潟Xズキ・ホンダ・ヤマハ発動機など輸送用機械で有名な浜松市は、人口82万人を越える製造業の町。この環境を支えているのは主に日系ブラジル人で、2万人を超えていたが、経済危機は日本人よりも先に日系外国人を襲い、「がんばれ!ブラジル人会議」の調査(21年1月24〜2月13日・サンプル数3009人)によると、解雇予告を含めた失業者は61%で、1万人を超えている。正規雇用者や子どもの問題で帰国しない人は四分の一で5000人前後。既に帰国または帰国予定者がやはり約5000人。決めかねている人は残りの1万人という推計になる。
● 団結する日系人社会
日系人の減少は、今まで彼らを相手に成立していた市場の急速な収縮を招き、言わば勝ち組を自負していた事業者が「同胞の救援」に立ち上がっている。十数年前から外国人労働者の「医療と教育=人権保障」に関わってきた私やN−Pocketは、今更・・・と思わないでもないが、これらの救援活動は、雇い止めや派遣切りになった「もの言わぬしずかな日本人」をも支える活動として動き出し、多文化社会の新しい顔を見せ始めている。
政府が、日系人に帰国費用を出すと発表すると、帰国を決意する人が急増。再入国しないという条件に、「貢献してきた我々を、不要になったら捨てるのか!」と怒りの声が上がっている。活力に富み、有能で責任感の強い人も多い彼らの力を借りることが、日本の将来を健康にする。多文化共生はチャレンジだが、克服する努力が日本の社会を成熟させると私は信じている。
● こういうときこそNPOの登場を!
当事者の母親たちが運営する外国籍児童のための「算数・宿題」教室“グルッポ アラッセ”に会場を提供したり、先生を探したりと、今も私は子供たちに寄り添っている。子どもも緊急事態だと「教育・就学相談会」を母語で開催したところ、まず職業相談→家族問題→家探し→生活保護そして子どもの教育相談という順序で、子どもの優先順位が低い。公立学校に通学していた子ども達の中にも、「校納金が払えない」ために、相当数の子ども達が不就学状態にあることが明らかになった。困難な問題を包み隠さず打ち明けられるのは信頼できる関係だからこそ。教育委員会や社会福祉課など行政の縦割り構造による支援の限界を身をもって識ることになる。私の願いは「すべての子どもに無償で義務教育を!」
● 日本人社会に支援の輪が
手仕事が得意なブラジル人の女性たちが、生活保護に頼るのではなく自立の道を探り、困っている同胞を元気づけたいと「フシコ ブラジル」を創設。街なかで開催される“ふれあい市”で販売する機会を得たのだが、材料を買うお金が無い。複数の新聞に掲載され、布やミシンの寄贈が相次ぎ、日本人の中に支援の輪が広がっている。目指すは「フシコ(=つながる/広がる)ブランド」の確立だが、会場に行くバス代金にも事欠いている。「売れるものは何?技術をみがいて!」と焦りがちの私に「今は作ったものを喜んで買ってもらえる自信が自立に繋がるの。ゆっくりね」とマリアに諭され、私の中の「日本人」にはっとする。
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