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1.サマータイム−四季のピアニストたち(上) 2.九月の雨−四季のピアニストたち(下) 3.ごきげんな裏階段 6.神様がくれた指 7.黄色い目の魚 8.一瞬の風になれ・第一部−イチニツイテ− 9.一瞬の風になれ・第ニ部−ヨウイ− 10.一瞬の風になれ・第三部−ドン− 11.夏から夏へ |
夏から夏へ、第二音楽室、聖夜、シロガラス1、シロガラス2、シロガラス3、シロガラス4、明るい夜に出かけて、シロガラス5、いつの空にも星が出ていた |
●「サマータイム−四季のピアニストたち(上)−」● ★★ |
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1993年05月 2003年09月 2003/02/26 |
佐藤さんの記念すべきデビュー作。 いずれも短い話ですけれど、子供とはいえ子供なりの強い感情の動き、こだわりが、手応え確かに感じられます。 サマータイム/五月の道しるべ |
●「九月の雨−四季のピアニストたち(下)−」● ★☆ |
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2003/02/26 |
「サマータイム」の続編。 ただ、作品としては、前作「サマータイム」に比較するとややパワーダウン、という印象。 九月の雨/ホワイト・ピアノ |
●「ごきげんな裏階段」● ★☆ |
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2009年11月
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佐藤多佳子さんの初期短篇集の文庫化。 3階建のアパート=みつばコープラスの裏階段。ここなら口うるさい管理組合理事長の“有沢のおばば”の目も届かないと、子供たち等はいつも裏階段に。 特別楽しい訳でも不気味な訳でもなく、誰でも遭遇しうる出来事という風なカラリとした雰囲気が印象的。 児童向け作品でありそうでいて、そうでもないという感じ。 ※有沢のおばば=小学校の音楽教師と判る部分、思わず笑っちゃいました。 タマネギねこ/ラッキー・メロディ/モクーのひっこし |
●「しゃべれどもしゃべれども」● ★★ |
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2000年06月
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主人公は、現在二ツ目の噺家・今昔亭三つ葉、26歳。 「読み終えたらあなたもいい人になっている率 100%!」という宣伝文句が的中しているかどうかはともかく、読了後、心の底から温もったような、良い気分になっているのは事実です。 |
※映画化 → 「しゃべれどもしゃべれども」
●「イグアナくんのおじゃまな毎日」● ★★☆ |
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2000年11月
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主人公の樹里は小学校6年生。その誕生日に、親戚の大金持ちジジイとそのトンチキな孫から贈られた(押し付けられた)のは、なんと1mもある巨大なトカゲ=グリーン・イグアナ。 このお陰で、折角増築したサンルームはイグアナに占領され、大事な本、洋服は荒らされ、小竹一家はパニック状態。 イグアナは草食動物で大人しいといっても、室温は25℃以上45℃以下なくてはならないし、毎朝のエサ準備と、一家3人は振り回されます。 ママは気味悪がって世話を嫌がり、パパは樹里に世話を押し付けるという悪循環で、家庭内は喧嘩ばかり。 そんなことから、樹里がイグアナに付けた名前は“ヤダモン”。 イグアナ自体はボケッーとした生き物で、犬猫のような反応がある訳ではないのですが、何時の間にか一家の重要な一員になっているようなイグアナの存在感が楽しい。 【参考】グリーンイグアナはアメリカの熱帯地域に多く棲息し、水辺に枝をつきだした木々に住みつく。尾は長く、首から尾にかけてとげが一列に並び、成長すると体長は約2mに達する。肉・卵は美味とのこと。 |
●「神様がくれた指」● ★☆ |
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2004年09月
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本書については、スリと辻占い師が偶然知り合い、コンビとなって云々...というストーリィと聞いていました。前回の「しゃべれどもしゃべれども」同様、ほのぼのストーリィと思っていたところ、まるで大違い。完全に佐藤さんに背負い投げを食わされた気分です。 冒頭から前半は、コミカルさ、人情味を感じさせる展開であったのに対し、後半はかなりシリアスなサスペンス調になります。この小説をどう捉えれば良いのでしょうか。ちょっと逡巡してしまうストーリィです。 出所したばかりのスリ・マッキーこと辻牧夫は、帰る途中に少年少女のスリ・グループに見事にしてやられ、おまけに肩関節脱臼の怪我を負わせられます。偶然通りかかって彼を助けたのは、“赤坂の姫”と異名をとる占い師マルチェラこと昼間薫。戻る場所を失った辻は昼間の元に同居し、スリ・グループを探し回ることになります。 辻も昼間も、まともな生活から零れ落ちた青年です。それまで単身生活が常だった2人の間に互いへの信頼が芽生えていく展開、辻の身を案じる早田咲というヒロイン、辻に絡むスリ仲間らの登場人物、その辺りが楽しいところです。また、スリのテクニック、チームプレーの場面は、もうひとつの本書の見所です。 でも、次の展開がどうなるのか全く予想がつかない、そこが本作品の一番の魅力かも知れません。 |
●「黄色い目の魚」● ★★★ |
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2005年11月
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凄い、どんどん迫られます。
主人公・村田みのりは、ちょっと意固地なところがあって家族と相容れず、イラストレーターの叔父の所に入り浸っている16歳。 りんごの顔/黄色い目の魚/からっぽのバスタブ/サブ・キーパー/彼のモチーフ/ファザー・コンプレックス/オセロ・ゲーム/七里ヶ浜 |
●「一瞬の風になれ
第一部−イチニツイテ−」● ★★ |
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2009年07月
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佐藤多佳子さんの描く高校の陸上競技ストーリィとなれば当然にして爽やかな作品に違いない、と読む前から思っていましたが、その予想通りに本作品は爽快な青春スポーツ小説。 主人公は神谷新二。家族そろって熱烈なサッカー一家ですが、既に高い評価を受けている3歳上の兄・健ちゃん(健一)のようにはなかなかいかない。志望校への進学に失敗したのをきっかけについにサッカーの道を断念します。 主人公の新二、末っ子らしくやたらと騒がしい性格ですが、楽しいキャラクター。そして、新二と連の主役2人だけでなく、同級生のネギ(根岸)、上級生の先輩たち、同学年の女子部員2人、という顔ぶれも十分に魅力があります。おっと顧問のミッちゃんこと三輪先生も欠かせません。 序章/1.トラック&フィールド/2.サマー・トラブル/3.恋がしたい |
●「一瞬の風になれ 第ニ部−ヨウイ−」● ★★ |
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2009年07月
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第2巻目。第1巻に比較するとトーンダウン、やや中だるみという印象を受けます。でもそれは仕方ないこと。ストーリィが走り出し、クライマックスに至るまでの間に位置する、中盤を固める巻なのですから。 相変わらず主人公の新二は、一人称である故になおのこと騒々しい。 1.オフ・シーズン/2.先輩、後輩/3.届かない星/4.幻の10秒台/5.アスリートの命 |
●「一瞬の風になれ 第三部−ドン−」● ★★☆ |
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2009年07月
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この第3巻に至って、初めてストーリィがはじけた感じ。 まず主人公の新二がやっと心技体そろい、勝負できるスプリンターに成長したことが実感されます。それに加えて人間としても成長した新二の姿が本巻からは感じられます。 1.エネルギー・ゼロまで/2.問題児/3.それぞれの挑戦/4.アンダーハンド・パス/5.光る走路/終章 |
●「夏から夏へ」● ★★ |
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日本陸上 4x100mリレー
の4人のスプリンターを佐藤さんが取材したノンフィクション。 何故こんなにも4x100mリレーに興奮するのか。 4人のスプリンターについて、その人間性にアプローチした傑作ノンフィクション。お薦めです。 第一部 世界陸上大阪大会(2007年08月)/第二部 スプリンター |