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1.カフーを待ちわびて 2.普通じゃない。 3.ごめん(文庫改題:夏を喪くす) 4.さいはての彼女 5.おいしい水 6.キネマの神様 7.花々 8.翼をください 9.インディペンデンス・デイ(文庫改題:独立記念日) 10.星がひとつほしいとの祈り |
本日はお日柄もよく、ランウェイ・ビート、風のマジム、まぐだら屋のマリア、でーれーガールズ、永遠をさがしに、楽園のカンヴァス、旅屋おかえり、生きるぼくら、ジヴェルニーの食卓 |
総理の夫、ユニコーン、翔ぶ少女、太陽の棘、奇跡の人、あなたは誰かの大切な人、異邦人、モダン、ロマンシエ、暗幕のゲルニカ |
デトロイト美術館の奇跡、リーチ先生、サロメ、アノニム、たゆたえども沈まず、スイート・ホーム、やっぱり食べに行こう、フーテンのマハ、常設展示室、美しき愚かものたちのタブロー |
原田マハの印象派物語、風神雷神、<あの絵>のまえで、リボルバー、丘の上の賢人、板上に咲く |
●「カフーを待ちわびて」● ★★☆ 日本ラブストーリー大賞 |
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2008年08月
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沖縄の与那喜島を舞台にした、伸びやかでピュアなラブ・ストーリィ。 なんといっても南の島での、悠久の時間が過ぎていく中でゆっくりと進んでいくラブ・ストーリィ、忙しない生活を送っている都会人にとっては、そんな雰囲気が魅力です。 主人公の友寄明青(ともよせあきお)は、育ててくれた祖母が遺してくれた雑貨屋を受け継いで一人暮らし。食事は裏の年老いたユタ(巫女)のおばあの世話になっている。 幸がどういう女性か、どういうつもりで明青の元にやってきたのか、肝心のそれは明らかにされないままストーリィは進んでいきます。それでも沖縄の生活のひとつひとつに新鮮な驚きを見せ、積極的に島の生活に馴染んでいく幸のひたむきな姿を見ているだけで、心楽しい。 なお、「カフー(果報)」には「いい報せ」と「幸せ」の2つの意味があり、本書においては明青の愛犬の名前でもあります。 |
●「普通じゃない。Extraordinary.」● ★☆ |
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本書は“mixi”に連載した作品を加筆修正して単行本化したものとのこと。 軽快なテンポに個性的な登場人物、ファンタジーな仕掛け、そして都会的に夢あふれるストーリィ。 気軽に読めて後味も爽やかですから、気分転換したい時などに楽しむには格好の一冊。 造園会社に働きに行った時にハシゴから落ちて以来、御厨しいなには植物の発する声が聞こえるようになります。 社長の権田原大咲を初めとして、妄想担当=矢車草輔、同期社員の美人=花房藤花、イケメン=森崎葉、しいなの親友=大庭真百合、派遣社員の青葉桜子に樹医の萩野あおい、そして祖父で花火職人の道楽と、次々に登場してくる人物がみな若々しく、颯爽として気分良い。 |
●「ごめん
Where Life Goes」● ★ |
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2012年10月 2010/12/27 |
自分の思うままにならぬ状況、あるいは自分勝手に振る舞う中で、ふと見せる女性の微妙な胸の内を描く4篇。 身勝手で金銭面にだらしなかった父親のこと、年下の愛人と自分勝手に遊びながらふと知った夫の秘密に動揺する妻、人妻の身で年上の男との恋愛に溺れる最中に突き当たった壁、かつてのルームメイトとの口にし難い経緯、等々の展開の中で、主人公たちの揺れ動く心理が描かれます。 男性である私からすると、何を勝手なと思うに至らないまでも、そもそも前提となるストーリィに、すっきりしないものが残ります。 それ故、読後感としても今一つ。 女性読者であれば、読後感、私とまた少し違うかもしれません。 天国の蠅-No Father of Mine/ごめん-Where Life Goes/夏を喪くす-The Lost Summer on the Bridge/最後の晩餐-The Last Supper |
4. | |
「さいはての彼女 Ride to Land's End」 ★☆ |
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2013年01月
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仕事に全力投球してきたワーキングガールが経験した挫折。 そんな時に出掛けたあてずっぽうの旅、そこで出会った人たち、経験した出来事から再び元気を取り戻すという、旅&再生ストーリィ。 何も女性専売特許の話ではないと思うのですが、その方がストーリィになっているのも確かです。 日常から解き放たれて旅に出る、何と好い気分であることでしょう(私も20代の頃何度もこうした旅をしていました)。それに心機一転、再生という要素が加われば、爽快なストーリィになること間違いなし、という次第。 そんな旅をテーマにした、爽快なストーリィ3篇+付随ストーリィ1篇。 表題作「さいはての彼女」の“彼女”とは、主人公のことではなく、主人公が道東で出会ったハーレーを駆って風のように走る女の子=ナギ。 このナギという女の子の魅力が抜群で、爽快な風をそのまま体現しているようなキャラクター。こうした登場人物に会えるだけで幸せな気分になります。 一方、最後の「風を止めないで」は、ナギの母親を主人公にした「さいはて」のサイドストーリィ。こちらも魅力の源泉は不在であるナギにこそあります。 さいはての彼女/旅をあきらめた友と、その母への手紙/冬空のクレーン/風を止めないで |
●「おいしい水 Agua de Beber」●(画:伊庭靖子) ★☆ |
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小説家と気鋭の画家によるコラボレーション。コーヒーブレイクにふさわしい、短い小説+画を提供する“Coffee
Books”シリーズの一冊。
大学生活を過ごした神戸・三宮は、山と海と街の風景がある、胸ときめいていた街。 過ぎ去れば、アルバムの中に青春時の貴重な一篇の思い出となるような、ひと時の恋。 【伊庭靖子】 |
●「キネマの神様 The Name above the Title 」● ★☆ |
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2011年05月
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父親の円山郷直は映画とギャンブルが生き甲斐、性懲りもなく借金を重ねている。一方、その父親が自慢する大企業の課長職にある娘=歩・39歳は、左遷通告を受けて退職し、今や失業者。 八方ふさがりのようなこの父娘に降って湧いたチャンスは、大好きな映画に関わる仕事だった。 それは、歩がメモ書きした映画評を父親が勝手に老舗映画雑誌社「映友」のサイトに投稿したところ、ライターとしてスカウトされたというもの。しかし、実際に注目されたのは、父親が書いた映画評の文章だった。 名画座という存在、古今から現在に至るまでの名作の数々、そして登場人物たちが繰り広げる映画評。映画ファンなら、その部分だけでも楽しくって堪らない気持ちになるに違いありません。 さて、最後にゴウと友が選んだ人生最良の映画とは・・・あの映画でしょうか。私はこちらの方が相応しいと思ったのですが。 ※なお、映画は映画館でどっぷりその世界にはまって観るからこそ楽しいという作中意見には同感。最近私がレンタルDVDではなくシネコンで映画を観るようになっている理由も、実はそこにあります。 |
●「花々(はなばな) The Wondering Flowers」● ★★ |
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日本ラブストーリー大賞を受賞した「カフーを待ちわびて」のサイドストーリィ。 「カフー」の明青と幸のその後を知りたくて手に取ったようなもので、それ程期待していなかったのですが、これが意外と正解。小説として素晴らしいというより、私好みという点で。 決してハッピーエンドというばかりのストーリィではありませんが、本書を読んでいると気持ち好い気分になります。 主たる主人公となるのは、事情あって故郷を離れ、沖縄の与那喜島に行き着いた純子。しかし、大型リゾート開発計画が実行段階に進んだことから、バイト先ダイビングショップの経営者である田中庄司一家は石垣島に移ることとなり、純子も島を離れざるを得なくなります。 そして生きるべき場所を求めて明生の元にやってきた幸もまた、彼女たちの一人といえます。 鳳仙花/ねむの花 デイゴの花/さがり花/千と一枚のハンカチ/花だより |
●「翼をください Freedom in the Sky」● ★★☆ |
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2015年01月
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あまり注目されていないという感じだったので、然程期待しないまま読み始めたのですが、これが何と私の好みにすっぽり嵌り、大正解。まさに掘出し物というところで、掘出し物であるが故に読めた喜びもまたさらにアップ。
1939年、世界で最初に世界一周飛行を果たしたのは、毎日新聞の社用機“ニッポン”とその7人の乗組員だったそうです。 1930年代、それもプロペラ機ですから、一気に世界一周飛行する訳ではなく、56日間、32都市を繋ぐようにして飛ぶ旅。ですから飛行中の話が多い訳ではないのですが、とにかく大空を飛ぶことの楽しさ、喜びが本書には満ち溢れています。単純だからこそ爽快。 アチソン、カンザス 2007年/アチソン、カンザス 1928年/銀座、東京 1937年/大江、名古屋 2009年 ※アメリア・イアハート
Amelia Mary Earhart ※ニッポン号 |
●「インディペンデンス・デイ
Independence Day」● ★★ |
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2012年11月
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インディペンデンス・デイ、すなわち独立記念日。 本書は、様々な苦労や悩みを経てようやく自立、再生の道に踏み出していこうとする女性たちの姿を描く、短篇集。 主人公たちが自立すべき相手、ものは色々です。 本書に収録されているのは24篇。 悩みや悔いにけりをつけ、さぁこれから前向きに歩き出そう、と心を決めた女性たちの後ろ姿は、とても爽やかです。 川向うの駅まで/月とパンケーキ/雪の気配/真冬の花束/ふたりの時計/転がる石/いろはに、こんぺいとう/誕生日の夜/メッセンジャー/バーバーみらい/この地面から/魔法使いの涙/名もない星座/お宿かみわら/空っぽの時間/おでき/缶椿/ひなたを歩こう/甘い生活/幸せの青くもない鳥/独立記念日/まぶしい窓/いつか、鐘を鳴らす日/川面を渡る風 |
●「星がひとつほしいとの祈り Pray for a Star」● ★☆ |
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2013年10月
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未読だった原田マハ作品の一つ。今月の文庫化を契機に興味を惹かれて読んでみました。 本書は、20代から50代まで7人の女性について、彼女たちの人生における今を描いた短篇集。 不倫相手の子を妊娠した20代の新人デザイナー、著名女優である母に距離を置いて生きてきた女性、売れっ子ではあるものの生活に幸せを見い出せない30代コピーライター、結局独身のままとなり共に旅する40代の女友達2人、未婚で産んだ娘の無感情に心を痛めるシングルマザー、夫を失くして娘とその婚約者と共に旅行に来た50代女性、逃亡してきた元継娘を受け入れた50代末の女性という7人。 一つ一つのストーリィ、それなりに読ませるところは原田マハさんのストーリィテラーとしての上手さでしょう。ただし、それだけならとりわけどうこう言うほどのものではありません。 それが20代〜50代へと、順を追って並べられることにより、広く女性一般の人生が浮かび上がってくるように思います。 すなわち、20代〜30代はいろいろ辛いことや苦しいこと、苦労もあって当然のこと。それらを乗り越え年月を重ねてやっと50代に辿り着いた時、初めて自分の人生がどうであったかを振り返ることができるのではないか、というメッセージが伝わってきます。そして勿論50代が人生の終わりではなく、それから新しいスタートがあることもちゃんと伝えられています。 原田さんらしい良さを感じる短編集。 椿姫/夜明けまで/星がひとつほしいとの祈り/寄り道/斉唱/長良川/沈下橋 |
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