第5回Vリーグ(1998-99)観戦記(第1週)

オレンジ対ヨーカドー(12/23駒沢第1試合)
NEC対ユニチカ(12/23駒沢第2試合)
日立対東芝(12/23駒沢第3試合)
ヨーカドー対東洋紡(12/25駒沢第1試合)
日立対小田急(12/25駒沢第2試合)
NEC対東芝(12/26駒沢第1試合; NHK-BS)
ヨーカドー対日立(12/26駒沢第2試合; NHK-BS)
黒部遠征
ユニチカ対日立佐和(12/27黒部第1試合)
オレンジ対デンソー(12/27黒部第2試合)

Notice: 「連続得点」には、失点をしない間に得点を続けること(つまりサイドアウトがあってもよい)を指す場合と、サイドアウトなしに純粋に得点が続くことを指す場合がある。この観戦記では、連続得点という表現は、特に但し書きがない限り、後者のサイドアウトなしに得点が続くという意味で使うことにする。


オレンジアタッカーズ対イトーヨーカドープリオール(12/23駒沢第1試合)

昨シーズン圧倒的な強さで優勝を飾ったオレンジアタッカーズ。昨シーズン、そのオレンジアタッカーズと最ももつれた試合を展開したのは、実はNECではなくヨーカドーである。3試合のうち2試合がフルセット、残る1試合も4セットで2時間20分を超える長時間の試合でフルセットの試合まで含めても昨シーズン女子の最長時間試合だった。

第1セット、攻撃力に勝るオレンジが徐々にリードを広げ、9-6オレンジリードから、5連続得点で一気にセットポイントを迎える。ヨーカドーは山下から足立に交代をしたのがかえって裏目に出た形となった。体勢を崩されたときに決め返すことができず、ラリーからオレンジのアタックが続けて突き刺さっての連続失点だった。この後ヨーカドーは4度セットポイントを逃れるけれども、最後はブロックでこのセットはこのままオレンジの15-6。

第2セット序盤はヨーカドーにブロックが出て、さらに長いラリーでオレンジのアタックが最後アウトするなどで、4-1とヨーカドーがリードする。しかしこの後は、ヨーカドーのサーブレシーブが安定せず、7-4とオレンジが逆転。しかしこのセットの中盤にかけてはヨーカドーも五分に打ち合い、最終手段の「ガビーのバックアタック」も初めて決まるなどで逆転、11-9まではリードしていた。しかし、ここからまたサーブレシーブが乱れ、アタックミス、コンビミスなども続出。オレンジに簡単に逆転を許し、最後は大村のアタックでオレンジの15-11。

第3セット前半は、「つないで最後は外国人選手が決める」愛知のあそことか大阪のそこもどきの展開で、とにかく6-2とヨーカドーがリード。ここから先はヨーカドーに要所要所でブロックが出て、さらにリードを広げ11-4とした。ここで、サーブレシーブのミスからオレンジに得点を許し11-5。その後またサーブレシーブのミスでオレンジにチャンスボールを与える苦しい展開となった。しかし、そこからオレンジのアタックを何度もしのぎ、長いラリーの末最後は新人の金田が決めて失点をくい止める。この後は小泉のアタック、小谷のブロック、さらに斎藤のアタックがアウトして、14-5でヨーカドーが最初のセットポイントを迎えた。ここまでは完全にヨーカドーのペースで、このセットはまず間違いなくヨーカドーが取った、と思われた。
しかしここから先、ヨーカドーはどうしても決められない。オレンジは何度ものセットポイントを佐々木のアタックでしのぎ続け、小刻みに加点し8-14とした後、大村に立て続けにブロックが出るなどで、5連続得点。一気に13-14とした。サイドアウト4回の後、またしても大村のブロックで、ついにデュース。この後も15点め、16点めはヨーカドーが先に取るが、どうしてもセットポイントをものにできず、ついに16-16、オレンジのマッチポイント。最後は満永のブロックで決着した。

ヨーカドーは、サーブレシーブがいまいち不安定である。また、相変わらずサイドのアタッカーの決定力に欠ける。そのため、サーブで崩されたときに決めることができず、拾われてオレンジに得点されることが多かった。この試合では新人の金田がかなり多く使われていたけれども、このことが苦しい台所事情を物語っている。ペレスも、アタックに関しては、昨年ほどの迫力はないような気がした。

この試合で見ることのできたオレンジの強さは、崩れないことにある。第3セットは終盤までヨーカドーのリードで推移したけれども、それも本当に「崩して」リードしたものではなかった。この試合を通じて、オレンジは3点以上の連続失点(サイドアウトなしでの連続失点)は全くない。最大でも連続2点である。この日の駒沢での試合で、オレンジ以外の5チームは3点以上の連続失点が少なくとも1回はある。それだけ集中力が途切れない、つまり、オレンジから連続して得点を奪うのは至難なのである。
もう一つ、佐々木は世界選手権で見たときよりはずいぶんよかったと思う。世界大会でもあれだけ当たっていれば、全日本にもう少し希望の光も見えるのだが。試合の連続である全日本の強化は、やはり佐々木にはあわないのだろうか。

第3セット、大村に連続ブロックポイントが出たあたり(11-14)で、この試合は、すでにあの世界選手権男子日本対キューバの第4セットと二重写しになっていた。そしてこれは、月刊バレーボール1月号「松平康隆の異色対談」の中でも語られているけれども、まさにプロとアマの違いから起因するものなのである。オレンジの選手はプロ、他のチームの選手はアマである。オレンジは勝てなければチームの収入が減る。そうなれば当然選手の給料に直結する。すなわち、勝てなければいい生活はできないのだ。他のチームの選手は、勝っても勝てなくても生活は同じである。バレーボールに生活がかかっている選手相手に、勝っても勝てなくても生活が変わらないという選手が戦って、勝てるはずがない。

スタメンおよびサーブ順(特記なき限り第1セット)
オレンジアタッカーズ: 6 ゼッターランド → 2 斎藤 → 8 大村 → 11 満永 → 00 佐々木 → 1 吉原
イトーヨーカドー: 1 小谷 → 3 小泉 → 11 山下 → 5 ペレス → 15 佐々木 → 10 金田

98/12/23 12:00-
Komazawa Gym., Tokyo

   Orange - Yokado
        3 - 0
1st    15 -  6       21 min.  5-2 10-6 12-6
2nd    15 - 11       28 min.  5-4 8-10 12-11
3rd    17 - 16       38 min.  2-5 3-10 5-12
Total  47 - 33  1 h. 27 min.

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NECレッドロケッツ対ユニチカフェニックス(12/23駒沢第2試合)

ゴディナの加入もあり、打倒オレンジの一番手と目されるNEC。しかし、この試合の序盤は、何となく「らしくない」バレーでユニチカにリードを許す。8-5まではユニチカリードで進む。しかし、ここでNECがタイムアウトを取ると、流れは一気にNECへ。サイドアウトを繰り返した後、新人の杉山のサーブ順で3連続得点、ゴディナのサーブ順で3連続得点、大貫のサーブ順で4連続得点。あっという間に逆転して15-8で第1セットを取った。ユニチカのサーブレシーブは試合の最初からあまり安定していなかったけれども、大貫のサーブ順では明らかなサーブミス(ダイレクトでNECコートに返ってしまう)も出た。最後は津雲のフライングレシーブから大懸が決めるというNECの(そして全日本の)黄金パターンだった。

第2セットは、ユニチカのサーブレシーブがさらに乱れ、大懸のサーブ順で実に6連続失点。さらに、この試合がVリーグデビューの杉山を中心にブロックを次々決められて、あっという間にNECが15-3で取る。このセット、ユニチカのサーバーはのべ6人、ローテーション1周で終わってしまった。

第3セットも序盤杉山のサーブ順でノータッチエース、ブロック2発などで4連続失点。このあたりでは、これではだめだね、このままストレートで勝負ありだろう、と思われた。しかし、このセットの中盤からは、ユニチカのサーブレシーブが安定する。木村を中心にアタックで粘ることができるようになり、点差が広がらない。それでも14-11でNECがマッチポイントを迎えた。しかし、これを木村のアタックでしのいだ後、ゴディナのアタックがアウト、江越がゴディナを止めて、ゴディナのアタックがまたアウト。3連続得点で一気にデュースとなる。この後NECに珍しくサーブレシーブのミスが出て、逆にユニチカにセットポイント。これは小林のアタックで逃れ、その後再び同点となるも、内野のアタックで16点め、最後は木村のバックアタック。ユニチカが17-15と逆転でこのセットを取り、せめてもの意地を見せた。

しかし、結果から言えば、ユニチカの抵抗はここまでだった。第4セットは、ゴディナのブロック、アタックなどで4-0NECリードとなった後、ゴディナのサーブ順でユニチカにサーブレシーブのミスが続発。2回続けてダイレクトでNECコートに返ってしまいいずれも失点、さらにノータッチエース。たまらずユニチカはタイムアウトを取るけれども、なおも失点が止まらず、サーブのトスを落として*1くれるまで6連続失点。大貫のサーブ順で12-0までNECのリードが広がった後、ユニチカも3点を続けて返したけれども、杉山のサーブ順でまた3連続失点し、ジ・エンド。最後は大貫のブロックだった。
*1 今大会のVリーグからサーブの試技は認められなくなったため、これはサーブミスとなる。私の見る限りこれに引っかかった第一号。

全体として、ユニチカにサーブレシーブのミスが多すぎる。第2セット大懸のサーブ順、第4セットゴディナのサーブ順以外にも、大貫・杉山のサーブ順で3〜4点の連続失点が非常に多かった。第1セット後半から第2セット、および第4セットは、ユニチカのサーブカットでExcellent*2のボールはほとんどなかったような気がするし、そもそもセッターに返ってすらいないボールもかなりあった。ユニチカの監督は、アタック力が上がったかわりにレシーブやサーブレシーブに不安が残るというようなことを語っていたけれども、この試合を見る限り、果たせるかなその不安は的中している。
いかにこれまでのチームに比べれば大型化が進んだとはいえ、決定力では世界の大砲を擁するチームにかなうはずはない。サーブレシーブの改善はユニチカにとって最も急を要する課題であり、これが改善されない限り四強は難しいだろう。
*2 Excellentとは、防御(サーブレシーブ、レシーブ、トス)の成功のこと。サーブレシーブについては、(98年世界選手権では)セッターから半径1.5m以内で速攻のトスを上げられるボールがExcellentと判定されるとのことである。

一方、NECについては、思ったより相手がもろく崩れてしまったので、多少評価しにくい面がある。サーブで相手を攻める姿勢が目立った。また、昨シーズンまでの印象よりもブロックが多くなったと感じられた。この試合で新人の杉山がブロックで5得点、サーブで相手を崩すことにも貢献し、華々しいデビューを飾った。

スタメンおよびサーブ順
NEC: 5 大懸 → 22 杉山 → 8 ゴディナ → 3 大貫 → 1 小林 → 4 星野
ユニチカ: 8 江越 → 9 熊前 → 15 磯辺 → 16 苧坂 → 10 木村 → 7 許

98/12/23 14:00-
Komazawa Gym., Tokyo

      NEC - Unitika
        3 - 1
1st    15 -  8       23 min.  4-5 10-8 12-8
2nd    15 -  3       12 min.  5-0 10-1 12-1
3rd    15 - 17       29 min.  5-1 10-6 12-9
4th    15 -  3       13 min.  5-0 10-0 12-0
Total  60 - 31  1 h. 17 min.

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日立ベルフィーユ対東芝シーガルズ(12/23駒沢第3試合)

本格的なバレーファン歴はまだ1年にもならない私にとって、日立ベルフィーユを見るのは恥ずかしながらこの試合が最初である。ソコロワの加入もありどのようなチームになっているのか興味があった。

第1セットは、日立がそれほど強いサーブを打っていると感じられないにもかかわらず、東芝のサーブレシーブが不安定で一方的展開になった。福田のサーブ順で日立が6連続得点、これで9-2までリードが開いた。最後は東芝の選手交代のミスで日立にサーブ権が移り、そこでリューバのバックアタックがネットに当たり、ネットを越えて真下に落ちるというラッキーな当たり。15-5で第1セットは日立が取る。

第2セット序盤は、東芝でただ一人(?)強いサーブを打ってくる森が日立のサーブレシーブを崩し、東芝が6連続得点、6-0とリードを奪った。しかし、この後は東芝の極度の決定力不足から、日立が追い上げる。8-3東芝リードから日立が小刻みに得点を重ね、10-8と逆転。東芝は10-10と同点に追いつくけれども、それから日立が4点を加えセットポイント。最初のセットポイントを逃れた後、リューバのアタックが2回続けてアウトになり14-12となるものの、そう何度も続けてアウトしてくれるはずはない。リューバのアタックで2度目のセットポイント。そこでワンポイントブロッカーで宝来を投入。その宝来と江藤の2枚のブロックでこのセットを取った。

第3セットもこれまでと同じような展開で、10-3と日立がリードする。この後東芝はよく追いついたと言えば追いついたのだが、これももとは日立が島崎・田中に代えて小玉・宝来を(おそらくテストで)入れたのがきっかけで流れが変わったものである。小玉は明らかにアタッカーと合っていなかったし、宝来は何度かアタックを打ったけれどもまだ力不足で一度も決まらなかった。東芝が13-13とようやく同点に追いついた直後、福田のアタックでサイドアウト。東芝にオーバーネットがあり14点め、さらにサーブレシーブがダイレクトで日立コートに返ってしまい福田にたたきつけられ試合終了。

東芝の決定力不足は深刻きわまりない。ヨーカドーでも「ここで決め返せるアタッカーがいれば」というシーンは何度もあったし、ユニチカはさらに深刻だけれども、それと比べても格段に重症である。本当に「もうちょっとばしっと打てるやつはいないのか!!」と言いたくもなる。きっちりトスが上がって完全な体制で打てて、しかもブロックにさわってもいないのに簡単にレシーブされている。それではレシーブ(サーブレシーブ)が崩れたときに打つ手がなくなることは言うまでもない。体勢を崩されて難しいボールを打ったらアウト、という場面も多かった。サーブでも、ミスをしないのはいいけれども、もう少し攻めないと得点にはなかなかつながらない。本来東芝は守りのチームのはずだが、その割にはサーブレシーブも乱れていた。

日立は、やはりコメントが難しいところがある。この試合を見る限り、ブロックは思ったほど多くはない。東芝はそれほどブロックが決まる相手ではないが。今日の試合を見ている限り、福田も良さそうで、アタッカーのコマはそろっている。さらに、セッターの島崎はアタッカー上がりだけに、島崎のツーという裏技もある。島崎は長すぎるボールをツーアタックに持っていくことには長けており、特に第1セットは東芝が島崎のツーにほとんど対処できず島崎の得点も多かった。さらに、セッターにボールが返らなかったときに、他の選手がトスを上げて島崎が打つという「超裏技」もある(この日NECでも一度だけ、ゴディナがトスを上げて大貫が決めた!)。しかし、このアタッカー陣の強力さに対し、サーブレシーブにはやや不安が感じられた。
Vリーグ観戦ガイド編集時点で、日立のスタメンは未定となっていた部分があったけれども、この試合と25日の小田急戦を見る限り、ライト田中、リベロは22番の池田という布陣で通した。宝来はワンポイントブロッカーで起用される程度、藤好の出場はまだなく、田中はほとんど全時間出場に近かった。

スタメンおよびサーブ順
日立: 2 江藤 → 10 田中 → 1 福田 → 4 多治見 → 8 島崎 → 7 ソコロワ
東芝: 12 南田 → 4 野村 → 1 兵田 → 7 神田 → 21 森 → 15 岡野

98/12/23 15:50-
Komazawa Gym., Tokyo

  Hitachi - Toshiba
        3 - 0
1st    15 -  5       15 min.  5-2 10-3 12-4
2nd    15 - 12       25 min.  0-5 10-8 12-10
3rd    15 - 13       30 min.  5-2 10-3 12-9
Total  45 - 30  1 h. 10 min.


この日の試合は、いずれも結果としては順当なものだった。予想よりも一方的な試合が多かったのはやや残念だった。試合自体のレベルとしては、やはり第1試合のオレンジ対ヨーカドーの試合が最も高かったと思う。
1日3試合の観戦はやはり疲れる。3試合めともなると、時折集中が途切れてしまうのが自分でもわかる。

世界選手権直後の開幕戦、しかもオレンジ・NECの二強に日立・ユニチカ・ヨーカドーもそろうという組み合わせで、事前のいろいろな話からひょっとすると立ち見が出るかもしれないとも思われた。しかし実際に行ってみると、会場は空席が目立った。駒沢はそれほど大きな体育館ではないのに応援団のボリュームが大きい(特にヨーカドーの応援は音響機器のボリュームがやたら大きい)という印象で、それがどこか浮ついて聞こえた。

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イトーヨーカドープリオール対東洋紡オーキス(12/25駒沢第1試合)

チケットぴあにチケットの購入に行ったとき(ただし直前の12/22になってから)には、この日のチケットも指定席は予定枚数完売だといわれたのだが、いざ行ってみると・・・
人がいない。
23日の開幕戦でも空席が目立ったので、ある程度は予想されたけれども、これは予想以上にひどい。応援団以外には、アリーナにちらほら、スタンドにはもっとまばらにぱらぱらといる程度。応援団以外には、200人も入っているだろうか?
自由席は向かって右側だと案内されたので、そちらに行ってみると、「指定席」との張り紙がしてある。これはどうしたことだ?しかし、状況が状況だけに、「どうせ来る人いないだろう!!」と高をくくり、そのあたりのスタンド最下段に陣取った。


さて、この対戦は、昨シーズンは3試合全てヨーカドーがストレートで勝っている。しかし、今シーズンはわからないと思っていた。というのは、ヨーカドーのベテランセッター内田が昨シーズン限りで引退したことと、東洋紡は昨シーズンに比べチームとして安定してきたことがある。いずれにしても、もつれた試合を期待していた。しかし、試合は期待以上の大熱戦となった。おそらく1シーズンに一度くらいしかないであろう試合である。外の冷たい風がそのまま吹き抜けていきそうな寂しい体育館で、最大級の死闘が繰り広げられた。

この長い試合は、まずアルタモノワの豪快なスパイクから幕を開けた。3-0と東洋紡リード。この後は東洋紡にブロックも出てしだいにリードを広げ、9-3となる。ここでヨーカドーはセッターを若い佐々木からNEC関西から移籍の南井に交代。(南井はこの後ずっと出ずっぱりだった。)まずその南井のサーブ順で、アルタモノワのバックアタックのミスショットから始まり、サーブレシーブも乱れて、ヨーカドーが5連続得点。この後もヨーカドーが得点を重ねて逆転、小谷のサービスエースで11-9ヨーカドーリードとなった。この後東洋紡はタイムアウトを取ってから、「拾って最後はアルタモノワへ」で12-11といったんは逆転するものの、ヨーカドーは長い長いラリーを最後金田が決めて同点。見ている側のテンションも一気に上がるようなラリーだった。さらに小谷のアタック、森山のアタックアウトで、14-12でヨーカドーがセットポイントを迎える。流れからしてこのセットはヨーカドーが取るかと思われたけれども、このセットポイントを村田のアタックでしのいでから、アルタモノワが再度爆発。ヨーカドーのアタックミスで13-14となった後、同点、逆転の得点がいずれもアルタモノワ。この後ヨーカドーもセットポイントを2回しのぎ、ガビーのアタックで15-15と追いつくものの、金田のアタックがアウトして東洋紡に16点め、そして最後はやはりアルのバックアタック。

第2セット序盤は、森山に連続ブロック得点が出るなどで、東洋紡が7-3とリード。7-6までヨーカドーに追い上げられた後、アルに連続アタック得点、さらにアルのブロックで、10-6とリードを広げる。ここからはヨーカドーが再度じわじわと追い上げ、ガビーのアタックで10-10に追いつくものの、そこからアルが爆発。アルのアタックによる3得点と村田のサービスエースで、14-10で東洋紡が最初のセットポイントを迎えた。しかしそれを逃して、アルが後衛に下がると、東洋紡がしだいに追い上げられる展開に。11-14から、金田のアタック、アルがアタックラインを踏み越し、小谷のブロックで、3連続得点でついに同点。しかし、14-14で長いサイドアウトを繰り返した後、先に15点めを入れたのは東洋紡。特に、東洋紡の通算5回目のセットポイントは、東洋紡のブロックが何度もヨーカドーコートに落ちそうになり、アルにトスが上がる場面も一度ならずあったという、非常に長く(ヨーカドーにとっては)苦しいラリーとなった。これを最後は小谷のアタックでなんとか逃れた。すると、流れは一気にヨーカドーに。ガビーのバックアタック、アルがまたもアタックラインを踏み越し、最後もガビーのバックアタック。17-15でこのセットはヨーカドーが取った。第1セットをまるで逆にしたような展開(スコアも全く逆、最後はアルのバックアタックとガビーのバックアタック)だった。
ここまでの2セットはいずれも15-15までもつれ、30分以上の長い競り合い。しかも、いずれのセットもセットポイントを相手に握られてから逆転するという、恐ろしい展開となった。

第3セットもサイドアウトが多く非常に長い展開になるけれども、要所要所でブロックが出たヨーカドーが終始リードし、14-11でセットポイントを握った。しかし、ヨーカドーはセットポイントを4度逃し、ガビーが後衛に回った。この間3回続けてガビーでサイドアウトをとりセットポイントを迎えるというパターンだったため、東洋紡に追い上げられる可能性がある、と予期された。案の定濱田のアタックで1点返される。しかしヨーカドーはここでタイムアウト、この後小谷のアタックで5度目のセットポイント、これを金田が決めて15-12でヨーカドーがこのセットを取った。

第4セットは、7-7までは、東洋紡が先行しヨーカドーが追い上げるというパターンを何度か繰り返した。しかしここでアルタモノワが再び目を覚ます。連続アタック得点ですぐに9-7と突き放す。長いラリーも最後はアルが決めて11-7。ヨーカドーのアタックアウトで12-7となった後、13点めもアルのバックアタック。その後森山のサービスエース、小泉のアタックミスで、最後は3連続得点で東洋紡がセットを取った。このセットは中盤以降東洋紡が一気に抜け出した形となった。

最終セット、東洋紡はアルタモノワにボールを集め、中盤には最大3点のリードを奪った。しかし11-13東洋紡リードで、アルタモノワが後衛に下がってから、流れが変わった。12-13からアルのバックアタックが決まらず、逆にガビーにバックアタックを決め返され同点、さらに森山の速攻を金田が一人で止めて逆転。ここはアルのバックアタックがかろうじてエンドラインいっぱいに入り逃れるけれども、ガビーにまたもバックアタックで15-14、さらにここで頼みの綱のアルが決まらず、逆に金田に決められて試合終了。

東洋紡は、アルが後衛に下がったときの決定力不足が致命傷となった。第2セットも最終セットもそうだった。私の印象として、ロシアナショナルチームではどうなのか言い切れないけれども、少なくともVリーグでのアルタモノワはバックアタックはそれほど上手ではない。この試合でもネットを越えていないミスショット、さらにアタックライン踏み越しも何度もあったし、決定率もそれほど高くないと思う。(そのような評価になるのは、バーバラを基準に考えているからだろうか?)しかし、それでもアルにバックアタックを打たせるしか手がないというのは、要するに他にまともに打てる選手がいないということである。
ガビーが後衛に下がったときに決定力が足りないという点ではヨーカドーも同じだし、ブロックにも重大な影響が及ぶという点では東洋紡以上に深刻かもしれない。その観点からすれば、セット終盤のバックアタックの打ち合いで2度ガビーが勝ち、アルが1度しか勝てなかった、それがそのままこの試合結果となったのかもしれない。

試合が始まったばかりは何となくしまらないという印象も受けたけれども、第1セットの終盤からは緊迫した展開が続いた。内容的に見ても、両チームともミスが少なく、非常に引き締まった好試合だった。 Vリーグの試合はただでさえ内容の割に時間が短い傾向がある*のに、それで2時間を超える試合。実際の試合時間としても、見ている側の実感としても、とてつもなく長い試合だった。3試合くらい見た気分だった。
* サーブが打たれてからボールがコートに落ちるかアウトになるまで、つまり得点またはサイドアウト1回にかかる平均の時間を、私は1プレー時間と呼ぶことにしている。国際大会では1プレー時間は24秒前後で、これは意外にも男子も女子も大きな差はない。それに対し、Vリーグ女子の1プレー時間は21〜22秒くらいと短い。(逆に、1プレー時間が極端に長くしかも試合によってその差が非常に大きいのがブラジルのスーパーリーガで、1プレー時間が30秒を大きく超えるような試合もしばしばある。いったい何をやったらそれほど時間がかかるのか?)だから、Vリーグ女子で2時間を超えるのは、極めて長い試合である。

これほどセット終盤での逆転が次々と起きた試合も見たことはない。サイドアウト制の醍醐味である。全セットがラリーポイントでは、この試合の第1セットあるいは第2セットの逆転は起こりえなかっただろう。

この熱戦をこれほど少しの人しか見に来ないとは、あまりにももったいない。

スタメンおよびサーブ順
イトーヨーカドー: 1 小谷 → 3 小泉 → 11 山下 → 5 ペレス → 15 佐々木 → 10 金田
東洋紡: 2 村田 → 7 小田 → 0 アルタモノワ → 1 永富 → 3 森山 → 6 濱田

98/12/25 16:00-
Komazawa Gym., Tokyo

   Yokado - Toyobo
        3 - 2
1st    15 - 17       32 min.  2-5 10-9 11-12
2nd    17 - 15       30 min.  2-5 6-10 10-12
3rd    15 - 12       33 min.  5-3 10-8 12-8
4th     7 - 15       23 min.  4-5 7-10 7-12
5th    16 - 14       14 min.  4-5 8-10 10-12
Total  70 - 73  2 h. 12 min.

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日立ベルフィーユ対小田急ジュノー(12/25駒沢第2試合)

大型で将来を期待される選手の多い小田急。とはいえ、昨シーズンの主力が次々と移籍し苦しい試合が続くことは予想されている。さらに、今シーズン直前に休部発表。オレンジのごとく休部をひっくり返す、くらいの試合を期待したいところだが・・・。

第1セットは、まず日立の10番田中のサーブで小田急が崩された。ダイレクトで日立コートに返ってしまい、さらにサービスエースもあり、このサーブ順で日立が4連続得点、6-1とリード。10-4日立リードとなった後、多治見のサーブ順で、長いラリーの後リューバのアタックがネットに当たりネットを越えてすぐ落ちるという、昨日の東芝戦でもあったラッキーショットで11-4。リューバにはツキもあり。さらに、リューバなどにブロック、多治見にサービスエースも出て、都合5連続得点。一気にこのセットを取った。

第2セット、序盤は、4-4、5-5と同点になる場面もあった。しかし、そこから日立がしだいに突き放し、9-7日立リードから「拾って最後はリューバ」で全部リューバの得点の4連続得点。最後は多治見のブロックで15-7。

第3セット序盤、小田急がまたまた田中のサーブで崩され4連続失点、日立6-1リードとなる。しかし、ここから小田急が徐々に追い上げる。8-4から木村のアタックで4点、谷口のアタックで2点。この間サービスエースで1点を失うけれども、ついに9-10と逆転する。会場の観客の中では小田急の応援団が圧倒的に多数である。会場の盛り上がりもこの試合最高に達した。しかし、12-12から、やはり田中のサーブ順で連続ブロックを食らい日立のマッチポイント。一度はマッチポイントを逃れたものの、最後は菅山のアタックがアウトして試合終了。

小田急はサーブレシーブが崩されて攻撃が単調になり、それがブロックに止められ、あるいは拾われて逆に決め返されるというパターンが多く、4点程度の連続失点が目立った。このチームも崩されたときに決め返すことのできる選手がいない。また、完璧なレシーブが返ったときでも、ここでもっと速い攻撃ができれば、と思われる場面も多かった。また、ブロックも弱く、この試合でブロックが決まった場面はほとんどない。
初戦でキャプテン東川が負傷、センター線2人がいずれも新人というさらに苦しい布陣となったけれども、大島がサイドアウトを取るのに活躍していたのは目立った。

スタメンおよびサーブ順
日立: 2 江藤 → 10 田中 → 1 福田 → 4 多治見 → 8 島崎 → 7 ソコロワ
小田急: 8 坪根 → 15 大島 → 7 谷口 → 10 菅山 → 12 大沼 → 2 木村

98/12/25 18:50-
Komazawa Gym., Tokyo

  Hitachi - Odakyu
        3 - 0
1st    15 -  5      16 min.  5-1 10-4 12-5
2nd    15 -  7      22 min.  5-4 10-7 12-7
3rd    15 - 12      28 min.  5-1 9-10 11-12
Total  45 - 24  1 h. 6 min.

中高生も含めると小田急の応援団はスタンドの4分の1近くを占拠する大応援団だった。日立の応援団とは人数が一桁近く違い、ほぼ常時日立の応援がかき消されている状態。セット間には存続を求める旗が何枚も掲げられた。応援団の活気は、これまで見た8チームの中では一番である。トランペットの生演奏、さらに、バトンを使ったチアリーダーの演技(音楽とよく合っていた点はポイント高い)も他チームとはひと味違うものがあり、好感が持てた。
ちなみに、チアリーダーの標準的な装備はポンポンである。よくあるパターンとして、ポンポンを並べて会社名のアルファベットを作る、やはり会社名を連呼するというのがあるけれども、小田急のはどちらもないのがGood。5人(これはこれまで見た8チーム中最小編成)でバトントアリングなので、手具の交換(互いに相手に向かって手具を投げ上げ、キャッチする)をやれば文句なく10点満点なのだが、競技でやっているわけではないのでそこまで期待するのは無理だろう。

小田急は今シーズン限りでの休部が発表されているけれども、やはりこのチームがなくなるのは寂しい。しかし、そのような感情的な話は別として、チームがなくなるのは避けられないとしても、選手たちがバレーを続けられる道だけは何とか確保できないものだろうか。

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NECレッドロケッツ対東芝シーガルズ(12/26駒沢第1試合; NHK-BS)

この試合は、(こう言っては東芝のファンには申し訳ないが)NEC有利は予想された試合だった。また、優勝を狙うNECとしては、取りこぼしは絶対に許されない試合である。

しかし、第1セット序盤は、東芝が兵田・国兼の奮闘によりNECによく食らいつき、3連続得点で7-5と途中リードする場面もあった。NECはここでたまらずタイムアウト。しかし、ここで大懸のアタックが決まりサイドアウトを取ると、ゴディナのアタックで3点、杉山のブロックもありNECが4連続得点、すぐに逆転する。この後も小林とゴディナのアタック、杉山のブロックで、12-7まで差が広がる。第1セットはこのまま15-10でNECが取る。最後はまたしてもゴディナのアタック。

第2セットは、NEC杉山のサーブ順で、東芝のサーブレシーブの乱れもあり5連続得点、5-2とNECがリード。この後もNECのブロックによる得点などでしだいに差が開いていく。12-4から、NECのミスにも助けられ東芝が3連続得点するけれども、反撃もそこまで。このセットは15-7でNEC。

第3セット、序盤は東芝が粘り、サイドアウトを繰り返しながら1点ずつ返して6-5まで追い上げる場面もあった。しかし、ここで杉山のサーブ順でまた崩されてしまい、5連続失点。次のゴディナのサーブ順でも3連続失点で、あっという間に14-5でマッチポイント。最初のマッチポイントはしのぎ、さらに平田のアタックで1点を返すものの、最後はやはりゴディナにバックアタックを決められ15-6で試合終了。

アタック・ブロック・サーブの全てにおいて、攻撃力の差はいかんともしがたいものがあった。

すみませんがこの日はテレビでの観戦だったため、第1試合はスタメンおよびサーブ順がつかめませんでした。(テレビでの放送の場合、サーブを打つ選手が映る時間が非常に短いため、背番号を判別できないことが多い。)

98/12/26 14:05-
Komazawa Gym., Tokyo

      NEC - Toshiba
        3 - 0
1st    15 - 10       26 min.  5-4 10-7 12-7
2nd    15 -  7       24 min.  5-2 10-3 12-4
3rd    15 -  6       22 min.  5-2 10-5 12-5
Total  45 - 23  1 h. 12 min.

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イトーヨーカドープリオール対日立ベルフィーユ(12/26駒沢第2試合; NHK-BS)

この試合は、四強入りを占う非常に重要な試合になると予想していた。これまで駒沢で2試合見た限りでは、この両チームにはそれほど大きな力の差はないと思われた。

しかし試合展開は第1セットから予想外の日立の一方的なペースとなった。ヨーカドーはガビーを使うパターンに持っていくことすらなかなかできず、日本人選手が無理して打っても決まらず、逆にリューバに決め返されるというパターンが続いた。試合開始から7分くらいで10-1まで日立のリードが広がる。この後、江藤の低空飛行サーブ(?)による2連続エースなどで、日立が14-3で最初のセットポイントを迎える。この後ブロックで1点を返されるものの、最後は福田のアタックで、このセットは15-4と日立が一方的に取った。

第2セットの序盤は競り合いとなり、5-4とヨーカドーがリードする場面もあった。しかし、6-5日立リードの場面で、ペレスが後衛に下がってから、日立が一気に突き放す。ペレスが再び前衛に戻ってきたときには、12-5まで差が開いていた。しかも日立の流れはまだ止まらず、さらに2点を追加しセットポイントを握る。この後ヨーカドーはセットポイントを何度もしのぎ、2点を返すものの、最後はやはりソコロワに決められて、第2セットは15-7で日立。

第3セットは、序盤に小泉の3連続ブロックポイント、さらに日立のサーブレシーブのミスもあり、5-1とヨーカドーがリード。その後も日立は、追い上げてきたところでミスが出るという展開で、一時は11-7とヨーカドーがリードしていた。しかしソコロワのサービスエースで日立が1点返した後、ペレスが後衛に下がったところで、ヨーカドーは日本人選手がどうしても決められない。日立は「拾って最後はひたすらリューバ」のパターンなのだが、そのリューバが全く止まらない。実に6連続得点。逆にマッチポイントを握った。最初のマッチポイントは、難しいボールをリューバが無理に打ってネットに引っかけてしまったけれども、すぐに自ら取り返し2度目のマッチポイント、そして最後を決めたのもリューバ。
日立の最後の7得点+3サイドアウトのうち、12点めの江藤のブロック以外は全てリューバのアタック、このセット7点めから数えると最後の日立の9点のうち8点がリューバの得点。この日のリューバは本当にすごかった。しかしこれでは、まるでデンソーのようだ。

ヨーカドーは、ペレスが後衛に下がったときの攻撃力の弱さがまともに露呈されてしまった。前日の試合では、ローテーションの関係上、ペレスが後衛に下がるのとアルタモノワが後衛に下がるのがほぼ同時だったため、それが目立たなかったのだが、福田も強力、多治見・江藤の全日本センター線を擁する日立相手では、これは完全に致命的だった。
この試合、ヨーカドーは第1,3セットはセッター佐々木、第2セットは南井とセッターを代えてみたけれども、日立には通用しなかった。
鈴木がけがのためほとんど使えないことも、ヨーカドーには非常に大きな痛手である。(世界選手権の直前にジャンパーズニーになったとのこと。)この試合でもセット終盤にテストで出場したけれども、まだまともに動ける状態ではなかった。今後の全日本に絶対必要な選手だけに、時間をかけて十分に回復してもらわなくてはならないけれども、ヨーカドーにとってはとにかく痛い。鈴木がフル回転できれば、ガビーが後衛に下がってもそれほどブロック力が落ちなくてもすむし、サイドアウトの確実性もぐんと高くなるだろう。少なくとも、ガビーが後衛に下がった間に簡単に大量失点してしまうことは、そうそう起こらなくなるはずである。

日立がこれほど簡単にヨーカドーを下してしまうとは予想できなかった。ヨーカドーには前日の激戦の疲れが残っていたのかもしれないけれども、予想以上に日立は強い。私のシーズン前の予想としては、オレンジとNECの1位と2位は堅く、それに続くのが日立と(多少贔屓目に見て)デンソーだと思っていた。今シーズンのVリーグ観戦ガイドでは、日立の評価は意外に低く、6人の記者のうち1人は日立優勝を予想したけれども残る5人は四強にすらあげなかった。
サーブレシーブに不安が残るのは相変わらずで、この試合でも特に第3セットはあからさまなサーブレシーブのミスに起因する失点が少なくなかった。しかし、このチームの攻撃力は高い。ソコロワ・福田のアタックに加え、チーム全体に高さがありブロックも強力である。「全身、攻撃力」のキャッチフレーズはだてではない。もしこれでサーブレシーブがもっと安定すれば、優勝の可能性も出てくると、このときは思われた。

スタメンおよびサーブ順
イトーヨーカドー: 10 金田 → 1 小谷 → 3 小泉 → 11 山下 → 5 ペレス → 15 佐々木
日立: 7 ソコロワ → 2 江藤 → 10 田中 → 1 福田 → 4 多治見 → 8 島崎

98/12/26 15:55-
Komazawa Gym., Tokyo

   Yokado - Hitachi
        0 - 3
1st     4 - 15       19 min.  1-5 1-10 3-12
2nd     7 - 15       22 min.  5-4 5-10 5-12
3rd    11 - 15       29 min.  5-1 10-7 11-12
Total  22 - 45  1 h. 10 min.

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黒部遠征

私は今シーズン、Vの10チーム全てを最低一度は見ることを目標に観戦日程をたてた。このうち、12月23,25日の駒沢で、8チームは充足された。しかし、残る2チームについては、どうしても東京の近辺で観戦できるめどが立たない。2月13日の埼玉・越谷という試合もあるけれども、この日の観戦が不可能であることは確定的である。したがって、私の住んでいる場所から日帰り可能な範囲で(ただし、新幹線および特急列車は使わないという条件付きである、また、帰りは翌日早朝になる)この2チームを見る機会は、この日の黒部大会しかないという結論に達した。

当初の予定としては、黒部への行き、帰りとも、ムーンライトえちご(座席夜行の快速列車)を使う予定だった。しかし、私が切符の予約をしようとした時点で、すでに行きのこの列車は満席となっていた。
一度はこの遠征そのものをあきらめることも考えたけれども、ほかのチームならいざ知らず、この遠征をしなければ見ることのできない2チームのうち片方はデンソーエアリービーズである。簡単にあきらめるわけにはいかない。
もう一度時刻表を見直したところ、高崎線の下り初電から乗り継ぎ、六日町から北越急行(ほくほく線)を利用すれば、黒部に試合開始時間に到着できることがわかった。北越急行の区間は特急を利用しないと間に合わないけれども、

ことから、それほど大きな損はないと判断、この遠征を強行した。
それにしても、直江津での普通列車から普通列車への接続は恐ろしく悪い。1時間以上待たなくてはならない。ここで待ち時間少しで連絡できれば、特急など使わなくても十分間に合うのだが。JRめ、やりやがったな。
新幹線から在来線特急を乗り継ぐ場合、かつての長岡での接続と現在の北越急行利用を比較しても15分くらいしか違わないという。しかも、将来的には新幹線を長野から北陸方面に延長することが確定的になっている。だから、どうしてこのようなところに特急をショートカットするための路線を引いたのか理解できなかった。
しかし、在来線だけを利用していこうという場合、六日町から長岡に出るだけで50分ほどかかるので、この区間をショートカットできるのは非常に大きい。この路線がなければ、東京を当日朝に出て新幹線を使わずに黒部の会場に午後1時に到着できるわけがない。今回の遠征ほど、この線のありがたみを感じたことはなかった。

出発は午前5時前。真冬でこれほど早い時間の出発は初めてである。東京都内でも寒さは厳しいけれども、内陸部では寒さはさらに厳しい。高崎駅では乗り換えの列車がすでに入線しており、寒さに震えながらその列車に駆け込んだ。水上駅での乗り換えが必要なかったのは助かった。
国境の長いトンネルを越えると、さすがにそこは一面の雪景色。真冬に新潟県を通過するのは初めてなので、息をのむものがあった。この冬は雪が降り始めたのが早いということで、黒部で雪が積もっていたりしたら歩くのが大変だと思っていたけれども、幸いにしてこの日は日本海側も晴れ。雪も越後湯沢から少し下ったあたりですでにほとんどなくなっており、路面の状況としては東京と全く同じだった。
ほくほく線という路線は、六日町の側3分の2くらいはほとんどトンネルである。特急を高速に通すため、ひたすら直線にトンネルを掘りまくったことがうかがえる。今回の遠征ではこの線の恩恵を最大限に受けたわけだが、北陸新幹線ができた日には完全に不良資産となることは間違いない。
直江津からしばらくは、親不知として知られる海岸で、山が海に迫っているところである。長いトンネルの合間合間では、線路のすぐ向こうに海が見える。
そして黒部駅に到着。電話で問い合わせもして、地図を参照し行き方の見当はだいたいつけていたけれども、「黒部市総合体育センター」を示す案内板が何カ所かにあったので迷うことはない。この点は、ポーランド対抗で行った深谷会場に比べればずっと行き届いている。
12時半頃、順調に会場に到着。結構大きな体育館で、駒沢と同じくらいかひょっとすると駒沢よりも大きいかもしれない。しかし、これほど大きな体育館を使うあてがあるのか?Vリーグの試合はそう毎年来るわけでもない。

さて、最大の事件はこの遠征の帰りの帰りに発生した。
同じ座席の指定券が2枚ある?
実は、私の持っている指定席券が前日の列車のものだったのである。この列車は長岡駅を出発するときにすでに日付が変わってしまうため、このようなミスが起こったのである。切符に記入されている日付が列車の出発日なのか駅を出発する日なのか知らなかったため、確認もできなかった。
考えてみれば、切符を買うときになぜ27日村上発と念を押さなかったのか。そもそも、購入の申込書に28日と書いておけば、逆に29日1時長岡発の切符を売られたとしても変更がきく。後悔する点はいくつもある。510円は授業料として高くはないけれども・・・
しかし、最も反省しなければならないのは、きちんと切符を買ったほかのお客様何人かに迷惑をかけたことであり、そのことに対する罰は科されるべきである。だから自分自身に相応の罰を科すことにする。

さて、ここまで書いた時点で私のバッテリもタラちゃんのバッテリもあがった・・・

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ユニチカフェニックス対日立佐和リヴァーレ(12/27黒部第1試合)

会場には灰色の公衆電話がないため、私の売り物の一つである(?)「現地から第一報」の送信ができなかった(+_+)。

第1セット序盤は4-1とユニチカリード。ここからしばらく、サイドアウトが非常に多く遅い展開となる。その中で日立佐和が徐々に追い上げ、戸井田が磯辺のツーを読みブロックして5-6と逆転、大森のブロックで一時は9-6佐和リードとなった。しかし、ここでアレンを向井に選手交代してから一気にユニチカのペースに。ユニチカは、拾って拾って最後はエース(熊前または木村)にというオーソドックスなバレーを展開しているのだが、ユニチカがよく拾っているというべきか、佐和に決定力がないというべきか、ラリーが長くなった場合はほとんど全てユニチカのものになった。最後は4連続得点でユニチカの15-10。

第2セットは序盤、ユニチカにサーブレシーブのミスが相次ぎ(サービスエース2発含む)6-2佐和リード。しかしその後は佐和に逆にサーブレシーブのミスが出るなどですぐにユニチカが追いつく。この後は、佐和10-8までは追いつ追われつの展開。しかし、そこから第1セット終盤と同様の展開でユニチカが一気に6連続得点。(うち、木村がアタックとブロックで4点)最後も木村が決めて15-11。

第3セットは明らかに佐和が苦しい展開。あからさまなユニチカのサーブレシーブのミス、あるいはアタックなどのミス以外では、佐和はほとんど得点ができなくなった。第3セットは終始ユニチカリードで15-10。最後を決めたのはやはり木村だった。

結局は、アタッカーの力の差が勝敗を分けたという印象だった。私としては、もっともつれた試合を期待していたのだが。
日立佐和はチームとしてのまとまりはできているけれども、いかんせん決め手がない。大砲がいるわけではないし、ブロックも少ない。この試合を見る限り、パンもあまり活躍していなかった。
ユニチカは初戦のNEC戦よりはよくなったと思う。日立佐和のサーブはなかなか厄介な代物だが、単発のサービスエースまたはサーブレシーブのミスは食らってもそれで一気に崩れてしまうということは少なかった。しかし、拾って拾って最後はエースにつないで決めるという試合運びが、大砲のいるチームに通用するかどうかはやや疑問である。バーバラとかアルを相手にしたら、先に決められてしまう可能性のほうが大きい。

スタメンおよびサーブ順
ユニチカ: 15 磯辺 → 16 苧坂 → 9 熊前 → 7 許 → 19 上田 → 10 木村
日立佐和: 9 戸井田 → 10 谷出 → 12 パン → 4 大森 → 1 板橋 → 2 馬場

98/12/27 13:00-
Kurobe General Sports Center

  Unitika - Sawa
        3 - 0
1st    15 - 10       28 min.  5-3 9-10 12-10
2nd    15 - 11       20 min.  2-5 8-10 12-10
3rd    15 - 10       28 min.  5-4 10-7 12-8
Total  45 - 31  1 h. 16 min.

日立佐和の応援は、シンプルさとインパクトの強さから、私設応援団の応援にも多大な影響を与えている。ここの応援団長は、長年勤められており、各チームの応援団の方から「師匠」とも仰がれる方とのことである。何より、選手名を3度連呼する基本パターン(例えば佐々木なら、「レオ、レオ、レオ、ドドドン」)は、日立佐和の応援に由来するのだ。その日立佐和の応援をこの試合で初めて見ることができた。ノリの良さとバリエーションの豊富さ、そしてインパクトの強さは群を抜いている。踊る応援団。観客席からは思わず笑いもこぼれていた。私は残念ながら日立佐和応援団とはコートを挟んで対角線の位置に座ってしまったので、細かい手のさばきなどは見ることはできなかった。それでも、これを見ていれば時間がたつのを忘れてしまうぞ、と思った。

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オレンジアタッカーズ対デンソーエアリービーズ(12/27黒部第2試合)

この試合はレギュラーシーズンでは最後の生観戦となる。そして、デンソーが四強に進出できなければ、生でバーバラを見る機会はこれが最後になるかもしれない。

試合前、デンソーの応援団の席から外国語の曲が流れる。今クロアチアではこんな曲が流行っているのか。

第1セット、序盤は点を取ったり取られたりだったけれども、5-5の同点からオレンジにブロック、さらにバーバラが2度続けてアタックをふかし、4連続得点で8-5オレンジリード。このあたりからオレンジの一方的展開になった。バーバラのアタックを拾われれば逆に決め返される、ブロックも出るなどで、あっという間に15-6でセットを落とした。
前日は徹夜で観戦記などの整理、そして午前5時前に出発でここまで来ている。テンションは一気に下がり、そして疲れがどっと出てきてしまった。

第2セットは、サイドアウトが多く長いセットになる。序盤は、オレンジのアタックあるいはサーブレシーブのミスが出たことにより、デンソーが5-2とリード。しかし、この後吉原にブロックが出たあたりからやはり流れはオレンジへ。サイドアウトを繰り返しながら8-5と逆転。その後もブロックがよく決まり、13-8までオレンジのリードが広がった。ここまでは第1セットと同じような展開だった。しかしそこから、この試合初めてといってもよいデンソーのブロック。それも2本連続で出る。さらに、バーバラの連続アタック得点で、都合4連続得点。この後、吉原のアタックミスで同点となった後、デンソーにとっては実にいまいましい事態が起こった。
試合記録に不備があったことが原因で、リベロの交代の確認を取るためということで試合が中断。(しかもバーバラがバックアタックを打ったところで中断させられた。)追い上げムードに完全に水を差された。(同じ原因による中断がこのセットの前半にも一度あった。)試合再開直後、果たしてデンソーのサーブレシーブが乱れて、オレンジにチャンスボールを与えてしまい失点。セットポイントを一度は逃れるものの、最後はバーバラのアタックがアウトしてこのセットもオレンジが取った。

第3セットは小野のブロックでデンソーが先制したところから流れは完全にデンソーへ。ブロックでワンタッチを取り最後はバーバラが決める、さらにブロックも出て、12-4と大きくリードを奪った。しかしそこから1点ずつ返されて12-7。13-7→13-8、となったあたりで、オレンジ対ヨーカドー戦の第3セットが思い出されたが、そこでオレンジに珍しくサーブレシーブのミス、これをダイレクトスパイクで決めてセットポイント。さらに、三浦のブロックでこのセットをものにした。

しかし、デンソーの抵抗もここまで。第4セットはサーブレシーブが乱れ、攻撃が単調になったところをブロックで立て続けにシャットされるなど、わずか5分ほどで9-0オレンジリードとなった。この時点で私のテンションも完全に灰(「ハイ」の逆)になってしまった。
デンソーは14-4から8回オレンジのマッチポイントをしのいだ。しかし、結局は1点も返すことができなかった。最後はバーバラのバックアタックを拾われ、斎藤に決められて終わり。

デンソーの日本人選手は本当に決定力がない。この点では、東洋紡、ヨーカドー以上に深刻である。外国人エースが後衛に下がっても攻撃力が落ちない(オーキスとプリオールはこの問題が顕著)のは、バーバラのバックアタックがそれだけ飛び抜けている、というだけのことである。(あとは、エアリーはもともとブロックが少ないチームということもある。だからバーバラが後ろに下がってもブロックへの影響も少ない。)
今シーズンはセンター線を一気に増強したということで期待していたけれども、この試合センター線でサイドアウトが取れた場面はほとんどない。私の手元のログによると、センターの選手のアタック決定数は全部合わせても10本にもならない。センター線の速攻を使う回数自体少なすぎる。サーブカットがきっちり返ったら90%はセンター線の速攻にすべきだし、そうできなければならないと私は考えている。バーバラは、サーブレシーブが乱れたときか点を取りに行くときにとっておくべきだ。(センターの選手にアタック力がないからバーバラにいくしかないのか、あるいは速攻のトスを上げられるだけの技術がセッターにないのかは、判断できなかった。)サイドアウトを取りに行くのでもひたすらバーバラ、という単調なトス回しでは、ブロックで止めるのも実に容易だ。
ブロックも第3セット以外は皆無に近い。つまり、オレンジのスピードとコンビにほとんどついていけていないということである。
個人的には、世界選手権5-6位決定戦のイタリア対クロアチアの試合が思い出された。といっても、あの試合を見たのも私だけか。
このあたりの問題が昨シーズンより改善されたという様子は、少なくともこの試合ではうかがえなかった。今シーズンはエアリーの四強はかなり堅いとシーズン前は思っていたけれども、その読みは甘かったと認めざるを得ないようである。この日東洋紡がNECを下すという番狂わせをやってのけたこともあり、デンソーの四強への道のりは極めて険しいものになったと思われた。

もう一つ残念だったのは、デンソーにサーブで攻めるという姿勢が感じられなかったこと。バーバラも、昨シーズンまでは強力なジャンプサーブもうりの一つだったのに、この試合ではそれをしなかった。オレンジはサーブレシーブで簡単に崩れるチームではないけれども、ミスが多少増えてもいいからサーブでもっと攻めてほしかった。ヨーコにExcellentのサーブカットが返っている限り得点のチャンスはほとんどないのだ。

バーバラも、ここで決めておけば流れに乗ることができるというところでアタックミスがあまりにも多すぎる。第1,2セット、序盤リードしながらオレンジに簡単に逆転を許した最大の要因は、肝心の場面でバーバラがアタックミスを連発したことにある。流れを変えるような場面では絶対に決めるのがエースの役割である。また、ブロックに対してあまりにも素直に打ちすぎである。これは世界選手権の観戦記でも書いたことだけれども、ブロックで立て続けに止められたらタイミングをずらすなりコースを少し変えるなりしてかわしてみなくてはならない。世界のエースというには、まだまだ一皮むける必要がある。
とはいえ、Vリーグ10チームを見た中では、やはりバーバラが最強のエースである。特に、バックアタックの威力は、アルタモノワ、ゴディナ、ソコロワというロシアの大砲と比べても完全に一頭抜けている。

オレンジにまさか勝てるとは思っていなかったし、第2セットを取られた時点ではストレート負けをほぼ確信したので、そこから1セットを取り返してくれただけでも見に行った者としてはよしとしなければならないのだが・・・。

スタメンおよびサーブ順
オレンジアタッカーズ: 6 ゼッターランド → 2 斎藤 → 8 大村 → 11 満永 → 00 佐々木 → 1 吉原
デンソー: 12 温水 → 8 小野 → 10 三浦 → 22 イエリッチ → 3 藤田 → 4 草深

98/12/27 14:50-
Kurobe General Sports Center

   Orange - Denso
        3 - 1
1st    15 -  6       17 min.  4-5 10-5 12-6
2nd    15 - 13       40 min.  2-5 10-6 12-8
3rd     8 - 15       22 min.  1-5 2-10 4-12
4th    15 -  4       22 min.  5-0 10-2 12-4
Total  53 - 38  1 h. 41 min.

それにしても、首位争いも四強争いもにわかにきな臭い事態になったものである。ヨーカドーとの試合を見たときには、まさか東洋紡がNECを下すとは予想できなかった。NECが負けて、陰で最もほくそ笑んでいるのはオレンジだろう。日立ベルもそうである。逆に困ったことになったのが、デンソーとヨーカドー。ヨーカドーにとっては、25日の死闘での勝利もほぼ白紙に戻ってしまったことになる。

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