この回答に対する意見、再質問も歓迎します。
医師国家試験までのおおよその計画を立てておられたら、送ってきて下さい。
焦らずに一緒に考えましょう。計画を未だ立てていない場合には下記も参考にして下さい。
(今まで勉強が全く出来ておらず,これからだが目処も計画も立たずに困っている人の為の計画案)
8ー9月で「チャート内科」の全5巻をじっくり勉強し、内科に根拠をおきます。ただ読むだけでなく、
アンダーラインを引いたりところによってはメモにまとめたりするとさらに良いです。
10月からは石黒の「ランダム外科」,「チャート小児科」,チャート公衆衛生などを順次取り入れます。
産婦人科はチャートで理解し、最近脚光をあびている「コンパス」で整理します。11月にはマイナーも
「100%」で覚えはじめます。このころから医学評論社の国試解説書の過去1ー3年間(余力あれば5年間)
をじっくり読みはじめ,年内には終えます。12月からはアプローチを読破開始、
1月には本年度のTECOM,MECの模擬試験の
解説の勉強を取り入れます。来年度の国試対策の勉強が不十分な人は取りあえずTECOM,MECの
権威ある2大出版社主催の模擬試験は全てを受けるようにします。
模擬試験は勉強のペースを保ったり、新傾向をつかんだり、自分の実力を客観的につかんだり
するのに不可欠で,これらの模擬試験の新作問題以上の素晴らしい教材はありません。
解説すべてを模擬試験直後に勉強出来ない人は1月からでも良いですから精読しましょう。
これら2大模擬試験では大学の名誉教授クラスの国試対策専門家を各分野で常時抱えており、
来年度の国試の予想に余念がありません。どうしても勉強の時間が足らない人は
数回のこれらの模擬試験の解説の精読だけでも相当実力がつきます。
2月に入ったら新しい参考書など買いあさらないで、
今まで読んだ本の書き込みやアンダーラインを覚え込み,復習を繰り返します。
これで来年度国試楽勝です。
全期間を通じてインターネットのこの「質疑応答」のページは大いに利用します。
これでこわい者なしです。
頑張って下さい。
furosemide(ループ利尿剤)はカルシウム排泄作用があり高カルシウム血症の治療に生理的食塩水とともに
用いられますが,同じ利尿剤でもサイアザイドは高カルシウム血症の原因ともなり得ます。
サイアザイドの腎尿細管カルシウム再吸収促進作用のためです。
「低カリウム血症」、「耐糖能障害」、
「高尿酸血症」は共通していますが「カルシウム」に対してのみは
逆の作用なのです。
「激症肝炎はC型急性肝炎によるものが最も多い」というのは誤りです。
そのようなことを書いてある文献や成書はないと思いますが?
昨年度のTECOM(90第3回B-38)の「ウイルス肝炎」についての出題(p.805)と解説(p.806)を担当したのは私ですが,
そこでの解説(p.806)でも書きましたように
多数例の詳細な検討で確認されたのでは原因ウイルスはB型が最も多く、
最近では変異B型ウイルスによる激症肝炎の頻度の高さが
注目されています。B型関連肝炎によるものが頻度も高く、予後も最も悪いです。
(以下 96/08/14)
なお、このあと質問者から「激症肝炎はC型肝炎によるものが最も多い」と書かれている学生用教科書の
指摘がありましたので私から出版社に連絡を入れておきました。
間違ったことを覚えてしまうほど損なことはありません。
時折、インターネットでの情報収集も心がけましょう。疑問点はどしどしこちらへご質問下さい。
大変詳しく勉強されているようで感心しています。
ご指摘のようにDKA(diabetic ketoacidosis)に対して不用意に重炭酸の大量投与を行うと,後に不均衡
症候群を引き起こすことがあり、注意が必要です。
(Morris et al.:Bicarbonate therapy in severe diabetic ketoacidosis. Ann Int Med 105:836-840, 1986)
このため、アルカリ化製剤の使用については多少の議論のあるところですが、少なくともpHが7,0以上ある
場合には重炭酸の投与と補液を優先させるのが一般的な考え方です。「bicarbonate therapy におけるparadoxical acidosis」
の機序については国試の範囲を逸脱するので覚えなくても良いでしょう。国試に出る大事なことから
勉強するようにしてください。
なお、自分の研究範囲の特殊なことがらをしつこく勉強させようとする教官が
いますが、そういう教官が幅を利かせている大学は国試の合格率が下げるだけでなく、日本の医療を考えると決して良いことではありません。
医師という職業では日常的に大切な基本的なことから勉強すべきであり、国試の出題も必然的にそちらの方向に
向いています。
ファウラー位(Fowler position)は米国の外科医 Gorg Ryerson Fowlerが提唱した体位で、もともと 手術中の肺水腫を予防するために考え出されたものです。「半座位(semi-sitting position)」ともいいます。 この体位では腹部内臓が下方に下がり, このため横隔膜の呼吸運動が容易になり呼吸だけでなく、嚥下,喀痰排出などが楽になるのです。
少し古いですが、第87回TECOM模試第4回A-87で私が出題した片麻痺患者に対する救急処置の「Sims体位」(患側を上にした 半側臥位)も「臨床必須事項」の一つです。合わせて是非覚えておいて下さい。
ADHの分泌に影響を与えるものとしては正常下では血漿浸透圧、循環血漿量、血圧、ストレス、アンギオテンシンなどがあります。経路としては左心房の容量受容体、頸動脈や大動脈の圧受容体、体温・痛覚・嘔吐などによります。
グルココルチコイドを介しての経路は一般には言われていませんし国試には出題されないでしょう。学生さんがこれを覚えようとすると反って混乱するのではないかと思いますのでここのところは飛ばして勉強されて良いと思います。
機会を見て出版社、編集者には私から連絡をしておきます。国試のご健闘を祈ります。
エストロゲン値は高いのですか、正常なのですか。(豊明 W君)
まず“5α−DHT”と“組織5α−レダクタ−ゼ活性”とは別のものです。
“5α−DHT(デハイドロテストステロン)”というのはテストステロンが標的細胞内で“組織5α−レダクタ−ゼ”により活性化されたホルモンです。
すなわちこのこの“組織5α−レダクタ−ゼ”によりテストステロンの男性ホルモンとしての作用発現が助長されるわけです。
完全型の精巣性女性化症の患者の男性ホルモンレセプタ−(androgen receptor)は欠損しています。
これがこの疾患の原因です。
昔(1970年頃)は、本症は“組織5α−レダクタ−ゼ活性”の低下によるとの考えが提唱されていましたが現在はこの考えは否定されています。
睾丸などからの女性ホルモンの産生は増加しており、血清エストロゲン値も正常男性の数倍に増加してはいるが正常女子よりはかなり低値を示します。
では、88−85Bを検証してみましょう。
◎(1)母親を介して遺伝するX染色体性の伴性劣性遺伝です。従って、男子の50%に発症します。
◎(2)全くそのとおりです。
△〜×(3)血中エストロゲン値は正常男子より数倍高く、正常女子よりは低いので「正常」とは言いにくいです。
××(4)血中テストステロンは正常男子とほぼ同様かやや高値で正常女子の約20倍です。
×(5)組織5α−レダクタ−ゼ活性については正常例、低下例の報告があります。「低い」と言い切るのは間違いです。
選択肢の(3)が意味不明瞭な出題となっており混乱されて方も多いのではないでしょうか。
ご健闘を祈ります。
なぜなら鎖骨下動脈というのは解剖学的には左にしかないからです。
右のSubclavian steal syndrome(鎖骨下動脈盗流症候群)のことを“innominate steal syndrome”などと呼んだりします(Brabeman 1965やRanirez1966などの報告)。
ここではこのような無名動脈や腕頭動脈(いずれも左)の狭窄で鎖骨下動脈の狭窄によるのと同様の症状が出たのもを「左のSubclavian steal syndrome(鎖骨下動脈盗流症候群)」としてお答えします。
Fieldという人が1972年に頭蓋外動脈閉塞6534例につきまとめた報告では、鎖骨下または腕頭動脈閉塞が1114例ありました。
うち 168例にSubclavian steal syndromeの症状が認められたということです。
左右差はV君のいわれるように左 117例、右51例で「Subclavian steal syndromeは左に多い」といっても良いかと思います。
何故左に多いかということについて言及したものはあまり見当たりません。
左では、もし腕頭動脈に狭窄がおこったとしたら椎骨動脈だけではなく内頚動脈からも血液が供給を受けることが出来る関係から症状が出にくいからではないでしょうか。
なお、比較的最近には1988年にHennerichiという人がNeurologyという有名な雑誌にこの“Subclavian steal syndrome”につき発表していますが、この現象は症状と直接結び付くことは少なく単に脳動脈硬化所見の程度に比例しているだけだとしています。
日本でも“Subclavian steal syndrome”の現象を重要視している本当の専門家は少ないですし、その上こういう論文が出ると比較的国試には出題しにくい疾患になってしまっています。
ご健闘を祈ります。
機序が良く分からず、国試直前でもあり、気になります。(札幌R君)
ですからR君が言われるようにビタミンK欠乏症ではこれらの血液凝固因子の低下により出血傾向をきたします。
肝疾患、胆道閉塞、ビタミンK吸収障害、長期の抗生物質投与などの場合です。
ところで、納豆には大量のビタミンKが含まれているだけでなく、納豆菌は腸管内でも盛んにビタミンKを産生するのでこれらの血液凝固因子が十分に産生されるようになります。
クマリン誘導体の抗凝血剤である“warfarin”はビタミンKに拮抗して上記の凝固因子生合成を阻害することにより抗凝血作用を示します。
ですから“warfarin”内服中の患者さんが納豆を食べるとこの抗凝血作用が無くなってしまいます。
warfarin療法施行中は納豆の摂取は少量といえども控えるべきで、禁止とされているのはこのためです。
さてご質問のバファリンですが、主成分はアスピリン(アセチルサリチル酸)です。
少量のアスピリンはプロスタグランジンの生合成を阻害することにより血小板凝集を抑制します。
ですから一次止血の抑制でありビタミンKが関係する二次止血とは別のところの作用です。
従って納豆とは直接関係ありません。
この辺の区別をしっかりしておいて下さい。
「『一次止血』という言葉や凝固因子のロ−マ数字を見ただけで頭が痛くなる」という人が国試直前のこの時期にもし未だにおられたら、大急ぎで拙著“チャ−ト内科第1巻 p.208-215”をご覧下さい。
ほんの10分間ほどで血液凝固全体が「目から鱗が落ちるように」理解出来るようになること請け合います。
なお、warfarin療法施行中に気を付けるべきものとして納豆の他にキャベツなど一般の野菜類がありますので国試でも注意して下さい。
最もビタミンK濃度の高いものは最近流行の「クロレラ」であることを知らない医師が多いのは大変危険なことです。
納豆とアスピリンの特別な関連性について念の為文献的にも調べてみましたが特別なものは無いようです。
札幌のR君が不審に思われた感覚は正しいかったのだと思います。
しばしが合併する血清中のクロ−ルの濃度の低下の反映に過ぎないのです。
「クロ−ルの低下が結核性髄膜炎の髄液所見の特徴である」というのは1912年にMestrezatという人が言い出したことで、それを引用した欧米の教科書などを参考にして、日本ではにそのまま書き写され、その書き写された本を見てまた新しい教科書などに確かめもせずそのまま記載するということを何十年も繰り返してきているのだと思います。
欧米ではMerrittらが1938年に既に「たまたま合併する血清中のクロ−ルの濃度の低下の反映に過ぎず、診断的価値はほとんど無い」ということを見出だしており、その後は結核性髄膜炎で髄液中のクロ−ルの低下はほとんど問題視されなくなってきています。
ではなぜ血清中のクロ−ルが低下することが多いかというと結核性髄膜炎は嘔吐することがありそのためであったり、SIADHを合併しやすくそのためとも考えられています。
通常β-blockerはDM患者への使用は控えると思うのですが。
β遮断薬は糖尿病による末梢循環不全を増悪させますし、インスリンによる低血糖症状をマスクしたり遷延させたりします。
従って、虚血性心疾患を伴う場合など特殊な場合以外は通常糖尿病の患者さんには使いません。
選択肢考察で書かれているのは「糖尿病の時の望まれぬ副作用」として、血糖降下薬の作用を増強してしまい低血糖を起こす危険があるということを述べているものです。
ですからこういう作用を治療に利用するというものではありませんのでそのように読み取って下さい。
最新の日本神経学会用語委員会編集の神経学用語集(改訂第2版)では「下眼瞼むき眼振」と訳していますので、国試ではこの日本語の方で出題される可能性もありますからこちらも覚えておいて下さい。
尚、“ocular bobbing”は眼振ではなく、突発的に律動性なく両眼が共同に下方運動し、ゆっくりともとにもどる運動をいいます。
(大阪L君)
アンホテリシンBの他にステロイドがどうしても必要になるということを覚えておいてほしい為に授業などではステロイドのみが強調されるのです。
私の「国試用穴埋めプリント集」を復習しておいて下さい。
「国試用穴埋めプリント集」のABPAのペ−ジを同封しておきます。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA:allergic bronchopulmonary aspergillosis)
PIE(pulmonary infiltration with eosinophilia)=好酸球性肺炎=肺好酸球増加症の一種で独立疾患。
( )型、( )型アレルギーによる( )増加、血清( )↑、発熱・( )症状
喀啖中の好酸球増加、アスペルギルス培養陽性、A.fumigatus即時遅発皮内反応陽性
移動する肺の浸潤影、気管支拡張症が見られる。
治療にはアンホテリシンBの他にステロイドが必要。
アスペルギルス症としてはこの他に
アスペルギルス肺炎(日和見感染、肺門側を頂点の楔状陰影)
アスペルギローマ(“ fungus ball”無症状で時に血啖、喀血、アBは空洞内注入)があることを覚えておいて下さい。
(「国試用穴埋めプリント集」よりABPAの部分を抜粋)
感染型とどちらが正しいのですか。
A: エルシニア(Yersinia enterocolitica, Y. pseudotuberculosisなど)はグラム陰性桿菌で小腸下部、回腸で増殖し腸管上皮細胞内に侵入して微小潰瘍をつくるなどして感染型の食中毒を起こします。
私もお話したように「感染型」と覚えて下さい。
エルシニアについては合わせて
カテコ−ルアミンはインスリン拮抗ホルモンだからインスリン分泌は亢進するのではないですか?
褐色細胞種は10% diseaseと5Hを覚えることが大切なのは知っていますね。
復習しますと副腎外、悪性、両側発症、小児例、家族内発症などが10%の例にみられることを言います。
5Hはhypertension(高血圧)、headache(頭痛),hyperhydrosis(多汗)、hypermetabolism(代謝亢進)、hyperglycemia (過血糖)の主な5症状を言います。
この最後の過血糖はなぜ出現するのかというとインスリンの分泌がアドレナリンによって抑制されるため、その結果としておこるのです。
インスリンに拮抗して直接血糖を下げる作用は無く、したがってインスリンの分泌量を高める作用もありません。
国試のためには上記をしっかり覚えておいて下さい。
次ペ−ジに余裕のある人のためにもう少し詳しく述べておきますが時間の足りない人は無視して下さい。
褐色細胞種から放出されるアドレナリンはα作用、β作用の両方を、ノルアドレナリンは主としてα作用を示します。
糖代謝に関しては、α作用はインスリン分泌を抑制します。β作用はlipolysis亢進、glucagon分泌の促進、糖新生(gluconeogenesis)↑、グリコ−ゲン分解(glycogenolysis)↑などの作用がありいずれも耐糖能を障害します。
しかしインスリンに関しては、β作用はインスリン分泌を促進させます。
では褐色細胞腫ではどうかというとこのうちα作用が優位となりインスリンは分泌低下するわけです。
なお、血糖降下内服薬やインスリンで糖尿病治療中の患者さんにβブロッカ−を使用すると低血糖時に手の振戦などの症状がマスクされ、低血糖の発見が遅れたり、低血糖の治療の場合に血糖回復作用が遅れるなどの弊害がでたりします。
この為、糖尿病に合併した高血圧などではβブロッカ−を使用するのは控えるのが好ましいとされていますので合わせて覚えておいて下さい。
Addison病でも高Ca血症になりますか?
その為グルココルチコイドの不足する
「Addison 病」や「副腎クリ−ゼ」ではビタミンD過剰症と同様の機序でどちらかというと
高カルシウム血症となります。
しかし普通は電解質異常としては低ナトリウム血症、高カリウム血症、 アシド−シスなどが目立ちます。
実数よりも比率がよく利用されます。
小宮らは0.3-1.1%、Dacieらは0.2-2.0%と報告しています。
詳しい測定法その他は金原出版の臨床検査法堤要という本(第29版の校正は私も担当しました)で調べて下さい。
但し国試には出ません。
網状赤血球の%は実地臨床上、たちの良い貧血とたちの悪い貧血を見分けたり、
治療がうまくいっているかなどの指標にとても有用な検査です。
国試の為には「正常値約1%(とても覚えやすい!)」と覚えておくのが良いでしょう。
血尿(+)、蛋白尿(+)が特徴ではないでしょうか。
(大阪K君)
巣状糸球体硬化症の大半に顕微鏡的血尿(ときに肉眼的血尿)を認めます。
大阪のK君のおっしゃるとおりと思います。
大変詳しく良く勉強されていて感心しています。
糸球体疾患の勉強がまだ出来てない人は次のペ−ジの表(インターネット上では略)
でごく大まかなところを掴み取ってから肉付けをしていかれてはどうでしょう。
ネフロ−ゼをきたすものとしないものなど大きく分けた上で
悪性のものから左から順に並べてあります。
この表をもとに、臨床的に「急性腎炎」、
「慢性腎炎」などというのと腎生検の結果から正確に病名を
付けるのとかなり次元の違ったことであることを認識した上で
イア−ノ−トなどで勉強を進めると意外と簡単です。
イア−ノ−トはすんなりと頭に入りにくいという人にはチャ−ト内科の第4巻をお勧めします。
腎疾患がとても分かりやすく書かれています。
次ペ−ジの表のFGSというのが巣状糸球体硬化症(focal glomerular sclerosis)です。
A:単なる書き間違いでたぶん理解はしていると思うのですが、老婆心ながら言っておきます。
糖尿病の食事療法における一日の総摂取エネルギ−量は「体重×25〜30Kcal」ではなくて「標準体重×25〜30Kcal」で計算しますのでお間違え無く。
次に幅が出てしまうのに大変ご心配のようですが国試はすべてマルチョイですので幅の中に入る選択肢を選べば答えられますのでそれほど心配しなくても良いでしょう。
今年度出題された89-D44(身長156cmの主婦)でもBMIによる方法では
1.56×1.56×22×(25〜30)=1338.48〜1606.176
となり(a)1440、(b)1680 (c)以降は1920以上で(a)以外のは選べません。
最低限確実合格を狙う人は上の式だけをしっかり覚えてしまえば勉強時間を他の弱点征服に振り向けられては如何でしょうか。
なお、選択肢の中で80の倍数になっていないのは選ぶのを避ける方が無難でしょう。
なぜなら普通は患者さんの教育上、80Kcalを1単位としてその倍数の総カロリ−量を指示するからです。
実際の臨床の場ではこの「一日の総摂取エネルギ−量」はそれほど固定して考えることのできるものでは無く、当該患者の■労働量、■体重、■年齢、■その他を臨床家が経験的に考慮、判断して決定するもので、いちがいには言えません。
一日の総摂取エネルギ−量指導後もその患者さんの食事充足感や血糖コントロ−ル状況により修正する必要もあります。
時間的余裕と国試合格の自信があり、出来るだけ高得点で合格をめざす諸君は下記の表も覚えておいて下さい。
実地臨床の場でも大変役立ちます。
25
事務職、技術職、管理職、子供のいない専業主婦
30
製造業、加工業、販売業(営業)、サ−ビス業、乳幼児のいる主婦
35
農業、漁業、建設業
40
農林業、スポ−ツ選手
身長×身長×22を計算した上で肥満があれば上の値、標準体重より痩せていれば下の値を掛け算すればよろしい。
今年度出題された89-D44(身長156cmの主婦)では60kgと標準体重の53kgより肥満傾向なので25に近い27が掛けられています。
なお、妊婦の場合はやや複雑ですが私のプリントにも書いておきましたように、
摂取エネルギー量 妊娠前半 標準体重×30+150 kcal
妊娠後半 標準体重×30+350 kcal
授乳期 標準体重×30+600 kcal
となります。
これは、妊娠に伴い消費エネルギ−量が増える上に胎児、授乳の消費エネルギ−が追加必要になるからです。合わせて理解しておいて下さい。
それ自体が5モル濃度液でpH4.0〜5.0の酸です。
NH4 Cl→H+ +Cl+NH3 (アンモニア)
又肝で下記の如く代謝されて塩酸が発生します。
2NH4 Cl+H2 CO3→(NH2 )2 CO(尿素)+2HCl+2H2 O
塩化アンモニウムは代謝性アルカロ−シスの治療に点滴中に入れられたり、Wrong-Davies、Elkinton法の塩化アンモニウム負荷試験として主に小児科領域で尿酸性化機能(遠位尿細管水素イオン排泄機能)を検査するのにも利用されます。
なお、代謝性アルカロ−シスの治療はまず合併している低K血症、低Cl血症の補給から先に行うことが大切です。
pHそのものの補正には塩化アンモニウムの他にHClを薄めて投与することもありますが、いずれもそのようなことをする必要がある場合はほとんどありません。
塩化アンモニウム製剤など今後必要がないとさえいう考えもあります。
いずれにせよ今後国試に塩化アンモニウムが出題される可能性は少ないと考えられます。
代謝性アルカロ−シスの治療は現疾患の治療が
最優先ですが、電解質補正は酸性化よりもまず合併している低K血症、低Cl血症の補給から先に行うということを国試対策としては覚えておいて下さい。
普通の尿蛋白の検査とどの程度の違いがあるのですか。
A 以前は糖尿病の腎障害は試験紙法(感度10〜20mg/dl)などによる尿蛋白の有無で診断していました。
しかし最近では微量のアルブミンが簡単に測定できるようになり、糖尿病性腎症でまだ微量のアルブミンのみが出ている状態の早期に発見し治療に応用するようになりました。
感度はアルブミン20〜30mg/lのオ−ダ−で試験紙法の1/10近くになります。
因みに尿蛋白の最も感度の良い検出法はスルホサリチル酸法ですがこの感度は 5〜10mg/dlです。
■食べ物の中にも魚類の卵などプリン体をたくさん含むものがあります。
これら■■■のプリン体は複雑な経路によりヒポキサンチンなどを経由してキサンチンになり尿酸になります。
この経路の途中を逆方向に動かす酵素の一つのHGPRT(hypoxanthine guanine phosphoribosiyl-transferase)の欠損ではLesch-Nyhan症候群を発症します。
しかしLesch-Nyhan症候群とはちがって、痛風や一般の高尿酸血症はこの複雑な経路の特定のところの異常によって発症するのではありません。
様々な要素が絡まってこれらの経路の尿酸の産生が亢進したり、腎からの排泄が低下することにより高尿酸血症を生じると考えられています。
異染性白質ジストロフィ−症は86回で出題されました。
腫瘍・変形性脊椎症・椎間板ヘルニアなどによる脊髄腔のブロックでわずかの細胞増加に伴う高度の蛋白上昇がしばしば観察されこれは大切な事項ですのでここまでは全員是非知っておいて下さい。
「甲状腺機能低下症」、「腎不全」、「急性アルコ−ル中毒」などでも細胞数の増加を伴わない蛋白上昇が認められることがあります。
「Charcot-Marie-Tooth」や「Dejerine-Sottas」その他、「Friedreich」などの「脊髄小脳変性症」、「FAP」や、「Refsum病」などの末梢神経障害、「Kearns-Sayre症候群」なども通常蛋白の増加が認められます。
こうしてあげてみますと結構多くなりますがいずれも出題の可能性はあり得ますので余力のある人は覚えておきましょう。
逆に、「甲状腺機能亢進症」、「白血病」、「貧血」などでは髄液蛋白は正常より低下を示します。
いずれも詳しい機序ははっきりとはされていません。
「大阪B君」と同じ疑問を持った学者がいたということです。
末梢神経障害が発症してから起こり、糖尿病のみでは上昇しないと考えてよいでしょう。
嚥下障害が目立たないだけではないのですか。
(大阪B君)
恐らくそれぞれの筋のジストロフィンの依存度によるものでしょう。
こういうことは“allor none ”というより臨床的に観察されるかどうかうかで認められてきたことで、そのまま覚えておいたらどうでしょうか。
そのことにより特殊な意義が生ずれば別ですがごくわずか嚥下障害があったとしてもあまり注目されないということです。
神経内科医も余り使いませんし解剖学的にもこういう呼び方はあまり出て来ません。
耳鼻科、麻酔科でも余り一般的でははないようです。
国際的にもそのようです。
その上にとても親切なアプロ−チの図ですが、大変残念なことに最も重要なところに問題があり理解困難にしています。図はバイトを食いますのでご希望の方はメール下さい。分かりやすい図を送ります。