江戸料理百選タイトル   

木の芽田楽・浅芽田楽

木の芽田楽

1-図

温湯を大盤に堪へ、切るも、串にさすも、其湯の中にてする也。やはらかなる豆腐にても、危くおつるなどのうれへなし。湯よりひきあげ、すぐに火にかくる也。○味曾に木の目勿論なり。醴のかた入れを、二分どほりみそにすりまぜれば、尤佳也。多く入れば、甘すぎて却てよろしからず。近来、田楽炉の新製あり。長さ二尺あまり、濶二寸五、七分、深さ二寸あまりの方の陶也。表へくすりかけ、やきたる也。底は、かくの如く、大さ六、七分の孔を数多ほり、木の槽に入子にし、槽の深さ四、五寸、趾はほか也。中にとまりありて、炉は上壱寸ほどのところにかゝりあり。炭火にて灰をおかず、槽に水を入れて火気を助る也。尤も、炉・槽ともに二くみこしらへをき、水温れは冷水にとりかへべし。水あたゝかなれは、かへって火気を助けぬなり。又、炉・槽ともに銅にてこしらへたるもあり。田楽を坐席にてやく、客への馳走也。其ときなど、うちわにてあふぐことをせず、火気さかんにして、灰だつなどゝいふさわりなし。

浅芽田楽

稀醤のつけ炙にして、梅醤をぬりて、ゐりたる罌粟を、密とかける也。

         

        左:「木の芽田楽」右:「浅茅田楽」

江戸料理食べる人

『豆腐百珍』尋常品・佳品


材料および概量
     
 木の芽田楽
 豆腐(木綿) 1丁、300g
 ねり味噌
 ┌西京味噌   200g
 │砂糖  大2、味噌の約10%
 │みりん     大1
 └酒       大4
 青寄せ  小1〜1 1/2
 木の芽  20枚

 浅茅田楽
 豆腐(木綿) 1丁、300g
 酒醤油┌酒   大3
    └醤油  大1
 梅醤┌赤梅干  1個
   │醤油 大1
   └みりん 小1/3
 けしの実   小1
   

 木の芽田楽
 一、豆腐の用意
   豆腐一丁を12に切り、まな板に並べ、軽い板を乗せ水切りする
   (約5分)。
   田楽串を刺して、乾いたフキンの上に置いておく。
 二、西京味噌に砂糖、みりん、酒を加え、よく混ぜ合わせてから中火にかけ、
   マヨネーズよりやや堅めに練る。あら熱がとれてから青寄せを入れて、
   混ぜ、細かに刻んだ木の芽を入れる。
 三、ガスにアスベスト網を乗せ、熱くする。
   鉄弓を乗せ、平串を渡して田楽が乗るよう幅を調節する。
   用意した豆腐を乗せる。表面が乾いてきたら裏に返す。
   1〜2分後に二、の味噌を表に塗り、もう一度焙り、
   薄く焦げ目がつく迄焼く。

 浅芽田楽
 一、けしの実は炒る。
 二、梅醤を用意する。
   赤梅干しを裏漉しして、醤油とみりんを合わせ溶く。
 三、豆腐は、木の芽田楽と同様に用意する。
   両面軽く焼いたら、酒、醤油を、両面ハケで塗り、
   両面もう一度焙った後、火からおろし、梅醤を塗り、けしを振る。


 扉 【留意点】

*青寄せの作り方(小さじ1〜2杯分)
 ほうれん草の葉先100Kと塩小さじ1杯を摺り鉢で摺り、水3カップと合わせ、
 フキンで漉し、この青汁を中火にかけ、沸騰しそうに盛り上がってきたら
 弱火にし、玉杓子ですくい、ザルに広げたフキン上に取り、冷ます。

*田楽の豆腐の扱い方
 豆腐は、地方によって大きさが異なるが、写真は、東京近郊の豆腐で、
 一丁300Kのものを12枚に切ったものである(8枚に切るとやや厚すぎる)。
 水を切り過ぎても、まずいが、全く水切りしないのも扱いにくい。
 軽いまな板の間にはさんで、5〜10分位で約80%位の重量になるようにする。

*今様田楽の作り方
@豆腐は天火やオーブントースターを利用してもいいでしょう。
 電子レンジにほんの少しかけて、中の温度をやや温めた後、
 焼きつける方法も便利。
 ただし、電子レンジをかけ過ぎると台無し。
A手軽には、焼き豆腐を利用するのもよい。湯で温め、ちょっと火にかけ、
 味噌を塗る。

*ねり味噌は少ないと作りにくい。多めに作っても保存が効く。
 青寄せは、使う際に加えて混ぜる。



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