伊豆諸島の島々の紹介とクワガタムシ

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最終更新日2009.8.23


 伊豆諸島は、北から大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島の8つの島から成り立っています。

島ごとに特色があり何度訪れても新たな感動があります。

 島から見た伊豆半島富士山、他の島々の景色も風情があり、光害の少ない伊豆諸島の満天の星もお

すすめです。

 また、そこに生息する昆虫たちも特色があり、固有種も少なくありません。

伊豆諸島固有のクワガタムシでは、ミクラミヤマクワガタハチジョウノコギリクワガタハチジョウ

ヒラタクワガタが有名です。

 これらのうち、特にミクラミヤマクワガタは近い種類は遠く離れた中国に生息するだけで非常に珍し

い種類です。

 ハチジョウノコギリクワガタは島の環境によく適応した結果、ノコギリクワガタとはかなり

異なる特徴を持っています。

 また、ハチジョウコクワイズミヤマクワガタミヤケノコギリクワガタノコギリクワガタ伊豆諸島南部亜種など

近年亜種として記載された伊豆諸島固有のクワガタムシも生息しています。

 この他、亜種にはなっていませんが、原名亜種とはかなり異なる特徴を持つ伊豆大島、利島の

ノコギリクワガタ伊豆諸島北部型や利島のコクワガタなどが生息しています。

 


1.大島

 伊豆諸島でもっとも大きい島で標高764mの三原山を中心とした火

山島です。美しい地層筆島で有名です。

 クワガタムシは、ノコギリクワガタ伊豆諸島北部型、コクワガタ、ヒラタ

クワガタ、イズミヤマクワガタ、ネブトクワガタ、マダラクワガタの5種類が

生息しています。1950年にヒメオオクワガタの雌が1匹採集されたという

記録がありますが、その後記録はないことから現在ではその記録が疑問視され

ています。マダラクワガタの生息が新たに確認されました。

 夏になるとノコギリクワガタが一斉に活動し、オオバヤシャブシの樹液や

燈火に集まってきます。その他のクワガタムシはノコギリクワガタに比べると

多くありません。

(写真は三原山)

2.利島

 伊豆諸島でもよく自然の残った島で標高508mの宮塚山を中心とする火

山島です。

椿油で有名で、2月から3月には島一面に椿の花で赤く見えるほどです。

 クワガタムシは、ノコギリクワガタ伊豆諸島北部型、コクワガタ、ヒラタ

クワガタ、イズミヤマクワガタ、ネブトクワガタ、マダラクワガタの6種類が生

息しています。地面を徘徊する習性のあるクワガタが多く、夏になると特に

コクワガタが地面を歩いている姿をよく見かけます。その他、オオヒラタ

シデムシを至る所で見ることができます。

(写真は利島港と宮塚山)

3.新島

 世界でもイタリアのシシリー島と新島しかない坑火石で有名な白い砂浜の

島です。坑火石からは、緑色に透き通ったガラスがとれます。

 島の至る所にこの坑火石を削って作られたモヤイ像があります。

サーフィンのメッカでもあり夏にはたくさんの若者でにぎわいます。

 クワガタムシは、ミヤケノコギリ、コクワガタ、ヒラタク

ワガタ、イズミヤマクワガタ、ネブトクワガタの5種類が生息しています。暖か

いこの島では10月頃にも樹液にクワガタムシが集まっています。

(写真は新島の港)

4.式根島

 最高点は109mの平坦な島です。そのためサイクリングを楽しむ若者を

よく見かけます。

 海岸から湧き出る温泉を利用した自然のままの露天風呂で有名です。

 200年前までは新島につながっていたと言われています。

 クワガタムシは、ミヤケノコギリ、コクワガタ、ヒラタク

ワガタ、ネブトクワガタの4種類が生息しています。これらのうちコクワガタは

非常に珍しいようでまだ一度も見たことがありません。

(写真はリアス式海岸)

5.神津島

 神々が集まって会議をするという言い伝えのある島です。標高574mの

天上山のそびえ立つ若者に人気の島です。

 クワガタムシは、ミヤケノコギリ、コクワガタ、ネブトクワガタ、

イズミヤマクワガタ、ミクラミヤマクワガタ、マメクワガタの6種類が生息

しています。神津島のミクラミヤマクワガタは、御蔵島に比べて早い時期に

活動を開始します。ミクラミヤマクワガタの採集は禁止されています。また、

その他のクワガタムシの採集は規制されています。

(写真は多幸湾)

6.三宅島

 標高814mの雄山を中心とする火山島で天然記念物のアカコッコで代表さ

れる野鳥の宝庫の島です。

 200年前の火口に水がたまった火口湖の大路池があります。

 クワガタムシは、ミヤケノコギリ、コクワガタ、ヒラタクワガタ、

イズミヤマクワガタ、ネブトクワガタ、マメクワガタの6種類が生息しています。

 ヒラタクワガタは少なくなかなか見ることができません。

(写真は大路池)

7.御蔵島

 伊豆諸島で2番目に高い雄山を中心とした神秘の島です。オオミズナギドリ

の生息地やニオイエビネで有名です。最近ではイルカウォッチングで若者に人

気があります。

 クワガタムシは、ミヤケノコギリ、コクワガタ、スジクワガタ、

ミクラミヤマクワガタ、ネブトクワガタ、チビクワガタ、マメクワガタ、

マダラクワガタと8種類が生息しています。

 これらのうちスジクワガタは、伊豆諸島でこの御蔵島にしか生息していませ

ん。5月中旬になると、ミクラミヤマクワガタが地面を歩き始めます。

クワガタムシの採集は禁止されています。

 御蔵島のミヤケノコギリクワガタを独立した別亜種のミクラノコギリクワガタと

する説もあります。

(写真は御蔵島全景)

8.八丈島

 大島に次ぐ大きさのひょうたん型の島です。

八丈富士として親しまれる854mの西山は伊豆諸島最高峰の火山です。

三原山と呼ばれる東山は古い火山でクワガタムシの主な生息場所になっていま

す。島のとなりには八丈小島が並んでいます。

 クワガタムシは、ハチジョウノコギリクワガタ、ハチジョウコクワガタ、ハ

チジョウヒラタクワガタ、ハチジョウネブトクワガタ、マメクワガタの5種類

が生息し、そのうち4種類が固有種です。

このことから八丈島は他と比べると早くから離島として分かれクワガタムシは

独特の進化をとげたと考えられます。

(写真は登竜峠からの風景)


クワガタムシの紹介

1.ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatus inclinatus) 〔大島、利島〕

2.ミヤケノコギリクワガタP. inclinatus miyakejimaensis)〔新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島〕

3.ハチジョウノコギリクワガタ(Prosopocoilus hachijoensis)  〔八丈島〕

4.ヒラタクワガタ(Dorcus titanus pilifer)         〔大島、利島、新島、式根島、三宅島〕 

5.ハチジョウヒラタクワガタ(Dorcus titanus hachijoensis)  〔八丈島〕

6.イズミヤマクワガタ(Lucanus maculifemoratus adachii)    〔大島、利島、新島、神津島、三宅島〕

7.ミクラミヤマクワガタ(Lucanus gamunus)          〔神津島、御蔵島〕

8.コクワガタ(Dorcus rectus rectus)          〔大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島〕

9.ハチジョウコクワガタ(Dorcus rectus miekoae)       〔八丈島〕

10.スジクワガタ(Dorcus striatipennis)           〔御蔵島〕

11.ネブトクワガタ(Aegus laevicollis subnitidus)    〔大島、利島、新島、神津島、式根島、三宅島、御蔵島〕

12.ハチジョウネブトクワガタ(Aegus laevicollis fujitai)   〔八丈島〕

13.チビクワガタ(Figulus binodulus)            〔八丈島〕

14.マメクワガタ(Figulus punctatus)            〔神津島、三宅島、御蔵島〕

15.マダラクワガタ(Aesalus asiaticus)           〔大島、利島、御蔵島〕       


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