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1.バッテリー 2.バッテリー2 3.バッテリー3 4.バッテリー4 5.バッテリー5 6.バッテリー6 7.えりなの青い空 8.福音の少年 9.ラスト・イニング 10.ランナー |
待ってる、朝のこどもの玩具箱、火群(ほむら)のごとく、シティ・マラソンズ、さいとう市立さいとう高校野球部、さいとう市立さいとう高校野球部−甲子園でエースしちゃいました−、透き通った風が吹いて、I love letter、さいとう市立さいとう高校野球部−おれが先輩?−、ハリネズミは月を見上げる |
●「バッテリー」● ★★☆ 野間児童文芸賞 |
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2003年12月
2004/09/09
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鋭く差し込んでくるような雰囲気を感じる作品。 児童小説ということですが、とてもそうは思えない。大人であってもがっぷりと四つに組んで読んでしまう、それだけの読み応えがあります。 何よりの魅力は、原田巧という主人公。小学校を卒業したばかりの少年だというのに、孤高であり、極めてストイック。快哉を叫びたくなるような類稀な主人公像です。 少年野球の県大会で準決勝までいった天才肌のピッチャー・原田巧が、両親、病弱な弟の青波とともに岡山県山間の新田市に引っ越してくるところからストーリィは始まります。 |
※映画化 → 「バッテリー」
●「バッテリー2」● ★★☆ 日本児童文学者協会賞 |
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2004年06月
2004/09/10 |
「バッテリー」の続編。 巧、豪、東谷、沢口の4人が中学校に進学し、ストーリィはますますスリリング。 巧らは予定どおり野球部に入学したものの、独裁的な顧問教師の戸村、従順な表情の裏で陰湿さをうかがわせる上級生たちに、巧は反発を覚えます。 本書ストーリィの中心は野球ですが、決して野球小説ではなく、登場人物各々の成長を描く小説というべきでしょう。 ※なお、前作の感想で巧のことを類稀な主人公といいましたが、ひとり同型の主人公像を思い出しました。その名は、ジャン・クリストフ。 |
●「バッテリー3」● ★★ |
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2004年12月 |
「バッテリー2」で発覚した新田東中学野球部の不祥事により、部活動が停止されている最中の巧から本書のストーリィは始まります。
前作で独裁的だった野球部顧問の戸村、通称オトムライに変化が生まれ、教師と生徒たちの間で本音でぶつかりあう雰囲気が多少出てきたところが、小気味良い。 前の2巻同様、読み始めたら頁を繰る手が止まらず、あっという間に読み終えました。 |
●「バッテリー4」● ★☆ |
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2005年12月 |
あれれっ、という場面から始まるのがこの第4巻。 新田市に引っ越して以来、巧の周囲にはいつも豪や東谷、沢口らの仲間たちがいましたが、それがみられない。 それは、巧と豪のバッテリーが初めて挫折を覚え、ピッチングどころではなくなった事情であることが、すぐ語られます。 その分本書は、これまでの3巻に比べるとちょっと深刻で、翳りのある巻となっています。
翳りの原因となっているのが、予想もしなかったことに女房役の豪。巧と豪が思い悩んでいる姿を補うかのように、「バッテリー2」の末尾で仲間に加わった吉貞と、例によって小町先生が賑やかです。
本書は、ひとつの挫折を語ると共に、第3巻から第5巻へ繋ぐための巻という印象を受けます。 |
●「バッテリー5」● ★★ |
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2006年06月
2004/09/12 |
巧と豪のバッテリーは復活したものの、すっきりとはしない。 本書は2人の新たなステップとなる心理的葛藤を描いた巻。 バッテリーとして戻ってきた豪に対し、巧は容赦ない。何を考えて俺の球を受けるのかと、豪に対し問い詰めていく。巧と豪、そしてその相似形として横手ニ中の門脇秀吾と瑞垣俊二、切磋琢磨してお互いを成長させていくという奇麗事を排除し、格闘し合うような関係を本書は描いていきます。 野球を舞台に少年たちの成長を描くストーリィ、まだまだこれからの展開が楽しめそうです。 |
●「バッテリー6」● ★★ |
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2007年04月
2005/01/16 |
「バッテリー」の最終巻。 |
●「えりなの青い空」● 絵:こみねゆら ★★☆ |
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2008年07月 2004/11/07 |
小学5年生のえりなは、昼休み校庭の中庭に寝転がって空を見ているのが大好きな女の子。 同級生や母親はそれに目を顰めますが、本人はいたってマイペースであまり気にしていない、青い空を眺めている気持ち良さに比べれば。 読んでいるだけでも気持ち好いです。 |
●「福音の少年」● ☆ |
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2007年06月
2005/09/13 |
帯には「本当に書きたかった作品」、「十代という若さにこそ存在する心の闇を昇華した、著者渾身の問題作!」とありますが、まるで理解できず。
登場するのは2人の高校生、永見明帆と柏木陽。そして、2人に絡む同級生の女の子として北畠藍子。 本書で肝心なのは、明帆、陽の2人とも、自分の親を含めて他人と相容れない心の闇を抱えているというところにあるようなのですが、その明帆と陽の“心の闇”という正体がまるでつかめず。 |
●「ラスト・イニング」● ★★ |
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2009年02月
2007/05/01
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「マウンドへと」は「バッテリー6」の最後、新田東対横手二中の試合の始まりを描いた篇。したがって内容は重複しています。
本書の読みどころは「白球の彼方」の方。「バッテリー」の事後談、高校へ進んだ瑞垣俊二、門脇秀吾らの様子が描かれます。
生意気な原田の向こうを張るぐらいの曲者だった瑞垣。その瑞垣を主人公としているところが本書の特徴。 マウンドへと/白球の彼方 |
●「ランナー」● ★☆ |
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2010年04月
2007/07/16
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「バッテリー」と同様のシリーズものになるらしい作品の、第一作。 「バッテリー」が中学生を主人公とする野球ものだったのに対して、本書は高校生を主人公にした陸上もの。 このところ本当に陸上もののスポーツ小説が続きますね、何でだろう?(「一瞬の風になれ」「風が強く吹いている」等々)。陸上競技で最近日本人選手の活躍が目立つようになったこと、数字がはっきり出るスポーツであること、速さは皆が憧れるものであるからでしょうか。 そうしたストーリィ設定の他に、本書には「バッテリー」と決定的な違いがあります。 本作品が「バッテリー」に比肩する魅力ある物語になるかどうかは、この第一作だけでは不透明。しかし、充分そうなりうる作品と期待して次作も読んでいこうと思います。 |