医師国試受験生(医学生)からの国試に関する質問を歓迎します。
http://www.asahi-net.or.jp/‾fe4n-adc/q-a-index.html
このページでは最近の質問とその回答を最近のものから順番に上からアップしています。
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前に見たのと同じものが出ることがあります)ご覧下さい。
(97/10/ 6 00:49 00大学、5年 Jさん)
HIV腎症はどうやっておこるのでしょうか?
(97/10/6)
HIV腎症は急性腎炎の形で出ることが多いのですが国試には未だ出題されません。 ましてやその機序までは出ないでしょう。 「脳症」は絶対に落としてはいけません。
また、この患者には輸液を投与し、ミオグロビンを排出した方が良いと書いてありますが、
つまっているところに大量に水分が流れこんでも大丈夫なのでしょうか?
(97/10/ 6 00:49 00大学、5年 Jさん)
0000に挫滅症候群では、ミオグロビンが尿細管につまって腎障害をおこし、
乏尿になると書いてありますが、本当にこんなことがおこるのですか?
(97/10/6)
詰らないように、詰まる前に、つまってないところを流すわけです。 詰まってしまったところには流れず、つまっていないところだけを通って出てきますので 大丈夫です。
(97/10/ 6 00:49 00大学、5年 Jさん)
AIDSの患者では下痢が断続的にみ
られるものなのですか?また、それはどういうメカニズムでしょうか?
(97/10/6)
腸炎がみられることがあります。 粘膜内でのリンパ球分布の異常が考えられています。
ポルフィリン症でLDLが上昇する機序を教えていただけませんか。
(97/10/ 5 01:44 00大学、学年不明 Iさん)
(97/10/5)
急性ポルフィリン症ではLDL上昇に伴う高コレステロール血症がみられるだけでなく 発症時は高血糖のことが多く、合わせて 中性脂肪や遊離脂肪酸も高いです。 この他に、さまざまな内分泌異常や低ナトリウム血症などの電解質の変化もみられます。
多くの内分泌徴候の機序としては視床下部症状にともなうストレスホルモン優位の上昇、 電解質異常はSIADHによるものと考えられています。 LDL上昇などの糖脂質代謝については成人病の原因究明のきっかけにならないかと大変興味あるところですね。 そういう意味でも随分と注目はされ遺伝子学的に研究が進められていますが、 今のところはっきりとした機序は解明されてはいません。
国試への出題の可能性はそれほど高くはありませんが 出題されるとしたら
「次のうち急性ポルフィリア発症時に低下していることが多いものはどれか」として 選択肢で血清ナトリウム、LDL,ACTH,ノルアドレナリン、GHなどが書いてあったりして そういう出題の仕方がされるのではないでしょうか。 こういうのには答えることができるように勉強しておけば良いでしょう。
答えはもちろん血清ナトリウムで他はすべて上昇です。
LDL上昇の機序は解明されておりませんし、国試ではそこまでは問われません。
こんにちは。
00大学医学部6年の0000といいます。
前に1度メールを出したことがありました。
質問ですが、チャート内科1第1版第4刷発行の、
9ページの脳血管のシェーマですが、
内頚動脈を下から(心臓側から)たどりますと、
前交通動脈、後交通動脈、眼動脈、前大脳動脈と枝を出していますが、
正しいのでしょうか。標準脳外科を見ますと、
下から、眼動脈、後交通動脈、前交通動脈となっています。
眼動脈の分岐する位置が国試で出題されたそうなので、
はっきりしたいと思います。
お忙しい中、メールを出したことをお許しください。
回答は特に急ぎませんので、先生の時間が許すときでかまいません。
よろしくお願いします。
(97/10/ 4 16:45 00大学6年生 Hさん)
(97/10/4)
大変良く勉強されており感心しました。 チャートの図はチャート9ページに書いてありますようにシェーマ化してあり正確とは言い難いです。 改定時には注意いたします。
内頚動脈の最初の枝は眼動脈でサイフォンと呼ばれる部分の 前曲部から分岐します。そのあと、後交通動脈が分岐して 最後に前交通動脈が分かれて中大脳動脈となります。
本当は内頚動脈の一番最初の枝は「髄膜下垂体動脈」と言って頚動脈管や海綿静脈洞のあたりで 出る動脈があります。その次はやはり海綿静脈洞のあたりで出る「下外側動脈」や「天幕動脈」 というのもあります。 しかしこれらは普通は内頚動脈の血管造影では映って来ませんし国試には絶対出題されません。
国試では「内頚動脈の分岐は下から、眼動脈が前へ、後交通動脈が後ろへ、 前交通動脈が中へ向かって出てから中大脳動脈という名前に変わる」と いうとろこだけしっかり覚えておいて下さい。
大切なところのご指摘大変ありがとうございました。
肺水腫でステロイドの投与をするのは何故ですか?
(97/ 9/22 17:50 某有名予備校本科生 Gさん)
(97/9/28)
肺水腫には心疾患や過剰輸液、低アルブミン血症、腫瘍によるリンパ管圧迫などが原因で 起こる血管内皮が健常なもの(「非透過型肺気腫」とも呼びます)と 感染症やショック、刺激性ガスその他血管内皮に障害されたもの(「透過型肺気腫」とも呼びます) の2種類があります。
前者の「非透過型肺気腫」の場合は理論的にも効果があるとは考えられず、 実際一般にステロイドの効果はほとんどありません。
後者の血管内皮が障害された「透過型肺気腫」はARDSなどがその代表ですが、 この場合は血管内皮の障害により毛細血管の透過性が亢進しているために 肺水腫を起こしているわけでこれをを押さえることが重要となり ステロイドの効果が理論的には期待されます。しかし実際には原疾患が重症のことが多くて 予後は不良で、全例にステロイドが劇的に効くというほどのものではありません。
(97/ 9/22 某有名予備校本科生 Fさん)
扁平上皮癌でPTH関連物質で高カルシウム血症をきたしているときに
尿中のカルシウム濃度が高くなると聞きましたが本当ですか?
(97/9/22)
それは何かの間違いです。
扁平上皮癌に多いとされるPTH related proteinはPTHと 同じく、骨芽細胞を介して破骨細胞の形成や活性を促進しカルシウムやPを骨から放出させます。 同時に腎でもPTHの受容体を介してカルシウムの再吸収を促進させ、Pの再吸収を低下させます。 尿中の腎性サイクリックAMPも増加しています。尿中カルシウム濃度は低下します。 この際何故か原発性副甲状腺機能亢進症の場合に比べて低P血症は目立たないという特徴があります。
(97/ 9/21 23:01 某公立大6年生 Eさん)
中枢神経系で錘体路と錘体外路など、多くの「神経回路」が出てきますが、
正直なところどこが重要なのかわかりません。問題を解く上でも大事な項目と思われます
ので、アドバイスをお願いいたします。
(97/9/22)
メック大阪校の生講義のためお答えが遅くなりました。
ご指摘のように中枢神経系には多くの「神経回路」がキラ星の如く出てきます。 例えば「上小脳脚すなわち結合腕には前脊髄小脳路を介しての上向性の経路があり小脳前葉に終わる」など 普通の教科書に出てくるこれらの経路をすべて覚えてしまおうとするため殆どの人が挫折します。
限られた期間内に全科にわたる広い知識を覚え込む必要のある国家試験の勉強では そういうことをしていては落ちます。出題される可能性のある事柄だけを覚えて下さい。
拙著「チャート内科学」では運動神経は主な経路である「錐体路」一つだけ、 感覚神経では「温痛覚」と「深部覚」の2つだけを覚えるよう勧めています。
「触覚は覚えなくても良いのか!」 とびっくりする人がいますが、触覚の伝導路は何通りもあり複雑であるため触覚が侵されても 臨床的に障害部位を知るための役には殆ど立ちません。国家試験の臨床問題を解く上でも必要が 無い訳です。触覚の経路を出題しようとしても極めて臨床有用度の低い悪問と出題者が 後々の笑い者になってしまいそうなのでなかなか出題しにくいわけです。
頻出のBrown−Sequard症候群や、脊髄空洞症においても 「温痛覚」と「深部覚」の2つの経路の理解が必要なだけです。
先日まで使っていたスキャナーのスカージー再接続に手間取っており図にしてお示しできないのが残念ですが チャートの28ページと37ページの「アホみたいに簡単な経路の図」3つだけを丸暗記して覚えておけば よろしい。
(97/ 9/18 20:13 新潟県 Dさん)
バビンスキー徴候の経路を教えて下さい。
(97/9/18)
確かにバビンスキー徴候(「バビンスキー」は「ババンスキー」、 「徴候」は「反射」、「現象」とも呼びます)の経路をはっきりと書いてある 学生さん用の教科書、参考書は少ないですね。
バビンスキー反射の 反射弓は,足底の皮膚から感覚神経を通って 脊髄後根から脊髄内に入り,脊髄の2ー3髄節以内で 多シナプス性の反射がおこり, 脊髄前角細胞から運動神経を通じて短母指伸筋を収縮させると 考えられています.
(97/ 4/23 23:23 愛知県 Bさん)
中枢性尿崩症の治療薬で、サイアザイド系利尿薬を用いる。と記載されてい
るのですが、利尿剤なのにどうして尿量が減少するのか。チャートとyear ノートの説明
では納得できません。year ノートにはフィードバックにより云々と書いてあるのですが
、尿量が減少するのが主作用となるのならサイアザイド系は利尿剤と定義するのはおかし
いのではないでしょうか。頭がパニックです。わかりやすく詳しく教えて下さい。
(97/5/2)
サイアザイド系利尿剤は中枢性尿崩症にもある程度効果があります。 しかし、中枢性尿崩症に対しては合成バゾプレシンで強力かつ持続性の抗利尿作用のあるデスモプレシン(DDAVP) が有効なので現在ではサイザイド系利尿剤はほとんど使われません。むしろ腎性尿崩症の抗利尿治療に利用されています。
ところで、なぜ利尿剤であるサイザイドが尿崩症に効果があるのかははっきりとは分かっていません。 したがってこの理由は国家試験には出題されません。
現在国際的に多くの研究者たちに広く認められてもっとも有力な考え方は サイアザイドのナトリウム利尿が重要な役割をしていて、ナトリウムの枯渇状態となって始めて サイアザイドが抗利尿効果を示すというものです。 ナトリウムが枯渇状態になると近位尿細管でNaClの再吸収が過剰になり、 遠位尿細管へ運ばれる尿量が減る。この結果抗利尿作用を示すという考え方です。 1981年に DeFronzo and Thierが提唱したものです。
そこで質問です。上記の内容は脊髄が spinal shock になったと言うことから理解できるのですが、 それはともかく前角も障害されれば下位運動ニューロン障害となって深部反射(−)、Babinski(−) となるはずなのですが。なぜでしょうか?
(97/ 4/25 14:37 名古屋 A君)
(97/4/28)
詳しく、しっかりと勉強をされた学生さんからしか出ないレベルの高い質問で感心しています。
「前脊髄動脈症候群」はご承知のとおり脊髄の特定の範囲の血管障害により、 そのレベルの横断面上、腹側の2/3が障害を受けるものです。そのため障害レベルにおおよそ一致した 高さに突然の疼痛が起こり、あっという間に(十数秒もたたないうちに) 対麻痺や四肢麻痺を生じます。それと同時に障害レベル以下で温度覚および痛覚が消失します。 触覚の一部も障害されているはずですが触覚の繊維の大部分は後索を上行しますので温痛覚の脱失に 比較すると軽度であって、国試によく出る「解離性感覚障害」の形を取ります。 当然のこと膀胱直腸障害も出て、深部感覚は正常に保たれますのでこの際合わせて覚えておきましょう。
この際病変レベル以下の麻痺は弛緩性で、当初病変部以下の腱反射は消失し、 Babinski徴候も初期には認められません。 錐体路障害が急にきた場合当初こういうことがあり、 このことをA君も言われているように「spinal shock」と呼びます。 腱反射やBabinski徴候などの錐体路障害の症状はしばらくしてから出てきます。 胸髄以上の障害の場合には、これも時折出題される「腹壁反射」は消失します。
「前角も障害されれば下位運動ニューロン障害となって」との質問ですが前角の障害はあくまでも 障害のレベルだけであってそれよりも下のレベルの前角までは障害されないのです。 例えば頚髄の病変なら胸髄や腰髄の前角は障害を受けていませんので深部反射やBabinski徴候は出現します。 spinal shockの時期を過ぎれば深部反射もBabinski徴候もしっかりと出るようになります。
また、糖尿病性腎症の場合では、イヤーノート(1996)には、ACE阻害剤がfirst ch oice とありますが、先日受けたMEC2回の模試ではインスリン治療中のDM患者の血 圧コントロール(クレアチニンのデータなし)では、Ca拮抗薬を選ばせる問題がありま した。(カプトプリルが選択肢にありました。)ポリクリ中には「Ca拮抗薬は、割と 良く効いてあんまり恐くないから良く使われる」とドクターに聞きました。
実際の問題で腎障害のある人へのfirst choice は?と聞かれたら、どちらをとれば 良 いのでしょうか。教えてください。宜しくお願いします。
(97/ 2/ 6 13:05 I君)
(97/2/10)
ご指摘の問題はメック解説書85ページの93番と思います。
はじめにちょっとお断りしておきますが私の出題でも、校正担当でもない問題です。 もちろん解説も私ではありません。
もしかして「選択肢考察」の(b)と(d)が入れ替わっていませんか?
正解は(a)で結構です。
メックの担当の方には「選択肢考察」の番号違いではありませんかと連絡を入れておきましたので
チェックしてもらえると思います。
閑話休題、 直前ですので単刀直入、国試直前に覚えておくべき知識を書いておきます。
「救急の場合の降圧剤の選択を問われる問題が出題されたら『Ca拮抗剤』を選択」して下さい。 殆どの場合これで正解です。
以前3年ほど前でしたか、
TEKOMの89第2回Dー43で注意を喚起するために私が出題しておいたように確かに
糖尿病性の腎障害の伸展を抑制するACE阻害薬の長期使用は極めて有用です。
しかしメックのこの出題はそういう慢性の状態のことを問うているのではなく、
どうも緊急時の降圧剤の使用について問うているようです。
こういう場合は迷わず「Ca拮抗剤」を選んで下さい。腎障害が強くて「ACE阻害薬」が使えない 状態なのか、低血糖がいつくるかわからなくて「プロプラノロール」を止めておいた方が 良いのかわからないなどというときにはひとまず「Ca拮抗剤」を使用して抑えておくのが無難です。 これは実際上も救急外来臨床の常識です。普通は「アダラート」という「Ca拮抗剤」のカプセルの 舌下投与を行います。
これ以外のことはメックの解説書85ページの解説が的を得ており、 一言一句そのとおりでも出題される可能性があります。 しっかり読んで十分に理解、記憶しておいて下さい。
3月14,15日に向けてラストスパート!!
合格したら、お祝い疲れしたころでいいですから 是非メール下さい。健闘を祈ります。
これ以前の質問の答えは
をご覧下さい。