広葉樹林と発電

グリーンウッド

 

サマリー

日本では植林目的が用材であったために針葉樹を実生苗から育て、密植し、間伐という手間暇のかかるビジネスとなっている。こうして人件費 が高い日本ではグローバル化時代に森林業は採算に乗らなくなった。この森林をエネルギー作物にするには手のかからない広葉樹に転換すれば植林と間伐が不要 となるので採算性は向上する。ところが大部分の植林地は 斜度30度ある。このようなところでは伐採機械や集荷機械が使えない。本提案は斜度30度以上でも転倒しない斜面走行型森林機械を開発することにある。大 勢の山持 ちが集まって小松や日立にそのような機械の開発をもちかければいい。林道は作らず定期的に皆伐してチップ化する。そして発電はガス化などせず、チップをそ の まま燃して発電する。(以下の論文はガス化してガスタービン発電すること、森林機械をチップで稼働させることを提案しているが、それは先のことで、まずボ イラーで焚くことから 始めればよい)カーボンニュートラル だから全く問題ない。どうか森林所有者がスクラム組んで立ち上がってもらいたい。

なぜ広葉樹か?

スギ、ヒノキの植林は建築資材とするために戦後はじめた国家的事業である。いわゆる拡大造林という思想で成長の遅い広葉 樹林を皆伐して針葉樹を植林し、戦後復興の建築材に使おうとしたわけである。建材用に使えるまっすぐな幹を得るために密植し、次第に間引く作業をしてい る。針葉樹は伐採すると根から枯れてしまうため 、植林が必要である。加えて野生動物の食害防止、下草刈りと費用がかかる。人件費が高騰してからは国際競争力を失い、建材向け用材の価格8,000円/m3で は採算がとれなくなり、植林地は放置されるようになった。加えるに間伐材や製材残渣は廃棄物として処理コストもかかり、森の中に放置されるようになった。

針葉樹は根が浅く、落ち葉は保水性が悪いので拡大造林は土砂崩れを頻繁に生じて山中に沢山の砂防ダムを作らざるをえない というネガティブな波及効果も生じ、国家財政の負担増となって跳ね返っている。生態的にも一様な針葉樹林は生物の多様性を減じ、周辺の住人にアレルギー反 応を引き起こし、炭酸ガスの固定すら出来ない状態に陥っている。戦後の針葉樹林への人的資源の傾斜投入が弊害をもたらしているわけだ。農水省もようやく 2001年に森林・林業基本法を改正し、人工林への広葉樹導入による混交林化や複層状態への誘導および森林構成の多様化に取り組むことになった。分散発電 の燃料にするための補助金も用意している。しかし長年国策にドップリと漬かってきた林業者は一部の覚醒した人をのぞき、現状を脱出する判断もできず、新し い方向を見出す知恵も気力もないようである。加えて民有林は相続により分割・細分化され、不在地主化してしまっている。こうして高齢化した山村は過疎化 し、消え去りつつある。

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ジャンク船の係留された河の手前の木が切り株から発芽して再生した木 (清院本清明 上河図より)

日本では林業から無価値物とみなされてきた広葉樹(雑木)は欧米ではハードウッドと呼ばれ、家具向けに好まれる用材であ り、パルプ用にも評価されている。欧米では大型の森林機械の導入による省力化ともあいまって、パルプ原料となる広葉樹のチップを9,300 円/m3で 日本に輸出している。針葉樹の4,800 円/m3より高い評価を得ているのである。こうして日本のパルプ用チップの自給率は 15%にまで落ち込んでいる。日本でもかってはナラは木炭原料として、クワなどは養蚕の原料として定期的に伐採されていたが、いずれも樹齢30年くらいま では切り株から発芽し、皆伐しても伐採後地には竹や笹が茂っても実生から発芽した広葉樹の二次林が自然に再生される。このことは昔の人は良く 知っていた。一時忘れ去られたが、最近、広葉樹林は放置林として人件費を含め、管理費がかからない樹種として再評価されつつある。

広葉樹林のメリットはまだある。保水性、対エロロージョン性が増して治山・治水に大いに役立つ。治山・治水を土木工事で おこなうと、サケなどの生物が川を遡上して海の幸を山にとどける自然の仕組みを阻害してしまうのため実は愚かな政策である。田中知事の「脱ダム宣言」は正しい決 断なのだ。とはいえ、広葉樹林も放置しておけば、落葉樹が次第に常緑広葉樹林(照葉樹林)に遷移し、森は暗くなる。日本では照葉樹林が極相林となる位置に あるわけだ。落葉樹林は陽の光を呼び込み、多様な生物を維持することができる。様々な種類の草、花、虫、ウサギ、タカなどは周辺の農地を含む生態系を健全 にすることが知られている。こうして無農薬農業を維持してゆく環境作りにも役に立つことが期待されている。そして落葉樹林を維持するには定期的伐採が必須 となるというわけである。

スペイン、ポルトガル、フランスではユーカリ、ポプラなど生育の早いパルプ用広葉樹も利用されている。(Memo Serial No.692)スペインのセビリアからポルトガルのエボラに行く街道筋やスペインのアビラからセゴビアにゆく街道筋にクワの株のように刈り込まれ ては枝が伸びたプラタナス(スズカケ)の林を見たことが脳裏に焼きついている。宋の時代の首都開封の春の祭り清明の絵巻物にもジャンク船とともに何度も枝 を切られて再生した広葉樹の姿が描かれているので昔から広葉樹は燃料などに利用されてきたのだろう。

三菱商事の子会社アルパック(アルバータ州ボイル市)はカナダで四国と九州を合わせた面積でパルプ用の林業を営んでいる。広葉樹の自然再生が上手く行くよ うに伐採バターンは森林火災の消失パターンを模して再生を早める取り組みをしている。

森林機械の導入

前述のように落葉樹を含む広葉樹がいかに生態系によく、手間隙かけずとも自然に再生することがおわかりいただけたと思 う。ではなぜ日本で広葉樹林が雑木林と林業者にさげすまされて伐採もされずに放置されてきた理由はどこにあるかというと、せいぜいチェーンソーによる伐採 と索道による搬出くらいしか森林機械を使っていないことにある。針葉樹林の間伐という手法、日本の山林の急斜面と資本投下能力不足が大型の農業機械導入の 阻害要因になっていると考えられる。間伐に大型の森林機械はつかえない。ところが上手い具合に広葉樹林は広範囲な皆伐ができる。これが大型の森林機械の導 入にはうってつけである。広範囲の伐採が可能となれば環境破壊となるアスファルト舗装の林道を維持する必要もなくなる、オフロード走行可能な森林機械を使 えばよいわけである。

欧米では幹を根元で何本も束ねて伐採するフェラー・バンチャーや切断位置を調節でき、小枝払いのできるハーベスタという森林機械が使われている。市販の一般土木工事用 油圧ショベル掘削機をベースマシーンとしてそのアーム先にハーバスタ/ヘッドを装着するものである。百聞は一見にしかず。ハーベスタがどのように作動する のかAMF社のビデオで見てもらう のが一番である。10数秒間で伐採・枝払いし車載パソコンが自動的にあらかじめセットした長さに切りそろえてくれる。

ベースマシーン自重(ton) ベースマシーンエンジン出力 (PS) ハーベスタ/ヘッド重量 (ton)

最大切断直径(cm)

13 87 0.78 50
22 135 1.3 60
36 235 2.5 70

専用ハーベスタのベースマシーンはユニバーサルジョイントと油圧シリンダーでエンジン・アーム・操作室の姿勢制御できる 機種もあり、斜度35度までで対応できそうである。これをそのまま日本の放置された広葉樹林に導入すれば欧米並のローコスト林業が成立するのではないか。

最大のハードルは日本の山林が急峻な山地にあることである。45プラス度位までなら下図のような 斜面適合型プラットフォームに乗った伐採機を新規開発することで対処できよう。既存の技術の組み合わせで開発できそうである。

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斜度30度以下の斜面で伐採できる森林機械

斜度45度まで伐採できる森林機械

欧米式の森林機械は伐採した幹を枝ごとスキッダー(Grapple Skidder)で斜面を引き降ろし、斜面の下の適当なところでチップ化し、トラックで搬出することになる。林道のないところでもスキッダーのような未舗 装の伐採地を走行できる大型の低圧ゴムタイヤまたは無限軌条の輸送車は欧米ではつかわれている。 急斜度でも伐採機と同じプラットフォームに乗せたスキッダーを開発すればよい。

急斜面用の土木作業機械メーカーのArnold Schnyder Tief ban AGの提供する4つ足のマシンも使えそう。

搬出機メーカーとしては米国のJohn DeereやドイツのWelte-Forestry machineryがある。百聞は一見にしかず。

資金調達能力を確保するにはしっかりした資金回収を見通すことができるビジネスモデルが必須となる。

ビジネスモデル

本事業のビジネス・モデルは不在地主も含め、放置山林所有者からその固定資産税分だけ補償して山地を借り、自然に育つ広 葉樹を無償で伐採してチップまたは電力を市場で販売するというものである。大型森林機械を導入して省力化しつつ広葉樹林を伐採・集材・搬出・チップ化し、 トラックでチップを輸送し、放置乾燥させる。もしハードウッドとして西洋家具などの用材として売れればチップ化せず第一優先で売り、次善の策としてパルプ メーカーがかってくれる品質のチップがとれればパルプチップとして販売する。それは個別のプロジェクトにまかせ、ここでは最低限の使い方としてガス化ガス タービン発電所で電力に変換する場合のコスト検討をしてみよう。これが採算がとれればおのずと優先順位の高いビジネスは成立するというわけである。むろん 一旦発電装置に投資した以上、投下資本の回収のために優先順位の高い商品分はビジネスの対象となる森林面積を増して、発電量を維持しなければならないのは 言うまでもない。

下図がその概念図である。ここでは日本特有の急斜面に特化したプラットフォーム例示している。伐採機も搬出機も斜面に垂 直に上下して伐採と枝つきの木材の搬出をおこなう。自走型チップ化機械は斜面のしたの平坦な場所で搬出された木材をチップ化し、チップは直接トラックの容 器に噴出させて積み込む。

発電所は地域の消費センター近くに設置する。中山間の分散発電所なので熱併給も、冷却水も不要な単純ガスタービンサイク ルによる安価な発電所とする。

全システム概念図 (急斜面)

自然再生可能な広葉樹林面積と山林固定資産税

本発電システムの検討基準は含水量20%の乾燥チップを毎時1.8dry ton/hで年間320日間供給するものとする。年間生チップ供給量は22,118green ton/yearとなる。森林のバイオマスから生チップの回収率を97.1%とすると年間伐採量は22,779green ton/yearとなる。(以後、dry tonは含水量20wt.%の乾燥材重、green tonは含水量50wt.%の生材重と定義する)

本発電システムを恒久的に支える自然再生可能な広葉樹林面積の算出基準は東京大学出版会刊、武内和彦他著「里山の環境 学」の恒川篤史の論文「6.里地自然を保全するための長期的戦略」にあるバイオマス生成速度2 dry ton/ha/yearとした。生木にすると3.2green ton/ha/yearである。この数値は鎌倉広町緑地のバイオマス成 長速度の測定値5.9green ton/ha/yearと比較して余裕のある数値だ。島根大学生物生産学部の小島健一郎氏は島根県での常緑広葉樹萌芽更新の試験結果によると択伐率 50〜90%,回帰年4-15 年のとき、年平均成長量は8.7-4.5dry ton/ha/yearであったと報告している。 したがって2dry ton/ha/yearを経済性検討の前提条件とした。

森林機械の採用は皆伐が前提となる。伐採サイクル伝統的な20年サイクルと森林機械の利点がフルに発揮される40年サイ クルを比較することにした。省力化するためには太らせて皆伐するほうが効率がいい。20年サイクルは切り株から発芽するが、広葉樹は30年以上放置すると 伐採切り株からの萌芽は しにくくなる。したがって40年サイクルの場合はドングリの実からの自然発芽による二次林の再生となろう。

伐採サイクルを40年とする場合は平均胸高直径(BDH):30cm、樹高(H):15m、胸高係数f:0.761から 1本の生材積を0.53 green tonとして伐採本数を計算した。20年サイクルの場合は平均胸高直径21cm、樹高15m、胸高係数0.761から1本の生材積を0.26 green tonとした。

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放置された茅場後に40年後に自然再生したコナラ林

山林の固定資産税の基準となる土地評価額は10アール当たり30,000円。すなわち1ヘクタール当たり300,000 円とした。原野であれば10アール当たり16,000円、一般山林で23,000円というところもあるので妥当な数字ではなかろうか。以上のベースから山 林所有者に支払う山林賃貸料や年間伐採面積・本数は下表のようになる。

項目 単位 40年サイクル 20年サイクル
年間伐採量 green ton/year 22,779 22,779
自然再生可能な山林面積:年間バイオマス成長量:3.2 green ton/ha/year ha 7,118 7,118
課税評価額(山地基準地価:300,000 yen/ha) million yen 2,136 2,136
山林賃貸料として支払う山林固定資産税(1.4%) million yen/year 29.9 29.9
伐採サイクル年数 years 40 20
森林密度 green ton/ha 128 64
年間伐採面積 ha 178 356
ヘクタール当たりの平均本数 stems/ha 241 246
年間作業日数 d/year 320 320
一日の伐採本数 stems 134 274

伐採・集材・搬出・チップ化森林機械の諸元

森林機械はT.P. McDonald et.al., USDA Forest Serviceの論文掲載の性能値を適用する。機械の初期投資額は緩斜面の場合、米国での1993年の価格の20%増しとし、急斜面では2倍とした。為替 レートは110yen/$とした。搬出は伐採地点からチップ化マシンのある数百メートルの範囲にある平地まで枝つきのまま引きずり降ろすという前提であ る。

40年サイクルの場合、1台の伐採機では実稼動時間で1.7分間隔で1本伐採となるが、20年サイクルでは0.8分に1 本となり、切断は10秒とかからないので不可能ではない。しかし木から木に移動する時間が短縮されて操作員の疲労が高まる。扱う重量は同じなのだが、扱う 本数が増えて搬出・チップ化も同じ効率低下が危惧される。

項目 単位 伐採 集材・搬出 チップ化
採用する森林機械の種類 - フェラー・バンチャー (Feller Buncher) グラッベル・スキッダー (Grapple Skidder) チッパー (Chipper)
メーカー型番 - HydroAx 411 Tinmerjack 450B Morbark Model 30
外観 - fellerbuncher.jpg (7705 バイト) skidder.jpg (6573 バイト) chipper.jpg (5812 バイト)
年間伐採量

green ton/year

22,779 22,779 22,779
年間操業日数 d/year 320 320 320
一日の機械拘束時間、SMH h/d 6 6 6
拘束時間内稼動率 % of SMH 65 60 75
一日の実作業時間、 PMH hr 3.9 3.6 4.5
40年サイクルPMHでの1本伐採時間 min 1.7 - -
20年サイクルPMHでの1本伐採時間 min 0.8 - -
PHM 当りの処理量 green ton/SMH 18.3 19.8 15.8
1台の機械のPHM当りの能力 green ton/SMH 18.5 24.6 57
必要台数 - 1 1 1
エンジン定格出力 kW 94 132 600
燃料消費率 liter/kWh 0.13 0.14 0.12
燃料費(80yen/liter) million yen/year 1.88 2.84 11.06
潤滑油費:燃料費の37% million yen/year 0.69 1.05 4.09
保険料 million yen/year 0.68 0.73 0.69
保全費 million yen/year 0.88 0.77 2.04
運転要員数 persons

1

1

1

初期投資額(緩斜面) million yen 15 14.5 34.7
初期投資額(急斜面) million yen 25 24 34.7

SMH: Scheduled Machine Hour、 拘束時間

PMH: Productive Machine Hour、実作業時間=拘束時間 x 拘束時間内稼働率

伐採・集材・搬出・チップ化コスト

40年サイクルの伐採なら伐採・集材・搬出機械がそれぞれ1台ですみ、操作員も2人ですむ。20年サイクルだとこれが2 倍になるので、ナラなどの自然再生落葉広葉樹林の場合採算性が劣ると考えられる。よって以下の経済検討は40サイクルが前提となる。

森林機械関連すべてを含めた伐採・搬出・チップ化コストを計算する。人件費は3人の操作員に対し、病気怪我などのための 予備要員兼調整・指揮要員として1名加えた。

山元チップ単価は山林賃貸料、伐採・集材・搬出・チップ化費含めて1,948yen/m3とな る。急斜面の転倒防止に特製のテンダーを付加しても2,087yen/m3程度である。内、山林賃貸料は656yen/m3で ある。40kmのトラック輸送費583yen/m3を加えても2,530-2,670yen/m3程度であ る。広葉樹のパルプ用チップの価格9,300 円/m3より大幅に低いので、パルプ向け広葉樹チップ生産は確実に採算に乗るという ことになる。また日本の伝統的なチェーンソーによる針葉樹林のヘクタール当たりの伐採コスト1millon yen/haの33-37%で済んでいる。このように放置林業と機械化による省力化は大幅にローコスト化の可能性をもっていることが判る。

以上の試算に林道の補修費は地方自治体の担当として含めない。

項目 単位 緩斜面 急斜面
森林機械の初期投資額 million yen 64.2 83.7
資本金、借入金、税、関連ネット・キャシュフロー(初期投資額の9.18%) million yen/year 5.9 7.7
固定資産税(初期投資額の1.4%) million yen/year 0.9 1.2
一般管理費(初期投資額の1%) million yen/year 0.7 0.8
人件費(4persons x 6million yen/year/person) million yen/year 24 24
燃料費 million yen/year 15.8 18.0
潤滑油代金 million yen/year 5.8 6
保険料 million yen/year 2.1 2.7
保全費 million yen/year 3.7 4.8
伐採・搬出・チップ化費 million yen/year 58.8 65.2
山林賃貸料 million yen/year 29.9 29.9
山元チップ単価(比重0.5) yen/m3 1,948 2,087
伐採面積当たりの伐採・搬出・チップ化コスト(40年サイクル) million yen/ha 0.331 0.366

事業期間は30年とし、森林機械購入のために投じられた資本金にたいする配当、借入金返済、金利、所得税などのために必 要なネット・キャッシュフローを初期投資金の9.18%とすることは次ぎの算出基準で計算した。計算式は名古屋商科大学で行なった総合講座「ライフサイク ル」講義資料(pdf file 615kb)13ページを参照してください。

項目 単位 数値
資本金/初期投資 % 40
ネット・キャッシフロー割引率(配当+内部留保) % 8
操業期間 years 30
法定償却期間 years 17
償却法 - 定額
法人税率 % 40
借入金年金利 % 4
返済期限 years 10
借入金返済方式 - 元利合計均等返済
残存価値/初期投資 % 0

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30年間のキャッシュフロー

欧米で使われている森林機械は無論、”化石燃料エンジン駆動”である。本検討では比較のため、木材チップをガス化して燃 料とする”チップエンジン駆動”の森林機械も検討してみた。作業車のチップエンジン性能はバイオマス・ガス化発電装置設計プログラムをそのまま使用した。比較のため森林機械の初期投資額は処理量に比 例するとした。またガス化炉や大型のエンジンが必要などでチップエンジン駆動機械が30%程度コスト高になるとした。下に同じ設計ソフトで設計し試作した 3.5PSエンジン搭載マ キカートをご紹介する。背中に背負ったガス化炉の直径は20cmである。

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マキカート

”チップエンジン駆動”機械は自立型のため、化石燃料は必要としないがチップを自家消費するために余計に森を伐採する必 要があり広い森林面積に相当する固定資産税が増える。またガス化炉を背負い、エンジンも大容量のシリンダーが必要になるなど初期投資額がふえる。というこ とで化石燃料エンジンを使う森林機械のほうがローコストとなる。将来化石燃料コストが高騰したときには逆転するであろう。

参考までに森林機械に搭載可能な最大規模のガス化エンジンの仕様を下の表に示す。システム概念図に赤く塗った縦型円筒形 のものが下のガス化炉をイメージしたものです。

エンジン定格出力 PS 309
エンジン定格回転数 rpm 4,000
エンジン・シリンダー容積 liter 8
エンジン用ガス化炉内径 m 1.6
エンジン用ガス化炉高 m 4
エンジン定格チップ消費速度 (ガス化転換効率78%、エンジン効率29.9%) dry kg/h 196
エンジンチップ平均消費速度 (平均負荷50%、平均ガス化転換効率74.7%、平均エンジン熱効率20.7%) dry kg/h 140

チップのトラック輸送

チップのトラック輸送はアウトソースするとした。その単価は米国の3倍の30yen/km-green tonと仮定した。

項目 単位 数値
チップ輸送量 green ton/year 22,118
輸送距離 km 40
年間輸送経費 million yen/year 27
チップ輸送単価 yen/m3 583

ガス化ガスタービン発電の方式

山林から運び出したチップは、チップ燃焼火力発電所で電力に変換する。発電所ではチップは屋外に山積みし、自然乾燥で含 水量50%を20%近くまで下げる。含水量が高いとガス化すると水の気化熱の相当する燃焼熱が必要となり、空気量が増し、ガス化転換率は低下する。30% 以下に乾燥することが望ましい。発電機廃熱を乾燥に使うのは理にかなっているが問題は経済性で、広い土地があれば放置自然乾燥が一番安い。メーカーとして は乾燥機も売りたいので一生懸命開発している。日本は土地は狭いようがそれは都会だけ、山の中はただ同然の土地があるので放置乾燥が安いのではと思ってい る。

火力発電所は高コストのチップ炊きボイラー・タービン発電所ではなく、熱併給なしのガスタービン発電を採用する。冷却水 も不用で、安く、コンパクトに建設できる。よく熱併給が話題に上るが、温泉への熱併給をのぞき、家庭への熱併給は大都市でも経済性に疑問があり、そう簡単 にできることではない。中山間で熱併給など論ずるのも時間の無駄であろう。

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チップのガス化は遠心式空気圧縮機と遠心式膨張機を組み合わせた小型ガスタービンで昇圧できる6気圧程度で行い、燃料ガ スの昇圧は行なわない。ガス化炉を6気圧、800度Cで運転すると下図のようにメタンの多いガスが発生する。加圧下のガス化炉へのチップ供給は前室経由の バッチ供給とするが、スクリューフィーダー等で連続式の供給も可能である。ガス化炉の形式はマキガス化の時、空気または酸素を吹き込む必要がないので流動 化させるガスの確保がむずかしい。そのために流動床は使えない。ガス化炉はエンジン向けとおなじく下向きの移動床で灰をグレーティングで除去後、反転上昇 させる方式がよいと考えられる。

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加圧ガス化炉運転条件

炉のスタートは送風機で炉に空気を送って燃焼反応を開始し、ガス化温度に達したら、ガス化炉への送風は止めて、木材に含 まれる酸素だけでガス化する。灰は下部よりバッチまたは連続抜き出しとする。ガスタービンの電力負荷追従型のスピード制御は生成ガス流量をガバナー弁で制 御する。炉は負荷が下がれば、ガス化温度も自動平衡で下がる。ガスタービンのガバナー弁の耐熱性があれば、発生ガスは冷却せず、灰塵をフィルター除去する だけで、直接燃焼室に送る。ガバナー弁の耐熱性が確保できないときは水相をくぐらせることにより、冷却と灰塵の水洗除去をおこなう、ただエネルギー転換効 率は落ちるし、排水処理装置も必要となる。

ガス化炉のスタートアップ用専用空気圧縮機を設けず、ガスタービンを軽油も燃料として使えるデュアル式としてスタート し、圧縮機の空気を炉に送ってガス化炉をスタートする方式も考えられる。ここまで踏み切れば、ガス化工程を省略してチップを流動床で完全燃焼してしまう方 式も考えられる。燃料供給系は木材を機械的にすりつぶして水スラリーにしてしまえば、ガバナー弁で調節可能で、かつガスタービンも過剰水を注入する分、過 剰空気率を減じることができるので、かえってガスタービン効率を向上させるチェン・サイクル (STIGともいう)的な効果もでてくるだろう。

燃料供給をバッチにすればマ キ・ガスタービン発電機のような簡易なシステムを組める。いずれにせよ燃焼炉内木材ホールドアップによる容量遅れのためにガスタービンのスピード 制御がむずかしくなる。三相交流発電機⇒三相整流器⇒DAインバーターでこの問題を解決できる。

マキタービン発電システム

さて木材を水スラリーにしてしまうのであれば、木材の伐採地点で水スラリーにしてしまうことも提案されている。スラリー を作るための水は山側に水タンクを設け、同じスラリー管を夜間使って逆送する。これは林道を配管に置き換えるだけで設備投資の観点からどうか。やはりオフ ロード・スキッダーのようなもののほうがコストパーフォーマンスが良いように思える。

ガス化ガスタービン発電の諸元

ガスタービン発電はガスタービン・シミュレータを別途開発し、エンジン解析ソフトと入れ替えて圧力下での ガス化発電設計計算プログラムを開発しておこなった。運転は24時間連続とし、1直1名4直の4名に日勤2名加えて6名とする。

項目 単位 諸元
発電用正味チップ毎時供給量 dry ton/h 1.8
年間運転日数 d/year 320
ガス化炉内径 m 2
ガス化炉高 m 10
定格ガス化転換効率 % 80.9
定格ガスタービン発電効率(燃焼圧6気圧、タービン入口温度1,200度C、発電機効率98%) % 33.6
電気出力 MW 2.38
年間発電量(100%負荷率) kWh/year 18,278,400
運転要員数 persons 6
初期投資額(世銀技術叢書No.422参照2,900$/kW、106yen/$) million yen 732

発電単価試算

試算のネット・キャッシュフローの前提としての資本金、借入金、所得税に関しては伐採・集材・搬出・チップ化とおなじく 初期投資額の9.18%である。

項目 単位 緩斜面 急傾斜
発電プラントの初期投資額 million yen 732 732
資本金、借入金、所得税関連ネット・キャシュフロー:初期投資額の9.18% million yen/year 67 67
固定資産税(初期投資額の1.4%) million yen/year 10 10
一般管理費(初期投資額の1%) million yen/year 7 7
保険料(初期投資額の0.5%) million yen/year 4 4
保守費(初期投資額の2%) million yen/year 15 15
潤滑油代 million yen/year 6 6
人件費(6operators x 6million yen/year/person) million yen/year 36 36
山林賃貸料 million yen/year 29.9 29.9
伐採・集材・搬出・チップ化費 million yen/year 58.8 65.2
チップ輸送経費 million yen/year 27 27
年間キャッシュフロー million yen/year 260.1 266.6
発電単価 yen/kWh 14.2 14.6

急斜面の追加コストはたった0.4yen/kWhである。

考察

針葉樹林は水源涵養・保安林としては不適切で、伐採すれば自然には再生せず、台風の倒木被害も増え、人間にもアレルギー 被害をもたらしている。この点、広葉樹林は水源涵養・保安林として最適である。同時に水源涵養、斜面崩落防止になり、安価な地域発電も達成できて広葉樹林 を維持できる。広葉樹は伐採しても根は生きていて斜面の崩落は針葉樹にくらべ生じにくい。針葉樹は伐採すると根は死んでしまいかつ根が浅いのですぐ植林し ないと斜面の崩落が生じる。かてて加えて広葉樹は生態系の多様性をもたらし、無農薬の有機農業をしようというとき、害虫の突発的増殖という事態を回避でき る。また不要となった農地を雑木林にして利用する「退耕還林」政策の中心となりうる。

それに広葉樹は樹齢50年以上の老木になるとカシノナガキクイムシが寄生してナラ枯れを発生させるので老木を伐採して利用するほう が森を健全に維持でき好ましいのだ。

針葉樹林を皆伐して換金化し広葉樹林へ変える「林相転換」は伐採後の斜面の保護のコストがあること、親子数世代に渡る事 業のため、林業者の価値意識の転換がむずかしく、カラマツを除き、いまだはかどってはいないようだ。放置して自然の広葉樹との混合林への遷移を待っている 人がおおい。林相転換を積極的に行なうには針葉樹伐採後の斜面の養生に費用がかかるので、針葉樹の売上の一部をさく必要もある。いずれにせよ売れない山林 所有者に固定資産税分を支払えば、前向きの林相転換の動機のひとつとはなろう。ひいては中山間問題解決の一助ともなろう。

不在地主をまとめるために地方自治体が中心になって山林の信託管理組合を作ることも促進の一助となろう。国土の67%が 森林というのに地籍が確定しているのは35%くらいで残りの山地は明治時代に作成した公図しかなく、実際の境界は確定していないとのことであるが、境界が 確定されていない場合でも、信託面積で管理できるから問題ない。むしろ地籍問題の前向きの解決法ともなる可能性を秘めている。民有林は所有関係も定かでな く組織化が困難なら、国有林を民間が借りて営業うるという手もある。

日本には木炭製造と養蚕へのクワの利用くらいしか広葉樹の産業への利用の経験がない。クワは毎年、木炭製造なら10- 20年に1度の択伐で済んだのだ。この方法にはチェーンソーを使う人海戦術が適しているが、省力化はできない。欧米式の大型森林機械の導入によりコスト削 減することが、本ビジネス・モデルのポイントである。そのためには広葉樹管理法も大型機械に適した方法にしなければそのメリットがでてこない。すなわち、 40年という伐採サイクルでじっくり太らせ、皆伐という方法の採用である。こうすることにより大木のある森林美も楽しむことが可能となる。

一般市民やマスコミには広葉樹林に人の手が入ることに対するアレルギーがあるだろう。でも伐採しなければ森林は暗い相林 に向かって遷移する。縄文の森の出現である。荒廃した針葉樹林や常緑広葉樹林より明るい落葉樹を中心とした広葉樹林は市民に喜びを与えるであろうというこ とを理解してもらう必要がある。ある意味で人の手の入った森というものは整然とした美しさがでてくるものだ。実績によって学んでもらう必要がありそうだ。

また森林は燃すべきでない、用材として使うべきだという「べき論」がある。これにも全面的に賛成である。しかし現実は日 本の家具は伝統的に手持ち工具で作りやすいように桐などのソフトウッドを使ってきており、西洋のようなハードウッドを使った伝統がなく、世界市場に売れる 商品作りができていない。一番のぞましいのだが、それには世界市場で認知される木製品つくりのできる人材を育成できるかにかかっている。英国の産業革命で 成功した織物業のように家具職人を国外から招聘して産業を興すことができるかもしれない。芸術・文化を移植するには時間がかかるがチャレンジする価値があ る。本論の著者の能力を越える次元の話なのでこれ以上は論じない。

次ぎにパルプチップとして使うべきであるという考えもある。これにはまったく異論がない。当然そうあるべきだろう。パル プチップ目的と発電目的では林の扱いがほぼ同じなので企業文化の衝突もなくうまくゆくとおもう。いずれにせよ本論で証明したようにまず森林機械を導入する 決意が先にたたねばはじまらない。

用材もバイオマスもというハイブリッドビジネスはリスク分散には貢献するだろう、しかしえてしてハイブリッドビジネスは 聞こえはよいが、企業文化が分裂し、ポイントが絞れず経営に失敗することが多いことを一言申し添える。用材目的のためには規則正しい植林、枝打ち、間伐、 林床の草刈、伐採後の選別など人件費がかかる。発電目的では植林せず、放置したままで自然再生を待つだけのため、日本の自然環境では低層には笹やが生い茂 り、人を寄せ付けない森になる。本論の始めの方で紹介した40年間放置した萱場後のコナラ林がまさにそうである。森林機械のみが立ち入ることのできるとこ ろとなるなずだ。これに耐えられない人がかならずでてくる。

成長速度が14.3 green ton/ha/yearと速いプラタナス(スズカケshort rotation sycanore Platanus occidentalis L.)あるいはユーカリが欧米ではエネルギー作物として植林されている。これは採算性だけを追求しているわけだが、生物の多様性喪失の面からは思わぬ伏兵 が待ち受けているような気がする。土地評価がたかくなければコナラなどの雑木林がゆっくり育つのを待つ林業でよいのではないか。

さて本法は皆伐し、小枝まで山から搬出してしまうため、地味の劣化が危惧される。これを防止するためには発電装置から出 る灰分は山に戻す必要があると考えられる。これを怖いダイオキシンとそうでないものと分けずに一律の規制の網をかぶせている現在の間違ったダイオキシン防 止法などで、山に戻すことを禁ぜられないように法改正も必要になるかもしれない。(Library Serial No.578)

この発電所から出る炭酸ガスはその年の光合成で作ったものだ。したがって地球温暖化にはプラスマイナスゼロ すなわちCOP3が定めたRevised 1996 IPCC Guideleine for National Greenhouse Gas Inventoriesの定義するカーボンニュートラル発電ということになる。擬似太陽光発電といってもいい。間接的に太陽光発電所と等価になり、地球温 暖化防止の目的にかなうシステムである。森林は放置しておけば、自然枯死により倒木となり、バクテリアで分解されて腐朽し、炭酸ガスにもどる。このように 放置林は炭酸ガス固定が出来ない。小泉首相の言葉をもじれば「伐採なくして炭酸ガスの固定化なし」である。

他の発電方式との単価比較は各 種ソラーエネルギー発電比較を参照ね がう。この単価は既存の化石燃料や原子力発電に比し高いが、一般消費者に売る価格よりは低い。グリーン電力であるから炭酸ガス排出権取引とか二酸化炭素ク レジットなど、何らかの助成メカニズムにより充分コマーシャルベースに乗る数値といえる。

川崎重工など一部重電メーカーは木質バイオマスのガス化ガスタービン発電装置に商機ありと感じているようだ。土木機械 メーカーのコマツなど土木工事用ベースマシンメーカーはアーム先に油圧作動の伐採機械をつけるだけで森林機械のマーケットを手中にできるため、2004年 にスエーデンのパルテック・フォレスト社を買収して世界の森林機械メーカーの3強に仲間入りした。今後拡大が見込める東南アジアマーケットに備えていると いう。日本の林業だけが世界の潮流の外にいる。なぜだろうか?急斜面でだめという理由にはすでに回答済みと思うが如何。

中外炉はNEDOの開発資金でロータリーキルン内で間接加熱による木質バイオマスの乾留と酸素吹き込みによるタール分の 完全酸化によって発生したガスをエンジン発電機燃料とする方式を開発したが、良質ガスを生産する方式ではあるが、コスト高で実用化は苦しいのではないか?

若い企業家が奮発する新分野と思う。

謝辞

この広葉樹放置林のアイディアは放置林業を提案している稀有な林業昆虫学者である元東北大農学部助教授の西口親雄氏の著 書「ブナの森を楽しむ」 で発芽し、wakwak山歩 会の仲間と山歩きと広町緑地倒木調査で確認し、イ ベリア半島一周の旅で臨界点に達し、今回のNPO「えがおつなげて」から依頼されたバイオマスガス化発電設計プログラム開発やマキカートの設計の経験を加味し、かっての職場の仲間の西野氏とのラウンドテーブル21での論争、小学館の広 瀬氏からの情報提供と刺激をいただいて実ったものです。その思いは「森林考」に縷々述べさせてもらいました。知恵を与えてくれた皆様に感謝します。

2004年1月25日、NPOえがお・つなげてが主催して山梨県須玉町のふれあい舘にて開催された「バイオマスエネルギー交流フォーラム」で岐阜 県立森林文化アカデミー学長の熊崎実氏からうかがったバイオマス利用に成功している国に共通な特徴とは林業のイノベーションを行い、ブレークスルーをして いるということである。熊崎実氏からうかがった欧米の森林機械事情はインターネットで調査し森林機械にまとめた。熊崎実氏さんありがとうございます。

広葉樹林が分割・細分化され、その所有権者は不在地主となって、これを賃貸契約することすら困難という情報をNPO「え がおつなげて」の代表、曽根原氏からいただいた。ありがとうございます。この難問を解決できた人には幸運が待っていることになりますね。副代表の吉田博士 にも生態系と無農薬農業のこのましい関係についてご教示いただいた。

ガス化ガスタービン発電、マキタービンの発想はNPOえがお・つなげてのスポンサーの下、弁慶農園の冨田さんが試作した マキカートの設計と試運転の知見が入っています。ここにその場を与えていただいた皆様に感謝します。

エンジニアリング企業のOBで構成するラウンドテーブル21の場で行なった討論は考察”広葉樹発電”にまとめた。当初は切り株から発芽する落葉樹しか対象として考え ていなかったのですが、皆伐しても殆どの広葉樹は切り株から発芽するし、実からも発芽するということを知り、広葉樹も対象に加えて本論文を大幅に改訂させ てもらいました。西野さん、前島さん、小学館の広瀬さん、弁慶農園の冨田ありがとうございます。

鎌倉市の都市林計画地である広町緑地の自然観察の場を借りて広葉樹林のバイオマス成長速度測定を おこないました。リーダーの山田氏と東大大学院の堀さんご指導ありがとうございます。

最後に不在地主として悩んでおられる友眞氏のご質問から大いなる刺激をいただいたことを申し添える。

May 8, 2003

Rev. January 23, 2019


2007年になって中国の紙の消費量が増え、パルプ向けチップの価格がトン当たり15,000円から18,900円に高 騰した。このため輸入商社は海外で植林事業を開始して切った本数だけ植えるサステナブルな林業にシフトするという。生育の早いユーカリやアカシアで伐採ま で10年である。

Rev. September 12, 2007


2014/7/31のTV朝日によれば北海道の名寄市の東方15kmの名寄川沿いの下川町は 「新里山構想」とでも呼べそうな構想を持っていると紹介された。その構想は本広葉樹発電ににコジェネを組み合わせたものだ。田舎は家屋が散在して、熱パイ ピングコストをだれも負担できないから無理だと考えたのだが、この町は町役場、郵便局などのセンター機構を全て集約してまとめ、建物も廊下で連結して2m の雪に閉じ込められても問題ないという。このようにエネルギー効率向上のために町の基本構造までかえてしまうのはヨーロッパを抜く構想と大いに感心した。

Rev. July 31, 2014


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