Marine Blue Serenade
■4日目■
【 朝 / 昼 / 夕 / 夜 】
◆7月24日<朝>◆
『愛情報酬1』
4日目の朝。
遠くまで澄み切った青空。蝉の声が夏の景色をらしく演出している。
やっぱ暑くとも夏はこうでなくちゃね。
さてと、今日は何処に行こうかな…っと、あれ?
「こんな所でなにしてんだ美鈴?」
姉貴の家の玄関先でつまんなそうに足元を見ている美鈴を見つける。
俺の事に気付くと一瞬、嬉しそうに微笑んだように見えたのだが、次の瞬間には怒った顔をして俺の前にズカズカとやって来た。
「馬鹿男! あんたを待っていたのよっ! 起きるのが遅いわね! まったく」
「待っていたって、ずっとかよ?」
「そうよ。この私を待たせるなんて、身ほど知らずな男ね」
「それなら呼び鈴押して、姉貴に俺を起こしてもらえばよかったじゃないか…って、おい、お前と何か約束してたか?」
そう、俺には美鈴となにか約束した覚えは全くない。
「う、うるさいわね。今日一日、私のお供をさせてあげようと思っただけよ。ありがたく思いなさい」
「そうか、お供ね…お供だと!」
でた。美鈴お嬢様のわがままが。
「なによ、文句でもあるっていうの!?」
「あるさ、あるある。おおありだ! 何が悲しくて俺がお前のお供をしなきゃいけないんだっ! 優紀さんはどうした?優紀さんは」
「さあね。最近、深川とはできるだけ一緒にはいない事にしてるの。誰かに見張られているのはもうたくさん」
「…で、なんで俺なわけ?」
「感謝しなさいよ。私と二人っきりで一日過ごせるなんてめったにいないんだから」
俺はため息をついて美鈴の肩を叩く。
「美鈴よぉ、俺とデートしたいんなら、デートしたいって言えよ」
「な、なに言ってるのよ! 私があなたみたいな最低男と一緒にデートなんてするわけないじゃない!」
まったくこの女は…。
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