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『特盛! SF翻訳講座――翻訳のウラ技、業界のウラ話』(研究社/1800円+税)amazon | bk1 | 7&Y
シオドア・スタージョン『輝く断片』amazon | bk1 | 7&Yicon このミス4位,週刊文春3位,闘うベストテン2位,ベストSF9位
●ベストSF6位:『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』 amazon | bk1 | 7&Y 『乱闘編 1975〜1995』 amazon | bk1 | 7&Yicon


【2月13日〜28日】


■トリノオリンピックを見てるあいだに『特盛!SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話』は、無事校了となり、3/10配本予定。定価は1800円(+税)。薄いのに高くてすみません。でも、大森の著訳書ではたぶん最小初版部数の本なので、これでもよく抑えた方じゃないかと。よっぽど大きな書店にしか入らないと思われるので(しかもどの棚に並ぶかよくわからないので)ご注意ください。
 3/30にはジュンク堂で青山南氏をゲストに迎えてのトークセッション「SF翻訳講座・課外授業」も決定。青山ファンのお嬢さんたちに選挙されないうちに、ご予約はお早めに。ちなみに4月初めにはオリオン書房立川ノルテ店でもトーク開催予定。そっちもたぶん非SF系。

■ジーン・ウルフ『デス博士の島その他の物語』(→amazon | bk1)があまりに傑作なので今年の翻訳SFベストワンが早くも決まってしまった。もう今年はSFを訳すのはやめようかと思いました。いや、やるけどさ。コニー・ウィリスで敗戦処理かよ!

 ウルフに比べるとさすがに分が悪いが、奇想コレクションの中村融編/ゼナ・ヘンダースン『ページをめくれば』(→amazon | bk1)も予想以上によかった。『デス博士』が少年SFならこっちは少女SFで、未来の文学vs奇コレの子供対決。〈ピープル〉シリーズの未訳作「忘れられないこと」から、「光るもの」、「いちばん近い学校」(初訳)、 「しーっ!」、「先生、知ってる?」(初訳)、「小委員会」、「信じる子」(初訳)、「おいで、ワゴン!」まで、ずらっと子供ものが並ぶ。これなら「グランダー」と「鏡にて見るごとく−おぼろげに」を抜いて、「ページをめくれば」を巻末に置けば、ものすごいコンセプトアルバムになったような気がする。って、自分がつくったときは(『輝く断片』)そういうふうにしなかったんだけどさ。

 日本SFは有川浩『図書館戦争』が傑作で、いまのところ今年のSFはこの3冊ですね。

■SFマガジン600号は8年ぶりのオールタイムベスト。単体・二部作・四部作と3つに分かれた票をまとめると『ハイペリオン』が1位。それがなくても『ソラリス』がやっと1位になってくれたのでめでたしめでたし。

■『水霊』の完成披露試写を見た。製作費2億円。こんなな企画にそんだけカネが集まるということは、景気はめちゃめちゃ回復してるということですか。6月に全国60館で公開らしい。大丈夫か。
 田中啓文原作と言いながら共通点はほぼタイトルだけ。ここまで違うといっそすがすがしい。上映前に監督が出てきた挨拶したのを聞いたときは、年間ワースト級の大駄作に違いないと覚悟したけど、その予想を大きく覆して、部分的にはけっこうよかった。ホラー的に優秀なネタが3つぐらいあったし、井川遥もまずまず。星井七瀬はもう一歩。 しかし題名しか使われてないのに大枚の原作料をせしめた田中啓文は許しがたい。
 叶井プロデューサーは現在製作中の映画が17本。今年はぜんぶで24本つくるらしい。映画天国。

■第134回芥川賞・直木賞贈賞式@東京會舘。絲山さんの挨拶が30秒で終わってなんだか凄かった。なにをしゃべったのかは覚えてません。東野さんはわりとふつう。二次会は東野さんとこ。たいそう盛会でした。

東芝RD-XD91をamazonで買った。HDD400GBの地上・BS・110度CSデジタルチューナー搭載ハイビジョンレコーダー。RD-XS40に比べるともはや別人。地上波EPGが便利すぎる。しかしレコーダーが進歩してもTV視聴時間が増えるわけではないので、見ない番組が溜まっていく量が増えるだけなのだった。そして、さいとうよしこは地上波デジタルの存在を知らない。「みんな知らないよ、そんなの」と言うけどそうなのか?


【2月10日〜12日 台北旅行記】


■10日(出発編)
 嵐のように仕事をかたづけ、そのまま徹夜。子供を保育園に送っていってから東西線で西船橋。総武線に乗り、船橋で快速に乗り換えて空港第二ターミナルまで、総計1時間20分ぐらい。中華航空ビジネスクラスのチケットをもらってるので、チェックインしたあとはサクラ・ラウンジで休憩。マッサージ・チェアで半分寝てました。
 CI-109便は14:10成田発。隣の席だった喬林知さんと担当編集者の後藤さんに挨拶だけして、食事時間以外はほとんど寝てた。機内食は和食をチョイスしたのが大失敗で、笑っちゃうほどまずかった。とくに謎すぎる味のお吸い物と硬すぎてプラスチックみたいな不思議シャーベット。料理間の物理的温度差(冷たすぎるのと火傷しそうに熱いのとが隣り合わせに盛られている)も壮絶。飲める人は酒だけ飲んでるのが正解でしょう。まあしかし、どうせ夕食は台湾料理を死ぬほど食う予定なので、機内食はまずくてよかったかも。

 中正空港では、台湾角川のYさんと秘書のH嬢が出迎え。ウィルコムのPHSは、国際ローミング設定を台湾に切り替えるとすぐ使えるので便利。台北市内に向かう車の中で、簡単なブリーフィングを受ける。
 ホテルは台北グランド・ハイアットこと台北君悦大飯店。チェックインして荷物を置いてから夕食に出発。
 台湾角川の社長以下、総勢10人ぐらいで、忠孝敦化の欣葉の台湾料理。からすみが異様にうまかった。いろいろ食い過ぎて死にそう。後藤さんと意外な接点がある事実が判明し、すっかり昔話に。

 食後は臨江街(通化街)の夜市。 海賊版DVDは激減とか言ってたけど、「1リットルの涙」全話1500円とかいろいろ。ここの夜市は食い物はもちろん、服屋がなかなか。買いはじめるとキリがなさそうなので、とりあえず明日の衣裳のみ調達。

■11日(本番編)
 朝はダッシュで台北101。89階まで37秒。はやっ。東京タワーのてっぺんより全然上です。でも天気がいまいちなので眺めはそれほどでもなかった。
 お昼は小籠包の有名店、鼎泰豊。皮が薄くてうまい。餅米のシュウマイも鶏スープも上々。 いやもう昼からこんなに食えません。
 ホテルに戻って、台北のメディアの共同取材。といっても答えるのはもっぱら喬林さんなので、横に待機してるだけ。わりあいアットホームな感じ。
 終了後はブックフェア会場に移動。世界貿易中心のホールを3つ使ってるんですが、トークセッションが開かれる第二ホールはマンガ系の出版社が集まってて、外は長蛇の列。2割引3割引で本が販売されるため、みんなそれを買いにくるらしい。雰囲気はコミケの企業フロア。メイドさんコスチュームの人とか、テニプリ劇場版の上映とか、マンガ家サイン会とか。なぜか・マーメイド・メロディぴちぴちぴっち(真珠人魚)が大人気らしい。あとローゼンメイデン(マンガはコンビニで売っててびっくりだ)。
 台湾角川主宰の「輕小説座談會」は、定員50人ぐらい。まるマ読者の女子中高生が大半で、その9割は眼鏡っ娘でした。コスプレ5人組までいて目立ちまくり。質疑応答の盛り上がりとか、日本のおたく系イベントと全然変わらないね。
 トーク終了後、紀伊國屋書店微風広場店のサイン会に赴く喬林ご一行と別れ、ひとりで台北国際書展を見学。尖端出版が出してるコスプレ雑誌(トリニティ・ブラッド大特集だった。なんかゴス系のコスプレが流行ってるみたい)と、日本版(ワニブックス)廃刊後も続いている台湾版クールトイズを購入。台湾版ファウストも山積みでした。あと、目立ってたのは『陰陽師』の巨大ポスター(村上豊)。獏さんも台北に来てて、夜市でえび釣りをして帰ったらしい。
 国際書展会場を出て、ワーナービレッジを突っ切って歩き、1月にオープンしたばかりの誠品信義旗艦店へ。台湾最大規模の書店。ビルの3フロアを占有してて、めちゃめちゃ広い。文芸書コーナーだけ半ば独立した空間になってたりしてて、超ゆったり。贅沢だねえ。
書店以外に入ってる店もかなりいい感じで客の入りも上々。夜中までやってます。

 晩飯は上海料理の秀蘭。台湾の食事はどうしてつねに戦争なのか。次から次へ運ばれてくる料理の山を迎撃しないと破滅するぞ、みたいな。20種類とか並ぶのが悪いのか。 満腹もするけど、それ以上にぐったり疲れる。スポーツ?

■帰国編
 なぜか午前3時半に目が醒めてしまったのでオリンピックを横目に仕事。朝6時に発つ喬林ご一行さまを見送ってから朝飯を食いに出たら、グランドハイアットの大通りをはさんだ向かい側は路地を一本入ると昔ながらの市場。路上に野菜や魚が並び、鶏の羽根がむしられ、怪しい内臓が陳列されています。ちまきとか買って歩きながら食う。全品100元の服屋とかかなり強烈。ここでコーディネートすれば一発で台湾のおっさんになれる。いや、日本に来ればただのウィンズ対応ファッションだけど。
 10時にブックフェアがオープンしたので児童書館を覗く。日本の絵本の翻訳が非常に多く、台湾オリジナルは数えるほど。やたらに業者が話しかけてくるので閉口する。日本人には見えませんかそうですか。北京語しゃべれませんぐらいは言えるようにならないと。

 10時半からは台湾角川の人の案内で光華商場。高架下の怪しいコンピュータ街だったのが、高架の取り壊しで近所に移転、1月からプレハブで仮営業中
 DVDの品揃えは相当にすごい。正規の海外版と海賊版DVDと投げ売りVCDが入り乱れる。日本のAVはすべて海賊版。なのにパッケージはぜんぶ丁寧に乳首が消してあります。
 日本のTVドラマはかなり古いもの(東京ラブストーリーとか)から、DVD全話ボックス(といっても1クール2枚組)が1000円〜2000円で大量に並んでいる。なるほど、レンタルビデオのかわりなんですね。しかし、いちいち買ってたら家にDVDがたまってしょうがないだろうに。腐るほどあるので見るだけで疲れる。アニメのボックスはわりと正規版が多い模様(日本版よりはだいぶん安い)。 しかし正規版の(値段も含めた)完璧なコピー版でない保証はないのでよくわかりません。

 お昼はお粥でまた戦闘。3人なのに、どうしてオカズが20品も並びますか。へとへとになりつつ空港まで送ってもらって、中正空港のラウンジで休憩。成田に着いたらあまりにも寒いので死ぬかと思った。


【2月8日】


・45歳の誕生日を無事に通過。ろくに祝うヒマもなく、SFマガジン600号のために、ひたすらコニー・ウィリスの中篇140枚、deck.halls@boughs/hollyを翻訳中。邦題は「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」になる予定。季節はずれですみません。

『SFが読みたい! 2006年版』(→amazon)発売。スタージョン『輝く断片』は海外篇9位、『現代SF1500冊』は国内編6位でした。海外篇は『啓示空間』の順位がやや高すぎるのをのぞけばだいたい予想通り。ソウヤーに負けたのは悔しいが、まあしょうがない。国内篇は『1500冊』が谷甲州、山田正紀を抜く快挙。乱闘編・回天編を足して物量勝ちか。しかしベストテンは6本しか当たってないな。

『特盛! SF翻訳講座』はなんとかゲラを戻しました。bk1で予約受付スタート。岩郷重力デザインの書影もぼちぼち公開されるはず。重大なまちがいが直前で発見されたβ版ダミーはこんな感じ

・2/10から二泊三日で台北に行ってきます。台湾角川に呼ばれて、台北國際書展こと台北国際ブックフェアに出張、〈マのつく〉シリーズ(魔の系列)の喬林知さん及びその担当編集者氏と、「輕小説座談會」に出演予定。台北の人はぜひ遊びにきてください。会場は世界貿易中心。なんかあちこち連れていってもらえるらしい。わくわく。しかしそうか、輕小説か。

・ちなみに中国語による大森望の略歴は、
「1961年2月出生於高知縣高知市。1983年畢業於京都大學文學部美國文學科。大學畢業後,就職於新潮社文庫編輯部。也同時從事評論和SF小説的翻譯。之後離開新潮社,成為專職的翻譯家及評論家」
 だそうです。わかりやすい。

・〈ファウスト〉の太田編集長と乙一氏はもう台北入りして活動している模様。

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