ニュースレター 平成21年1月 第2号

あけましておめでとうございます。

世界的な経済危機を迎えて、先行き不安な新年となりました。浜松市も公共事業の入札の最低価格の値上げや、公共事業の着手の時期を早めたり、中小企業のための融資枠を広げたりと、緊急対策をとり始めました。浜松市は法人市民税より、個人市民税のほうが多いのですが、来年度予算は緊縮財政を免れません。どの施策を優先するべきか、市民の皆さんの声をお聞かせください。
本会議開催ごとにお知らせを出したいと、考えていたのですが、夫の4ヶ月に及ぶ闘病生活などありまして、計画通りにお知らせを出せなかった事をお詫びします。

■ 議会改革を提案しましたが!!

1. 「議会用語」をふつうの言葉に変えましょう

買い物帰りにふらっと立ち寄れるような親しみやすい議会にしたいという私の願いは聞き入れられません。特殊な用語は議会活動をも縛っています。言葉づかいに、市民が違和感をもって、議会を「自分たちの代表者による会議」と思えないことは残念です。

2. 議長は立候補の所信表明をしましょう

議場で選挙が始まり、例年通り、立候補演説も無いまま、いつのまにか議長が決まっていました。今のところ、議長は、1年交代で、議会事務局の原稿を読む係りです。“○○議長の時代に議会改革が始まった”全国には、そういう議会が増えていますが、マンネリ化しています。

3. 委員長自ら委員会報告書を書きましょう

五つの常任委員会は、本会議にはなじまない問題を議論し、その結果を委員長が議場で報告し、議員全員が賛否を表明するのですが、報告書を執筆するのは議会事務局です。委員長は多数派の議員が輪番で務めます。委員長のリーダーシップは不要で、特に、適性や信条が問われることはありません。

4. 議場を当局と対面する配置に変えましょう

議会とは、議員が当局に対して問題点を指摘して市政の在り方をただす場ですが、当局と対峙する配置ではなく、質問に対する市長や部長の表情を背中で読まなければなりません。事前調整した原稿の朗読大会をやめなければ。私の切なる願いです。

5. 質問は一問一答方式に変えましょう

本会議場の様子がTVとインターネットで放映され始めましたが、第三者から見ても討論が噛み合っていない事がよく解ります。それは議員が全部の質問を読み上げた後、当局が地位の高い人から、順不同で回答を読み上げすからです。どの質問に答えているのか質問した当人にも分かりにくく、再質問を組み立てるのは困難で、まるで朗読大会の様です。

■五つの提案はすべて否定されました

アメリカ大統領のオバマ氏は「Change!」を掲げて当選しました。議会の機能が形骸化しているにもかかわらず「Change」する気配はありません。提案の一つでも実現すれば、議会は活性化の方向に動きます。
否定された理由の一つは「議員の力の差が見えてしまう」でした。“議員の見える化”は相成らないのです。

■浜松市議会のもう一つの問題「与党」

地方議会は、市長が議会から選出される「議員内閣制」ではなく、市長は選挙で選ばれる大統領制です。従って国会のように与党は存在しません。しかし与党と認識している多数派議員は「山口さんの言うとおりだけれど、与党だから反対できないんだよ」とよく言います。ほとんどの議案が素通りする浜松市議会は、市民にとって不幸です。異を唱えるには、調査に調査を重ねるエネルギーが必要で、賛成するほうが、はるかに楽なのです。

■ この1年の政策の変化の特徴

新市長のもとで起こった特徴的なことは何だったか。課題を精選して、経過と結論を皆様にお伝えすることが「市民の風」の役割だと思っています。

■行政改革の名の下に行なわれた改革

市民協働で築くという理念はどこに?

1)市民委員を排除 報酬でも差別

付属機関とは審議会、懇談会、協議会などの総称ですが、統廃合が進行中です。現在96委員会・1432人の委員を、2年後には415人削減し、1017人にする予定です。ここで問題なのは市民の意見は協議会やパブリックコメントにより聴取できるとして、例外を除き、委員は専門家に限られ、各委員会の定数が10名に抑えられたことです。
私は、市民も市政に参加して地方自治を実現したいと考えていますので、市民委員の排除に異議を唱えましたが、賛成多数で可決されました。
委員報酬も専門家8,000円、市民委員3,000円という当局の差別的な提案に対して、議会が全員8,000円にと異例の修正案を出しました。私は全員交通費程度の3,000円が妥当であり、その分、公募の市民委員を増やしたほうがいいと考え、修正案にも反対しましたが、可決されました。

2)地域協議会の廃止

政令市移行後も、旧市町村ごとの意見を集約する八つの「地域協議会」と政令市後に誕生した七つの「区協議会」が、地域住民の代弁者として市政に参加してきたのですが、市は地域協議会を廃止し、区協議会のみを残す方針です。北遠地区はじめ旧町村は、反対を表明したのですが、地域協議会を、住民の自治組織「コミュニティー協議会」にする方針を堅持しています。山々に分散した北遠地区をコミュニティーと捉えることは現実離れしており、役所の施策の下で活動するのでなければ、北遠地区は取り残されていくという危機感が根強くあります。私も北遠地区は、「地域協議会」を数年は存続させるべきだと考えています。

3)公共料金を統一=一つの浜松?

公共料金の統一が次々と実施されています。所得水準が異なる周辺町村が、激変緩和措置が2〜3年あるものの、水道料、保育料、施設利用料、公営住宅家賃が、旧浜松の料金体系に併せ、値上げされています。
保育料の値上げ幅があまりに大きかったので、地域別の所得水準を把握して値上げ額を決めたのか質問すると「調べていません」。これを政策でしょうか。北遠地域の住民の溜め息が聞こえます。

■中心市街地の活性化「企業誘致」の実態

1)「ビックカメラ」に2億5千万円助成

駅前が賑わうのは嬉しいのですが、「大型商業施設進出促進助成事業補助金」2億1634万が交付され、潟rックカメラが出店しました。この巨額の補助金の妥当性を示す根拠を質問したところ、10年の税収シミュレーションが提出されました。
出店後5年間は事業所税と固定資産税合計3500万円が減免されるので、合計2億5千万円の優遇になります。10年間で3億9400万円の税収を想定しており、10年間で1億4千万円の税収、1年あたり1000万円余の税収を得る為に、大企業に2億5千万円も補助するのは適性しょうか。11年後に撤退しない保障はありません。

2)わずか12億円でフォルテ売却

市長はいかなる反対にも耳を貸さず、フォルテ跡地700坪を、わずか12億円で遠鉄百貨店に売却。総工事費82億円(内遠鉄負担20億円)を投じた市民の財産フォルテの寿命はたったの18年。ギャラリーモールなど駅前周辺地域に注ぎこまれた公共投資は54億でした。
遠鉄デパートがツインビルとして聳え、3階から6階まで4層の渡り廊下が、公道の空中を横切り、その上にガラスの大屋根が架かります。 集中的に税金が投入された場所を、一企業が独占的に利用することは合理的ではなく、「買い物」で街を活性化できると考えるのは時代遅れです。
浜松の優れた企業群のサテライトオフィスや、各企業のデザイン工房を兼ねた産業考古学博物館など、多様な機能を持たせたクリエイティブな構想を実現できなかったのは残念です。

■ 数字で見る浜松の姿 

● 急増する児童虐待 (こども家庭部)

17年 18年 19年
141件 166件 191件

学齢前児童が51% 加害者の58%は実母

● 交通事故死より多い自殺者(健康医療部)

15年 16年 17年 18年
交通事故死 91人 70人 54人 60人
自死殺者数 130人 127人 144人 154人

自殺者:無職者が56% 理由の一位:健康問題

● 高齢者の5人に1人が「ひとり暮らし」

 子どもと同居:57.5% 夫婦のみ:19%
 一人暮らし;21.8%

● 学校も借地 (資産経営課:今年度設置)

 54校(14.4万u)が借地。1年の借地料は合計1億6千万円。今後は、順次購入の予定に。

● 22年までに約800人の職員を削減(総務部)

  合併前の総職員数6,499人の10%削減目標に対して147人上乗せして797人を削減する計画

● 救急車利用者のうち6割が軽症(健康医療部)

不要不急の受診の自粛を。税金の浪費です。
医師も疲れています。医師に感謝の気持ちを。 

● 補助金を27億円削減して132億円に

  合併後も、多種多様な補助金が残っていましたが、461件を300件に削減。市民活動は「がんばる地域応援事業」に姿を変えて118億円助成。

● 議員年金に年額6600万円を市が拠出

  落選することもある議員に、3期当選すれば年金がもらえる予想外の制度がある。年額6600万円が税金から拠出されている。廃止したいです。

■ 借金が多い浜松市の財政

18年度 19年度 20年度(見込み)
市税収入 1264億円 1374億円
(国県道の移管で増加)
財政力指数 0.89 0.91 ―――
経常収支比率 83.6% 86.4% ―――
* 比率が低いほうが財政の自由度が高い
市債(借金) 228億円 224億円 229億円
9.48% 8.55% 8.58%
* 歳入に占める借金の比率
返済額 340億円 366億円 375億円
実質公債費率 15.5% 15.1% 15.6%
* 一般財源に対する借金の返済額の比率
借金残高 5,632億円 5,493億円 5458億円

■ 山口祐子の本会議での活動

議会改革を進めている市町村では、全議員が毎回本会議で質問できるのですが、浜松市議会は、4回開催され本会議で、当局に問題提起し、提案できる重要な機会ですが、一議員1年間わずか1回です。反対討論ならば回数の制限がありません。そこで私は「これは問題。市民も反対」と考える議案6件の反対討論を行ないました。一般質問と併せて1年半で8回登壇し、多数派議員の4倍の頻度で当局と渡り合いました。

一般質問 20年2月議会 

「市役所業務の生産性と信頼性について」
 市政をつぶさに観察した結果、職員の仕事の生産性や専門性に疑問を持ちました。経費削減を急ぎアウトソーシングを進めた結果1年で、100人もの現場職員を事務職員に転進させていたり、外部委託に頼りすぎて知的集積が危ういこと、女性職員が課長以上になるのに男性より100倍困難な実態、障害を持つ人の差別的な勤務実態、NPOに対する無理解、市民協働とは何かについて問題提起しました。その結果、部長級の女性職員がやっと一人増え二人になりました。

一般質問 20年11月議会

「多文化政策と医療センターの現状について」
浜松市は、日本で最多の日系外国人労働者とその家族が働いていますが、彼らの「健康と教育」に関する施策が充分でないことから、浜松市の多文化政策について質問しました。その成果は、外国籍児童の日本語支援は、5000万円の予算で一つの団体に随意契約で委託されていますが、二−ズを満たしていない現在、他の団体にも門戸を開くように提案し、実現することになりました。
医療センター問題は、次の4点に絞られます。

@独立行政法人移行時の職員の処遇です。

43億円の退職金を一般会計から捻出できるのでしょうか。

A高コスト体質を改善するためには

賃金の引き下げなど、職員の待遇を見直せるのでしょうか。

B医療センター時代の企業債(借金)147億円について

新法人を支援するために、浜松市が引き受ける覚悟があるのでしょうか。

C若い医師を集めるために

魅力的な研修制度が必要ですが、留学制度や指導医制度など新体制が着々と用意されていました。 多くの関係者にお会いしましたが、新法人を成功させるために、「市民の命を守っている医療関係者」に「ありがとう」と感謝の気持ちを表明することが、市民に求められていることをよくわかりました。浜松市も公的病院として万全の体制で支援することを表明しました。問題点は山ほどありましたが、今回は医療センターを応援する立場からの質問になりました。

反対討論

1)2007年6月119号議案

平和破砕処理センター補正予算に反対:火災原因の究明方法に疑問。

2)2007年12月180号議案

平和破砕処理センター和解案に反対:浜松市の譲歩のし過ぎに疑問。

3)2008年3月 87号議案

付属機関の市民委員  の削減と8000円の報酬に反対(本文で説明)

4)2008年3月35号議案

当初予算「冬のホタル」5200万円は他都市に比べても税金の使いすぎ

5)2008年9月124号議案

議論が無く結論ありきに反対。20年度補正予算「フォルテ減額補正

6)2008年12月197号議案

行政の管理体制が不十分で審査基準も不透明ゆえに指定管理者の指定について反対「浜松市観光バス公共駐車場」

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