■美鈴編■
4日目【7月24日】


 
 
「あっそ。じゃあ誰がつき合うか! お前みたいな可愛げのない女なんかと。一緒にいたら俺までわがまま人間になっちまうぜ」
「なんですってっ! 私の命令が聞けないっていうの!」
「俺は最低男だからね。他人の命令なんてまっぴらご免だね」
「馬鹿! 馬鹿! 絶対後悔するんだからぁ!」

 半泣きになりながら,俺の前から去っていく美鈴。
 まったく、どうしてあそこまでひねくれてるかなぁ。あんな言い方されたら誰だって嫌がるに決まっているだろ?俺が甘い顔しているからってつけあがるんじゃないよ、まったく。

 ……。
 でもなぁ、冷静に考えると、あいつなりに精一杯だったかも…。俺はそういう所を知ってるからなぁ。
 あの美鈴が俺を待っていたんだからなぁ。

 う〜ん。

 ああ!! もう! しょうがない!
 俺は美鈴の背中を追いかけて彼女の肩を捕まえた。

「待てよ美鈴」
「なによ! 放してよ!!」
「気が変わった。ついていくよ」
「え?」

 驚いて俺の顔を見上げる美鈴。次の瞬間、彼女ははっとして目を反らした。

「い、いまさらなに言ってるのよ」
「駄目か?」
「し、仕方ないわね。最初から素直にそう言えばいいのよ」

 この女は〜!!
 おっと、押さえて押さえて…。

「それで、何処に行きましょうか、お嬢様」
「その呼び方やめてよ!とりあえず、天気もいい事だし海にいくわよ」

 おいおい、いきなりかよ。
 仕方がない。準備しますか…。