前章で述べた「やらなくてもよい点」の原因の一つである失策を防ぐにはどうしたらいいのか。懸命に背走、あるいは前進し、ようやく球に追いつきグラブに入ったと思ったらポロリとこぼれてしまった、内野の間を抜けそうな打球に飛びついてグラブに入れたと思ったらファンブルしていた、など難しい打球を処理できなかった場合は仕方ない。ここで問題にするのは、当然捕球できて当たり前の打球をポロリとやったり、股間を抜かれたり、暴投したりといった失策である。
原因は二つある。一つが打球に対する集中心を欠いていた場合である。「前の打席で打てなかったことが頭の片隅に残っている」「自分のところに打球が飛んできてエラーしたらいやだなと思っている」などプレーに集中できていないことがある。そこへ予想外の打球(予想外に強い打球、不規則バウンドのゴロ、当たり損ねの打球など)がくると体が応じられない。集中心を欠いているために一瞬の判断が遅くなり、その結果うまく処理できない。
もう一つが、冷静な状況判断、あるいは予測ができていない場合である。例えば、無死1、2塁のケースで遊撃手は予測しておかねばならないことが多々ある。
本来は、日常の練習と試合経験によって、体で覚えていくべきものである。だが、特に草野球では不慣れな守備位置を守らねばならないことが多い。冷静に次のプレーを予測し、打球に対して闘志心と集中心を持てば、普段の力が発揮されるばかりでなく、普段以上の力が発揮される場合すらある。普段以上の力の発揮、それがファインプレーである。 これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。 (平成10年8月23日掲載) |
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