「草野球の窓」

第97章
「一塁手」

 一般的に一塁といえば楽なポジションと考えられている。二塁や遊撃のような難しい打球処理は少なく、しっかり捕球することさえできればとりあえずは勤まる。しかし、内野手の信頼を獲得していないといけない。すなわち、内野手が送球するどんな悪球でも捕球することができれば内野手は安心して送球することができる。安心して送球できるということが好送球を生む。好送球が続けば自信につながる。自信を持てばますます好守備・好送球となり、思い切ったプレーもできるようになる。つまり、いつの間にか内野手の守備力全般が上達しているのである。

 内野手がショートバウンドを送球し、一塁手が捕球できなかった場合、内野手に失策が記録される。しかし、ショートバウンドは本来一塁手の失策なのである。ショートバウンドを捕球するには、体をできるだけ前に倒すことが必要である。前で捕球すれば、バウンドする前に捕球できるかもしれない。前傾せずに捕球すれば、ハーフバウンドになるが、前で捕球すればショートバウンドで捕球できるかもしれない。アウトかセーフか間一髪の場面でも、前で捕球すれば一瞬の差でアウトにできるかもしれない。送球が短いと思ったら、一瞬腰が引けるが思い切って前傾することが大事だ

 軟球ではハーフバウンドの捕球ほど難しいものはない。球が地面に着地した時、跳ね返り角度が小さいほど捕球は容易になる。跳ね返り角度が小さければ、着地地点に差し出したグラブにそのまま球は吸い込まれる。跳ね返り角度が大きくなるにしたがって、差し出すべきグラブの位置調整が難しい。すなわち、捕球し損ねる確率が高まる。したがって、一塁手は可能な限り前で、前傾姿勢で捕球することを心掛けなければならない。逆に、内野手は低い弾道の送球を心掛ける。弾道が低ければ、たとえショートしても跳ね返り角度が小さくなり、一塁手の捕球が容易になるからだ。

 一塁手の守備で難しいのは、走者一塁で一塁ゴロが来た場合だ。できるだけ一塁と二塁ベースを結ぶ線より前で捕球し、二塁へ送球する。線上で捕球し送球すると走者と交錯し、送球が走者に当たったり、二塁ベースで捕球する遊撃手が捕球しにくいためだ。
 もう一つが、定位置より前に飛んだセンター前安打や飛球をバックホームする際の中継だ。二塁手や遊撃手は打球を追うためセンターの近くまで来ている。投手は捕手のカバーに入る。したがって、中継に入れるのは一塁手しかいない。しかし、よほど普段から練習していないと中継に入るのを忘れたり、遅れたりする。このためみすみすやらなくてもよい点を与えることがある。

 一塁手は自ら動くことは少ないかもしれない。しかし、内野手からの捕球、外野からの中継などでアウトにするかしないかを握っているのは一塁手なのである。一塁手の好守備でアウトを取れれば、他の野手が自信をつける。野手の守備力上達を握っているのは一塁手だといっても過言ではない。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成11年2月7日掲載)



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