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私の電気通信歴

 固定電話からスマートフォンまで

2015.06.25. 掲載
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目次
1.はじめに
2.電気通信のあらまし
3.固定電話
4.パソコン通信
5.インターネット
6.携帯電話とスマートフォン
7.無線LAN
8.海外でのスマートフォン使用
9.まとめ


1.はじめに

50歳のころから、自分の関心が続いているカテゴリーについて、自分がどのように関わって来たかを自分史にまとめたい気持ちになった。その最初は、50歳になった時に「五十まで」の題名で自家出版し、57歳では、20年間の開業医生活をまとめた「野村医院二十年史」を、60歳では、それまでに投稿した文をまとめた「還暦まで」を、いずれも自家出版した。

還暦の年に、自分のホームページを開設してからは、関心のあるカテゴリーへの関わりの大部分を、このウエブサイトに掲載してきた。

ウエブサイトに、関心のあるカテゴリーへの自分史を載せた最初は「歌と思い出」である。これは生まれてから還暦までの時代に、私の思い出に残っている歌と、歌につながる思い出、歌とは関係のないその年の思い出を書いた。

このあと、自分が関わって来たカテゴリーについて、11件の自分史を載せている。その内の10件は2010年、74歳以降に載せたものである。

今回の「私の電気通信歴」は、これまでの自分史とは違い、電気通信に強い関心があって関わってきたものではない。通信は自分がしたいことをする場合に使う道具の一つとしてであり、道具自体にはあまり関心はなかった。

それが、自分史のひとつとしてまとめて置きたいと思うようになったのは、今年に入って、これまでの携帯から、世に流行るスマートフォンなるものに変えたことと、海外旅行に、はじめてWiFiルーターを持参したことが関係している。

私が使った最後の携帯は、2009年に購入したもので、使い勝手がよく、通話はもちろん、メールとインターネット接続にも不自由のない生活必需品だった。海外旅行でもこれでこと足り、海外からブログへの書き込みをこれで行ったこともある。

ところが、スマートフォンに変えて使ってみるとこれがなかなかややこしい。使うだけなら取説だけもなんとかなるが、この機会にスマートフォンの仕組みや関連する通信のメカニズムを理解したいという欲求が強くなった。

勉強を始め、理解を深めるために、自分が使ってきた通信機器を具体的に当てはめていくうちに、これは電気通信の自分史になると気が付いた。

前置きが長くなったが、これがこの記事を掲載するきっかけとなった理由である。


2.電気通信のあらまし

電気通信についての自分史をまとめるに当たり、この分野が広く、また急速に発展してきて、今も発展し続けている分野であることから、まずそのあらましを分類と歴史(発売開始年)でまとめ、それに対して自分がいつから関わったかを、使用開始年〜終了年として加えることで簡潔に表すことにした(表1)。

表1.電気通信の分類と歴史



まず、電気通信を有線と無線に大きく二つに分け、それぞれについて実用的に細分した。Bluetooth、コードレスホン、PHSはマイナーな項目であるが、無視するわけにもいかず、ここに収めた。また、WiMAXは、移動体用通信システムに入れる分類もあるが、本来の電話回線系ではなく、別項目にした。

固定電話は通信の原点であり、パソコン通信、インターネット、携帯電話とスマートフォンについては、私が関係したところが多いので、別に章を設けた。海外でのスマートフォン使用は、色々なことが関わってくるので、これも別の章にまとめた。


3.固定電話


図1.固定電話関連の仕組み


グラハム・ベルが電話を発明した1876年の2年後に、日本でベル式電話1号機が2台作られたことに驚く。しかし、電話の普及は遅遅として進まず、私の実家に固定電話が設置されたのは、テレビの設置よりもかなり後だった。

テレビは皇太子と美智子さまご成婚の1959年だと思うが、電話はそれよりかなり遅かった記憶がある。電話が必要なときは、公衆電話か、近くの集会所の壁掛け電話を使わせてもらっていた。

固定電話が普及し、一家に1台を保有するになったのは1980年代になってからで、1955年では未だ1000家庭の内の1家庭が保有する状態、1972年でも3家庭の内の1家庭が保有するという状態だった。我が家は、1973年に開業してから、家庭用電話1回線、業務用電話1回線、業務FAX用1回線を引いた。

固定電話の方式も、ダイヤル回転方式からプッシュホン方式に変わり、我が家でもそれに従った。

このように普及した固定電話であるが、2000年から減りはじめ、その反対に、インターネットを使ったIP電話(番号が05で始まる)や携帯電話が増えていった。我が家では、固定電話数は変わらず、FAX回線をパソコン通信用、インターネット用と兼用した。IP電話は設置しなかった。


4.パソコン通信

パソコン通信の電話回線利用は、電話の受話器に受話器と同じ大きさのマイクとスピーカを被せる音響カプラー方式で始まったが、すぐモデム方式に変わり、伝送速度は毎年向上し、次のインターネット時代に引き継がれた。

はじめて音響カプラーで通信の実験をした時、PCの画面のに左上隅から1行づつ、文字列が並んでいくのを、驚いて眺めていたことを思い出す。1988年のことだった。


図2.パソコン通信メールの仕組み

パソコン通信では、通信が1つのパソコン通信システム内にとどまっていたので、他のシステムとの間で電子メールを交換するなどの相互通信機能はほとんどなかった。

私は1985年49歳からパソコンを始め、大阪府医師会マイコン同好会に入会したが、ここの会員の何人かがパソコン通信の実験局を開設した。

私も「NOM-BBS」という名前の草の根BBS局を開設し、パソコン通信(電子メールの交換)を始めた。1988年9月52歳だった。

同年11月には、パソコン通信の大手プロバイダの「NIFTY Serve」に加入し、医療系のフォーラムや画像系のフォーラムに参加、全国の医師や画像関係者と電子メールで情報交換をした。

それまでの小さなBBSでは、こどもの落書きか、奥さんたちの井戸端会議のようなものだと思っていたパソコン通信が、全国規模の NIFTY Serve に参加してみると、書き込みのレベルは驚くほど高く、すっかりはまり込んでしまった。

医療関係のフォーラムでは、東北から四国、九州までの医師が活発に情報を交換し、議論を重ね、親しくなって拙宅を訪問くださった方も7名いて、今も賀状交換は続いている。

私がパソコンを始めた目的の1つが医療への活用で、その中でも説明用の医用画像(CG)を作ることが最重要だったが、マイコン同好会に同好の士はなく、結局は独習で医用画像の技法を身に付けた。

「NIFTY-Serve」の医療フォーラム(FCASE)に、医用画像の情報には非常に詳しい九州の医師が一人いて、知らないことをいろいろ教えていただいたが、残念ながらご自分で画像を作ることには関心をお持ちではなかった。

画像系のフォーラム(FQLDとFSKY2)にも参加したが、こちらは技術系のプロ、制作系のプロ、プロの画家、それらのアマチュアがたくさんいて、学ぶことが多かった。

フォーラムに参加当時は、8色画像から16色画像に移り始めた時期で、それ以降、256色、フルカラーへと発展して行った。当時MACは未だモノクロだったことも覚えている。画像ファイルの種類が乱立し、JPEGが登場したのは1991年ごろからである。パソコン通信を通して、未だ確立されていない画像の世界に入り、プロ、セミプロ、アマチュアが熱気いっぱいで試したり、教えあったり、議論する経験を持てたことを幸せに思う。

このような発展途上の状況だったから、ハードが販売されていても、それを動かすソフトはなく、例えばイメージ・スキャナーを操作するソフトは、このフォーラムのメンバー作ったものをダウンロードして使わせてもらった。それらは、今でいうフリーウエアだが、当時はPDS (public domain software)とよばれていた。

私は、これらのPDSを使うことで生き方を一つ学んだと思っている。自分の作ったものが、少しでも誰かの人に役立つことがあれば嬉しいと思うのはその一つだ。


5.インターネット

インターネットの有線通信回線は、電話回線のADSLのほか、ISDN回線や同軸ケーブルなども使われてきたが、最近は光回線(光ファイバーケーブル)が多く使われている。

インターネットは、世界的な規模でコンピューターを接続したネットワークである。そこで、まずネットワークの仕組みをまとめた。また、インターネットのデータ通信はパケット通信という方式で行われているので、その仕組みもまとめた。


  章内目次
  ネットワーク  パケット通信  メール  ホームページ  IP電話


ネットワーク


図3.ネットワークの仕組み

ネットワークとは、複数のコンピューターを接続して、相互に通信できるようにした状態を言う。通信回路やケーブルなどを通してコンピューター同士を接続することで、情報の共有や処理の分散、メッセージの交換などが可能になる。

ネットワークには、同じ場所にある数台のコンピューターを接続した小規模なLAN、離れた場所のコンピューターやネットワークを専用線や公衆回線などで接続したWAN、世界的な規模でコンピューターを接続したインターネットなど、さまざまな形態がある。


図4.通信の仕組み図解の中で使うために作った3種のネットワークの表示

パケット通信


図5.インターネットのデータ通信の仕組み(パケット通信)
データをパケット(小包)に分け、別々に送り、最後に集めて、元のデータにする

インターネットでは情報を細切れ(小包)にして送受信する仕組みになっている。パケット通信はインターネットの根本形式と言える。1つのパケットのサイズは、半角1500文字以下、全角750文字以下に分割される。

パケット通信は文字データを効率よく送る目的で始まったが、最近では音声や映像の伝送にも使われるようになり、将来は交換機を使う電話網に代わって、パケット通信のネットワークに1本化しようという計画が電話会社によって進められているとのことだ。


メール


図6.インターネット・メールの仕組み

インターネットの通信機能で最も重要なのはインターネット・メールで、電子メールとかEメールと呼ばれている。私は1988年から、草の根BBS、Nifty serve などのパソコン通信のプロバイダに加入し、電子メールを繁用してきたので、インターネット・メールも違和感なく使えた。

パソコン通信と根本的に違うのは、メール交信の対象が一つのプロバイダに加入している人だけでなく、全世界のインターネットに接続している人に広がったことである。これは通信の革命的発展であった。

多数の人に同じ内容のメールを同時に送ること、メーリングリストに加入している全員に、同一内容のメールを送ることがなどが簡単にできることから、それらを盛んに活用した時期もあった。


ホームページ(ウエブサイト)

食中毒O-157の情報が、パソコン通信ではわずかしか得られず、専らインターネットで得られることから、インターネット接続を始めることにした。インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)のASAHI-NETに加入し、自分のホームページ「交野の野村医院」を開設し、インターネットメール(Eメール)を使い始めた。1996年8月15日60歳のことである。

続いて、交野市医師会にパソコン同好会を作り、会員がインターネット・サーフィンとEメールの交換ができるように手ほどきをした。

ウエブサイトで情報の交流(通信)を行う場所はBBSブログWebメールとして良いだろう。そこで、この三つについて説明する。


BBS(電子掲示板)
野村医院のホームページにBBS(電子掲示板)を作ろうとしたのだが、プロバイダである ASAHI-NETはセキュリティー上の問題のため、BBS用のCGIを認めない。ということは、通常の方法ではBBSを作成することはできないということである。

そこで、書き込み用CGIを利用して、手動メンテの電子掲示板を1998年11月に作った。これは非常に盛況で、3ヶ月で335件の書き込みがあった。しかし、メンテのしんどさに堪えかねてこれを止め、メーリングリストに移行した。

2000年1月から ASAHI-NETはこれまでの方針を変え、 ASAHI-NET BBS が開設できるようになった。そこで、このBBSの名前を「BOWのひとりごと」と名づけて開設した。これはASAHI-NETの会員しか書き込めないという制限はあるが、閲覧は非会員でも可能であり、こちらも長期間盛況が続いた。

しかし、開設10年を過ぎたころから、書き込みメンバーが減り、2012年8月末で閉鎖した。数えてみると12年8ヶ月の寿命だった。かなり長寿だったと言えるだろう。


ブログ
ウエブサイトで情報の交流(通信)を行うもう一つの場所はブログで、これには誰でも書き込みができる。ブログが盛んになり出した2006年5月に、Niftyで「エンジョイBOW」の名前のブログを開設した。

このブログで一番印象に残っているのは、2007年4月から7月にかけて、飛鳥2で100日間のワールド・クルーズに参加した際に、船上から記事を書きこんだことだ。記事をUPすると、日本から即コメントがつき、親しい仲間と一緒に航海している気持ちだった。

このブログも開設6年あまり過ぎた2012年7月に閉鎖した。


Webメール


図7.Webメールの仕組み

Webメールとは、Webブラウザで利用することができるEメールである。受信したメールの閲覧や、新規メッセージの作成・送信などをWebブラウザだけで行うことができる。

通常のメールと違い、すべてのメッセージをサーバ側で管理するため、どこからでもメールをチェックしたり、過去のメールを参照したりすること可能である。

WEBブラウザを使って、プロバイダのメールボックスに届いたメールのチェックや返信ができる。外出先、海外などどこにいても、インターネットにつながったパソコンさえあれば簡単にメールを確認することができる。

私がこれに頼ったのは、2007年4月から7月まで、飛鳥2でワールド・クルーに参加し、その航海記録をブログに掲載した時だった。持参のPCではインターネットに接続することは全くできず、船のPCもインターネットに接続できるのは3台しかなかった。このPCにメールソフトをインストールすることはできないため、それならとWebメールで対応した。

この船のPCはテキストメールだけが可能で、画像の添付はできないように改変されていたので、帰国後このブログに画像を加え、飛鳥U世界一周2007航海記を掲載した。Webメールさまさまである。


IP電話

IP電話とは、IPネットワーク、つまりインターネットの技術を用いて音声を伝達する方式の電話である。

VoIP(Voice over Internet Protocol)とは、音声を各種符号化方式で符号化と圧縮を行い、パケットに変換したものを、IPネットワークでリアルタイムに伝送する技術である。

2003年より、IP電話に050から始まる番号が割り当てられた。これまでの電話とまったく同じように使え、料金も安いので利用者は増えている。私はIP電話に変える必要がないので利用していない。

なお、スマートフォンで使われているSkypeやLINEは、インターネット網で通話が行われているので、IP電話である。


図8.IP電話の仕組み


6.携帯電話とスマートフォン

無線電気通信は携帯電話やスマートフォンに代表される「移動体用通信システム」とWiFiルーターに代表される「無線LAN」に大別される。ここでは「移動体用通信システム」の歴史と私の使用歴を記す。

「移動体用通信システム」は無線電気通信に使われる回線の一つで、端末から基地局までは無線だが、それ以外はすべて有線である。

発展段階に対応して世代分けが行われ、第1世代から第4世代まで区分されている。英語の Generation のGをとって、1G 2G 3G 4G などと略称されることが多い。


  章内目次
  第1世代 (1G)  第2世代 (2G)  第2.5世代 (2.5G)  第3世代 (3G)  第3.5世代 (3.5G)
  第3.9世代 (3.9G)  携帯・スマートフォンの利用目的


第1世代 (1G) 1979年〜

第1世代(1G)は自動車電話から始まり、アナログであった。周りに使っている人はいたが、ごく少数だった。また、データ通信はなく、音声通信だけだった。


図9.第1世代携帯電話の仕組み


第2世代 (2G) 1993年〜

1993年に発売された第2世代 (2G)を特徴づけるのは、アナログ方式からデジタル方式への転換である。妻から緊急連絡用に入手を求められ、1995年に初めて携帯電話を購入した。アナログの携帯を使っている人から、雑音が少なくて明瞭に聴こえると言われたのを覚えている。巷では、携帯で大声で電話している中年男性の姿ががよく見受けられた。


第2.5世代 (2.5G) 1998年〜

1998年に発売された第2.5世代 (2.5G)では画期的な発展があった。i-mode が提供されたのだ。キャリアメール(iモードメール)の送受信や、ウェブページ閲覧などができる世界初の携帯電話IP接続サービスである。


図9.携帯電話の仕組み

ここで日本の携帯の仕組みはできあがったが、この成功が、世界の携帯電話の向かう方向と異なり、ガラパゴス携帯、略して「ガラケイ」として発展することになった可能性はある。

私はこの携帯を1999年から2007年まで愛用した。機種名はP510i。購入3日目に北海道から大阪の知人たちと携帯でメールの送受信をして驚かせ、受信したパソコンメールを携帯に転送させることで、携帯電話でメールチェックを常時行ってきた。また、外出先で携帯を使ってWeb検索をして情報を入手したり、携帯用のWebサイトを開設したりもした。この携帯電話を9年間も使い続けたが、故障知らずの優れものだった。


図10.第2.5世代 携帯 P501i(mova)  9年間愛用した


第3世代 (3G) 2001年〜

ウイーン・ベルリンへ旅行するにあたり、この地で日本との電話交信をし、日本からのメールの送受信ができて、インターネット接続が可能な携帯電話機として、第3世代の携帯 P905i(FOMA)に買い替えた。それまでは、海外と通話可能な携帯を空港で借りていたので、日本で使っていた携帯が海外でも使えることはありがたかった。


図11.第3世代 携帯 P905i(FOMA)


第3.5世代 (3.5G) 2004年〜

第3.5世代になって通信速度が大幅に速くなった。その中の P-04A という機種は、ビジネスユーザーを対象とした仕様で、薄型のスマートなデザインが気に入り、北欧4国へ旅行する2009年7月に買い替えた。この P-04A は2015年1月まで7年間愛用したが、インターネット接続も速く、使いやすくて堅牢だった。


図12.第3世代 携帯 P-04A(FOMA)  7年間愛用した

1998年から始まった第2.5世代 (2.5G)は、移動体用通信システムの歴史の中で画期的な発展だった。2007年に iPhoneが発売されるまでの10年間、インターネット接続のできる移動体用通信機器は、iモードを中心とするドコモなど日本のキャリアが作る携帯電話だけだった。

多くの日本人がその携帯で恩恵を享受してきたことは素晴らしいことである。その携帯を、世界の流れを無視して独自に進化した携帯であるとして「ガラパゴス携帯」と揶揄する人がいる。

後から現れるものが優れているのは当たり前、戦後70年を生きて来て、その例を数え切れぬほど見聞きし、体験してきた。私の関心があった分野では、カメラ、静止画、ビデオ、動画、コンピュータ、パソコンで、いくつもその具体例を思い出すことができる。

世界に先駆け、10年間もの間、携帯電話によるインターネット接続の恩恵を受けることができたことの幸せに感謝し、誇りに思って当然だろう。それを「ガラケイ」と揶揄する人の知性、品性を疑う。


第3.9世代 (3.9G) 2010年〜


図13.スマートフォンの仕組み



図14.第3.9世代 らくらくスマートフォン3 F-06F(Xi)


第3.5世代の P-04A を2015年1月まで7年間愛用したが、メーカーの修理受付は2015年6月で終わる。このあたりでスマートフォンに交代する潮時かと思った。

2015年1月、使い方が分かりやすいと宣伝されている「らくらくスマートフォン3 F-06F」に変更した。この機種は、シニア向けのスマートフォンと言われるだけあって、デザインもシンプルで、文字もアイコンも分かりやすい。

それでも、これまで使ってきた携帯電話とくらべて、電話の着信音が分かりにくく、着信音が分かっても、即電話に出ることができず、慣れるまでかなりモタモタした。これまでの携帯電話では、機種変更をしてもそのようなことはなかったので、これはスマートフォンの欠点かもしれない。

電話(音声通話)に関しては、これまでの携帯電話より優れているところはない。

インターネット接続は、iモードがspモードに変わったが、メール機能はこれまでの携帯電話とほとんど変わらない。同じアドレスのキャリアーメールが使え、過去のメールデータも移行させることができた。

インターネット接続は快速で、インストール済みのいろいろなアプリが役立ち、大画面で見やすい。操作がボタンからタッチパネルに変わったが、これもも慣れると使いやすい。モバイル・ミニ・パソコンというのが実体を表していると思う。

機能的に携帯と大きく違うのは、1)WiFiルーターの子機の機能が付いているので、無線LANが使える。これによって、携帯電話回線のほかに、無線LANを使ってインターネット接続ができる、2)GPSが使えるので、地図で自分の現在位置が分かることだと思う。

この第3.9世代の通信回線は、LTE(Long Term Evolution)回線と呼ばれ、Docomoの愛称は Xi(クロッシ)となっている。このLTE回線は、FOMAなどの3G回線と比べると通信速度は5倍も増え、光回線なみの高速という第4世代回線に引き継ぐ直前の段階である。「Long Term Evolution」の名称通り、3Gを「長期的進化・発展」させ、スムーズに4G(LTE-Advanced)に移行させるという目標が名前に込められている。

LTE対応のスマートフォンで通信する場合、データ通信に関してはLTE回線を使うが、音声通信は3G回線に切り替えて対応する設定になっている。

なお、これまでのらくらくスマートフォンシリーズと同様、Google IDを利用しない形をとり、Google Playからアプリをダウンロードすることはできない。フルセグ・モバキャス・NFCにも対応していない。


携帯・スマートフォンの利用目的

私にとって重要度が高いものから列挙すると

1.通話(電話)
 場所を選ばず携行できるので、就眠中以外は手許に置く
2.キャリアーメール(携帯メール)の受信と送信
 パソコンに届いたEメールをキャリアーメールに転送させているので、メールチェックとして使う
 メールは通常パソコンからEメールで送信するが、緊急の場合はキャリアメールを使う
3.天気予報
 外出する時などにピンポイント情報をよく見る
4.気になるニュース
 スポーツの結果など
5.インターネット
 お気に入りに登録しているサイトが中心、必要ならweb検索も行う
6.地図
 知らない場所で、現在地を知りたい時に使う
7.写真・ビデオ撮影
 デジカメを携行していない場合の応急撮影
8.万歩計・辞書などのアプリ


7.無線LAN

無線電気通信は携帯電話やスマートフォンに代表される「移動体用通信システム」とWiFiルーターに代表される「無線LAN」に大別される。ここでは、「無線LAN」についての歴史と私の使用歴を記す。

パソコンなどが通信回線でデータのやり取りをするネットワークをLAN(Local Area Network)という。通信回線が有線の場合は有線LANと呼び、私も1999年からネットワークを構築してきた。

通信回線が無線の場合は無線LANと呼ぶ。ノートパソコンを家の中の色々の場所で使ったり、パソコン周辺機器を共有で使用するなどの目的で、2013年にWi-Fiルータ Aterm WG1400HP を購入し、現在も使っている。

無線LANの構築には、「親機」と「子機」が必要になる。親機は「無線LANルータ」のことを指す。「WiFi」というのは、無線LAN機器の団体が接続可能を保証した製品であることを示し、「無線LANルータ」を簡単に「WiFiルータ」と呼ぶことが多い。そういうわけで、無線LANルータ ≒ WiFiルータとしても大きな間違いはない。

無線LANの親機(WiFiルータ)を家の中に置いて、これをインターネット接続プロバイダの光回線の末端と結ぶとインターネットのアクセスポイントとなる。最近のパソコンや周辺機器、スマートフォンなどには無線LANの子機機能が組み込まれたものが多く、無線で親機と結ばれてネットワークが生まれ、インターネットにも接続できる。

携帯電話は無線電話回線を通して iモードでインターネットに接続するが、スマートフォンは、spモードという無線電話回線を通してインターネットに接続するほか、パソコンのように直接インターネットに接続する無線LANの子機機能も持っている。

スマートフォンのインターネット接続を、無線電話回線を通してではなく、WiFiルーターで行うと、キャリアメール、Eメールのいずれも送信することができないほか、キャリアメール着信の表示が青ランプ点滅のみで、「メール」で新着問い合わせをすることで着信する。音声通信とSMSは変わりなく使える。

WiFiルーターによるインターネット接続には、このようなデメリットがあり、データ通信速度が速いというメリットも、LTE回線が見劣りしないほど早くなったことから、データ通信の費用がほとんど要らないということが唯一のメリットになってくる。

そうなると、大量のデータ通信を行うのでなければ、WiFiルーターを介する無線LAN接続は、スマートフォンの場合は適切ではないと思う。

無線LANの親機(WiFiルータ)の出力は弱く、電波の届く範囲は100m以下である。家庭内ではパソコンやスマートフォンなどの子機とネットワークは作れるが、子機が遠く離れた屋外にある場合はネットワークは作れない。

インターネットと結ばれた無線LANの親機によるアクセスポイントが、人の集まる駅や喫茶店、街中に設けられ、「公衆無線LAN」と呼ばれる場所がある。このアクセスポイントは、これをを介して、パソコンやタブレットなどをインターネットに接続するには便利だが、スマートフォンの場合は、先に述べた理由で意味がないと思う。



図15.WiFiルーター Aterm WG1400HP



図16.レンタルで使ったモバイルWiFiルーター



図17.無線LANによるスマートフォンやPCのインターネット接続



図18.無線LANと有線LANの組み合わせによる、スマートフォンやPCのインターネット接続


私の場合、屋内の無線LANの利用は、有線LANがない場所でノートパソコンを使う場合や、プリンターやハードディスクの共有利用、スマートフォンでワンセグを長時間見る場合くらいしか考えられない。また、屋外の公衆無線LANを使う機会はないと思う。つまるところ、私には無線LANを利用する機会は限られていると思う。

モバイルWi-Fiルーター」という携行可能な無線LAN親機が発売され、レンタルの貸し出しもされているが、私にとって屋内の無線LANだけで十分で、屋外で無線LANを使う必要はほとんどないだろう。


8.海外でのスマートフォン使用

現在使っているスマートフォンを海外で使う場合の設定方法はかなりややこしい。そこで、スマートフォンの海外使用の仕組みと関事項をまとめておく。


 章内目次
 データローミング  WORLD WING  海外パケ・ホーダイ  WORLD WINGの電話とSMSの料金
 WORLD WINGの設定までに確認しておくこと  WORLD WINGの設定  モバイルWiFiルーター


データローミング

データローミングとは、利用者が契約している通信事業者のサービスエリア外であっても、提携先の通信事業者の通信網を利用することで、元の事業者と同様のサービスを利用できることをいう。通信事業者が他国である場合は、特に「国際ローミング」と呼ばれる。


図19.スマートフォンの国際データローミングの仕組み


WORLD WING

NTTドコモの国際ローミング・サービスの名前を「WORLD WING」という。最近の携帯やスマートフォンは、ほとんどがこれに対応し、対応している国は200国を越えている。

現在、音声通信は3G回線だが、データ通信は3.9G回線(LTE回線)の使える国が50国もある。機種と対象国によって異なる場合があるので、事前に確認が必要。


海外パケ・ホーダイ

NTTドコモの国際ローミング対応携帯電話を海外で利用した場合、パケット通信が2段階の定額となるサービスである。国・地域によって適用されない場合があるため、利用者は事前確認が必要。

適用される通信は全てのパケット通信で、通信量に応じて規定の料金(図20)が1日ごとに適用される。現地時間に関わらず日本時間の0時から23時59分59秒までを1日として計算される。

パケット通信(データ通信)は通信量が大きくなり、料金が莫大になることがあるため、それに対応する方法として作られた。似たものに「海外1dayパケ」があるが、私は使わないので省略する。


図20.海外パケ・ホーダイの料金の仕組み

1日20万パケットの例(これだけ使って1日1,980円)

       50文字程度のメールに写真(233KB)を1枚添付して家族友人に送付(4回)
       明日の天気を調べる(3回)
       気になるお店を検索(5回)
       GPSマップで現在地から目的の場所までナビで行く(4回)
       写真にコメントをつけてSNSに投稿(10回)
       FacebookなどのSNSで友達の近況をチェックする(10回)
       TwitterなどのSNSでつぶやく(15回)
       4分程度の動画を視聴(2回)


WORLD WINGの電話とSMSの料金

WORLD WINGのデータ通信(パケット通信)の料金については図20で説明した。次は、音声通信とSMS通信の料金について説明する。どちらもパケット通信ではない。

音声通信料
    滞在地のE→日本国のJの場合  E:日本向け通話料を負担  J:負担なし
    日本国のJ→滞在地のEの場合  E:着信料を負担      J:日本国内通話料を負担

SMS(Short Message Service)通信料
    滞在地のE→日本国のJの場合  E:1通100円   J:負担なし
    日本国のJ→滞在地のEの場合  E:負担なし   J:負担なし


WORLD WINGの設定までに確認しておくこと

1.WORLD WING契約と海外パケ・ホーダイ契約の確認
 My docomo
 ログイン
   ↓
 ドコモオンライン手続き
   ↓
 ご契約内容確認・変更
   ↓
 ○○○様のご契約内容 1/3 2/3 3/3

 WORLD CALL:契約中
 WORLD WING:契約中
 海外パケ・ホーダイ:契約中

2.対象の通信事業者を決定
 海外で使うときの通話・通信量・サービスエリア検索
  国名・都市名入力に、「国名」 を入力
  機種を入力を入力に、「ドコモらくらくホン」 を入力し
  「らくらくスマートフォン3F-06F」 を入力

  対応する通信事業者名が表示されるので、LTEが使える通信事業者をメモする

3.WORLD WINGクラス別機種の確認
 使うスマートフォンがWORLD WINGのどのクラスに区分されているのかを調べる
 「クラス5」機種
   ↓
 ドコモらくらくホン
   ↓
 ドコモらくらくスマートフォン3 F-06F


WORLD WINGの設定

●日本では
「データローミング」→ オフ

●離陸時・飛行中・着陸時
「機内モード」→オン

●海外では
「機内モード」→オフ に戻しておく
「データローミング」→ オン
「ネットワークモード」→ LTE/3G/GSM(自動)を選択
「通信事業者」→ 予め調べておいた名前を選択

●帰国後は
「データローミング」→ オフ に戻しておく


モバイルWiFiルーター

今年の海外旅行で、レンタルのモバイルWiFiルーター(図16)を持参したが、不適切な選択だった。
その理由をまとめておく。

1.スマートフォンのインターネット接続を、WiFiルーターで行うと、キャリアメール(携帯メール)、
 Eメール(インターネットメール)のいずれも送信することができない。

 青ランプ点滅でキャリアメール着信が知らされ、「メール」から新着の問い合わせをすることで受信
 できる。

2.スマートフォンと一緒にモバイルWi-Fiルーターを携行しなければならず、荷物の量が増え、観光に
 不向きである。

3.出発前に空港で借り出し、到着後に空港で返却するという手間と時間がかかる。

4.WORLD WINGは何度か経験して慣れているが、モバイルWi-Fiルーターは最初の使用で戸惑った。


9.まとめ

1.今年、携帯電話からスマートフォンに変えたことと、海外旅行にモバイルWi-Fiルーターを使ったことが
 きっかけとなり、電気通信機器の使用歴をまとめておきたい気持ちになった。

2.凄まじい発展を遂げた電気通信機器につき、その初期から実体験してきたことがらを記録した。

3.電気通信機器の仕組みを初めて調べ、自分なりのまとめをした。間違って理解しているところもあると
 思うが、気が付けば訂正していきたい。

4.今回は、知らない分野について調べ、それをまとめる場合の方法と問題点を考える時間でもあった。

5.その間、現役時代とリタイヤ時代の考え方のパターンの違いに気づき、それを面白く思い、思索した。

6.今回はエディター Mifesの罫線機能を活用し、17個の作図を行った。それは本当に楽しい作業だった。

7.Web検索で100項目の資料を入手し、Mifesで記録と整理を行い、クリッカブルな出典URLを付けた。

8.Webの記事は掲載日時の記載が必須条件であることを痛感した。

9.Webの百科事典的知識以上に、総合的なストーリーのある知識が、人間にとって重要であると思った。

10.今回一番役立ったのは、井上伸雄著「カラー図解でわかる通信のしくみ」2013年刊であった。
  著者は私と同じ1936年生まれ、NTTで長年デジタルネットワークの研究開発に従事してこられた。
  私が作図した図解は、この著者のものとは違うが、通信の仕組みの理解にこの著書が最も役立った。

(2015.6.25.)

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