Tc
Tc は Tcase の略で、CPUコアを覆う金属ケース(ヒート・スプレッダー [IHS])表面の中央部の温度の事で、最大値を Tc-max と言う
TDPが最大となる時 TC-max がクリアできれば、冷却システムの能力は十分ということになる。
Tj
Tj(ジャンクション温度)とはコア温度と同義でダイ内部の温度の事で、intelの場合、サーマル・スロットリング機能が発動する前にコアが到達する最大値を Tjmax と言う
Tcase が60℃でTjmax が100℃とした場合、Tjmax を100℃以下にするためには Tcase が60℃以下になればよい。
Tj とはモバイル・プロセッサーなどのヒート・スプレッダーがないCPUの為に使われるもので、デスクトッププロセッサであれば コア温度で済む話である為、話題で使われる事はあまりない。
Ryzenでは tCTL というヒートスプレッダとシリコンダイとの接合部における温度をレポートする新しいセンサー利用する。
tCTL
tCTL は t-Control の略で、これまで多くのCPUが,半導体内部のジャンクション温度(半導体のP-N接合温度,t-Junction)をCPU温度制御のデータとして利用してきたが、
Ryzenでは tCTL というヒートスプレッダとシリコンダイとの接合部における温度をレポートする新しいセンサー利用するようになった。
メディア向け評価段階ではAM4プラットフォーム向けのCPUやAPUでは,仮にtCTLの最大値が同等であっても,ジャンクション温度とtCTLの温度との関係が異なるケースがあり、
それが原因で,メディアやエンドユーザーの間に若干の混乱を起こしたが、これは発売時に「Ryzen 7 1800XとRyzen 7 1700Xでは,tCTLから20引いた値をジャンクション温度として解釈できる。」として対応した。
※出典はAMD公式blog 投稿タイトル「AMD Ryzen Community Update」にて、広報担当 Robert Hallock
AMD Ryzen Master Utility
AMD Ryzen Master Utility とは Ryzen のオーバークロック制御用ユーティリティである。
Ryzen CPUとDDR4メモリーそれぞれのクロックおよび電圧調整とメモリータイミングの調整ができ、設定したプロファイルを最大4つまで、保存する事が出来る。
システム モニタリングとしての機能もあり、リアルタイム モニタリングと平均/ピークの読み取りを含むコアごとのクロックレートおよび温度ヒストグラムのモニタリングが可能。
AMD Ryzen Master Utility は Threadripper 用と その他全てのRyzen 用の二つがある。
AMD Ryzen Master Utility AMD.com
AMD Ryzen Master Utility のマニュアルについて
Threadripper 用 AMD Ryzen Masterの例
AMDのAMD Ryzen Master Utility の紹介ページにあるユーザーガイドは英文のみであり、この内容をGoogleなどのwebサービスで日本語に翻訳した場合、
かなり意味不明な文章になってしまう。
ところが、このユーザーガイドを参考にするより Ryzen Master Utility をインストールすると付属する
Ryzen Master Help guide (htmlファイルなのでブラウザ上で展開される)を
Google Chrome の翻訳機能で利用すると、こちらはかなり意味が通じる翻訳結果になるので Ryzen Master の操作が捗る事は確実だ。
AMD Ryzen Master Utility のマニュアルは英語のみであるが 試しにThreadripper 用 AMD Ryzen Masterをインストールすると
スタートメニューに3つのアイコンが追加される。
そのアイコンの一つである Ryzen Master Help guide と言うアイコンをクリックするとしっかりとした英文マニュアルがWebブラウザ上に展開される。
Windows10で概定のアプリがGoogle Chromeに設定されていればGoogle Chrome上で展開される。
Google Chrome上でマニュアルが展開されていれば、「このページを翻訳」するだけで、場合によっては日本語そのものともいえる精度で意味が通じる日本語に翻訳されたマニュアルに驚くだろう。
ブラウザに Google Chromeを利用しているならぜひ試してみるといいだろう。
Google Chrome上での翻訳結果の例
記事
Ryzen 電源プラン 「 Ryzen Balanced 」
Balanced power plan optimized for AMD Ryzen™ processors
AMD Ryzen™ Community
解説
RyzenにはSenseMIというプロセッサ制御技術が用いられており、ハードウェアサイドでプロセッサの電圧やクロックをミリ秒単位で瞬時に、細やかに制御することが特徴となっている。
一方、Windows 10標準の電源プラン「バランス」は、省電力性と性能の兼ね合いからかPステート下のプロセッサに対するパフォーマンス制御のしきい値が高い為に、細かくクロックを上げられず、高負荷アプリケーションの実行ではRyzenの性能を引き出せなかった。
このため、AMDはRyzenの発売当初から「高パフォーマンス」設定での利用を推奨していた。
さらに、標準の電源プランでは、可能な限り全ての論理コアを低速な状態(Core Parking)とするため、アクティブ状態に遷移するまでのレイテンシによって高負荷アプリケーションの性能が低下するという問題があった。
Ryzen搭載PCに,このチップセットドライバを導入して,Ryzen Balancedを適用することで,電源プランの選択肢から「高パフォーマンス」を選んだときと同程度の性能が得られるという。
すべてのゲームで,常に高パフォーマンス設定と同等以上のフレームレートを実現できるものではない。
AMDによれば,Windows 10の標準設定である「バランス」と比べても,Ryzen Balancedの有効化により,1920×1080ドット~2560×1440ドットの解像度条件においておおむね6~7%のゲーム性能向上を図れるという。
Ryzen のモデルナンバーの見方
Ryzen の型番の見方
Ryzen のパッケージ
パッケージ
1800X 1700X (クーラーなし)
パッケージ
1800 1700 (クーラー付属)
Ryzen 製品一覧
・コードネーム:Summit Ridge
・プロセス:14nm
・ソケット規格:Socket AM4
PCI Expressレーン数:
メモリーコントローラー:2チャンネルDDR4
製品名 |
Ryzen 7 1800X |
Ryzen 7 1700X |
Ryzen 7 1700X |
Ryzen 5 1600X |
Ryzen 5 1600 |
Ryzen 5 1500X |
Ryzen 5 1400 |
Ryzen 3 1300X |
Ryzen 3 1200 |
CPUコア/スレッド |
8/16 |
8/16 |
8/16 |
6/12 |
6/12 |
4/8 |
4/8 |
4/4 |
4/4 |
定格/ターボ |
3.6/4.0GHz |
3.4/3.8GHz |
3.0/3.7GHz |
3.6/4.0GHz |
3.6/4.0GHz |
3.5/3.7GHz |
3.2/3.4GHz |
3.5/3.7GHz |
3.1/3.4GHz |
XFR |
4.1GHz |
3.9GHz |
3.75GHz |
4.1GHz |
4.1GHz |
3.9GHz |
3.45GHz |
3.9GHz |
3.45GHz |
L3 |
16MB |
16MB |
16MB |
16MB |
16MB |
16MB |
8MB |
8MB |
8MB |
TDP |
95W |
95W |
65W |
95W |
65W |
65W |
65W |
65W |
65W |
発売日 |
2017/03/03 |
2017/03/03 |
2017/03/03 |
2017/04/11 |
2017/04/11 |
2017/04/15 |
2017/04/15 |
2017/07/28 |
2017/07/28 |
Ryzen 7 1800X / Ryzen 7 1700X / Ryzen 5 1600X クーラー無し ※1
※1 組込向け(BTO)でのみ提供。Wraith Max(レイスマックス) LED照明機能付き + 高冷却版が付属
Ryzen 7 1700 クーラー付属 Wraith Spire(レイススパイア) LED照明機能付き 騒音レベル32dBA
Ryzen 7 1600 / Ryzen 7 1500 クーラー付属 Wraith Spire(レイススパイア) 騒音レベル32dBA
Ryzen 7 1400 / Ryzen 7 1300X / Ryzen 5 1200 クーラー付属 Wraith Stealth(レイスステルス) 騒音レベル28dBA
XFR(Extended Frequency Range )とは
プロセッサの冷却条件次第で最大ブーストを超えるクロックで動作する機能の事
XFRはブーストアップしたクロックが最大時に単一スレッドが最大値を超えて動作する
XFRの条件は他コアのクロックはC6-Stateに固定される必要がある
ブーストの条件
スペック表で表記されている最大ブースト値は2コア使用時
全コアブーストは全コアがアクティブ状態でターボ動作となる
最大ブーストは2コア以下がアクティブ状態でターボ動作
製品名 | 定格 | 全ブ―スト | 最大ブ―スト | XFR | C6-State |
Ryzen 7 1800X | 3.6GHz | 3.7GHz | 4.0GHz | 4.1GHz | 2.2GHz |
Ryzen 7 1700X | 3.4GHz | 3.5GHz | 3.8GHz | 3.9GHz | 2.2GHz |
Ryzen 7 1700 | 3.0GHz | 3.2GHz | 3.7GHz | 3.75GHz | 1.55GHz |
Ryzen 5 1600X | 3.6GHz | 3.7GHz | 4.0GHz | 4.1GHz | 2.2GHz |
Ryzen 5 1600 | 3.2GHz | 3.4GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 1.55GHz |
Ryzen 5 1500X | 3.5GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.9GHz | 1.55GHz |
Ryzen 5 1400 | 3.2GHz | --- | 3.4GHz | 3.45GHz | 1.55GHz |
Ryzen 5 1300X | 3.5GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.9GHz | 1.55GHz |
Ryzen 5 1200 | 3.1GHz | --- | 3.4GHz | 3.45GHz | 1.55GHz |
AMD SenseMI Technology
ユーザーの好みとアプリケーションに合わせてRyzenプロセッサーのパフォーマンスをカスタマイズする。
一連の学習および適応機能をもつテクノロジーで、思考するパフォーマンスを目的として開発した5つの要素技術のこと。
仕組みは,合計数百個とも言われる電圧や電流,温度の各種センサーをプロセッサ内に配置し,そのデータを参照しながら,
リアルタイムかつ適応型の内部操作処理を行うというもの。
5つの要素技術は、
1.電力制御に関わるもの・・・・・・・・・・・・・・・・・Pure Power
2.プロセッサの動作クロック・・・・・・・・・・・・・・・Precision Boost
3.プロセッサの冷却状況の判断・・・・・・・・・・・・・・Extended Frequency Range(XFR)
4.予測結果合否フィードバックによる動的な分岐予測技術・・Neural Net Prediction
5.予測結果合否フィードバックによるメモリアクセス・・・・Smart Prefetch
上記5つの要素で構成される
AMD SenseMIテクノロジーはすべてのRyzenプロセッサーに搭載されているが、個々の機能およびその有効化は製品やプラットフォームによって異なる場合がある。
5つの要素技術解説
Neural Net Prediction
人工知能による分岐予測の一種。原理はディープラーニングと同じで、3層以上のネットワークを構築することで効果的に動作する。
欠点は予測に要するレイテンシーが増えることで、精度を上げるにはネットワークの層数を増やすのが効果的である一方、層数を増やすと処理が重くなり、レイテンシーや消費電力が増えるという欠点がある為、分岐予測の精度とのバランスを取ることで層数を決めるが、そこは企業秘密となる。
Smart Prefetch
学習アルゴリズムを用いてアプリケーションの仕組みを把握、必要なデータを予測し、必須データをRyzenプロセッサーにプリロードする事によって、高速かつ応答性に優れた演算処理を実現する事を目的とする。
Pure Power
CPUコア(ダイ)に分散されたセンサーで、電圧・動作周波数・温度などをリアルタイムに測定を繰り返しながら測定毎の結果をベースに動作周波数を変えずに少しずつ消費電力を下げるように動作させる。
Precision Boost
従来は100MHz刻みだった周波数倍率を25MHz刻みに変更し、CPUコア(ダイ)に分散されたセンサーで、電圧・動作周波数・温度などをリアルタイムに測定を繰り返しながら測定毎の結果をベースに消費電力を変えずに動作周波数を上げるように動作させる。
Precision Boost2
Ryzen APU 以降から採用。従来は、1コアまたは2コアがアクティブだった場合に、アクティブコアの動作周波数をブーストしていたが、すべてのコアを対象に
動作周波数を適切な範囲内で上げることでCPUコアの数に関わらずパフォーマンスの応答性を向上させるようになった。
Extended Frequency Range(XFR)
Mobile XFR(mobile Extended Frequency Range(mXFR))
Mobile XFRでは、冷却能力に応じて、ブーストされた周波数をより長い時間持続させるとともに温度センサーによってブースト時間を最適化するようになっている。
XFR 2.0
Ryzen 2000 以降から採用。すべてのコアを対象に積極的に動作周波数を適切な範囲内で上げることでパフォーマンスの応答性を向上させるようになった。
Ryzen CPUが備えるI/O
M.2 SATA SSD及びNVMe。
Dual-channel DDR4メモリ対応。
PCI-Expresss 3.0が24レーン、内訳は16レーンは3-way CrossFireと2-way SLIに対応。
残りのPCI-Express 3,0は4レーンがストレージ向け、4レーンがLANやUSB 3.1 Gen 2向けとなる。
USB 3.1 Gen 1が4ポート、USB 3.1 Gen 2は2ポート、USB 2.0は6ポート。
SATA 6.0Gbpsは2ポート。
Ryzenの名称の由来
Ryzenの名称の由来はRisen(復活)とZEN(禅)を掛けた物だという
メモリのRankとは?
Rankというのはメモリの動作単位のこと。自作PCで使われるDDR4などのDIMMは複数のDRAMチップで構成されているが、これらのチップは必ず64bitの単位で構成され、
その64bitの集まりをRankと言い、1枚のDIMMに64bitになるDRAMのグループが1つであれば1Rank、2つであれば2Rankとなる
メモリコントローラはRank毎にやりとりを行なうので、2Rankメモリでは電気的には2枚のメモリが刺さっていることになり、メモリコントローラによっては搭載できる枚数が減るなど、
制約が発生する場合がある。
1RankのDIMMはDRAMが片面のみに実装されている物が多いので、DRAMが片面のみ=1Rankと思い込みやすいが、両面実装で1Rankも存在する。
AGESAとは?
AMDの汎用カプセル化ソフトウェアアーキテクチャ(AGESA)
AGESA(AMD Generic Encapsulated Software Architecture)とは、システムを初期化するためにAMD64メインボード上で使用されるプロトコルだ。
このソフトウェアは、マザーボードベンダーが関与できないCPUコア、メモリ、HyperTransportなどコントローラ部分や機能を初期化しアンロックや修正うを行うもので、 AGESAアップデートとは、この新しいマイクロコードがDDR4メモリのサポートを改善し、いくつかの軽微なCPUの問題を修正することを意味する。
A-XMP(AMD-Extreme Memory Profile)とは、インテルの提唱するメモリ拡張規格であるXMPと同様のAMD独自のメモリ用オーバークロック規格。
BIOSにA-XMP Profileを内蔵し、A-XMP対応メモリを使用すれば容易にメモリのオーバークロックができるというもの。
2018年2月21日に発表された Zenアーキテクチャを組み込み向けに展開したシリーズ。
CPUの「EPYC Embedded 3000」シリーズとAPUの「Ryzen Embedded V1000」シリーズがある。
Ryzen Embedded V1000は,2~4基のCPUコアとVega世代のGPUコアやEthernetコントローラ,サウスブリッジ機能を統合したSoCで,カジノ向けゲーム機器や医療機器,産業用端末を主な用途としている。
最大4枚の4K解像度ディスプレイへの表示や,10Gbit Ethernetを最大2系統まで対応可能。
最上位モデル「Ryzen Embedded V1807B」は,デスクトップPC向けの「Ryzen 5 2400G」に相当する。
デフォルトのTDPが15Wの「Ryzen Embedded V1202B」は,同じくTDP 15Wの「Core i3-7100U」と比べて,マルチスレッド性能で最大46%上回る。
「3DMark 11」によるGPU性能比較では,Ryzen Embedded V1807Bが「Core i7-7700HQ」比で最大3倍の性能を発揮するとしている。
EPYC Embedded 3000は,GPU機能は備えていないが、4~16基のCPUコアと最大64レーンのPCI Express Gen.3インタフェース機能,10Gbit Ethernetコントローラなどを統合したSoCで,サーバーやデータセンターで使われるようなネットワーク機器やストレージシステムなどをターゲットにしている。
AMDがEPYC Embedded 3000シリーズの競合に位置付けているのは,Intelの組み込み向けCPUであるXeon D-1500となっている。
EPYC Embedded 3451は,「Xeon D-1587」と比較して,処理性能で最大50%,価格対性能比では2.7倍に達しているという。
EPYC Embedded 3000
EPYC Embedded 3000は、高いI/Oスケーラビリティやセキュリティを特徴とし、競合に対して1ドルあたり2倍~2.7倍の性能を提供。
また、10年間の長期供給やロングライフサイクルサポートロードマップも保証される。
コア数は4/8/12/16の4種類で、PCI Express 3.0は最大で64レーン。
加えて、最大8つの10Gigabit Ethernet、1CPUあたり4チャネル、容量最大1TBのメモリの搭載が可能。