックについては、ガビーが決定率6割近く、決定本数も50本以上の大爆発。エースがこれだけ決まっていれば、どうしてもブロックなどもエースにつかざるをえないから、日本人選手が決めるのも楽になる。

一方のユニチカは、まずサーブレシーブのミスが多かった。また、イトーヨーカドーの攻撃にほとんどブロックがついていけなかった。アタックでも、前日大活躍だった熊前がこの日はよくなかった。
そして何より、前日見られた「ボールをコートに絶対落とさない」という粘りが見られず、淡泊な試合になってしまった。レシーブしてふらふらと上がったボールを落としてしまう場面が何度も見受けられた。また、第2セット、第3セットの最後の失点はいずれもサーブレシーブのミスによるもので、相手のセットポイントになってからの集中も欠けていた。

スタメンおよびサーブ順
ユニチカ: 15 磯辺 → 16 苧坂 → 9 熊前 → 7 許 → 8 江越 → 10 木村
イトーヨーカドー: 1 小谷 → 3 小泉 → 11 山下 → 5 ペレス → 16 南井 → 6 足立

1999/1/17 15:00-
Marugame Citizen Gym.

  Unitika - Yokado
        1 - 3
1st    15 - 13       28 min.  4-5 10-9 12-11
2nd     4 - 15       19 min.  2-5 2-10 2-12
3rd     8 - 15       27 min.  4-5 6-10 7-12
4th    10 - 15       29 min.  2-5 4-10 4-12
Total  37 - 58  1 h. 43 min.

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オレンジアタッカーズ対日立ベルフィーユ(1/30甲府第1試合; NHK-BS)

この試合は、四強に残るためにはどちらにとっても重要な試合の一つである。前半戦5勝4敗と後れをとった日立にとっては、このあたりで上位をたたかないと四強の望みはなくなってしまう。7勝で折り返したオレンジにとっても、負けられない試合である。

第1セット、序盤は5-5まで点を取ったり取られたりで競り合いが続いた。そこからオレンジが3連続得点でリードを奪い、一時は9-6とした。その後はサイドアウトを繰り返すけれども、オレンジはサーブミスやアタックミスや反則など、自らのミスで相手にサーブ権をやってしまう場面が続いた。そして吉原のアタックミスでついに日立に1点を献上、流れは次第に日立へ向かう。直後にブロックを食らい1点差。ここでオレンジはタイムアウトをとるものの、大村が多治見に止められついに同点。ここからはまたサイドアウトを繰り返した。しかし、いざとなるとソコロワで逃げられる日立は強い。オレンジは得点できない。佐々木が止められ、斎藤のバックアタックがミスして日立が11-9と逆転。この後ソコロワのバックアタックで12-9となったところで、オレンジは2度目のタイムアウト。しかしその直後、サーブレシーブを2度連続ミス、チャンスボールをいずれも決められ日立にセットポイント。2度目のセットポイントで、江藤のサーブが満永を襲いサービスエース。第1セットは15-9で日立がとる。

第2セットは開始直後に日立にミスが続き、オレンジが2点を先制、日立がリズムをつかめないままオレンジのリードは一時6-1まで広がる。その後日立はソコロワのバックアタックなどで4連続得点。しかし、オレンジは佐々木のノータッチエースなどですぐに突き放す。この後はまたサイドアウトが多く遅い展開となる。しかし、10-7オレンジリードから満永のライトで11-7、サイドアウト2回の後満永のサービスエース、ヨーコが福田を止めて13-7。このあたりでは、オレンジが楽にとれる展開か、と思われた。しかし、このセットもサーブレシーブミスから日立に追い上げを許す。13-11となった後、満永のサービスエースが再度ソコロワを襲い、オレンジがようやくセットポイント。しかしオレンジはセットポイントをものにできない。日立のブロックで追い上げられ、佐々木のアタックミスで同点、そして福田のアタックで逆転。逆に日立がセットポイントを迎えた。オレンジは斎藤のアタックで何とか逃れた。すると、今度はソコロワのアタックミス、ネットタッチと、日立に相次いでミス。最後は島崎のトス回しが単調になったところを大村が止めて、オレンジがかろうじてこのセットは17-15で取った。しかし、好調時のオレンジなら楽にものにしているはずの展開だし、日立のセッターがもっと上手だったらこのセットも逆転で日立がとっている。

第3セットは、日立にブロックが相次ぎ、福田、ソコロワのアタックも決まるなど、立ち上がりにいきなり日立の5連続得点。7-2となった後の多治見のサーブ順で、ネットタッチでまず失点した後、オレンジがサーブレシーブのミスを連発。サービスエース2本を含む7連続得点で、あっという間に日立のセットポイント。最後はソコロワが決めて、日立が15-2と一方的にこのセットをとった。

第4セットは、序盤こそサイドアウトが多く競り合った展開となった。しかし、6-5日立リードの場面で、またしても多治見のサーブでオレンジが崩される。サービスエース1本を含む日立の4連続得点。これで日立の流れは決定的となり、オレンジにこれを追いつく力はもはやなかった。最後はソコロワがアタックで2連続得点。このセットは後半一気に突き放して日立の15-6、四強に向けて大きな勝利を上げた。

全体的な印象としては、日立がサーブでオレンジの攻撃の幅を狭めて、ブロックで仕留めたという印象を受けた。ソコロワと福田の両エースの好調さも目立った。しかし、日立も完璧な試合だったとは言い難い。島崎は相変わらずソコロワと福田に頼りすぎで、第2セットまではトスがアタッカーと合わない場面も目立った。
オレンジは、前半の最終週に順当に連勝し、集団風邪から立ち直ったかと思われた。しかし、この試合では、肝心の所でミス、特にサーブレシーブとサーブでミス目立ち、本来の強さはうかがえなかった。後から振り返ってみれば、この試合は後半戦の急激な転落の始まりだった。

1999/ 1/30 14:05-
Koze Sports Park Gym., Kofu, Yamanashi
Spectator: 1,610

   Orange - Hitachi
        1 - 3
1st     9 - 15       20 min.  5-4 9-10 9-12
2nd    17 - 15       39 min.  5-1 10-6 12-7
3rd     2 - 15       14 min.  0-5 2-10 2-12
4th     6 - 15       25 min.  4-5 5-10 6-12
Total  34 - 60  1 h. 38 min.

スタメンおよびサーブ順
オレンジアタッカーズ: 1 吉原 → 6 ゼッターランド → 2 斎藤 → 8 大村 → 11 満永 → 00 佐々木
日立: 8 島崎 → 7 ソコロワ → 2 江藤 → 10 田中 → 1 福田 → 4 多治見

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日立佐和リヴァーレ対東芝シーガルズ(1/30甲府第2試合; NHK-BS)

この試合は、速さとコンビを特徴とするチーム同士の対戦で、第1試合とは対照的なチームの対戦となった。

8位と9位と、順位的には接近したチーム同士の対戦だったけれども、第1セットは予想外に日立佐和の一方的なペースとなった。序盤から多彩な攻撃で6-1とリード。この後東芝は藩を続けて止めて2点を返すものの、馬場のアタックと東芝の反則で8-3。8-4となった後、大森のアタックが次々と決まる。10-4となったところで東芝はセッターを古井から岡野に交代するけれども、手遅れ。大森のアタックで4点、馬場のアタックで1点、合計5連続得点。この後東芝は2点を返したけれども、最後は戸井田がブロックとアタックで連続得点、15-6でこのセットは日立佐和が簡単にとった。

第2セットに入ると、両チームのセッターのトス回しが安定し、競り合った展開となる。サイドアウトが多く長いセットとなり、両チームとも相手のアタックミスやサーブレシーブのミスから得点する場面が多くなる。序盤は佐和が4-2とリードするものの、東芝が5-4と逆転。その後佐和が再度逆転し次第にリードを広げ、10-7とした。しかしそこから東芝が神田のアタックで追い上げる。佐和のネットタッチもあり、11-10と東芝が逆転。佐和は藩の連続サービスエースで12-11と再逆転、馬場のアタックでさらに1点追加。しかし東芝も森のアタックでまた追いつく。ここでしばらくサイドアウトを繰り返したけれども、佐和が馬場のアタック、戸井田のブロックで一気に2点を取り、このセットも佐和の15-13。

第3セットは、出だしこそ東芝が3-1とリードする。しかし、佐和もすぐに追いつき、藩のフェイント2本連続で逆転。この後、東芝にネットタッチ、ホールディングと相次いでミスが出てから、一方的な佐和のペースとなった。東芝はタイムアウトをとり、セッターを岡野から古井に戻すものの、それでも止まらず佐和の7連続得点。サイドアウト2回の後、馬場がアタックで3連続得点、最後は山田がライトから決めて、一気の猛攻であっという間に佐和が15-3でとり、試合をものにした。

競り合っているときはラリーが続く続く、しかし、オレンジと日立の試合を見た後では、V1リーグの試合のようだ、という印象は否めなかった。しかし、それは一方では両チームのセッターのトスが安定しているということでもある。
しかし、試合展開自体は予想外に一方的なものになってしまった。東芝は古井先発が完全に裏目に出た。このシーズンは、東芝の河本監督の采配が裏目に出る試合が目立ったけれども、この試合もそうだった。

1999/ 1/30 16:05-
Koze Sports Park Gym., Kofu, Yamanashi
Spectator: 1,610

     Sawa - Toshiba
        3 - 0
1st    15 -  6       17 min.  5-0 10-4 12-4
2nd    15 - 13       32 min.  4-5 10-7 12-11
3rd    15 -  3       16 min.  5-3 10-3 12-3
Total  45 - 22  1 h.  5 min.

スタメンおよびサーブ順
日立佐和: 1 板橋 → 12 藩 → 9 戸井田 → 16 山田 → 2 馬場 → 4 大森
東芝: 0 西村 → 4 野村 → 7 神田 → 21 森 → 9 古井 → 99 セーンムアン

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