「あっそ。じゃあ誰がつき合うか! お前みたいな可愛げのない女なんかと。一緒にいたら俺までわがまま人間になっちまうぜ」
「なんですってっ! 私の命令が聞けないっていうの!」
「俺は最低男だからね。他人の命令なんてまっぴらご免だね」
「馬鹿! 馬鹿! 絶対後悔するんだからぁ!」
半泣きになりながら,俺の前から去っていく美鈴。
まったく、どうしてあそこまでひねくれてるかなぁ。あんな言い方されたら誰だって嫌がるに決まっているだろ?俺が甘い顔しているからってつけあがるんじゃないよ、まったく。
……。
でもなぁ、冷静に考えると、あいつなりに精一杯だったかも…。俺はそういう所を知ってるからなぁ。
あの美鈴が俺を待っていたんだからなぁ。
う〜ん。
ああ!! もう! しょうがない!
俺は美鈴の背中を追いかけて彼女の肩を捕まえた。
「待てよ美鈴」
「なによ! 放してよ!!」
「気が変わった。ついていくよ」
「え?」
驚いて俺の顔を見上げる美鈴。次の瞬間、彼女ははっとして目を反らした。
「い、いまさらなに言ってるのよ」
「駄目か?」
「し、仕方ないわね。最初から素直にそう言えばいいのよ」
この女は〜!!
おっと、押さえて押さえて…。
「それで、何処に行きましょうか、お嬢様」
「その呼び方やめてよ!とりあえず、天気もいい事だし海にいくわよ」
おいおい、いきなりかよ。
仕方がない。準備しますか…。