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1.ヴァカンスの季節 6.結婚貧乏(※8人の作家によるアンソロジー) 9.みすゞと雅輔 |
●「ヴァカンスの季節」● ★ |
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本の装丁、カバーのイラスト、とても洒落ている一冊です。気分がウキウキする印象があります。 |
●「赤毛のアン の翻訳物語」(鈴木康之・共著)● ★★ |
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本業は作家であり、翻訳向けの勉強をした訳ではないという松本さんが挑んだことは、パソコン、インターネットを駆使して海外の図書データベースを漁りに漁り、「アン」の引用文献を徹底的に調べることでした。その副産物として、本書はパソコンおよびネット機能の活用およびハード拡張の記録史にもなっています。 文学賞めざしてワープロ開始!/「赤毛のアン」の翻訳が来た!/CD-ROMの辞典と文献を手に入れる/インターネット開始!モンゴメリとアンのサイトを見る!!/ウィンドウズ95を導入する/新しい電子辞書、そして翻訳ソフト/オンラインで本を探して注文する/パソコンをパワーアップ、速い速い!/インターネットの英米文学サイト/モンゴメリの引用論文、カナダから届く!/「赤毛のアン」に隠された英米文学−CCL第56号より(その1)/同(その2)/同(その3)/ハードディスクにアン図書館をつくる/英米文学を電子データにする−FTPによるダウンロードとスキャニング/スキャナとOCRで英文を電子データに/英国図書館で本とCD-ROMを探す/モンゴメリの家を訪ねる−カナダ・オンタリオ州紀行 |
●「誰も知らない「赤毛のアン」」● ★☆ |
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「赤毛のアン」翻訳仕事から生まれた、「翻訳物語」に並ぶ産物といえる本。 「赤毛のアン」の時代背景/「赤毛のアン」の植物園/モンゴメリ、知られざる人生/モンゴメリの生涯をたずねるカナダ紀行 |
●「赤毛のアンに隠されたシェイクスピア」● ★★☆ |
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シェイクスピアの名前に惹かれて読み出したのですが、読んでいる途中から無性に「赤毛のアン」をまた読みたくなりました。 1.シェイクスピア劇/2.登場人物の名は、シェイクスピア劇のパロディ/3.アーサー王伝説/4.イギリス文学/5.英米の女性詩人/6.スコットランド文学/7.アメリカ文学 |
●「アンの青春の 明日が輝く言葉」● ★ |
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2002/06/30 |
「赤毛のアンの今日が幸せになる言葉」に続く一冊。 ※松本侑子ホームページから、メールマガジン「アンの青春の明日が輝く言葉」の購読申込と、同バックナンバーを見ることが出来ます。 |
●「結婚貧乏」● ★☆ |
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8人の女性作家による、結婚を主題としたアンソロジー。 共通したテーマは、心も身体も生活もすべて満足できる結婚生活なんてあるのか、ということらしいのですが、結婚生活の一翼を担う男性として耳の痛い話が幾つもあります。 平安寿子:ロマンスの梯子/宇佐美游:玉の輿貧乏/春口裕子:オーダーメイドウェディング/三浦しをん:森を歩く/内藤みか:シンデレラのディナー/真野朋子:次はあなたの番ね/森福都:グッドマリアージュ/松本侑子:ぼくの秘めやかな年上の恋人 |
●「ヨーロッパ物語紀行」● ★☆ |
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名作の舞台を訪ねる旅。本好きなら誰しも一度や二度、してみたいと思ったことが必ずあるのではないでしょうか。 単に紀行文というだけでなく、名作のストーリィの紹介がまずあり、そのうえに名作が生れた時代背景や作家自身のことを判り易く紹介してくれているのが、とても有難い。 私だったらここに行って見たい、という場所は誰しも持っていることでしょう。私だったら、フェルスター「アルト=ハイデルベルク」。もっともハイデルベルクは観光地としてかなり一般化していますから、わざわざ取り上げる必要はないのかも。 ロミオとジュリエット(イタリア−古都ヴェローナ)/ローマの休日(イタリア−永遠のローマ)/ ※本書は著者の松本侑子さんからプレゼント本として頂戴しました。末尾となりましたが、松本さんにお礼申し上げます。 |
●「恋の蛍−山崎富栄と太宰治−」● ★★☆ 新田次郎文学賞 | |
2012年05月
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玉川上水で心中死した山崎富栄と太宰治2人の、そこに至るまでの軌跡を描いた力作。 読み終えた感想をまず言うと、痛ましい思いでいっぱいです。 何もかも捨てて一途に恋に生きようとした女性、その結果の痛ましさ、哀れさは、言葉にしようもありません。 (補足) ※本書は著者の松本侑子さんからプレゼント本として頂戴しました。末尾となりましたが、松本さんにお礼申し上げます。 |
「みすずと雅輔」 ★★★ |
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2020年05月
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詩に疎い所為か、金子みすゞという童謡詩人の名前、若くして亡くなったことは知っていましたが、その人物像をきちんと知ってはいませんでした。 金子みすゞという名前だけでは手を出すことはなかったと思います。実弟の上山雅輔との関わり、本書の書評を読んで読みたいと思った次第。 本作の主人公は正祐。下関の上山文英堂の跡取り息子として母親フジの溺愛を受けて育ちます。その母フジが雅輔13歳の時に病死し、フジの姉である伯母ミチが父の松蔵の後妻となって上山家に入り込んできます。 それがきっかけとなって仙崎の金子文英堂に残ったテルと正祐の間に行き来が生まれ、共に詩や文芸に強く惹かれる心を持っている2人は互いにかけがえのない仲間となっていく。 正祐は2歳年上の従姉としてテルを慕いますが、テルは正祐が実弟であることを承知しており、母親の再婚で義姉弟関係にもなったという状況。 しかし、叩き上げの苦労人である松蔵は店を正祐に継がせたいという気持ちを捨てることはなく、それは結果的にテルと正祐の2人を追い込むことになっていきます。 テルと正祐、励まし合う力強い仲間であった一方で、お互いの人生を運命づける大きな要因になっていたことが否定できません。 そうならしめたのは頑なに店を正祐に継がせたいという願望を抱き続けた松蔵といえますが、松蔵を責めることはできません。 あの時代、その土地柄からして、松蔵の願望は当然だったことでしょうから。 要は、すべて掛け違い、常に掛け違いがあらゆる問題の原因としてあったとして過言ではありません。 だからこそなおのこと、金子みすゞという詩人の生涯も、後に文筆で身を立てた雅輔という人物も、余りに切ない。 本作は、金子みすゞという童謡詩人を雅輔という一番身近な近親者から描くことによって、立体的に、かつ深くその人物像を描き出していると言って差し支えありません。 そのみすゞの、覚悟を決めたうえでの自死には、雅輔ならずとも衝撃を受けずにはいられません。 読了した時には、みすゞの面影に圧倒され、余韻がいつまでも消え去りませんでした。 松本侑子さんの力作と言って間違いなし。お薦めです! ※金子みすゞ:1903-1930、本名は金子テル。童謡詩人。山口県仙崎村生まれ。 ※上山雅輔(かみやま・がすけ):1905-1989、本名は上山正祐(うえやま・まさすけ)。劇作家・小説家。2歳の時上山家に養子。1930年妻と娘と共に劇団若草を立ち上げ。 序章.電報/1.「カチューシャの唄」中山晋平/2.「赤い鳥」鈴木三重吉/3.「かなりあ」西條八十/4.「片恋」北原白秋/5.「金の鈴」上田正祐/6.「芝居小屋」金子みすゞ/7.関東大震災/8.「大漁」金子みすゞ/9.「沼」島田忠夫/10.結婚/11.「ジャン・クリストフ」ロマン・ロラン/12.芸妓花千代/13.「映画時代」古川緑波/14.「東京行進曲」菊池寛/15.「鯨法会」金子みすゞ/16.「復活」トルストイ/終章.朝日丸 |