「草野球の窓」

第72章
「失 策」

 前章で述べた「やらなくてもよい点」の原因の一つである失策を防ぐにはどうしたらいいのか。懸命に背走、あるいは前進し、ようやく球に追いつきグラブに入ったと思ったらポロリとこぼれてしまった、内野の間を抜けそうな打球に飛びついてグラブに入れたと思ったらファンブルしていた、など難しい打球を処理できなかった場合は仕方ない。ここで問題にするのは、当然捕球できて当たり前の打球をポロリとやったり、股間を抜かれたり、暴投したりといった失策である。

 原因は二つある。一つが打球に対する集中心を欠いていた場合である。「前の打席で打てなかったことが頭の片隅に残っている」「自分のところに打球が飛んできてエラーしたらいやだなと思っている」などプレーに集中できていないことがある。そこへ予想外の打球(予想外に強い打球、不規則バウンドのゴロ、当たり損ねの打球など)がくると体が応じられない。集中心を欠いているために一瞬の判断が遅くなり、その結果うまく処理できない。

 もう一つが、冷静な状況判断、あるいは予測ができていない場合である。例えば、無死1、2塁のケースで遊撃手は予測しておかねばならないことが多々ある。
 例えば、
(1)バントへの対応。自分はどのベースカバーに入るか、突発事態(1塁への暴投、2塁走者が一気に本塁へ突っんだ場合など)に対してはどうするのか。
(2)自分への打球の場合。どこへ投げるか、3塁か、1塁か、2塁なのか。飛球ならそれはインフィールドフライなのか、それとも2塁走者が3塁へ走る可能性など。
(3)外野フライへの対応。走者が3塁へ走る可能性。走者が飛び出しているか。外野手が失策したら自分はどこに中継に入り、どこへ投げるのか。
(4)ヒットを打たれた場合。自分はどこに走って中継し、どのベースカバーに入るのか。
(5)その他、走者が盗塁した場合、捕手からの返球がそれた場合、走者が飛び出している場合、ワイルドピッチ、またはパスボールの場合、等々。どんな状況になっても対応できるようあらかじめ考えておかねばならない。予測ができていないから自分がどう動くべきかが分からず、あわててしまい暴投したり、本来いるべき場所にいないために、他の野手があわてて暴投したり、余計な進塁を許すことになる。

 本来は、日常の練習と試合経験によって、体で覚えていくべきものである。だが、特に草野球では不慣れな守備位置を守らねばならないことが多い。冷静に次のプレーを予測し、打球に対して闘志心と集中心を持てば、普段の力が発揮されるばかりでなく、普段以上の力が発揮される場合すらある。普段以上の力の発揮、それがファインプレーである。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成10年8月23日掲載)



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