「草野球の窓」

第56章
「効率のよい得点」

【質 問】
「まるドの目」を愛読し、何度も繰り返し勉強させて頂いております。
 私は会社の草野球チームで監督をしておりますが試合のとき、いつも打順の組み立てで悩んでおります。きちんとした理論を持たないため組み替えた打順で試合に勝っても、更に効率の良い打順があるものと考え納得できずにいます。
 効率の良い打順を組む際の基本理論をぜひ「まるドの目」に掲載して頂けます様、どうぞよろしくお願い致します。

 読者の方から質問をいただいた。「効率のよい打順を組むための理論について」という大変難しい質問である。打順は前章で述べたように、攻撃の戦略と深く関係してくる。したがって、「効率のよい打順」とは「効率のよい攻撃」、あるいは「効率のよい得点」と言い換えることができる。例え、打てない選手のところにチャンスがめぐり合わせても、得点できれば「効率のよい打順」なのである。

 効率よく得点するにはどう攻撃すればよいか。タイムリーヒットが生まれれば効率がいい。走者をためて長打が出ればなおいい。だが、実際にはそうならないところが野球の難しさであり、面白さなのである。得点する確率を少しでも高める努力をすることが大事である。
 そのためには、相手にプレッシャーをかけることである。どんな些細なことでもよい。ベンチが一丸となって声を出すことも有力な手段の一つだ。セイフティバントをやることもいい手である。成功しなくてもよい。バントのそぶりをするだけで、三塁手は守備位置を少し前に移動する。その分、三・遊間にヒットが生まれる確率が高まる。何より大事なのは、好球必打であり、ボール球には決して手を出さないことだ。

 走者が出れば、それだけで相手にとっては相当のプレッシャーになる。次はその走者を一つでも前に進塁させることを考える。盗塁、バント、ヒットエンドランなど試みる。盗塁のサインが出ていないときは、すぐ帰塁できる範囲でできるだけ大きく離塁して相手バッテリーにプレッシャーをかける。コーチャーもそれに呼応して大きな声を出し、いかにも盗塁しそうな雰囲気をつくり出す。とにかくプレッシャーを与えることで、投手は制球を乱したり、肩に力が入ることが多くなる。

 一死2塁と二死3塁のどちらがより投手にプレッシャーを与えるかについては、相手投手によって変わってくるが、一般的には二死3塁の方がよりイヤであろう。一死2塁なら、打者二人と勝負しなければならないというプレッシャーはあるものの、ヒットを打たれないかぎり得点にはならない。一方、二死3塁の場合、ヒットは勿論、失策、ボーク、ワイルドピッチ、パスボールでも得点に結びつく。二死3塁の方がよりプレッシャーを与えるのであれば、一死2塁でバントをしてでも3塁へ進塁させるべきである。

 こうして3塁まで走者が進めばどうするか。これについては次章で「走者3塁の攻撃」について考察する予定なので参考にしてほしい。いずれにしても、相手にプレッシャーをかけ、相手のミスを積極的に、作為的に誘導する。これが結果として、ヒットや敵失につながり、「効率のよい得点」につながる。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。

(平成10年5月13日掲載)


【幹事補足】
 師のおっしゃる「相手にプレッシャーをかけること」の中には、「相手投手を野次る」行為は決して含まれておりません。「ベンチが一丸となって声を出す」というのは、あくまでも自チームに対する“掛け声”であることに留意してください。やはり、なるべくなら、師が示されたような「プレー」でプレッシャーをかけるようにしましょう。



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