ゆうべ小腹がすいてポップコーンを食べていたらガリッと硬い豆が歯に触り,不発弾を噛んでしまったかと吐きだしてみれば,ん? 弾けそこねたコーン豆のようでコーン豆でないベンベン。この茶と白のツートンは,歯? 歯のカケラか。NOー。ざっと9×5×2mm3の巨大な琺瑯質が脱落したのだ。嘘っとばかりに舌を歯の裏に這わせてみると,右下第一大臼歯の裏側ががおんとざらついた。メタル冠が虚しく庇状に残っている。痛みのないのは幸いで,しかしこりゃあ参ったなあ,怖れていた歯医者通いを計画せんければならぬ。歯ばっかりは自然治癒を望めないからナ。放置や様子見は悪手とわかっている。
GoogleMapさんに近所の歯科医院を訊いてみる。こないだ旅した郵便局の近くにあったんだなあ。でもクチコミが最低だから止めておこう。ウチを中心にぐるっと反対側の1.1km地点に古い褒めクチコミの残る歯医者があった。歯医者は一期一会だ。迷ってもしかたがない,そこにしよう。
きょうになって予約確認の電話をしてみたら20コールして誰も出ない。[土曜日営業中]ステータスだったんだがなあ,土曜日やめたのか廃業したのが反映されていないのか。一か八か行ってみる余力はないので次善を捜し,ウチから1.2km離れた新しげな医院に決める。こちらはweb持ちだ。初診ですけどと電話を掛けて11時半にねじこんでもらった。
Googleさんは徒歩15分だよと気軽に言うが,倍見ないと心許ない。前の郵便局と違って11時半というデッドラインがあり,しかしながら郵便局と反対側に位置する医院は即ち道中下り坂つづきなので負荷が小さく時間を読みやすいのだった。足をスニーカーで固めて冬の陽光まぶしい中ゆるゆると歩き,無事5分前に到着し,すぐには入らず立ち止まってハアハアハアハア波紋を練ってから受けつけを請うた。
待合がびっくりするくらい狭くて長椅子がなく,並べられているのは折りたたみ椅子が2脚と,問診票を書く小机とスツールだけである。よほど予約客をうまく回しているのだろう。おれ以外の待ち人が常にひとりでしかも絶えることはなかったからな。
最初に口内の写真をばっしゃばっしゃ撮られ,レントゲンはその後だった。歯医者で写真は初めてだ。それを治療シートに備えつけの液晶ディスプレイに並べて映して見せてくれる(レントゲンも)。なるほど。アパートを借りて入居時にデジカメで撮りまくっておくのと同じ用心かもしれないが。それにしてもきったない歯である。こんな口とキスするのはいやだなあ。
臼歯の崩落部分はパテ盛りで治す。当該のメタル冠は第二大臼歯と二連に繋がる珍しいやつなんだが,第一大臼歯部分を切りおとして別個に作ることになった。ちょっと惜しい。当然のようにムシ歯になっているので削り作業が入り,型を取って樹脂を詰めてきょうはおしまい。
さて,帰りだ。帰りはずうっと上り坂なのだ。ただ,時間的な制約はない。っと,医院の向かいがローカルコンビニだった。寄って苺のショートケーキ・うまかっちゃん・鶏卵10個・サッポロ一番ごま味・ジャージー牛乳ソフト・豚足を購い,小銭を減らせる金額だったので現金で払う。ぜんぶ食品だから8%に変わりはない。お行儀悪くソフトクリームを舐めながらお昼時の日差しを浴びてのろのろと歩む(人が来たら隠す)。交差点や渡りでクルマに譲ってもらうと小走りで通過しなければならなくなって苦しいので,だいぶん手前からタイミングを測りつつなけなしの歩速をコントロールする。
大休止を含めて1時間弱で帰宅できた(大臼歯だけに)。消耗はなはだしいが好天なら通院は可能だ。よしよし。シカシあしたは体が動かんだろうな。
お陰でPokémonGOの5kmのタマゴが孵った。