日本全国郷土玩具の旅:京都府篇


京都府篇(5)ー1

----KYOTO----



洛西の廃絶玩具

■車折(くるまざき)神社の竜頭船■
 毎年5月の第3日曜日に、嵐山・大堰川の渡月橋上流で、車折(くるまざき)神社の優雅な「三船祭り」が行われます。この祭りで管弦、舞楽を奉納する火炎太鼓を積んだ竜頭船を模して、いかにも郷土玩具らしい雰囲気を持った船が作られていました。
 戦後、一時、郷土玩具の会の手により復元されたこともありましたが、現在は廃絶しています。

愛宕の人形硯
 昭和初期まで、紅葉の名所で有名な清滝あたりの茶店で「人形硯」が売られていました。近くの愛宕(あたご)神社にちなんで愛宕の人形硯と呼ばれていました。
 この地域は嵯峨硯の原石の採集地で、その硯石の破片を利用して、天神や牛、小野道風、姫、鯛、などの形に加工し、美しく彩色したもので、石の都合で大小さまざまの形でした。昔は、愛宕神社詣りや、嵐山の法輪寺(虚空藏さん)の土産として売られていたものです。
 いまは作られていませんが、ときたま京都市内の道具屋で見つけることができますが、非常に高い値段が付いています。

収録できなかった嵯峨・嵐山地域の玩具
 ◇嵯峨面:(制作者)藤原敏行
      右京区嵯峨二尊院門前善光町 TEL:075-861-3710
 ◇(廃絶品)
   清涼寺の大念仏狂言の張り子面。愛宕神社の厄除け面(お多福。天狗)。




広隆寺の牛祭り面(廃絶)■
  太秦の広隆寺は、有名な国宝・彌勒菩薩半跏思惟像がある寺院です。ここでは、この寺の境内にある大避(おおさけ)神社の祭礼、「牛祭り」(10月12日)に、牛祭り面が広い境内の露店で売られていました。今はこの祭礼も行われていません。
 「牛祭り」は、牛にまたがった白面の摩多羅(まだら)神が、ア・ウンの赤鬼と青鬼の四天王の先導で堂めぐりをしました。この5人の仮面を模して作られていたのがこの面でした。

入船堂の張り子の虎とだるま
制作者:入船堂・2代目、入船昇さん。(右京区太秦和泉町19 TEL:075-861-2412)
 初代の入船清三郎:「入船堂の張り子」は初代の清三郎さんが戦後にはじめたものです。張り子の虎やだるまの変わり型、その他、いろいろな社寺の授与品などを作られていました。1978年没。
 この「だるま」は、京都府(4)-2の「達磨寺の護符とだるま土鈴」で紹介した、法輪寺の「だるま堂」でも授与され、堂内に多くのだるまが奉納されています。

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(1998.3.15掲載)

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