2025.06.08

フルートフェスティバルも46回目だそうである。今年は参加者が多い。新しい人が目立つ。

    曲目は誰もが知っている曲ばかりである。全員でロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」、小オケ(プロと学生)で広瀬良平の「ブルー・トレイン」、神田寛明さんのソロが入ってヴィヴァルディの協奏曲「ごしきひわ」、大オケ(素人)でアブレブの「ティコティコ」、アンダーソンの「プリンクプランクプランク」、再び全員で、R.ロジャーズの「サウンド・オブ・ミュージック」編曲版、バーンスタインの「ウェストサイドストーリー」編曲版、アンコールは「星条旗よ永遠なれ」。

    今年からは大代先生が指導からも引退されて、指導は浮穴さん、川本さん、万代さんが交代で行った。神田寛明さんの指導は2日前6月6日から始まった。流石に細かい曲のニュアンスを要求してこられて大変だった。集中していないと聞き逃してしまいそう。間に合うかどうか?ウィリアム・テルが速い。でも、テキパキと指導されたので、時間内に収まった。

    6月7日もなかなか厳しい指導であった。でもまあ神田寛明さんは本当によく曲想と演奏方法の関係が判っている人なんだなあと感心した。いろいろと指導を受けると、「ウェストサイドストーリーメドレー」はとても味わい深い。音楽の作りや細かいニュアンス表現が登場人物の性格や心情をうまく表現していることが判って、とても勉強になった。映画のシーンを思い出した。

    6月8日当日、神田さんはリハーサルの時もきちんと指示を出したり、部分的にやり直したりした。本当にテキパキと時間厳守で必要最低限のことをやる。見事である。

    去年もそうだったのだが、今年も本番の日には音が高くなってしまう。頭部菅を1mm位抜かなくてはならなかった。気温は上がっていないのに不思議である。吹き方が変わるのだろうか?

    本番はなかなか良かった。乗っていた感じである。「ごしきひわ」の第二楽章、神田さんのソロが特に美しかった。大オケの曲は大分曲想に沿った吹き方ができるようになった。ディミニュエントの作り方、舌先を使うスタッカートとか短いフォルテピアノのような唇の動きで締める吹き方とか。今回学んだことは多い。「ウェストサイドストーリー」では吹いていて涙が出そうになった。もう体力的に今年で限界かなあと思っていたのだが、来年も参加する気になってきた。個人的には、アンコールの「星条旗よ永遠なれ」の最後の処でミスってしまって脱落したのがやや残念であった。

    もう一つ印象深かったのは舞台裏の隙間から見えていた川本さんのバスフルートである。きちんとした姿勢で力強い音を出している。神田さんがバスフルートに対して音を控えめにしてくれという要求を出したのは初めてだそうで、川本率いるバス部隊は世界最強である。

    ところで、神田さんの演奏を聴いたのは何回目かなあと思って調べてみると、2012年6月のフルートフェスティバル(この時は参加ではなく、観ただけだが、モーツァルトの「アンダンテ K.315」を吹いておられて、印象に残っている)、2014年2月2018年10月2020年1月 という具合で、これが5回目であった。

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