qaks

「インターネット国試質問」

平成10年1月の のページ

平成10年2月3日版

勉強方法について

今、5年生ですが回りのみんなが勉強を始めているのに自分は全くしていません。

さらに今まで勉強をしていなかったためかなり遅れています。 ベッドサイドでも怒られっぱなしです。

この1年でなんとか国試に受かるようにテープで勉強したいと思います。 僕の場合どのような勉強をしたらいいのでしょうか?

( 98/ 1/25 23:30 T大学、5年 Rさん)

(97/1/26)

ホームページ御来訪ならびにメールをありがとうございました。

ホームページの「国試に関する質問と解答集」にも一度答えたことがあると思いますので ご覧になって下さい。このページの一番下の検索ができるページに入って「勉強」 というキーワードで検索をかけて見て下さい。多分出てくると思います。

私としましては医学評論社のチャート内科学を夏休みまでに5巻読み終わってほしいと考えています。 「今まで勉強をしていなかったためかなり遅れています」とのことですがチャートに関しては 全く心配は要りません。読んでもらえればわかりますがほとんどの事柄が中学生レベルに書いてあるのです。 それでもどうしてもわからない言葉が出てくるようでしたら医歯薬出版の「最新医学大辞典」を 横に置いてその都度調べるようにされてはいかがでしょうか。この辞典に出てこない言葉は たとえ理解できなくてもそれほど国試では減点になりません。

続いて夏休みに外科、産婦人科、公衆衛生もやり始めます。アプローチシリーズが最も信頼がおけます。 なぜかというと相当数の専門家に毎年解説を書いてもらっている「医師国家試験問題解説書」を かなり参考にして編集してあるからです。私の解説した個所などはほとんど同じ記述のところも多いです。

もっと細かく、例えば産婦人科はコンパスが良いなどという情報はその都度流しますので ご相談をお寄せ下さい。時間があれば各科表にでもしてホームページ上に挙げたいとも考えています。

秋からはマイナーというふうに広げていかれてはと思います。

カセットテープは4−5月ころまでに基本を、6−9月、10月に第92回の問題を解 きながら実戦的な勉強を、その後は必修D問題や禁忌肢など直前情報などを流すような計 画を立てています。

大体週1巻をお送りしますので受験生活のリズムを 付けたり生活の張りを保つのに利用されてはいかがでしょうか。既にかなりの5年生の方 が毎週続けて聞いておられますので「思い立ったが吉日」始められるようお勧めします。

1巻2000円ですので年間約10万円の予算がかかるのが玉に傷です。 手作りのテープを整理したり発送したりで人件費その他から今のところ リーズナブルなぎりぎりの価格というのが現状です。

有効に使ってもらったために国試浪人をしなくて済んだというような方、 あるいは 「学生時代から実際の臨床の話を聞きながら勉強できたので医者になってからも役に立った」 と言って下さる方にとっては 10数万円というのは安く済んだと喜んでもらえるのではないかと思っています。

お金が大変になればもちろん途中で止められるのも自由にしてありますし 購入を強要するようなご連絡を入れたりしたことはありません。 しかし、いままでのところ連続購入を途中で止められた方はいらっしゃらないのは 不思議でもあり、ありがたいことでもあります。

ご予算に合わせてコースをお選び下さい。

カセットテープに関する情報はホーム ページ上でどんどん新しくしていきますので時々はご覧になっていて下さい。入会されれ ば毎週のテープとともに国試に関する新しい情報は入り次第お送りしています。

ではまた、ご質問はどうぞご遠慮なく。

はじめまして 奈良県立医科大学5年の00ともうします. 不躾な質問をお許しください.

国試の臨床問題で,教えていただきたいことがあります. 84D7の問題ですが,問題文章中の追視とは,smooth pursuit movement滑動性追 従運動のことだと思うのですが,この反射は頭頂後頭葉接合部の眼球運動野が関 与すると書いた教科書(臨床神経学の基礎)があるのですが,QB,aproachとも, 失外套症候群としていますが,失外套症候群として広範な両大脳半球の障害があ るのであれば,この反射は起こらないと思うのですが,どうなのでしょうか.上 部脳幹の障害による植物状態であると考えた方が考えやすいと思うのですが.

また,昏睡で痛覚刺激に反応しないというのは,感覚刺激による賦活で覚醒しな いということは理解できますが,脊髄反射である屈曲反射は消失するのでしょう か.教科書に,内側・外側網様体脊髄路がα及びγ線維を亢進させたり抑制した りするとあり,賦活系とともに,この経路が障害されて反射が減弱するのでしょ うか.

もう一つ,植物状態で昏睡,という言い方はできないのでしょうか.定義がもう 一つはっきりしないのですが.

よろしくお願いします.

( 98/ 1/12 00:09 奈良県立医科大学、5年 Tさん)

(97/1/12)

5年生ですのに詳しく勉強されていてかなり優秀な方とお見受けします。

ご指摘のとおり完全な大脳皮質全体の障害では追視は出来ないと考えられます。 眼球運動野はある程度障害を免れた状態でしょう。

84D7のような状態の場合痛覚刺激に対しての反応としては除脳硬直が前景に出て 脊髄反射はそれに覆い隠されてしまいます。

「植物状態で昏睡」という言い方は言葉の格調を落とします。 「植物状態」という言葉が社会的な意味合いが強い言葉で「昏睡」というのは意識状態を正確に述べようと 意図して使われることが多いので何だか素人っぽい言い方になってしまいます。

「昏睡」という限りは閉眼して眠っていなければいけません。 84D7では追視をしていて眼を開けているようですのでもちろん言えません。

選択肢bの「植物状態」が妥当なところでしょう。

新年早々よろしくお願いします。

あけましておめでとうございます。

前回もわかりやすい回答をありがとうございました。 今回も再び質問があってメールいたしました。

Addison病のOleesky法なんですが、コルチゾールの腎臓での働きはNa再吸収だっ たと思います。 そこでなぜAddison病では水利尿に結びつくのでしょうか。

よろしくお願いします。

( 98/ 1/ 4 11:14 兵庫医大、6年 Mさん)

(97/1/5)

こちらこそお手柔らかにお願い致します。

ご質問の「Addison病のOleesky法」という検査は1953年にイギリスのオリースキーさんという 内分泌学者がはじめたコーチゾン投与により水利尿不全の改善を調べるものです。

最近は少なくとも日本ではあまり行われることが無いようで、 私自身もアジソンの患者さんに施行したことがありませんし、 執筆協力者として私も名を連ねている「臨床検査法提要」の最新版などにもにも 全く記載されていないようです。

欧米では副腎皮質機能不全の診断基準として特異的ではないとしながらも水負荷で水利尿不全を 確認することが行われていたことがあります。オリースキー試験とはこれがコルチゾールで改善することを 確認する試験です。 当然のこと腎機能は正常に保たれた患者さんでないと意味がありません。

ご指摘のようにコルチゾールはアルドステロンほどではありませんが ナトリウム再吸収、カリウム排泄の働きをします。

しかし驚くべきことにこれが逆のこともあるので事は複雑です。 特にナトリウム負荷を与えている場合など、アルドステロンなどはちゃんとナトリウムを再吸収するのですが コルチゾールは逆にナトリウムを排泄させるように働いてしまうのです。 この機序についてはコルチゾールが糸球体ろ過率(GFR)を上げるからだとされています。 コルチゾールには糸球体ろ過率を上げるだけでなく尿細管分泌作用も高めることが知られています。 いろいろな機序で水利尿作用もあるわけです。

アジソン病では実際糸球体ろ過率が低下しています。 しかもアジソン病の患者さんは血中の抗利尿ホルモン(ADH)が高いのでこれらのため アジソン病では水負荷で水利尿不全が見られそれを欧米では診断基準の一つとしてきたのです(前述)。 そういう状態のアジソン病の患者さんにコルチゾールを投与すると糸球体ろ過率を上げ水利尿が 改善されます。アルドステロンを投与してもこうはなりません。

いろいろと書きましたが国家試験用には 「糖質コルチコイドにはナトリウム貯留作用よりも強い水利尿作用がある。 この水利尿作用の機序は糖質コルチコイドのADH分泌抑制作用、糸球体ろ過率上昇作用、 尿細管分泌作用などによる」と 覚えておかれてはいかがでしょうか。「チャート2」でも144ページあたりに同様に大変覚えやすくまとめてあります。 ご一読をお勧めします。 なお、「オリースキー試験」そのもの(名前など)は国試には出題されないでしょう。

家族全員で今朝早くから六甲山人工スキー場に行ってきました。お答えが遅くなりました。 しっかりと勉強しておられるので良いドクターになられると将来が楽しみです。 体に気をつけて頑張って下さい。


これ以前の質問の答えは次をご覧になっても結構ですが 一番下のコンテストページ(このホームページを分かりやすく応援して下さる方のページです。) が見やすいと思います。

・97年12月までの質問と回答のページ
・97年4・5月分の質問と回答のページ
・97年1月分の質問と回答のページ
・96年12月分の質問と回答のページ
・96年10月分の質問と回答のページ
・96年9月分の質問と回答のページ
・96年8月分の質問と回答のページ
・それ以前にお寄せ頂いた膨大な質問と回答集のページ

をご覧下さい。



(募集)

この「超最近の質問と回答のページ」およびそれ以前の質問と回答をご自分のホームページ上にきれいにアップして ご協力下さる方を募集しています。 詳細規定ご了承の上奮ってご応募下さい。


(平成10年1月22日現在の参加者)