1997年08月

氷の男(フィリップ・マーゴリン) ひまわりの祝祭(藤原伊織)
嗤う伊右衛門(京極夏彦) 螺旋上の殺意(リドリー・ピアスン)
接触(パトリシア・コーンウェル) 着陸拒否(ジョン・J・ナンス)
処刑前夜(メアリー・M・ウォーカー) 神の名のもとに(メアリー・M・ウォーカー)
臓器狩り(リドリー・ピアスン) エア・フレーム−機体−(マイクル・クライトン)
スキップ(北村薫) 凍える遊び(ロシェル・メイ・クリッヒ)
喪失(ジュディ・マーサー) 狐罠(北森鴻)
複製症候群(西澤保彦) 図書館の死体(ジェフ・アボット)
図書館の美女(ジェフ・アボット) 図書館の親子(ジェフ・アボット)
図書館長の休暇(ジェフ・アボット) 黒い薔薇(フィリップ・マーゴリン)
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氷の男

著者フィリップ・マーゴリン
出版(判型)早川書房
出版年月1997.7
ISBN(価格)4-15-040842-4(\760)【amazon】【bk1
評価★★★★★

どんな犯罪者でも無罪を勝ち取ることから、「氷の男」と言われる弁護士デイヴィッド・ナッシュ。しかし、彼は自分の仕事に疑問を持ち、自分の依頼人が有罪ではないかと悩み、彼らを、また外の世界へ解き放つ手助けをすることに、苦痛を感じていた。そんなときに、冤罪でつかまったと思える依頼人に出くわす。民事専門弁護士のラリー・スタフォードである。彼は、自分の仕事の意義を見出すために彼の弁護に乗り出すが。
私は基本的にはリーガルサスペンスは嫌いなのですが、(といいつつも結構紹介しているのですが。)このお話は本当に面白い。どんでん返しにつぐどんでん返し。最後は、弁護士ナッシュとともに悩んでください。お勧めの作品です。

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ひまわりの祝祭

著者藤原伊織
出版(判型)講談社
出版年月1997.6
ISBN(価格)4-06-208623-9(\1700)【amazon】【bk1
評価★★★

藤原伊織氏、乱歩賞・直木賞受賞第1作です。こうした賞を取った人はその後の第1作でそれからが決まるとか言いますが、期待どおりといえると思います。今回の中心は、ファン・ゴッホの「ひまわり」。しかも、8枚目の「ひまわり」のお話です。残念ながら、私には絵を見る才能が全くないので、そのよさが全然わからないのですが(というよりあんな紙切れに何億も出す人の気がしれない)、その価値自体がこうした悲劇を引き起こすのはなんとなくわかる気もします。藤原氏特有の語り口というか、厭世的な主人公の雰囲気というか、古いハードボイルドを彷彿とさせる感じがいいですね。

■入手情報:講談社文庫(2000.6)

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嗤う伊右衛門

著者京極夏彦
出版(判型)中央公論社
出版年月1997.6
ISBN(価格)4-12-002689-2(\1900)【amazon】【bk1
評価★★★★

京極夏彦氏の京極堂シリーズではない作品です。四谷怪談をベースにした怪談(?)というか、恋愛小説というか。最後は、京極氏らしい終わりかたでとっても満足。しかし、しばらく、鬱になってしまいました。
また話がそれるのですが、この本の発売を記念したサイン会が開かれました。私は7月4日の八重洲ブックセンターのに行ったのですが、すごい人で改めて、京極氏の人気を知った気がしました。それを知る前に本を買ってしまったし、あいにく直前で整理券が売り切れたこともあって、サイン自体はもらえなかったのですが。周りのおじさんたちは、何が始まるんだろうというかんじで、しかも女の子が多いので(八重洲ブックセンターは場所柄あまり若い女の人がいないので珍しいのもありますが)、嫉妬交じりの声で「女の子に人気があるんだねえ」と言っているのには笑ってしまいました。
その後、本物の京極氏が出てきたのですが、やっぱり手袋をしていました。しかも、「ああ、なるほど」という感じの人で、私は大変満足して、帰ってきました。

■入手情報:C NOVELS(1999.8)

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螺旋上の殺意

著者リドリー・ピアスン
出版(判型)角川文庫
出版年月1997.5
ISBN(価格)4-04-214901-4(\880)【amazon】【bk1
評価★★★★

ある日、一人の男が窓から投身自殺をします。その事件を調べることになったジョー・ダルテッリ刑事は、その現場が3年前、自分が自殺と決めた現場に酷似していることを発見、極秘に調査を開始します。そして彼らの血液から不審な共通点が・・・。近年特に問題となっている遺伝子治療と、ハイテクが次々と出てくるテンポのよい展開で、最後まで一気に読めてしまう作品。私は映画にしてもきっと面白いのではないかと思ったのですが、皆さんどうでしょう。
解説で、茶木則雄さんが「(この本は)ピアスン人気の火付け役になる可能性はある」と言っていますが、その意見に全面賛成です。この本を読んで、過去の
「臓器狩り」も読んでみたのですが、いずれ違わず面白い作品で、今後が期待できます。しかし、残念ながら邦訳9作の内、手に入るのは「臓器狩り」と「予備審問」のみ(1996年版日本書籍総目録より)のようであり、復刻を心から期待します。


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接触

著者パトリシア・コーンウェル
出版(判型)講談社文庫
出版年月1997.12
ISBN(価格)4-06-263659-X(\762)【amazon】【bk1
評価★★★

(原題:Unnatural exposure :Little,Brown and Company
ISBN0316883344(cloth))

検屍官ドクター・ケイ・スカーペッタの第8作目。今回の敵は、痘瘡です。首と手足の無い死体が見つかります。それを検屍していたケイは、奇妙な水疱を見つけます。第2の死体が見つかったとき、その正体が判明し、彼らはパニックに陥るのです。AOLを通じて死体の写真を送ってくる犯人。しかも、その犯人は自分のプロフィールにケイの経歴を書き込み、ケイのふりをしています。その一方で、FBIの内情が次々とリークされることに、いらだつケイ。そして、ケイも痘瘡に? 正体不明の犯人は誰なのか、そしてその目的は?
相変わらず次々と襲ってくる困難と、狂った犯人に、どきどきしながら読んでしまいました。
邦訳が、97年の12月に出ました。

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着陸拒否

著者ジョン・J・ナンス
出版(判型)新潮文庫
出版年月1997.8
ISBN(価格)4-10-204711-5(\781)【amazon】【bk1
評価★★★

飛行機って怖いですねえ。燃料が無くなる前に着陸できなかったら、落ちるしかないし、一度落ちたら、生存の確率はほとんど0%。それなのに、素性も知れない人と、何時間も一緒にいて、そのうちの誰かが悪性のウィルスに感染したりしていたら・・・・。そりゃパニックに陥るでしょう。
この物語は、そうした飛行機の怖さを思う存分描いた物語です。どこにも着陸を許可されない飛行機。しかも、機内の全員が殺人ウィルスに冒されている可能性がある。その上、後ろから攻撃してくる戦闘機。次から次へとパニックになる要素が襲ってきます。飛行機関係のパニック映画というと、私は
ダイ・ハード2を思い浮かべるのですが、これも実際は、テロリストの話で、飛行機自体の危険というわけではないですよね。最近では、乱気流なんていう映画もありましたが、飛行機自体は、実は危険なんてほとんどなくて、事故率から考えると、自動車とかのほうがずっと危険というのは事実ですから、仕方がないのかもしれませんね。そう考えると、マイクル・クライトンのエア・フレームといい、この作品といい、最近飛行機の安全性を問題にした話が多いのはどうしてなんでしょう。ちょっと怖いですね。

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処刑前夜

著者メアリー・M・ウォーカー
出版(判型)講談社文庫
出版年月1994.7
ISBN(価格)4-06-185712-6(\880)【amazon】【bk1
評価★★★★

テキサスのある富豪の家で起こった殺人事件の犯人として、逮捕されていた死刑囚の死刑が迫ったときに、再びその家で殺人が起こるところから物語は始まります。過去の事件をずっと追っていた記者のモリーは、新たな事件を探ろうとして、過去の事件に疑問を持ちはじめるのです。死刑を受けることになっている犯人は本当に事件を起こしたのか。刻々と迫る死刑までに、彼女は事件を解くことができるのか。残念ながら、彼女の処女作である「凍りつく骨」は読んではいないのですが、これが第2作目なのか、と思えるほど、スリリングな展開と魅力的な人物(というのは、本を誉める常套句ですが)で、私は気に入りました。このモリーは、仲のよい娘がいて、その彼女の父親でもある元夫とのいざこざも結構面白いのです。騙されたと思って、読んで見てください。

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神の名のもとに

著者メアリー・M・ウォーカー
出版(判型)講談社文庫
出版年月1995.7
ISBN(価格)4-06-263006-0(\860)【amazon】【bk1
評価★★★★

最近、こうしたカルト物は、むこうでもはやりなのでしょう。他にもいくつかカルトものは読んだのですが、すぐ思い付くものとして、コーンウェルの死因があげられますが、このところのカルト集団の集団自殺や、立てこもりなどの社会情勢を踏まえてのことだと思います。
ということからもわかるとおり、これはカルトものです。カルト集団に幼稚園バスの園児と運転手が人質にとられ、その解決に女性記者のモリーが乗り出すという話です。この話の面白いのは、もちろんカルト集団の主宰者を追いつめるためのFBIやモリーの活躍はもちろん、人質に取られた子供たちと、運転手との奇妙な友情がまた見所と言えるでしょう。前作の処刑前夜を上回る面白さで、次作が期待できます。

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臓器狩り

著者リドリー・ピアスン
出版(判型)新潮文庫
出版年月1995.10
ISBN(価格)4-10-231304-4(\760)【amazon】【bk1
評価★★★

心理学者ダフネ・マシューズがボランティアを勤める更生施設に、レイプされ、電気ショックで記憶を消されたうえに、腎臓を摘出された女の子がやってきたところから物語が始まります。彼女は義憤にかられ、今は警察を休職し、バーでピアノをひいている子連れの刑事、ルー・ボールトに事件解決の手伝いを依頼します。
最近、日本でも法関連で議論を呼んでいる臓器移植の裏側を、医学部に所属していたピアスンならではの切り口で、臓器狩りというミステリに仕上げたのはすごいと思います。実際、どんなにハード面で体制が整ったとしても、ドナー不足というソフト面は、人情に訴えるとかいうあいまいな方策しか取れない状態であり、こうした考えを持つ医者が出てきても、不思議ではない点、この作品の怖さがひしひしと伝わってきます。だた、手術シーンなど、気持ち悪いほど正確というか、鬼気迫るという感じで、そういうのが嫌いな人にはお勧めできません。食事中には読まない方が無難かも。

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エア・フレーム−機体−

著者マイクル・クライトン
出版(判型)早川書房
出版年月1997.5
ISBN(価格)(上)4-15-208079-5(\1800)【amazon】【bk1
(下)4-15-208079-5(\1800)【amazon】【bk1
評価★★★★

ジュラシック・パークのマイケル・クライトンが、今度は飛行機に挑みます。ロサンゼルス空港に緊急着陸した飛行機は、内部が壊滅的状況を示していた。事故機を作ったノートン社は、事故原因の解明にあたるが、そこでさまざまな困難にぶち当たる。しかもそれに追い討ちをかけるように、マスコミが押し寄せて・・・というお話。相変わらず、危機的状況を創る天才のクライトンらしく、スピード感あふれる展開で、映画を見ているようでした。映画といえば、この本もすでに映画化が決定されていて、ここで、詳しい内容を見ることができます。しかし、ノートンの事故原因究明チーム担当副部長、ケイシー・シングルトンをデミ・ムーアがやるという話で、私はとっても意外なのですが。みなさんどうでしょう。

■入手情報:ハヤカワ文庫(2000.9)

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スキップ

著者北村薫
出版(判型)新潮社
出版年月1995.8
ISBN(価格)4-10-406601-X(\1748)【amazon】【bk1
評価★★★★★

17歳だったはずの自分が、いきなり25年も先の自分になってしまったら。そんな感じに話は始まります。気が付いたら、25年も未来の自分になっていて、その自分には夫も自分と同じ17歳の娘もいる。しかも職業まで持っている。そんなことが起こったら怖いですね。自分でも10年前と比べると、電話一つとってみても、留守電だのFAXだのついているし、私の小さいころは、コピー機がこんなに発達してなかったし、パソコンも、10年前に買った最新機種は、5インチ・フロッピー搭載のNECでした。まだWindowsなんてなかったし。10年でもこんな感じなのだから、きっと25年も飛んだら、もうそこは未知との遭遇って感じですよね。しかも、いやおうなく仕事はしなくてはならないし、知らない人と結婚しているし・・・なんていったら、本当に絶望的な状態に陥ると思います。
でもこの主人公は、17歳とは思えない強さで、気丈にもそれらを乗り越えて、成長していきます。北村氏らしい話の展開で、私はとっても感動しました。お勧めの作品です。

■入手情報:新潮文庫(1999.7)

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凍える遊び

著者ロシェル・メイ・クリッヒ
出版(判型)創元推理文庫
出版年月1995.9
ISBN(価格)4-488-29401-4(\820)【amazon】【bk1
評価★★★★

同じ毒物で、毎週木曜日に犯行を繰り返す犯人。しかも、その被害者は人種・性別は全然一致しない。犯人はどのように被害者を選別しているのか。ロス市警の特捜部に抜擢されたジェシーは、犯人を追いつめようとするが。
虐待経験のある女性刑事と、犯人の攻防と内面の葛藤がなんともいえません。ちょっと他の人物関係が感じられないのが残念なのですが、追いついたと思った犯人にまた先を越され、犯人も追ってくる警察に追いつめられながらも、大胆に犯行を繰り返すといったストーリーの妙は、さすがアンソニー賞受賞作といったところでしょうか。ジェシーの元夫で、ジャーナリストのゲリーとの情報合戦も見物です。そして、家に帰れば妹のヘレンと甥のマシューの問題に巻き込まれ、と大忙しのジェシー。最後まで目が離せない本です。

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喪失

著者ジュディ・マーサー
出版(判型)講談社文庫
出版年月1996.4
ISBN(価格)4-06-263152-0(\980)【amazon】【bk1
評価★★★

朝起きたら、記憶喪失になっていたら・・・。そんなところからこの物語は始まります。朝目が覚めると、全然知らない部屋にいる。しかし、隣人は自分のことがわかるようだし、仕事先から電話がかかってくる。しかも、強盗に狙われたり、殺されそうになったり。主人公は、記憶を取り戻すため、記憶喪失の原因を探ろうとします。
最初の部分など、宮部みゆきさんの
「レベル7」を彷彿させる話で、かわいそうな主人公と、それをみまもってくれる隣人や仕事仲間と、記憶を失わせた原因と、彼女の過去を探ってください。

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狐罠

著者北森鴻
出版(判型)講談社
出版年月1997.5
ISBN(価格)4-06-208626-3(\1900)【amazon】【bk1
評価★★★★

陶磁器界の贋作の攻防を描いた作品。贋作というと、高橋克彦さんの浮世絵シリーズを思い浮かべるのですが、これは陶磁器の贋作です。ある古物商にまんまと贋作をつかまされた宇佐見陶子は、その古物商に仕返しをしようとするのです。その仕掛けは成功するのか。
骨董界の裏話がたくさん出てきて、いろいろ勉強させられる本。本当にこんなことがあったら、怖いですね。この話を読んでいたら、贋作と本物の違いってなんなんだろう、と思ってしまいました。

■入手情報:講談社文庫(2000.5)

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複製症候群

著者西澤保彦
出版(判型)講談社ノベルス
出版年月1997.7
ISBN(価格)4-06-181971-2(\760)【amazon】【bk1
評価★★★★

こんども西澤氏はやってくれました。ストローという奇怪な現象が世界各地で起きます。この現象により、出ることのできない空間に人間の複製ができてしまうのです。そしてその中と外で起こる殺人事件。このコピーがとっても関わってくるのですね。またまた西澤氏らしい話で、一気に読めてしまいます。西澤氏は、とっても多作だと思うのですが、どうしてこう次から次へと全然違う装置を考えつけるのでしょうね。前は時刻表のトリックとかでも、時刻表を毎日睨んで大変だろうな、と思いましたが、彼の作品の場合、その元となる時刻表さえも自分で作ってしまうのだから、本当にすごい。これからの作品にも期待したいですね。

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図書館の死体

著者ジェフ・アボット
出版(判型)ハヤカワ文庫
出版年月1997.3
ISBN(価格)4-15-100110-7(\680)【amazon】【bk1
評価★★★★

私が図書館員だからではないのですが、このシリーズは私のもっともお勧めするシリーズのひとつです。最近のおどろおどろしいサイコ・サスペンスに嫌気のさしている人には清涼剤となってくれるでしょう。主人公はジョーダン・ポティートというテキサスの片田舎で図書館長をする人物です。といっても、とっても格好よい30代の心やさしい人物。老人性痴呆症にかかってしまった自分の母親を姉と一緒に看病するため、ボストンでの編集者としてのキャリアを捨て、故郷へと帰ってきた本当に良い人です。
その彼が平和なはずの故郷で、殺人の容疑者になってしまいます。真犯人を自分で見つけないと、自分が殺人犯になってしまう・・・そうして彼は真犯人をみつけるべく調査に乗り出すのです。
一見ありきたりな話なのですが、意外な結末にみなさん満足することでしょう。その上、登場する人物がそれぞれ個性的で、シリーズとしても先が楽しみな作品です。

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図書館の美女

著者ジェフ・アボット
出版(判型)ハヤカワ文庫
出版年月1998.2
ISBN(価格)4-15-100121-2(\740)【amazon】【bk1
評価★★★★

(原題:Only Good Yankee : Ballantine Books ISBN 0-345-39438-0)

ジョーダン・ポティートシリーズの第2作。平和なジョーダンの故郷・ミラボーに奇妙な爆弾事件が連続することから物語は始まります。爆弾事件といっても犬小屋や、郵便箱といった全然害のないものなのです。
その直後、なんとジョーダンのボストンでの元恋人、ローナが図書館にやってきます。そして、彼女はボスとともに、ミラボーの川沿いの土地を買い取って、コンドミニアムを建てるという計画を持ち込んでくるのです。そしてそれに反対する自然保護運動家もミラボーに来て・・・・殺人が起きるのです。
元恋人の出現で、キャンディスともめるジョーダン。爆弾魔と殺人は関係あるのか。また、犯人は誰なのか。
1998年2月、邦訳が出版されました。

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図書館の親子

著者ジェフ・アボット
出版(判型)ハヤカワ文庫
出版年月1998.12
ISBN(価格)4-15-100131-X(\860)【amazon】【bk1
評価★★★★

ジョーダン・ポティートシリーズの第3作です。この話は20年前の話からはじまります。台風の晩に木の上の家で過ごそうという無謀な計画を立てたジョーダンの仲間たち。結局途中で断念し、近くの家に逃げ込もうとしたときに少女の死体を発見します。そして、20年後。その時の仲間が次々と殺されていくのです。このままでは自分も危ない。おせっかいというか、心やさしいというか、ジョーダンは自分の親友たちのために真犯人を見つけようとします。さて、誰が彼らを殺したのか、またどうして?

その上、失踪していたジョーダンの姉の元夫が、その被害者の一人であり、発見者がその息子で、ジョーダンの甥でもあるマークだったことからもいろいろと話が発展していくのです。いろいろと問題の多いポティート家に今度はどんな騒動が起きるのか。
平和なミラボーと何度もでてきますが、1年強でこれだけ殺人事件が起きたら、全然平和じゃないと思うのは私だけでしょうか。

1998年12月、待望の邦訳出版です。アボットのポティートシリーズは原書も今のところあと1作。続きは早くでないのかなあ。

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図書館長の休暇

著者ジェフ・アボット
出版(判型)ハヤカワ文庫
出版年月1999.12
ISBN(価格)4-15-100143-3(\940)【amazon】【bk1
評価★★★

ジョーダン・ポティートシリーズの第4弾。ジョーダンは、生みの親であるボブ・ドンとともに、ガーツ家の親類に会いにいくことになる。ところがそのジョーダンのところへ次々脅迫状が。かなり不安になるジョーダン。付いたとたん、親族が激しい口論を始め・・・

海に浮かぶボブ・ドンの叔父が所有する孤島、憎みあっている家族、そして不気味な昔話・・・。舞台装置は万全です。今までとはちょっと違った味付けになっている感じを受けました。最後の終わりかたがちょっと不満なのですが、これからの話に期待したいですね。と原書を読んだ時に書いてもう3年。本当に続きは出るのでしょうか。すごく不安。キャンディスとジョーダンの行く末が気になってるのは私だけではないはず・・・あーこの続きは・・・。(2000/1/2 改稿)

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黒い薔薇

著者フィリップ・マーゴリン
出版(判型)早川書房
出版年月1994.10
ISBN(価格)4-15-207879-0(\2000)【amazon】【bk1
評価★★★

エリザベス・タネンバウムという女性弁護士が活躍するミステリー。女性が完全に姿を消してしまうという事件が連続して起こります。そして彼女たちが消えた後には、黒い薔薇と「去れど忘られず」という書き置きが残されていました。そこへ女性刑事が現れ、10年前にも同様の事件が別の場所でも起こっていたことが判明します。犯人らしい人物はいるが、起訴するだけの証拠がない。しかもその男がエリザベスに弁護を頼むのです。彼は本当に犯人なのか?
マーゴリンの作品は、登場人物の感じが似ているところが難点なのですが、話としては、一級品だと思います。次々襲ってくる危険にまさに息もつかせぬというのは、こういう話を言うのでしょう。

■入手情報:ハヤカワ文庫(1998.5)

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