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60年間の手紙の整理保存

2013.03.20. 掲載
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目次
1.はじめに
2.手紙を整理し保存する意味
3.整理保存の方法
4.手紙の分類
5.手紙の種類
6.まとめ


1.はじめに

私は高校生の頃から幾つかのものを大切に残してきた。手紙もその一つである。この度、その60年間の手紙を整理し保存したので、その整理法を中心に、手紙についてまとめておく。

手紙は高校2年だった1954年に受け取った2通の年賀状から始まる。一人は小中高からの友人IY君、もう一人は高校2年からの友人MM君である。IY君は1998年に亡くなった。

最初の手紙はこの2枚であるが、これまで手紙を受け取った中で、一番若い時に知り合った人との交友は、小学4年生のクラスメートと恩師の13名で、11年前から毎年クラス会を持ち、手紙も交わしている。


2.手紙を整理し保存する意味

私には大切に残してきたものが幾つかある。手紙の他にも、愛読したり影響を受けた書物、自分が創作した作品、自分が関係した写真や動画などをできるだけ捨てずに保存してきた。それはなぜかと考えてみるが、明確な理由があってというより、本能的、直感的にしてきたというのが正確だと思う。したいからしてきたのだ。

それらに共通するのは、自分の人生に強く関係したもの、あるいは、自分に強く結びついたものと言える。手紙は、交友の記録として自分にとって大切に思うのだろう。将来読み返すことがないとしても、持っておきたい手紙がある。

私はこれまでの人生を、自分がしたいことをして生きてきた。私の行動原理は「したいことをする」である。これは私にとって「生きる意味」と同義語に近い。私が死ねば、これらのものが失われることは自明である。想定死亡時期を6年も過ぎているので、その日は遠くあるまい。しかし、明日までの命だと分かったとしても、私はその時にしたいことをするに違いない。それが私の生きる意味だからだ。

手紙を整理する理由の方は、はっきりしている。それは「よく整理された10の知識は、未整理の100の知識に勝る」という大学受験の際に身につけた経験則を持っているからである。それに加えて、きれいに整理された知識は美しい、カッコイイと思う美意識があるのだと思う。「スマートさ、かっこよさこそ私の好み」である。

手紙を整理し保存しておく本来の意味とは異なるが、これによって、自分史的年表のデータを得ることができる場合がある。日記というものを付けたことがない人間にとって、これは貴重な情報源の一つになる。そのためには、手紙に署名と記入した日時が欲しい。


3.整理保存の方法

整理法

個人データの整理法として、1973年ころから続けている方法を手紙の整理にも使った。この方法は1997年に、このサイトに「私の(超々)整理法」のタイトルで掲載している、さぼりで手抜きな整理法である。

その要点は、1)不要な手紙は読んだ段階で捨てる、2)必要の可能性のある手紙は、決まった場所に置く、3)手紙の数量が増えると、年ごとに紐で十字に括ってまとめておく、4)置く場所が狭くなれば、必要性の少ないものから捨てていき、その場所の広さに合わせる。この段階で、大ざっぱな分類を行うことになるが、決して必要以上の細かな分類は行わない、5)本格的に整理をする時には、グループ分けと時系列を活用するが、ここでも不必要な細かい分類は行わないことである。

整理の実際

●1967年〜1973年:6年間
1967年に結婚した際、実家から府営住宅に持ち込んだ手紙の量は多くはなく、手紙という一つのグループ(分類)で保存した。

●1973年〜2005年:32年間
開業して居宅付き医院に転居した際も、手紙という一つのグループ(分類)で保存した。その後、手紙の量が増えるにつれ、各年ごとに紐で十字に結び、時系列で分類して保管してきた。

●2005年〜2013年:8年間
医業を息子夫婦に引き継ぎ、マンションに転居した際に、保存スペースが極端に少なくなったため、年度ごとのグループを外し、自分にとって保存の必要度が低い手紙を廃棄して、総量を4分の1程度に減量した。その上で、保存用プラスチック引き出し16個に分類して保存した。この分類は、時系列によるグループ分けと、カテゴリーによるグループ分けを併用する形となった。

●2013年3月1日〜15日:半月間
前回整理した手紙から、必要度の低いものを廃棄し、約3分の2程度に減量した。その上で保存用プラスチック引き出し16個の分類を幾つか変更した。

さらに、各分類に属する個人ごとに下位の分類を行い、個人ごとの分類の中で、手紙群はクリアフォルダに収め、はがき群はコクヨのチャック付きポリ袋A6サイズ対応に収めた。個人で手紙群とはがき群を持つものは、クリアフォルダの中にA6サイズポリ袋を入れた。16分類については4.手紙の分類で詳述する。

手紙の廃棄

「不要なものを捨てる」というのは整理の基本中の基本である。最初の段階での捨てることから始まり、次のステップ、その次のステップでも実行することが多い。

手紙の場合もそれは同じだが、自分はどのようなものを捨ててきたかを考えてみた。

1.広告宣伝
2.儀礼
3.不要となった通知
この3つは誰も同じではなかろうか?

4.関心がないこと
人と変わったところの多い私の場合、関心の対象がかなり変わっている可能性はありそうだ。

5.関心がない人
交友したい気持になれない人の手紙は誰もが捨てるのではなかろうか?

6.関心がなくなった人
かって交友のあった人で、その後不仲になり、交友を止めた人は、関心がなくなった人の最たるものである。そのような人との交友の記録を捨ててしまいたいと思う人もいるであろう。私もその一人で、2年ばかり続いた文通の手紙を、すべて廃棄した。


私は整理のためだけでなく、もともと捨てることが好きな人間で、Simple is the bestを信奉している。マンションは、保存スペースが限られているため、それに合せて、必要度の低いものから捨てることを絶えず行っている。

面白いことに、妻は私と正反対の性格であるが、捨てることは好きなようだ。それは、見た目のすっきりしているのが好きなからのようだが、捨てることを嫌わないのはありがたい。


4.手紙の分類

今回の手紙の整理保存は、おそらく最後のものとなるだろう。最後であっても、個人単位のクリアフォルダや A6サイズポリ袋を時系列で並べたりはせず、プラスチック引き出しに放り込んだままにしておく。また、その細分であるクリアフォルダやA6サイズポリ袋の中身も整理をしない。それは必要になった時にすれば良く、時間と労力を省いている。

時系列(初めて知り合った時)

家庭のような小規模な手紙の分類で一番重要なのは、その個人がどの分類に属しているかが直感的に分かり、間違え難いことである。その点では、初めて知り合った時を、時系列の適当な範囲で分類することは私の場合有用である。いつ知り合ったかはよく分かるからだ。

1.小4庄野学級時代
1946年、小学4年生の時に初めて知り合った。手紙としては1962年のものが一番古いが、2002年から毎年クラス会を持ち、現在13名と交友がある。合計13名

2.小中高時代
小学校で初めて知り合った2名のうち1名は亡くなった。中学で知り合ったのが1名、高校で知り合った3名のうち、1名は亡くなった。合計6名

3.大学教養課程時代
大学の教養課程で初めて知り合ったのは医学部で3名、他学部で男声合唱団の3名である。医学部の1名は私の一番の親友であったが亡くなった。他学部の1名は3.親しい友人に分類したため、合計5名

4.医局時代
同期入局の8名のうち2名が亡くなった。その一人は、お互いの結婚披露宴の司会をした仲だった。そのほかに、先輩1名、後輩2名、患者1名で、合計12名

5.開業時代
医師(家族を含む)が7名あるが、その内の3名は3.親しい友人に分類したため、4名となる。患者は7名あるが、その内の1名はこれも親しい友人に分類したため、6名となる。医療関係者は4名、合計14名

6.リタイヤ後
 3名

カテゴリー(初めて知り合った状況・親しさの程度)

特殊な状況で知り合った人、非常に親しい人、尊敬している人などは、時系列による分類よりも、カテゴリーで分類した方が見つけやすい。この場合、カテゴリ分類の方が時系列分類より優先することに決めておく必要がある。

7.海外旅行
 10名

8.PC関連
 6名

9.親しい友人
 大学教養課程のコーラス仲間が1名、開業時代の医師(家族を含む)が3名、患者が1名で、合計5名

10.尊敬する年長者
 3名だが、いずれも亡くなった。恩師父方の親戚父母の墓がある教会の牧師である。

通常の手紙の分類は、ここまでの10分類が相当すると思われる。交友の記録として残しておきたい人は合計72名となる。その内の物故者は6名である。


著作に対する感想

これは私の興味による分類カテゴリーである。これまで幾つかの出版をし、それを謹呈してきたので、その感想をいただいた手紙がかなりある。その内、先の時系列分類やカテゴリー分類に属する人からのものは、そちらに収めている。

それに対して、記録として残すほどの交友はないが、1回限りの感想でも、心に残る手紙は、謹呈本の種類ごとに分類して、クリアフォルダに収め、「私の著作に対する感想」のプラスチック引き出しに入れている。

私が寄贈本をいただいたことも多く、それに対して、詳細な感想の手紙を出した場合に、これをコピーで残したことがある。手紙の整理保存という場合、ふつうは受け取った手紙が対象であるが、私の場合自分の出した手紙も含んでいる。これらは数が多くはないので、整理せず、そのまま「他人の著作に対する私の感想」のプラスチック引き出しに入れている。

11.私の著作に対する感想
「五十まで」          1986年04月刊 贈呈:100名、返礼: ?名、保存:2名
「野村医院二十年史」      1993年11月刊 贈呈:335名、返礼:159名、保存:36名
「還暦まで」          1996年04月刊 贈呈:230名、返礼:102名、保存:5名
「パソコン物語」        1997年02月刊 贈呈:257名、返礼: ?名、保存:1名
「医院の勤務者実務マニュアル」 2005年07月刊 贈呈: 65名、返礼: 35名、保存:1名
「開業医の小児科独習法」    2006年04月刊 贈呈: ?名、返礼: ?名、保存:4名
「ミュージカル物語」      2010年09月刊 贈呈: ?名、返礼: ?名、保存:5名

12.他人の著作に対する私の感想
 10名

親族

親族は、これまでのカテゴリーとは違い、家庭を持つと自動的生まれるものである。

13.我が家
14.私の親族
15.妻の親族
16.嫁の親族

以上合計で16分類とし、16個のプラスチック引き出しに、それぞれを個人名などで細分したものを、クリアフォルダやA6サイズのポリ袋に入れて保存している。


5.手紙の種類

受取手紙と送付手紙

手紙は、受取手紙と送付手紙の2種類に分類することができる。通常手許にあるのは受取手紙であるが、送付手紙を所有する場合もある。その一つは、送付した手紙そのものが、何らかの事情で戻ってきた場合で、もう一つは、そのコピーが手許に残っている場合である。そのコピーも、カーボンやコピー機でコピーしたもののほか、印刷した手紙の原本ファイルから作った場合がある。

私は、手書きの手紙を手許に残して置きたい場合、コピー機が無い時代にはカーボン紙で、コピー機が普及してからは、コピー機でコピーを行ってきた。

必ずコピーをとり、日付順に整理しておく手紙があった。それはプライベートな手紙ではなく、業務用の紹介状で、開業当初から実行し、息子に引き継ぐまで続けた。パソコンで紹介状を書くようになるまでは、ボールペンによる手書きと同時にカーボン紙によるコピーを行い、ワン・ライティング(one writing)と称していた。

手紙のコピーである送付手紙は、受取手形と同じ分類のクリアフォルダに収めて保存している。

手書き手紙と印刷手紙

かっては、手紙と言えば手書きと決まっていたが、パソコンなどのIT機器が普及してからは、印刷した手紙が増えてきている。私も1993年ころから、手紙の原本ファイルを作り、それから印刷して手紙とすることが多くなった。

同じ頃から、メールができる相手とは、手紙の送受信をメールで行うようになった。メールについては、次の手紙とメール(アナログとデジタル)で述べる。

手書き手紙の方が、気持が伝わるという手書き擁護派はいるが、私は筆跡に影響されず、自分の気持や相手の気持をより正確に伝えるには、メールとか手紙原本ファイルを印刷するデジタル方式の手紙の方が望ましいと思っている。それは、判読に難渋する悪筆の手書き手紙を思い浮かべるだけで、納得いただけるのではなかろうか?

と言って、自分が悪筆だと思って言っているわけではない。図1は、私の手書き手紙の一例で、送付手紙のコピーである。癖はあるかもしれないが、読みにくい字ではないと思うのだが、如何だろうか?


図1.近火見舞いに対するお礼の手紙

手紙とメール(アナログとデジタル)

手紙とメールの違いの一つは、アナログデータであるかデジタルデータであるかであり、第二の違いは、受取手紙だけと受取手紙+送付手紙である。

3年前に、現在使用しているメールソフトで一元的に15年間のメールの整理保存を行ったが、データの活用が飛躍的に容易になった。

印刷した手紙とメールのどちらが望ましいかについては、一般にはメールの方が、受取手紙と送付手紙の両方があることや、日時が欠けることなく正確に記載され、整理が簡単にでき、簡単に書けるなどのメリットがあるため、望ましい場合が多いと考えられる。実際、過去の交友の記録は手紙で、90年代以降の交友の記録はメールで行っている状況にある。

しかし、メールは自分と相手がメールを使える環境にいなければ成立せず、また、公式な記録としては、紙に印刷し、署名したものであることが必要なのかもしれない。


まとめ

1.60年間の手紙を整理保存した。
2.私にとって、手紙を保存する意味は、自分の人生に強く関係した交友の記録である。
3.手紙を整理する理由は「よく整理された10の知識は、未整理の100の知識に勝る」からである。
4.整理の方法は、1973年ころから続けている「私の(超々)整理法」で行った。
 これは、必要になるまで分類をしない、必要以上に細かく分類をしないという手抜きの整理法である。
5.手紙の種類について、受取・送付、手書き・印刷の点から考察を加えた。
6.メールをデジタル形式の手紙としてとらえ、通常の手紙との違いを述べた。
7.整理の途中で何度か過去を懐かしんだ。良い交友を持てたことに感謝している。


<2013.3.20.>

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