ホラ話の得意な父親、でもそんな父は皆から好かれている。
しかし、伝説の大魚、眼帯の魔女、巨人、夢幻的な町、奇妙なサーカス団、母親との小説のようなラブ・ロマンス、シャム双生児の踊り子というワクワクする話も、子供の頃から何度も聞かされているとうんざりしてしまう。それ故、ウィル・ブルームは、父親エドワードともう3年も口をきいていない。
その父親の命が残り少ないと知らされ、ウィルは妻と共に両親の元に戻って来ます。ウィルの父親に対する願いはひとつ、父親の本当の姿を知りたい、ということ。しかし、ウィルに対して父親は相変わらずホラ話ばかり。
そんな父親と息子の姿を描いたストーリイです。
父親の最後が間近くなって、漸くウィルは父親の語ったことに多少の脚色はあるものの、かなりの部分が真実だったことを知ります。
語られる物語ではなく、物語る言葉の中にこそ父親の真実の姿があった。それを改めて感じさせられることに、感動を覚えました。
父親の過去と現在を交互に織り交ぜながら綴っていくストーリィ。
過去の物語にはファンタジーのような楽しさがあり、現在には夫婦、親子間のしみじみとした愛情があります。
ちょっと癖はありますが、ファンタジーの楽しさを受け入れることができれば、見応えのある作品です。
なお、一癖ありげな父親を演じるアルバート・フィニーが好演。
2004.10.30
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