江戸料理百選タイトル   

鯛丸あげ煮

一小鯛のうろこをふき。はらを明け。ゑらわたをとり。水にてあらひ。雫をたらし。半時ほども醤油につけ。白たうふをしほり。葛をあはせて鯛のはらへ。しっかりとつめ。まん中を。ひもにてかるくくゝり。ごまの油にてあげ。外の小鍋にて醤油を煮て。かけ出す。かやくは。をろし大こんとうがらし。ねぎの白根こまこまにして出す。小鯛のほねまでも。やわらかになり申候。          

  伊万里染付八角皿・備前鮑形小皿(森 陶岳 作)

江戸料理食べる人

『鯛百珍料理秘密箱』


材料および概量
     
 小鯛    4尾、1尾200g位
 醤油     大5、2%
 豆腐    2丁、600→絞って400g 
 葛     大2
 又は片栗粉
 小麦粉   大3〜4
 揚油
 薬味
 ┌大根   おろして100g
 │ねぎ(白) 1/2本、40g
 └唐辛子粉 小1
    醤油    大2
        

一、小鯛のうろこを引き、えらと腸を取り、背から包丁を入れ、
  上身の側に背びれをつけるようにして中骨を取り、
  塩水(水5カップ、塩大さじ2杯)でよく洗う。フキンで水気を
  取り、醤油で下味をつけ、5分位おく。

二、薬味は、大根おろし、唐辛子粉、ねぎのみじん切りを用意する。

三、豆腐はフキンで包んで絞り、葛粉を振り入れて混ぜ、鯛に詰め、
  鯛の表、内側ともふき、小麦粉をつけ、真中を木綿糸でしばる。
  ごま油を中温(170度)に熱し、表面がからりとするまで、7分位
  揚げる。揚げたてを器に盛り、醤油をかけて食す。


 扉 【留意点】

*原文では、1時間醤油につけることになっているが、漬け込むと味がしみ過ぎ、
 焦げやすくなる。
*小麦粉は一度に全量を出してしまうと湿っぽくなり、最後にはつけにくく
 なる。小麦粉は少量ずつ補いながら使うとよい。
*骨まで食べられるように揚げようとすると、身の方が揚がり過ぎて固くなって
 しまうので注意。

【試作余話】

原文の通りに、1時間も醤油に漬けこみますと、味もしみすぎ、揚げてもすぐに焦げてしまいます。
中骨は取るのが当然でしょう。腹骨や、小骨もカリカリとは揚がりません。鯛の腹に詰めた豆腐がとてもおいしく、冷凍の鯛でも利用すれば格好のご馳走になります。



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