News >「仕事日記」2009年7月


7月1日(水) ミューザ川崎シンフォニーホール 5周年式典出席
国立音楽大学講義 リズムチェンジの話
ミューザ川崎シンフォニーホール 5周年記念コンサート鑑賞 マーラー“千人の交響楽”
柿落しの時にも聞いたが今日の方が素直に体に入った。聞き方が成長したのだろう。
それにしても随分電車に乗った。電車に長い時間のるというのは色んな人のお化粧を目撃することだ。色んな音漏れを耳にするということだ。
7月2日(木) 越田太郎丸セッション 東銀座スウィングシティ
越田太郎丸(Gi)
佐山雅弘(PF)
???(B) ※西嶋徹(管理人注)
ジーン重村(Dr)

ベーシストの名前は忘れたが随分上手かった。ただ最近はみんなの上手さが似て来ている気がする。それを使って何をするか、といういわばプロデュース時代になっているのかも知れぬ。その点ジーンは荒削りの所が多く残っており楽しみだ。
客が少ないとその少ない客が熱心に聞いてくれるのでそれはそれである種の特別な演奏になって面白いが、ず〜っと声高に話していた一団が最後の時間に「黙って聞くからテイクファイブをやってくれ」と言ったのには驚いた。ジャズファンというのはこうまで質が低下していたのか。
7月3日(金) “銀河鉄道の夜”絵画コンクール審査 淵野辺プルヌスホール
僕が感動した絵画は後にも先にもレンブラントの「書斎の哲学者」。それも古本屋で買った小さいサイズの画集。レンブラント展にはマメに行くし、NYの近代美術館やメトロポリタン、パリのルーブルなどでその前を動きがたい体験はなんどもしてるが、あの「何やわからんけど胸が震える」という音楽や文学ではたまに起こる感慨(多分それを感動というのだろうが)が湧き起こらないのである。そういう、美術音痴とはいわないまでも受信能力の極端に低い男にコンクールの審査員をさせるのはどうかとも思うが、お祭りの一環として、ということでまずは気楽に出かけた。
すると偉いものですね。50余りの作品が並ぶ部屋に一人にしてもらって1時間ほどもつらつら眺めていると、向こうから浮き出てくる絵がいくつか出てくる。ただそこから先がない。そこでその後は他の審査員とかぶらないタイプのものに点を入れた。佐山雅弘賞を受賞するひとにも選に漏れた人にも申し訳なく思っている。
7月4日(土) 鑑賞 塩谷哲ソロ“ソロソルト” 勝鬨橋 第一生命ホール
山下洋輔さんのソロも聞きに来たがいいホールである。ソルトは全国ツアーを終えてきたとかで、リラックスした中にも聞きごたえのある曲の多い、いい演奏会だった。自作でホールソロというのはクラッシックでもそうないだろうから大したものである。
山下さんの時とも思い合わせてファンの力をいうのを考えさせられた。ファンを引っ張る力、といったほうがより感想に近いかも知れない。ただ僕のいけないところかも知れないが、アーティストとして自分はどうするか、という発想ではなく、いわば評論家のように「コレハドウイウゲンショウデアルカ」という方面に興味が行ってるのだな。

築地でもんじゃ。
7月5日(日) 中平穂積写真展+トークショー
中平穂積
沢渡はじめ
伊藤八十八
岩波洋三

60年代まっただ中にいた人たちのフリートークはかなり面白かった。皆の共通する愛聴盤が“サンジェルマンのジャズメッセンジャーズ”というのが興味深く、「それがあなたがたを熱中させたものは何だったのでしょう」と質問したら“イントロ”の茂串さんからあとでナイスクエスチョンだったと褒められたが、帰ってきた答は「そのころといえども虐げられていた黒人達の欧州で受けた扱いに対する溢れるばかりの喜びの爆発云々」だった(ような気がする)ので少々ずれた印象。
沢渡さんの「う〜ん、う〜ん、、、」という説明しきれぬもどかしさの向こうに煌めく答えが隠れている感じを受けたのが最も感じ入った場面かも知れない。この人には僕を惹き付けて止まない何かがある。
7月6日(月) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
楽屋口から3分の所にい〜い飲み屋発見。最近開店したらしく店主はまだ青年に見えるのに魚の見立ても包丁もよく、珍しくもいい感じの焼酎が多種類おいてある。臭いのを、といって1升キープしたら魔王を一杯ずつ(4人に)サービスしてくれた。
バイトの若い娘さんが気品があって、「何が美味しいですか?」ときくのに「この店は何でもオイシイです」と誇らしげに答えたのには感動すら覚えた。たかだかバイトだろうに店主の人柄や腕に尊敬を覚えているのが伺われてとてもよい気持ち。こういう店は繁盛するだろう。
7月7日(火) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
今日もまた楽屋口近くの「みらい」で飲む。越前クラゲの刺身が出た。うまかった。
7月8日(水) 国立音楽大学講義 芝居「ジャズレッスン」リーディング
月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
今日はダーツ。能祖さんが格段に上手になっていて、吉沢さんもつられてハイスコア。初級に毛のはえたのがワーワーキャーキャー言ってるから楽しいんであって、本格的に練習し出すとちょっとね。
7月9日(木) ラジオ収録 ジャズ・ピアノ6連弾
国府弘子と二人で解説トーク。進行の住吉美紀という女性の「Do You Know What It Means To Miss New Orleans」の曲紹介があまりに見事で嬉しくなってしまった。国府がすかさず「帰国(子女)ですか?」と聞く。バンクーバーだったそう。それだけでは勿論なく、通り一遍ではない質問や会話が実にインテリジェンスに溢れていて気持ち良かった。
7月10日(金) レッドゾーントラックダウン 田無 スタジオTLive
思うにまかせずストレス。メジャーレーベルというのは大したものだったのだなと思う。
オーケストラ打ち合わせ w/三浦秀秋 @高田馬場 カフェ・コットンクラブ
高田馬場でワインでも飲むのに、という相談して教えられたのは偶然にもイントロ茂串さんの経営するジャズレストラン。時々はライブもしているそうな。ただしワインも料理もカジュアル。

三浦君は11月のオーケストラ物の編曲アシスタント。写譜もしてくれるが本人が実際のオーケストラアレンジャーなので、これから大いに相談に乗ってもらう今日は編曲前のコンセプト相談。ちょっとした疑問にも丁寧に面白い解説が返ってくるので実に楽しい。
初歩的なことが多くて申し訳ないというと「ぼくはオタクですから話をきいてもらえるのがとても嬉しいのです。」とまばたきの極端に少ない丸い目を輝かせる。マニアというのは人に知られるのがいやな人、オタクというのは人に言いたくてしょうがない人なのだそうである。
7月13日(月) RED ZONE 大久保 Boozy Muse
佐山雅弘(PF)
馬場孝喜(Gi)
中林薫平(B)
国場幸孝(Dr)

調律師の辻君と久闊を叙す。僕の出演日に合わせて調律スケジュールを組んでくれたとは有り難い。
終わってからもだらだら飲ませてくれる店は近頃減ってきたので嬉しい。客が少なくて申し訳ない。
7月14日(火) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
 
7月15日(水) 国立音楽大学講義 芝居の残りと採点
月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
7月16日(木) RED ZONE トラックダウンやり直し 代々木上原イデアスタジオ
元ビクターの青野さんが手直し音づくりをしてくれて素晴らしい仕上がりになった。「そうそう、俺達はこういう演奏をしていたな」と思えるのである。情報の整理、気持ちのやりとり、などといっても結局料理は舌、音は耳だな。

お祝いに駅前のデパールでワインを開けているとテレビ局の波多さんもいる。ところへ昼間お声掛けしてた和田さんが、なんと灘本先生を連れて登場。随分と多方面に亘りながらもスムースで楽しい会話が進行する。
月猫チームもそうだが、ひとの話をちゃんと楽しみつつ面白い話題も提供し、気の利いた合いの手がそこここに入る。いくらでもお酒が進む。随分長い期間(月猫は12年、和田さんとは25年)さんざん飲んで話しているのに会うと矢張り知らなかった話が出てくる。ジャムセッションにも似た楽しさ。
7月17日(金) ジャケットデザイン打ち合わせ 和田事務所
ビクター中島氏がソロアルバムを、TLive鴨下女史がバンドアルバムをそれぞれデザイン。鴨下デザインに和田さんの質問多し。色の決め方など興味深く拝聴。
7月18日(土) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
子供を入れての初リハーサル。かぶりものも可愛く、良いステージになる予感。
7月19日(日) 鑑賞 山下洋輔トリオ40周年 日比谷屋外音楽堂
すごかった。すさまじかった。感動した。猛然とやる気が出た。山下ファンでよかった。
7月20日(月) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
チラシデザインの高橋さんと「みらい」へ。貴重な話を色々と聞けた。出来のいい人はそれなりのところで働いてきているものだ。
7月21日(火) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場Bリハーサル室
 
7月22日(水) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山円形劇場
今年は随分と月猫リハーサルに出ている。例年このくらいの分量はあるのだが、僕は芝居には参加しないので別仕事が入った場合はやりくりしてもらっているのだが、今年はかぶって来る仕事が少なかった。いいのか悪いのか。
7月23日(木) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
 
7月24日(金) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
 
7月25日(土) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
 
7月26日(日) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
早い回にコンドルズの近藤さんが素人参加お父さんとして出場。やたら上手で可笑しかった。おトクな一日でした。
7月27日(月) デュオ w/寺井尚子 サントリーホール
(高嶋ちさ子“めざましクラッシック”ゲスト)

La Festa
Fragile
バッハ“二台バイオリンのためのコンチェルト” 弦カル+寺井+佐山

寺井尚子とのDUOは圧倒的に客に受ける。のもいいが、それ以上に最近僕が最大限本気になったのは彼女と一緒の時か先日の渡辺香津美とのDUOくらいじゃなかろうかと思うと、考えなきゃいけないことはいっぱいある。逆にいっぱいありそうで実は少ない。
それにしてもサントリーは音が良い。オーケストラ、ジャズ・ピアノ6連弾に続いて3回目だが、今回はDUO。ピアノソロの場面も当然多く、実に気持ちよい。リラックスと本気と多少の緊張感というのは並立するのだという事がよくわかる。
7月28日(火) デュオ w/寺井尚子 サントリーホール
(高嶋ちさ子“めざましクラッシック”ゲスト)

La Festa
Fragile
バッハ“二台バイオリンのためのコンチェルト” 弦カル+寺井+佐山

昨日にも増して気分よく、集中してできた。Fragileの音数極少のベースラインなど自分でニタニタと悦に入って出来た。寺井の照れもケレンもない全編本気ぶりは見習うべき点多し。
7月29日(水) 北九州芸術劇場前日入り
いつも気になっているのに閉まるのが早くて果たせなかった「悟空らーめん」で昼をとる。400円。替玉(しなかったが)80円。なんという安さ。そしてちゃんとうまい。多少塩気がきついかな、と話していたら本多愛也曰く「閉店間近で(4時なのに!)スープが煮詰まってきたのでしょう」なかなかのラーメン通と見た。

7時にリハーサル終了。スタッフを交えての飲み会の機会が普段あまりないので10時を約す。寝不足解消にひと寝入りしようかとも思ったが、何人かは飲めるのでダーツに行く。ちびちびとそれでもゲームは白熱し、やがて乙部ミツキ女史登場。月猫まわりのダーツ流行の張本人とあって全員燃えるも一ゲームで時間切れ。なべ玄に移動して鳥鍋と黒霧島。ご当地ネタの扱いについて多少の議論あり。
7月30日(木) 月猫えほん音楽会 北九州芸術劇場
青山の最終回が良すぎたせいか、いまいち盛り上がりきらなかった。子供の年齢が総じて低すぎた関係もあるかも知れないが、そのくらいでダメになる内容じゃこちらがダメな訳で、気合を入れ直す要あり。
7月31日(金) ソロアンドトリオ 小倉ユキテック
一部 ソロ
All The Things You Are
Early Autumn
Autumn In New York
In The Velvet
P-Bop
Hymn For Nobody
Rhapsody In Blue

二部 トリオ 井島政男(B) ヤス岡山(Dr)
I’ll Close My Eyes
My Foolish Heart
Harvest
You Look Good To Me
I’ll Remember April
Hymn To Freedom
Hush a Bye

油圧機械の会社が貿易の枠を広げて家具、クリスタル、ワインなど輸入品の展示をしている広いサロンを主催の河岸さんが借りてくれてのコンサート。井島さんとは響ホール以来の5年ぶり、岡山さんに至っては彼が渡米する86年以来の再会。二人ともとても気分よくスイングする楽しみのわかった大人なのでセッションのどの場面も楽しい。

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