第1章 シルバーバーチの自己紹介
私の名はシルバーバーチではありません。これは私がバイブレーションを下げて地上世界とコンタクトすることを可能にしてくれる一種の変圧器の役目をしている、かつて地上でインディアンだった霊の名前です。

いずれにしても名前はどうでもよいことです。私に関する限り名前は何の価値もありません。これまで一度も地上時代の名前を明かしたことはありません。

地上時代の私はレッド(アメリカン)インディアンではありません。このインディアンよりはるかに古い時代の別の民族のものです。霊的進化の末に二度と地上へ生身に宿って戻ってくる必要のない段階まで到達いたしました。

霊界の上層部には〝神庁〟とでも呼ぶべきものが存在します。それに所属するのは別格に進化を遂げた霊、高級神霊です。その仕事は立案された創造進化の計画を円満に進展させることです。

その神庁から私にお呼びがかかり、これまでの進化で私が得たものを一時お預けにして可能な限り地上圏に近づき、その高級指導霊たちのメッセンジャーとして働いてくれないかとの要請を受けたのです。

私の役目はその指導霊たちの教えを取り次ぎ、一人でも多く、受け入れる用意の出来た人間にお届けすることです。私は喜んでその要請をお引き受けしました。それが半世紀近くにもわたって携わってきた私の使命なのです。

その仕事の為に私はこの国の言語である英語を学ばねばなりませんでした。私が地上でしゃべっていた言語は英語ではありませんでした。そこで、出発に際して指導霊から地上で仕事をするには英語をすっかりマスターすること、その文法と構文をよく勉強しておかないといけないと言われました。

私にとって困ったことが一つありました。地上との接触(コンタクト)には霊界の霊媒が必要だと言うことです。私自身が直接地上の霊媒と接触することは不可能だったのです。それは、私が到達した進化の階梯と霊媒のそれとが違いすぎて波長が合わないからです。そこで私はもう一人、変圧器(トランス)に相当する者を必要としたのです。

指導霊達が用意してくれたトランスは地上でレッドインディアンに属していた霊の霊体でした。私に授けられる教えを地上へ伝達するための媒体として、それが一番適切だったのです。

私はインディアンの文明の方が白人の文明よりも優れていると思っておりますが、決して欠点や残忍な要素が全くないとは申しません。しかし極悪非道の文明を移入したその責任は大体において白人に帰さねばならないと考えます。

もとより完全な人種というものは存在しません。完全であったら地上には存在しないでしょう。インディアンにも欠点はありましたが、その人種ならではの貢献をしました。倫理・道徳は高度なものを持っておりました。自然の大切さをよく知り、霊的摂理をよく理解し、人種間の同胞意識には非常に強いものがありました。

インディアンは心霊的法則(サイキック)をよく知っており、その作用についてよく理解しておりました。また霊的法則(スピリチュアル)について更に深い認識がありました。霊界入りする人間全てについて言えることですが、インディアンも因果律に直面させられ、地上での出来事の全てについて償いと罰とを受けました。

自然の摂理から逃れられる人はいません。あらゆる民族、あらゆる国家、あらゆる文化が地上世界をよくする上でそれなりの貢献をしております。言ってみれば大オーケストラの様なものです。一つ一つの楽器がそれぞれの演奏をして美事なハーモニーを出しているのです。

いかに未開あるいは野蛮に思える民族も、開けゆく大機構の中でそれなりの役割を持っているのです。地上の何処にいようと、いかなる人間であろうと、霊的存在であることに変わりありません。

一人の例外もなく霊的本性を宿しており、それが全人類を大霊の家族として一つにまとめているのです。肌の色の違い、言語の違い、民族の違い、国家の違いなどは、霊性と言う基盤における一体性に比べればものの数ではありません。

私は絶対に過ちを犯さない、進化の頂上を極めた霊ではありません。そういうことはあり得ないことです。進化と言うのは永遠に続く過程だからです。これで完全です、と言うピリオドはないのです。向上すればするほど、まだその先に向上すべき余地があることを知るのです。

私達がお届けするのは神の叡智とインスピレーションの宝庫から取り出した崇高な真理です。と言って私達はそれを無理にも信じて頂こうとは思っておりません。私達の言う通りにしなさいとは申しません。宇宙の大霊との調和にとってこれ以上の良い方法はないと断言しているのでもありません。

私達が断言すること、私達の精一杯の思いを込めて断言するのは、霊の真理はいかに厳しい理性と知性と体験によって試されても、それに耐えうるものであると言うことです。私の述べることに対して皆さんが何と反論なさろうと、それによって罰が当たる心配はご無用です。

神は人間に一定限度内の自由意思を与えて下さっています。操り人形ではないのです。知性をお持ちです。理性をお持ちです。自分で判断し、決断し、反省し、自分の意見を形成し、体験から知恵を学んでいく能力をお持ちです。

私達はその能力を通して皆さんの賛同と協力を得たいのです。反発を覚えながらでは困るのです。理性は神から授かった大切な能力の一つだからです。

人生には何事にも二面性があります。光があれば闇があります。安らぎがあれば苦労があります。もしも晴天の日ばかりだったら、晴天の有難さは分からないでしょう。時には嫌な体験を通してあることを学ばれることがあります。

いずれ皆さんもこちらへおいでになって地上生活を振り返った時は、きっとこう思われることでしょう。“一番大切な教訓を学んだのは生活が楽だった時ではなく、嵐が吹きまくり雷鳴が轟き稲妻が走り太陽が雲にさえぎられて、全てが暗く絶望的に思えた時だった〟と。

魂が内在する可能性を発揮するのは逆境の中にあった時こそです。呑気な生活の中では霊性は磨かれません。苦しい道こそ有難いのです。その道を歩み続けるうちに見慣れた道路標識や目印(伝統的な宗教儀式、迷信的概念、生活習慣等)が後へ後へと残されていきます。が、

心の奥では自ら見出して真理を土台とした信念がますます深まりゆくものです。(別のところでは〝霊的進化の旅は孤独なものです。が、行くほどに内なる喜びで心が満たされてまいります〟と述べている―訳者)

過ぎ去ったことは忘れることです。すでに後ろのものとなりました。前にあるものが大切です。言うまでもなく、今あなたが味わっている結果を生み出した原因は過去にあります。しかし同時にあなたは、これから結果を生み出す原因を作りつつあるのです。良い種をまくように努力なさることです。

月並みなことを申すようですが、やはり真実です。取り越し苦労はいけません。心配は無知から生じます。真理の光の中で生きることです。

地上と言うところは、あなたがこれまで大勢の人にいろいろとお世話になったように、他人の為に自分を役たてるチャンスを与えてくれるようになっております。道は必ず開かれます。あなたは人間である以上いろいろ間違いを犯します。弱点をお持ちです。長所ばかりではありません。人間味の本質は欠点があると言うことなのです。だからこそ地上へ来ているのです。

その地上において完全を成就すると言うことは不可能です。しかし、いずれは生活することになる次の世界に備えて、その地上にいるうちに教訓を身につけていくのです。

(ここでその日のゲスト二人がお礼の言葉を述べかけると、それを制して、〝私への感謝は無用です〟と言い、その理由をこう説明する・・・・・・)

私が感謝をお断りするのは、私が非常にいけないと思っている傾向をたびたび見てきているからです。いわゆる指導霊信仰と言うのがそれです。指導霊と言うのは崇拝の対象とされることを望まないものなのです。唯一崇拝の対象とすべきものは宇宙の大霊すなわち神です。

無限なる霊であり、至高の創造主であり、光と愛と叡智と真理とインスピレーションの極致です。本来はそれに向けられるべき崇拝の念を私の様なお門違いのところへ向けられては困ると言うに過ぎません。

私は全知識の所有者ではありません。霊的進化の終点まで到達した分けではありません。まだまだ辿らねばならない道が延々と続いております。ただ、あなた方地上の人間に比べれば幾らかは年季が入っておりますので、私を豊かにしてくれることになった霊的真理を幾つか知っております。

その知識を受け入れる用意の出来ている地上の人たちと分かち合う為に、私はこれまで辿ってきた道を後戻りしてまいりました。私はまだまだ完全ではありません。

相変わらず人間味を残しておりますし、間違いも犯します。しくじることもあります。しかし私は、授かった真理をなるべく多くの人達にお届けするために、私なりの最善を尽くす所存です。

こうして人の為に役たつ仕事に携われるのは光栄なことです。幸いなことに私は、地球浄化の大事業の推進に当たっている霊団からの指示を仰ぎつつ真理を悟ることを許されています。

その霊団がいわば大本営なのです。霊界の政庁に属する高級神霊達であり、造化の大霊の意志の推進という重責を担っているのです。その手先である私を通じて、たった一人でも真理の光を見出すことが出来れば、私にとって大きな喜びです。

・・・あなたがもう一度肉体を纏って誕生なさる可能性はありますか。

ありません、私はもう二度と再生はしません。私にとって地上の年季奉公はもう終わっています。こうして戻ってきたのは皆さんを始め地上の人々の力となり、絶対に裏切ることのない霊的摂理と真理をお教えするためです。

人間が地上を仮の宿とした霊的存在であることをお教えして元気づけてあげたいと思っているのです。その真理の啓示を受けられて皆さんは幸せ者です。その啓示によって人生に視野が一変したことを感謝しなくてはいけません。

私も幸せ者です。お届けする高級界からの教えを受け入れて下さる方をこれほど多く見出すことが出来たのですから。その教えの中には貴重な真理がぎっしりと詰まっているのですが、問題はその価値を知るにはそれだけの受け入れ準備が出来ていなければならないと言うことです。

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霊媒をしている人が孤独感を口にすると次の様な意外な返事が返ってきた―

私の方があなたよりはるかに孤独感を味わっております。私は本来は今この仕事の為に滞在している地上世界の者ではありません。私の住処は別の次元にあります。あらゆる面での生活条件が地上よりはるかに恵まれ、交わる相手や仲間はみな“光り輝く存在〟ですが、その高級霊達と会えるのは、指導を仰ぎにこの地上圏を後にした時だけなのです。地上と言うところは私達にとって何一つ魅力のない世界です。

その指導霊達との相談を終えると、私は再びこの憎しみと強欲に満ちた世界へやって参ります。その時に味わう何とも言えない冷やかさを温めてくれるのは、私への理解と愛の心を向けて下さる同志の皆さんです。それが何とかこの仕事をやり甲斐あるものにしてくれるのです。

そうした同志をこれほど多く獲得できた私は本当に幸せ者だと思っております。私がお届けしているのは私がこれこそ基本的真理であると見ているものばかりでして、それを地上の受け入れる用意の出来た方が理解しやすいように、英語で表現しているだけです。

その中には人間の知性を侮辱したり理性に反発を覚えさせたりするものは何一つありません。全ては愛に発しているからです。愛こそが霊の正貨なのです。愛に発した奉仕が一番尊いのです。これに勝る宗教はありません。

・・・(心霊ジャーナリスト)いつの日かあなたが地上時代の身元を明かされる時が来るのでしょうか。

今のあるがままの私が私です。名前は大切ではありません。大切なのは人の力になってあげられると言うことです。私は自分が役に立っていること、そしてお陰で大勢の同志が出来たと言うことを大変光栄に思っております。

私もこれまで数多くの挑戦すべき課題と困難とがありました。しかし、私はそれを堂々と受け止めてまいりました。何故なら、背後に控えて下さっている霊の力をもってすれば何事も必ず克服できると信じたからです。

あなたも人の力になってあげられる得意な立場にいらっしゃいます。教会や礼拝堂などと言った施設よりも、あるいは科学者や経済学者などよりも大きな貢献ができるお仕事です。宇宙の崇高なエネルギーである霊力の通路となる、掛けがいのない贈物を手にしていらっしゃいます。

霊力は生命の大霊から届けられるのです。霊なくして宇宙には何も存在できません。無限の生命現象を生んでいるのは霊なのです。その霊のもとで人に役たつ仕事に携われる身の上を幸せに思ってください。

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クリスマス休暇を前にした最後の交霊界の締めくくりの言葉としてシルバーバーチが次の様なお別れの挨拶をした・・・

ご存じのように、この時期は私が一時的に地上にお別れを告げて、私の本来の住処である霊界へ帰る季節です。私にとって皆さんとお別れするのは辛いことです。しかし、これ以後まだまだ続く仕事に備えて霊的バッテリーを充電するために、この地上で得られないものを摂取しに帰ることがどうしても必要となるのです。

霊界へ戻ると、これまでの私の仕事の成果、予定していた計画がどこまで成し遂げられたかが分かります。今の私に断言できるのは、その後同志の数がさらに多くなっていると言うことです。これが私にとって一つの大きな慰めであることは申すまでもありません。

しっかりと背筋を伸ばすのです。うなだれてはいけません。霊力は決して見捨てません。私の声はしばしの間消えることになりますが、私の愛は皆さんとともに留っております。

次にお会いした時・・・地上の区切りで言えば新年になりますが・・・またこれまで通りの厳粛な仕事を再開することになります。

可能な限り高い波長に合わせるように努力いたしましょう。大霊が子等にお授け下さるもの・・・限りなき愛と力と内的安らぎを少しでも多く感得できるように努力いたしましょう。

皆様に大霊の祝福のあらんことを。