1997年06月

未明の家(篠田真由美) 玄い女神(篠田真由美)
翡翠の城(篠田真由美) 灰色の砦(篠田真由美)
原罪の庭(篠田真由美) 証拠死体(パトリシア・コーンウェル)
遺留品(パトリシア・コーンウェル) 真犯人(パトリシア・コーンウェル)
死体農場(パトリシア・コーンウェル) 私刑(パトリシア・コーンウェル)
死因(パトリシア・コーンウェル) 奇跡の人(真保裕一)
死体なき殺人(マイケル・エバハート) 法に背いて(マイケル・エバハート)
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未明の家

著者篠田真由美
出版(判型)講談社
出版年月1994.9
ISBN(価格)4-06-181799-X(\777)【amazon】【bk1
評価★★★

建築探偵桜井京介の事件簿の1巻目。建築探偵というからには、舞台はもちろんお屋敷です。いわゆるなぞ解きの好きな人々は、こういうのは好みではないでしょうか。私は結構好きですね。まず登場人物に謎が多くてよい。本名を言わない登校拒否児童や、顔を出さない探偵。院生の探偵と同じ年なのにまだ学部生の友人。雰囲気も昔の探偵小説めいていて、著者の好みが思いっきりでている気がします。
さて、この話は、未明館の鑑定を頼まれた桜井京介が、事件に巻き込まれるお話。この家の主は殺されたのか、それとも事故なのか、彼が持っていた宝石はどこにあるのか、という本当にありきたりの題材ながら、最後は結構感動的です。昔からの探偵小説の好きな方に是非お勧め。


■入手情報:講談社文庫(2000.1)

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玄い女神

著者篠田真由美
出版(判型)講談社
出版年月1995.1
ISBN(価格)4-06-181826-0(\800)【amazon】【bk1
評価★★★

桜井京介探偵の2巻目。とにかく謎の多い探偵桜井の旧友から10年前の密室殺人事件を解いてほしいといわれ、山奥の恒河館に向かう。恒河館には事件当日にいた人々も集まるが、その集めた当の本人が自殺してしまって・・・というお話。この話は超どんでん返し。お決まりのパターンながら騙されました。


■入手情報:講談社文庫(2000.7)

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翡翠の城

著者篠田真由美
出版(判型)講談社
出版年月1995.11
ISBN(価格)4-06-181873-2(\840)【amazon】【bk1
評価★★★

桜井京介探偵の3巻目。今回は、純粋に建築的な推理小説。今まで話には出ていたが、全く登場していなかった桜井の師匠、神代教授初登場作。桜井京介の修論の研究を兼ねて行った日光でまた事件に巻き込まれます。1巻目同様またお家騒動的な話なのですが、今回は特に彼らの持ち家「碧水閣」が重要な役割を果たして「建築探偵」らしい話になっています。
結構著者は、こういった金持ちの家のどろどろ関係が好きなようです。碧水閣で何が起きたのか、その持ち主である巨椋家には何があったのか。じっくり楽しんでください。


■入手情報: 講談社文庫(2001.7)

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灰色の砦

著者篠田真由美
出版(判型)講談社
出版年月1996.7
ISBN(価格)4-06-181920-8(\880)【amazon】【bk1
評価★★★★

桜井京介探偵の4巻目。今回は、桜井の親友栗山深春が、登校拒否児童の蒼に昔話をするという設定になっている。桜井と、深春の出会いの話。栗山深春が下宿することになった輝額荘で、事件が起こって・・・という話。事件やなぞ解き自体はそれほどのものではないが、著者の好きな「家族関係」がここでも威力を発揮し、最後は感動のラストになっています。この本は、裏表紙の「衝撃のラスト、京介が涙を見せた!」に釣られて買ったのですが、普段氷のような桜井の別の一面が見れるかもしれません。


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原罪の庭

著者篠田真由美
出版(判型)講談社
出版年月1997.4
ISBN(価格)4-06-181961-5(\860)【amazon】【bk1
評価★★★★

桜井京介探偵の5巻目。今度は、このシリーズ最大の謎の人物「蒼」と桜井の出会いの物語。なんと、「蒼」には、こんな過去が。ここまで焦らした彼の本名も分かるのです。でもここでは教えません。(あたりまえですね)やっぱりここにも「家族関係」が出てくるところを見ると、著者はこうした話がとても好きなのでしょう。この本で第一部完結ということなのですが、最後の文章がとっても気になります。先をご存知の方がいたら教えてください。
ところで、話は全然変わりますが、私はこのシリーズ表紙が結構好きなんですよね。最初はそれで手に取ったのですが。本の表紙ってとても大切だと常々思います。京極夏彦氏の本などは、最初ホラーだと思って手に取れなかったし(今では彼の本の装丁はとても好きです)、逆に綾辻行人氏の本は表紙がきれいなので買ったら、恐かった。(笑)私は結構表紙に騙されて(というのは語弊がありますが)買う方ですが、みなさんどうでしょうか。


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証拠死体

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1992.7
ISBN(価格)4-06-185188-8(\760)【amazon】【bk1
評価★★★

検屍官に続くシリーズ第2作目。殺人者の影におびえて逃げていた作家が、なぜかリッチモンドに戻ってきて、殺されます。その死体に付着していたオレンジの繊維が今回の事件の鍵。1作目から登場しているケイの元恋人のマークの不審な行動なんかも絡んできて、ますます人物関係を複雑にしているこのシリーズ、これからどうなるのか楽しみです。


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遺留品

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1993.1
ISBN(価格)4-06-185313-9(\760)【amazon】【bk1
評価★★★

証拠死体に続く、シリーズ第3作目。今回は、連続アベック殺人事件をスカーペッタたちが追います。1作目で登場し、ケイの親友となった記者のアビーも登場、活躍します。コーンウェルの話は、あんまり劇的な最後というイメージは無くて、どちらかというと、登場人物を重視して書いているな、という印象を受けるのですが、どうでしょうか。


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真犯人

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1993.12
ISBN(価格)4-06-185570-0(\720)【amazon】【bk1
評価★★★★

検屍官ケイ・スカーペッタシリーズ第4作目。殺人で死刑になったロニー・ジョー・ワデルの指紋が彼が死刑になった後の事件で発見された事から始まります。死刑になったのは本当にロニーなのか。今回から少し人物模様も変わってきて、話の色も変わってきたように思います。シリーズ物は、回数を追うごとにマンネリになるのが避けられないものですが、コーンウェルの作品は、この作から急激に面白味を増してきたように思えるのは、私だけでしょうか。何しろ、1作目から元恋人といいつつもケイの恋人だったマークが、たった三行で死んでしまうのです。また、1作目からちょこちょこと出ていたケイの姪、ルーシーが急激に話の核に割り込んできます。死んだはずの犯人が生きているかもという設定も、今までとは色合いの違うスピード感を感じさせます。一体、コーンウェルに何があったのか、それの方がもっと謎のように思えてしまいます。


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死体農場

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1994.12
ISBN(価格)4-06-185836-X(\760)【amazon】【bk1
評価★★★

検屍官シリーズ第5作。少女が、内腿と、肩の肉を切り取られた惨殺死体で発見されるところから物語が始まります。前作真犯人で逃げている連続殺人犯テンプル・ゴールトの仕業なのか。この作からシリーズのレギュラーキャストが完全に固定され、彼らの人間関係もかなり変わってきます。ケイは、FBI行動科学課の顧問検屍官になり、姪のルーシーもFBIに入ることになります。しかもマリーノとウェズリーとケイの三角関係に発展が。それよりなにより、FBIに本当に「死体農場」ってあるんでしょうかね。アメリカ人の考えることは、私には理解ができません。日本にもあったらどうしよう・・・・。


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私刑

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1995.12
ISBN(価格)4-06-263121-0(\780)【amazon】【bk1
評価★★★

検屍官シリーズ第6作目。もうこのシリーズも6巻になりました。前前作からちらちら見え隠れしているテンプル・ゴールトがついにその姿をあらわします。しかも、テンプルは、ケイに見せ付けるように人を殺していきます。ケイは、彼を追いつめることができるのでしょうか。


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死因

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1996.12
ISBN(価格)4-06-263393-0(\780)【amazon】【bk1
評価★★★

検屍官シリーズ第7作目。前回で3作に渡る敵と決着をつけたケイは、今度は、カルト教団と対峙します。ケイの知り合いだった記者が死に、その家からカルト教団のものと思われるバイブルが見つかります。彼はなぜ死んだのか、殺されたのか、あるいは事故なのか。ケイの周りで起こる嫌がらせにおびえたり、ルーシーの事を心配したり、ウェズリーとの恋に悩んだりと、大忙しのケイ。これからの活躍も期待したいところです。


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奇跡の人

著者真保裕一
出版(判型)角川書店
出版年月1997.5
ISBN(価格)4-04-873049-5(\1700)【amazon】【bk1
評価★★★

事故で、完全に過去の記憶をなくしてしまった克巳。言語や生活習慣までも失った危険な状態から生還したことで、彼は「奇跡の人」と呼ばれています。その彼が自分の過去に疑問を持ち、一人で東京へ。彼は自分の過去に何を見出すのか、それがこの物語の主眼です。ハリソン・フォード主演の映画「心の旅(Regarding Henry)」と、山本周五郎賞受賞の帚木蓬生の「閉鎖病棟」をあわせたような、作品です。


■入手情報:新潮文庫(2000.2)

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死体なき殺人

著者マイケル・エバハート
出版(判型)講談社文庫
出版年月1995.6
ISBN(価格)4-06-185978-1(\960)【amazon】【bk1
評価★★★★

有名人である、チャド・カーティスが恋人の女優を殺した容疑で逮捕されます。しかし、その死体が見つからない。本当に彼女は殺されているのか。死体は見つからないまま、弁護士ショーン・バレットは、彼の弁護を受け持つことになります。その間にも第2、第3の殺人が。犯人は一体誰なのか。また、カーティスは勝訴できるのか。最近はやりの法廷ミステリーの要素を取り入れつつも、そればかりでなく、犯人の不気味な影が忍び寄るといったスリルも味あわせてくれる、作品です。


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法に背いて

著者マイケル・エバハート
出版(判型)講談社文庫
出版年月1997.6
ISBN(価格)4-06-263516-X(\895)【amazon】【bk1
評価★★★★

ハワイの知事が娼婦と共に惨殺されます。その容疑は、知事のリゾート開発に反対していたハワイ独立運動のリーダー、ピーター・マイカイに向けられます。事件を担当することになった、ダン検事補は、養父でもあった、マイカイの汚名をはらすため、事件の解決へと乗りだすのですが・・・。
エバハートらしくといったらよいのか、リーガルサスペンスの枠にははまらない、息もつかせぬ展開に、きっと満足すると思います。次作も楽しみです。


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