【information】
■10/5発売、大森望『新編 SF翻訳講座』 (河出文庫893円)→amazon
■コニー・ウィリス『ブラックアウト』新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
(→amazon | bk1 )
■大森望・豊崎由美 『文学賞メッタ斬り! ファイナル』パルコ(→amazon )
■大森望編『NOVA8 書き下ろし日本SFコレクション』河出文庫(→amazon )
■フィリップ・K・ディック『トータル・リコール ディック短篇傑作選』ハヤカワ文庫SF(→amazon )
■レルモ・デル・トロ&チャック・ホーガン『沈黙のエクリプス』上下 ハヤカワ文庫NV(上→amazon | 下→amazon )
■大森望・日下三蔵編『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』創元SF文庫(→amazon )
■北上次郎×大森望『読むのが怖い!Z 日本一わがままなブックガイド』ロッキングオン(→amazon )
■ちくま文庫版『文学賞メッタ斬り!』→amazon | bk1 | 7&Y | 楽天 )
■『文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編』 (PARCO出版)
→amazon | bk1 | 7&Y | e-hon | 紀伊国屋 | ジュンク堂 | 丸善 | 楽天
■『文学賞メッタ斬り!リターンズ』→amazon | bk1 | 楽天 | 7&Y
■文化放送大竹まことゴールデンラジオ 毎週木曜「大竹紳士交遊録」出演中(15:07〜15:20)→podcast
■過去の新着情報一覧
■2009年12月30日
というわけでゼロ年代もおしまいです。ゼロ年代の次は当然イチ年代だと思うんですが、来年になってみないとわからない。
最近は思いきりTwitterにハマっているのでブログはおろかmixi日記もほとんど更新してませんすいません。2007年の5月にアカウントをとったきり2年近くほぼ放置してたんですが、#zenra_sf の一夜をきっかけに激しく坂を転がり落ちることに……。
大森のツイートは、twilog にまとまっているので、適宜ご参照ください。
2010年は、とりあえず、角川文庫の日本SFテーマ別再録アンソロジー、大森望編『不思議の扉』が発売されます。2月刊の第1巻は、時間ロマンス編の『不思議の扉 時をかける恋』。中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』の日本版みたいなもんですね。ただし、「各巻に1編ずつ翻訳SFを入れる」という方針なので、この巻にはジャック・フィニイ「机の中のラブレター」(「愛の手紙」の新訳版)が入ります。梶尾真治、恩田陸、乙一、貴子潤一郎、太宰治、ジャック・フィニイというラインナップ。
3月刊の第2巻は、アイデア・ストーリー系の時間SF編。筒井康隆、大槻ケンヂ、牧野修、星新一、大井三重子、谷川流、スコット・フィッツジェラルドの作品を収録予定。
同じ角川文庫の『きみが見つける物語 十代のための新名作』シリーズの姉妹編ぽい性格なので、メインのターゲットは中高生〜大学生。各巻250〜300ページと、わりあい薄くて安い文庫になるはず。
この2冊が売れれば、テーマ別でさらに何冊か『不思議の扉』の出せるかもしれないので、こちらもよろしく。
それではみなさま、よいお年を。
■2009年12月8日 創刊!
2月ぐらいからぼちぼち進めていた書き下ろし日本SFアンソロジー『NOVA』の第1巻(河出文庫/税込998円→amazon | bk1 )がついに発売。
北野勇作、小林泰三、藤田雅矢、山本弘、田中啓文、斉藤直子、田中哲弥、牧野修、円城塔、飛浩隆、伊藤計劃の各氏による全11編を掲載しています。ライバルはSFマガジン50周年記念特大号(笑)。こちらは携帯に便利な文庫版で、お求めやすいお値段になっております。できれば年に2冊ぐらいのペースで末長く続けていきたいと思っているので、何卒よろしく。
■2009年09月10日 発売!
というわけで、『狂乱西葛西日記20世紀remix』 (→amazon | bk1 | 紀伊国屋 | 楽天 )めでたく発売されました。なんとかぽつぽつとは売れている模様。池袋ジュンク堂とか渋谷ブックファーストとかめちゃくちゃ積んでますが大丈夫なのか。
販促のためならどこへでも行きますので気軽に声をかけてください。
ちなみに10/9〜10/11は京都SFフェスティバル2009 のために京都に行きます。大野万紀、山本弘両氏とバリントン・J・ベイリー追悼パネルに出る予定。前日には福永信『アクロバット前夜90°』刊行記念トークイベント もあるよ。
なお、9月23日の大森望のSF漫談VOL.2 (with柳下毅一郎)に続き、10月15日(木)19時から、ジュンク堂書店池袋店にて、喜国雅彦氏をゲストに迎え、『狂乱西葛西日記20世紀remix』刊行記念トークセッション、世紀末本格ミステリ漫談1995-2000」 開催が決定。一応、ジュンク堂のほうがミステリ篇の予定ですが、メインは古本話と漫画話かも。
ギレルモ・デル・トロ&チャック・ホーガンのパンデミックSFホラー、『ザ・ストレイン』 も本日発売予定。大森望訳・早川書房/2000円(税込)→amazon | bk1 | yahoo | 7&Y | 楽天 )
NY着陸後、突然沈黙した777機。バイオテロを警戒し突入したCDC特別班は、客席を埋めつくす死体を発見する。それは、人類を脅かす悪疫の始まりだった――アカデミー賞監督が描く今年最高のスリル。
■いまごろT-con2009レポート (2009年07月04日)
(7月4日のmixi日記とSFマガジン「新SF観光局」原稿の一部から再構成しました)
11:20の「なすの」にギリギリ間に合わず、次は1時間後。とりあえず「やまびこ」に乗って、在来線の接続を確認。東北線に乗り換えても到着時刻は次の「なすの」と一緒か。でも西那須野駅のほうがホテルに若干近いので、宇都宮からは東北線。西那須野駅からタクシーに乗り、30分でホテルニュー塩原に到着。
ロビーでNHK-BS週刊ブックレビューのクルー(テレビマン・ユニオンのチーム)と落ち合い、部屋に荷物を置きにいくヒマもなく、レポーターとなって理系ホストクラブ「バー貴腐人」を取材。
「こちらのお店はどういうシステムなんでしょうか?」
「各テーブルにハカセがついて、お相手させていただきます」
と説明するのは尾山ノルマさん。テーブルでは、N島ハカセと灰原ハカセにお相手していただく。お世話様でした。テレビ的にはいい絵が撮れたんじゃないでしょうか。
取材のあと、ディーラーズ・ルームを覗いているうちに星雲賞授賞式がはじまる。途中から入ったら、加藤直之氏の挨拶が大ウケで大変な盛り上がり。続く内藤泰弘氏がまた爆笑。いわく、受賞の第一報が入った夜は中野のメイドバーにくりだして豪遊し、「星雲賞作家の酒が飲めないのか!」と受賞の威光を笠に着まくっていたところ、最近では周囲から“星雲たん”と呼ばれている。イーガンと会ったら同じ星雲賞仲間として語り合いたい――などなど。
大森は、海外短篇部門を受賞したテッド・チャン「商人と錬金術師の門」の翻訳者として登壇し、「星雲賞を獲るいちばんの早道はテッド・チャンを訳すことだと思いました」と前置きしてから、以下のような著者のメッセージを代読。
「星雲賞に投票してくださった皆さんに感謝します。会場に行って賞を受けとれないのが残念です。二年前、横浜のワールドコンに参加したとき、日本にわたしのファンが大勢いることを知って驚き、うれしく思いました。今回、星雲賞をいただいて、あのときの皆さんの熱い歓迎を思い出しました。ありがとうございます」
2年前に横浜でチャンと会ったときは、まさか自分で訳すことになるとは思いもよらず、その直後、SFマガジンの清水編集長から「テッド・チャン特集やりませんか」と言われたときはまさに晴天の霹靂だったんですが、3秒フラットで引き受けて、初めて翻訳したチャン作品がこれですからね。今回の星雲賞はまさに“星雲チャン”の“ご相伴にあずかった”という感じ。 なお、テッド・チャンは、韓国の冨川国際ファンタスティック映画祭にゲストで呼ばれているので、それが終わったあと、7月下旬に東京に寄り、星雲賞を受けとってからアメリカに帰りますとのこと。時間があれば、受賞記念インタビューがとれるかも。また、話題の最新短篇“Exhalation”はSFマガジン1月号に訳載予定です。
ちなみに今回の星雲賞の副賞は、桐箱入りの大風呂敷(2.5メートル四方)。授賞式会場で広げてみたら、これはもう着るしかない。パレオのように風呂敷を着付けてもらって歩いてたら、100回ぐらい「とり・みき だ!」と声を掛けられたけど、とり・みき自画像のコスプレではありません。むしろヒゲゴジラとか。
とか言ってるうちにウェルカムパーティの司会者に指名され、とりさんと壇上に上がることに。日本SFファングループ連合会議の熊倉議長に借りたサングラスをかけた写真(モりやま氏撮影)を見ると、たしかにとり・みき自画像そのものかも。
ディーラーズ・ルームでも、その装束のまま、とりさんと並んで『SF本の雑誌』の販促に協力。カリスマ書店員・安田ママの大活躍で、搬入した150冊はみごと完売。『虚構機関』『超弦領域』もほぼ売り切ってめでたしめでたしでした。
余談はさておき、星雲賞海外長篇部門はロバート・チャールズ・ウィルスン『時間封鎖』。東京創元社・小浜徹也が代読した著者のメッセージにいわく、
「Nippon2007のため訪日した私は、星雲賞の授賞式があることを知り、その授賞式で、小松左京や野尻抱介といった高名な作家諸氏が各賞を受けとる姿を拝見しました。あのときの私は、まさか『時間封鎖』が星雲賞の海外長篇部門をいただくことになるとは夢にも思いませんでした。この受賞をたいへん光栄に思います。」
日本短篇部門の受賞作はその野尻抱介の「南極点のピアピア動画」(この受賞スピーチがまた爆笑)。星雲賞的には今年「大風呂敷と蜘蛛の糸」で受賞すると完璧だったんですが……。まあ、『時間封鎖』のほうは、まさに大風呂敷SFか。考えてみれば、今年の星雲賞小説部門は内外とも、Nippon2007に参加した作家が受賞したことになる。
星雲賞の最後、日本長篇部門は、伊藤計劃『ハーモニー』が受賞。故人にかわり、ご母堂が登壇した。その挨拶の全文を以下に紹介する。
〈本日は、息子が天国に行っておりますので、わたくしが代理として来させていただきました。こんな立派な、歴史ある賞をいただいて、本当にみなさまに感謝しています。ありがとうございます。
難しいことはわかりませんが、わたくしにとって『ハーモニー』は、息子の思い出や息子の読んだ本がいっぱいつまっておりますので、いつも息子と対話しているような気持ちで読んでおります。本が出ましても、息子はいつも、「お母さんの年代の人には関係ないから」と言って、本を渡してくれなかったんですが、この『ハーモニー』に関しては、息子が亡くなってから、まわりの人にに読んでもらいましたところ、50代、60代、70代の友人の間でも評判がよく、たいへんうれしいことでした。
息子は、今から7年前、右足の膝から下を司る神経にがんが見つかり、手術をしまして、右足の感覚を失いました。それから三年ちょっとはがんもおとなしくてたんですが、今から2年ちょっと前に両肺に転移が見つかりました。そのとき息子は、「両足がなくなってもいいから、僕はあと20年、30年生きたい。書きたいことがまだいっぱいある」と申しておりました。『ハーモニー』は、苦しい抗がん剤と放射線の治療の中で書き上げたものでございます。
3月20日に亡くなるだいぶ前から、食事も水もあまり摂れない状態になっておりましたけれど、亡くなる日の夕食に大好きなカレーが出て、少し食べてみると言いまして、スプーンに十杯くらい食べたんですね。それから1時間ぐらい経ってから、床ずれを防ぐために姿勢をちょっと変えたとたん、すーっと意識がなくなって、そのまま亡くなってしまいました。
お腹が空いたまま逝ったら、三途の川も渡れなかったんじゃないかと思いますが、最後にカレーを食べたので、今帰ってこないところをみますと、なんとか向こうにたどりついてるんじゃないかと思います。応援してくださった皆様、おつきあいしてくださった皆様、本を読んでくださった皆様、ほんとうにありがとうございました。〉
■2009年08月26日 校了!
いやもう最後まで綱渡りの進行でしたが、どうにかこうにか、登場人物索引を今朝突っ込んで、『狂乱西葛西日記20世紀remix』 (本の雑誌社)を下版。最後なんか、さいとうよしこと三村美衣(本書登場回数ランキング1位と2位)の協力を仰ぎ、編集担当のタカアキラと4人がかりで徹夜で索引チェックですよ。日曜日には〈本の雑誌〉本誌のM村嬢や校正担当者にまで休日出勤してもらったし、わたしも出張校正でフル稼働。いやはや、ここまでたいへんなことになるとは……。
これで8/31にはもう見本が出てきて、9/8搬入とかいう突貫スケジュール。DTPは版元の労働環境を悪化させるんじゃないかと思いました。ギリギリまで直していられる分、休む間がない。赤字を入れたゲラを印刷所の営業担当者に渡し、次の校正が出てくるまでのんびり待っていられた時代が懐かしい。いや、まあ、今でもそういう進行を守っている版元はたくさんありますが。
今日になって索引に追加した人名や削除した人名もあるので、上に載せた一覧とは若干の異同がありますが、登場人物(日記の中で大森が実際に会ったり電話したり見かけたりしている人々)の数は700人プラスα。カバーに目を凝らすとだいたいの名前が出てきます。とくに、カバーの背に乗っている人名の数ではもしかしたら世界記録かも。岩郷重力のこだわり(笑)。
登場人物紹介&本文イラストは水玉螢之丞&河内実加 。昔の似顔絵を適当に発掘して、あとは新キャラを2、3人、描き足してもらって……と軽く考えていたら、なんだかたいへんな作業になってしまったみたいですみません。水玉さんのは、かなり現在バージョン。描かれてる人の体重が当時よりかなり増量してる感じですが、読んでるうちにだんだんキャラが立ってきたらおなぐさみ。
本の中身は、1995年から2000年までの日記を5分の1ぐらいに圧縮濃縮ダイジェストして、500個ぐらいの脚注とまえがきあとがき人物紹介およびイラストをつけたもの。四六判ソフトカバー512ページとたいへんな物量で、税込2520円というお値段ですが、なにしろ6年分ですから。1年あたり400円ちょっとと思えば高くない! これが売れないと21世紀編が出せないので(出してほしくない人もいるでしょうが)、常連閲覧者ならびに登場人物のみなさんはぜひともお買い上げください。なお、書店の店頭で索引を引く迷惑行為はかたくお断りさせていただきます。 索引のご利用はお買い求めのあとで。というか、索引を袋とじにすればよかったな(笑)。
『狂乱西葛西日記20世紀remix』の発売を記念して、9月の五連休最後の日に、青山ブックセンター六本木店で、刊行記念トークイベント、「大森望のSF漫談VOL.2」 開催予定。ゲストは、ほぼ同時期からウェブ日記を書きつづけている柳下毅一郎(本書登場回数ランキング第6位)。終了後には(トーク中から?)オフ会もあります。シルバーウィーク最終日に予定のない人はぜひご参集ください。20世紀の話でうだうだしましょう。
一方、当社5年ぶりの長編翻訳となるギレルモ・デル・トロ&チャック・ホーガンのノンストップSFパニックサスペンスホラー『ザ・ストレイン』(早川書房)も再校を戻して、明日には下版予定。すでにプルーフが出来上がってるので、なんとなく昔の仕事のような気が。しかしこちらはまだカバーが決まってないらしい(笑)。
前半はかなり意外な展開が連続するので、なるべく予備知識を持たずに読むことをおすすめします。冒頭はこんな感じ。
2010年9月24日午後9時。ベルリン発ニューヨーク行きのボーイング777機がJFK空港につつがなく着陸し、誘導路で停止する。だが、管制塔からの呼びかけにコックピットは応答せず、沈黙したまま。機体の電気系統は完全にシャットダウンし、航行灯を含め、すべての明かりが消えている。ドアは開かず、だれも降りてこない。機内から携帯電話の発信もない。二百十人の乗員乗客に、いったいなにが起こったのか?
バイオテロもしくはアウトブレイクの可能性を警戒して、CDC(疾病対策センター)の特別チームが現場に急行する。防護服に身を包んで機内に足を踏み入れた彼らが発見したのは、座席にすわったまま死んでいる乗客の群れだった……。
最初はマイクル・クライトンみたいですが、途中からデル・トロ色がかなり強くなってくるのでファンの人はお楽しみに。
『SF本の雑誌』は売れ行き快調でとうとう3刷。いまだにけっこう売れてます。なんか、『スットコランド日記』とコミで、朝日に三八つ(三段八割の新聞広告)をやたら出してるもんなあ。新聞はよほど広告が入らなくなってるのか。
それと、福音館ボクラノSFも、フレドリック・ブラウン『闘技場』に増刷がかかった模様。まさかブラウンが最初とは。星新一効果もあるんでしょうが、ブラウンが行けるならまだいろいろ短編集を出せるかも。むしろシェクリイとかやるべきなのか?
■2009年8月20日 雛形あきこ!
大竹まことゴールデンラジオの大竹メインディッシュに雛形あきこ さん登場(→podcast )。目の前で見ると超かわいい。とても小学校3年生の娘さんがいるとは思えません。生放送では、本人を目の前にしての、大竹まことの妄想語り爆発が爆笑。 げらげら笑いながら見てたらいきなり呼ばれて焦りましたが、雛形さんを間近に観察できてラッキー。
雛形ブログ用に撮影された写真をコピペ。ゴールデンラジオは毎日このスタジオから生放送でお届けされてます。窓の向こうにはフジテレビ本社ビルが見えたり。
■2009年8月8日 中州通信!
「中州通信」 2009年9月号の特集、「僕らの〈未来〉の未来――SF小説の現在」でインタビューされました。
1時間ぐらいしゃべって、仕事場で写真撮影。掲載誌が届いてみたら、洋書の本棚前で撮った写真が表紙に! インタビューは8ページもあって、めくっていくとアダモちゃんが(笑)。ものすごい並びだがなぜかあまり違和感がない。ゴールデンラジオつながり?
取材・構成は和田彰二さん(この人がSFファンらしい)。撮影は大甲邦喜さん。一部書店 で買える模様。
■2009年06月30日 夏のSF祭り・いろいろ発売中
SFの夏、日本の夏。今年は日本SF大会が思いきり前倒し。那須塩原温泉ふたたびのT-conは7月3日開幕なので、SFの夏は早くも本番。『日本SF全集1』 (→amazon | bk1 )と、『超弦領域』 』と『SF本の雑誌』 (→amazon | bk1 )の3点セットがお薦めです。
『超弦領域』は、『虚構機関』に続く年刊日本SF傑作選の2冊目。2008年に日本で発表された作品の中から15編を収録したベスト集成。伊藤計劃「From the Nothing, With Love.」は最後の商業誌掲載作。円城塔「ムーンシャイン」は書き下ろしの新作短編。その他収録順に、法月綸太郎「ノックス・マシン」、林巧「エイミーの敗北」、樺山三英「ONE PIECES」、小林泰三「時空争奪」、津原泰水「土の枕」、藤野可織「胡蝶蘭」、岸本佐知子「分数アパート」(「あかずの日記」より)、石川美南「眠り課」、最相葉月「幻の絵の先生」、Boichi「全てはマグロのためだった」、倉田英之「アキバ忍法帖」(イラスト・内藤泰弘)
堀晃「笑う闇」、小川一水「青い星まで飛んでいけ」……というラインナップです。
これに合わせて、前回お知らせした「創元SF短編賞」 も正式にアナウンスされました。すでに第1号の原稿は届いている模様。どしどしご応募ください。
さらに、7/2には、『超弦領域』刊行記念企画として、青山ブックセンター六本木店にて19:00より、大森望×岸本佐知子の「SF漫談」VOL.1 @ を開催。日下三蔵も参加予定とか。
『SF本の雑誌』 は、日本第三のSF雑誌とも言われる「本の雑誌」 が総力を結集して放つ初のSF専門別冊。創刊号以来のSF記事傑作選(椎名誠「アドバタイジング・バード」から、SFクズ論争の引き金を引いた記念すべき「この10年のSFはみんなクズだ!!」、水玉螢之丞製作の双六つき「SF者人生双六を作る!」まで)に加えて、徹底討論で選ぶオールタイムベストSF100、翻訳SF担当編集者座談会「海外モノに大コケなし、バカ売れもまず(笑)なし!」など、新企画も盛りだくさん。必読は、とり・みきの描き下ろし爆笑SF漫画「SF大将特別編 万物理論」。円城塔はこっちにも新作短編「バナナ剥きには最適の日々」が載ってます。手前ミソながら、北上次郎節が爆発する〈書評漫才〉出前篇「君にはむかしから言ってるんだけど、とにかく初心者にも理解できてすごぉく面白いSFを教えてくれよ!」もけっこう笑えるんじゃないかと。読みはじめると止まらなくなるSF者必携の一冊。SFは20年ぐらい読んでないけどおれはSFファンだという人にも最適。
フランスのオンラインSF誌、actuSF が連続企画として、日本のSF関係者インタビュー(貴志祐介/大森望/大原まり子/牧野修/円城塔) を掲載中。右側のITWをクリックすると、日本語版に飛べます。日本語のメールインタビューをそのまま掲載したもの。
ほかにも進行中の企画がいろいろあるんですが、それについては大会明けの更新でまた。
あ、もうひとつ。サポート終了後も長く稼働してきたhttp://www.ltokyo.com/ohmori/ですが、ついにサーバがダウンした模様。今後はhttp://www.asahi-net.or.jp/~KX3M-AB/のみでの運用になります。
■2009年05月19日 年刊日本SF傑作選発売決定とか
『虚構機関』に続く年刊日本SF傑作選のタイトルと発売時期が決定しました。大森望・日下三蔵編『超弦領域 年刊日本SF傑作選 Puppets on Superstrings: Best Japanese SF 2008』創元SF文庫/予価1050円(税込)。
題名は超弦理論とは関係ありません。superstringsとは現実を操作する糸のこと(と大森が勝手にきめた)。英題は、キャンディーズの名曲「恋のあやつり人形」 の(題名の)元ネタになった、サンディ・ショウ”Puppet on a String” より。
e-hon のおすすめコメントによると、「堀晃、法月綸太郎から、最相葉月、円城塔、伊藤計劃、Boichiまで、2008年の日本SF短編の精髄を集成した、SFファン必携の一冊。読書界待望の企画第2弾!」だそうですよ。
SFセミナーではちらっとアナウンスされたんですが、この刊行に合わせて、前々からやろうやろうと言ってたSF短篇の新人賞、創元SF短篇賞(仮称)の募集がスタートします。第一回の締切は年明けかな。選考委員は日下三蔵と大森望の予定。受賞作は来年度の年刊SF傑作選に収録予定。応募作はたぶん大森がすべて目を通します(最後まで読むかどうかはともかく)。
なかなか更新できないので、TwitterWidgetを試験的に導入してみました。『犬は勘定に入れません』の書影の上あたりに表示されてるはず。ていうか、どのぐらいtwitter使うのか謎なんだけど、読書メーターのコメントも、tumblrのポストもtwitterに投げる設定にしたので、テキストはここに集約されるかも。facebookも登録してますが主に海外SF作家の動向チェック用。結局いちばん更新してるのはmixi日記か。tumblrからmixiに流すようにすればいいのか。でもなあ。まあもうちょっと考えよう。